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Inphonik RX950レビュー王道の太さをプラグインで再現

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ヒップホップやEDMなどのトラックを作っているけれど「音に重みや存在感、太さが感じない」と思ったことはありませんか?音の存在感を最大限にまで引き立たせるのがトラックメーカーのなすべきところですが、実際のところは簡単な話じゃないです。

しかし、今回紹介するInphonik RX950を使うことで音の厚み、存在感、太さを簡単にトラックに与えることができます。なぜならInphonik RX950は太さと存在感でトラックメーカーの王道アプローチ方法となっているAKAIのサンプラーS950のサウンドを再現しているからです。

太い音を作るのに、イコライザーでローエンドを持ち上げたり、コンプで圧縮しまくる?それよりも前にInphonik RX950を試してください。ソフトウェアでエミュレーションしたものとは思えないほど音が肉厚的になります。

近年流行りのLo-fiヒップホップ的なサウンドや80年代の荒く太い王道なサンプラーサウンドを作りたい人とくにおすすめのVST プラグインです。

今日はRX950のレビューから使い方、そしてRX950で太い音の作り方についてお話します。

Inphonik
総合評価
音質
操作性
価格 
購入のしやすさ
安定度(CPU負荷)
話題性
評価の根拠について
UG
  • 元ゲーム音楽屋(NintendoDSなど)
  • 作曲歴20年以上
  • DTM記事執筆500以上
  • ショートアニメ、CM、企業PV音楽を制作
  • 詳しいプロフィール
タップできる目次

Inphonik RX950とは

往年の名機と呼ばれたAKAI S950というサンプラーのAD/DAコンバーターをエミュレートしたプラグインです。実機同様素晴らしい音質をもたらしてくれるすごいプラグインです。

最初触ったときに思ったのは「シンプルすぎる。正直大した音は出ないのでは?」と思いましたが、音を太くするために余分な機能をすべて削ぎ落とした結果のインターフェイスでした。

Inphonik RX950はDTM初心者〜上級者までレベルを問わず使えるプラグインだと言えます。

RX950の価格

もともとが15ユーロ(1,885円)です。これだけでもかなり安いですが、RX950はセールを頻繁にやっていて2020年8月19日現在もセールで50%オフ!7.57ユーロ(951円)になっています。

RX950のようなサンプラーの質感を再現したAD/DAエミュレータープラグインはいくつかあります。価格は機能等によっても異なりますが、RX950の魅力はその安さにあります。

RX950SampleX V3Decimort 2
特徴S950の再現6つのサンプラーの再現複数のサンプラーの再現
参考ページ[新技術で再現]
SampleX V3でつくる
往年のサンプラーサウンド
DECIMORT2レビュー
有名サンプラーの質感を

再現したビットコンバーター
価格$22→$11.00$41$55

RX950はS950だけです。SampleX V3Decimort 2でもS950の質感を再現した音はありますが、音の太さや存在感、扱いやすさで言えばRX950はトップレベルだと言えます。

もし将来的に多くのサンプラーの質感を扱いたいのであればSampleX V3Decimort 2今は、太さと荒々しさに定評があるS950のサウンドの再現だけでも問題ないのであればRX950がオススメです。

Inphonik

RX950使い方のコツ

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まずはインプットゲインで歪ませてみる!

インプットゲインは先程も少し説明しましたが、サンプラーへ入力するレベルのことです。レベルが高すぎると歪んでしまいますが、この歪みさえもS950の味の1つとして評価されるほどのものでした。

RX950でインプットゲインはMAXで+20dBになります。しかしこれはボリュームと同時にサチュレーション的な飽和感もあります。当然インプットゲインを上げれば音量も上がってしまうので、アウトプットゲインで上がった分だけ下げるようにすると他のトラックとのバランスが保ちやすいです。

オーディオBANDWIDTHで劣化具合を作り出せ!

オーディオBANDWIDTHはサンプリングした音のピッチを変更することで音が荒々しくなるのを再現したものです。

オーディオBANDWIDTHは右に回しきった状態で19200Hzとなります。これは19200Hzでサンプリングしたということを意味します。

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これを左に回し、9600Hzにします。

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そうすると音が丸くこもったようになります。これは元のピッチを半分にしたものと同じ結果になります。例えばサンプリングしたものC3にアサインし、そのときにC2のMIDIキーボードを押すとオクターブしたのピッチ、つまりピッチが半分になっているということになります。

ピッチをオクターブ上にした場合再生する長さは半分になります。2オクターブ上にするとさらに半分になります。あとは再生時にもとのピッチに戻すとざらついた独特の質感になります。これにRX950を加えることでよりそれらしい音色になります。

最近ではあまり使われない方法ですが、王道的な音作りでもあるので覚えておいて損はないと思います。

往年のサンプラーではサンプリングタイムを稼ぐために、早回しでレコードを再生しサンプリングしたものをサンプラー側で元に戻すという方法が疲れていました。

当然、ピッチが半分になるためサンプリングした音は間延びした音でノイズも多く発生しました。このノイズをエイリアシングノイズといいます。しかし、このエイリアシングノイズももまたサンプラーの質感としてみなされたわけです。

RX950ではピッチ変更した際のサンプラーの荒々しさをオーディオWIDTHで再現しています。つまりここを触らずしてRX950を語るべからずというほど重要と言えます。

RX950サンプルデモ

  • 5小節〜インプットゲインを上げて戻す(0:00〜0:07)
  • 9小節〜BANDWIDTHを上げて戻す(0:08〜0:15)
  • 13小節〜FILTERを上げて戻す(0:16〜0:23)
  • ドラムトラックだけにかけています。(0:24〜0:31)

やはりインプットゲインをあげたときの質感はいいですね!ちなみにSIN波でチェックするとインプットゲインを0.42dBまで上げると強烈な倍音が出始めます。

当時の雰囲気に近づけるRX-950を使った裏技的なサウンド

サンプリングすることで高域は削れ、さらにピッチを落とすことで落ちる。当時のサンプラーはいかに高域を綺麗にだすか?というのが課題でもありました。

そこで当時のプロデューサーがやっていたのがエキサイター等を使って高域を持ち上げる方法です。エキサイターはイコライザーと違い倍音の処理をメインとするものです。

つまりRX-950とエキサイタープラグインを使えばさらに当時の質感に近づけることが可能です。エキサイターについてはこちらの記事が参考になります。

AKAI S950とは?

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1988年に発売されたAKAIのサンプラーです。S950より前に出た900のアップグレードバージョンという立ち位置です。

スペックは
内蔵メモリー最大2.25MBが
サンプリング方式12bit
サンプリング周波数7.5KHz-48KHz
サンプリングタイム63.35秒-9.89秒
最大同時発音数8

12bitで48khzというスペックでサンプリングできる時間は10秒以下です。

今の人達からするとこれで何ができるの?という話ですが、ヒップホップの人達から「独特の太さがある」という評価がありこぞって使われました。

S-950の実機の音

独特のザラつきのある音になっているのがわかります。S950は通すだけでもそれなりの音質になりますが、ピッチを変更した際に生まれるエイリアシングノイズを出そうとするならば、きっちりとサンプリングする必要があるでしょう。

AKAI S950 S900 違いについて

S950の前にS900というバージョンがありました、メモリの搭載量、それに関わるサンプリングタイム、またサンプリング周波数やサンプリングのポイント数がそれぞれ違います。機能スペックは基本的に同じです。

S950
S900
  • 内蔵メモリー512KB〜2.25MB
  • サンプリング方式12bit
  • サンプリング周波数7.5KHz-48KHz
  • サンプリングタイム63.35秒-9.89秒
  • 最大同時発音数8
  • 最大99ポイントマルチサンプリング
  • VCF,ADSR/VCA,ADSR/LFO
  • 内蔵メモリー750KB
  • サンプリング方式12bit
  • サンプリング周波数8.0 kHz~40kHz
  • サンプリングタイム63秒
  • 最大同時発音数8
  • 最大32ポイントマルチサンプリング

ビットクラッシャーとは?

ビットクラッシャーとは音の解像度を下げるプラグインとして認識されていますが、実際のところ解像度が下がっているわけではないというのがこちらのTwitterおよびYoutubeの動画でわかります。

https://twitter.com/takeshiseo/status/1139805888380751875

エンジニア的な見解では解像度という言葉で使うのは適切ではないにしても、作編曲レベルでその音質的な意味合いを求める人からすればビットクラッシャーでビット深度を下げることで得られる音質は「解像度が下がった」という見識をもつ人が多いのはある意味当然かもしれません。

ではここではクリエイター的な見地でビットクラッシャーを使うとどういう効果があるのかをもう少し具体的に見ていきたいと思います。

ビットクラッシャーの特徴はビット深度を変更することで得られる特有のディストーションサウンドです。これはギターのオーバードライブ用なものとは違い、分解能が低いデジタル・ディストーション・エフェクトと言われます。この分解能をコントロールする部分がbit深度になます。bit深度の変更幅はプラグインによっても変わりますが、主に1bit〜24bitです。

ではそのビット深度を変更することでどのような影響があるのかを動画を確認してみます。これはLogicProXのオシレータープラグインでサイン波を出力し、そこに同じくLogicProXのビットクラッシャープラグインをかけてビット深度を下げていく模様です。

オシレーターの出力は0dBなのでビットクラッシャーが24bitの場合音が変化しないのはDAWのミキサーでメーターが0dBになっても音が変化しないと近い要素です。(厳密に違いますがイメージとして似たような感じです)

ビット深度をさげることであきらかにデジタル的な歪みが高域から増えているのがわかると思います。この音の変化がビットクラッシャーの特徴になります。

ビットクラッシャーにはビット深度とともにサンプルレートを変更できる機能がついています。3プレートを変更することで音が暗くなる。単純に言うとローカット的なサウンドになります。

RX950のメリット

シンプルな操作性とハードウェアの質感の再現

S950という往年の名機サンプラーの質感を簡単に手に入れられることにあります。その音は太くコシがありとクラックの中で存在感が出てきます。もちろん実機100%というわけには行きませんが、フリーのビットクラッシャーやDAW付属のビットクラッシャーでは表現できない微妙なS950のニュアンスが再現できます。

テンキー入力は本当に便利!

ノブを回して好みの数値に合わせたい思っても、うまくあわないということを経験している人は多いと思います。うまくあわないときとかイライラしてそれだけ創作意欲がなくなりますw

RX950はノブ、パラメーターの上でダブルクリックをすると、テンキー入力モードになります。地味ながらこういう使い勝手がいいとそれだけで使用頻度があがります。

RX950デメリット

ビットレートの変更はできない

RX950はあくまでS950のAD/DA(音の入力と出力)の質感を再現しているプラグインなので、ビット深度の変更はできません。そのためビット深度変更によるディストーションサウンドはできません。そういう場合はDAW付属のビットクラッシャーを使う方がよいでしょう。

RX950はあくまで「実機のAD/DAコンバーター」の質感に拘ったプラグインです。

プリセット等はない

数少ないパラメーターなので音作りの幅はものすごく広いわけではありません。そのためなのかプリセット等はありません。音作りに慣れていないDTM初心者などはプリセットがほしいと思うかもしれませんが、すぐに慣れるので安心して使えます。誰におすすめのプラグイ

Inphonik RX950の特徴

伝説的な12ビット解像度

S950のオーディオ信号パスの完璧なモデリング

調整可能なオーディオ帯域幅(したがってサンプリング周波数)

オリジナルの急勾配の6次ローパスバターワースフィルター

ステレオまたはモノラル操作

低CPU消費

調整可能な輝度設定(高周波応答)

グラフィカルインターフェイスのスケーリングオプション(1倍から2.5倍)

ダブルクリックでのパラメータ値キーボード入力

NKSサポート

引用:PluginBoutiqueRX950販売ページの説明和訳より

この中で私が注目したのは、伝統的な12ビット解像度という項目、多くのDAWにはビットクラッシャーエフェクトプラグインが付属している場合があり、その中でも12bitと設定すればS950と同じビットレートにすることは可能です。しかし、出てくる音は全然違います。

正直使える音ではありません。音楽的ではないのです。しかしRX950は使える12bitサウンド。まさしく往年のサンプラーサウンドを見事に再現していると言えます。

なぜ使える音になるのか?それは次の4つパラメーターがポイントになっています。

入力ゲイン:S950などハードサンプラーで起こり得る過大入力による歪みを再現

オーディオBANDWIDTH:ハードサンプラーのピッチ変更した際に起こるエイリアシングノイズの再現

フィルター S950のフィルターの再現

ブリリアンス:高域のプッシュ(背面パネルに設定されている)

この中でも入力ゲインとオーディオBANDWIDTHはS950の質感を整えるために重要なパラメーターです。

RX950システム使用環境

マック

  • macOS 10.7以降(64ビットのみ)(M1 Apple Siliconサポートを追加)
  • VST 2 / VST 3 / AU / AAX

ウィンドウズ

  • Vista以降(64ビットのみ)
  • VST 2 / VST 3 / AAX

Linux

  • 64ビットのみ

MacのM1チップにも使えるので最新環境でも安心です。オーソライズ方式はシリアルナンバー形式なのでiLok等も必要はありません。

RX-950ユーザーの声

多くの人が音質の良さを絶賛、「簡単に太くできる」「それらしい雰囲気がかっこいい」などプロアマ問わず評価が高いです。

まとめ

RX950は

  • S950AD/DAコンバーターを再現したプラグイン
  • 質感は良い意味で荒々しく太い音が簡単につくれる。
  • ビット深度を変更できないのでビットディストーションは不可能

もともと安いプラグインですから騙されたと思って買ってみても後悔はすくないかもしれません。ですが、裏技と合わせてつかうことでS950の質感を十分に再現できるプラグインです。

音を太く嫌味がない程度に汚すことができるので最近流行りのLofi−ヒップホップ系にはどストライクではまると思います。また、RX950を1つだけ使うことで良い意味で解像度が下がるので音が目立つ効果もあります。

Inphonik
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