編曲が難しいと悩むDTMerに知ってもらいたい入門テクニック

「編曲は難しい」と感じる人は多いです。実際編曲位には多くの知識が必要になり、それを覚えるのもそう簡単にできるものではないからです。また「編曲をどうやって勉強すればよいのかわからない」という人も多いです。

編曲にはいろいろなアプローチ方法がありますが、今日はその中でも「音色のチョイス」から編曲について考えてみたいと思います。

「えっ?音色選ぶのが編曲なの?」と思うかもしれませんが、シンプルにしてとても奥深いです。

なぜなら音色一つでその曲の雰囲気が一気に変わってしまうからです。理論的な理解も編曲の重要なスキルですが、DTMを始めて編曲について興味がある人にはまず「音色のチョイス」を編曲の理解の窓口することで、「編曲は難しい」が「編曲は面白い」と思えるようになります。

「えーそんなん考えながら音色選ぶのとか面倒くさいよ」と思うかもしれませんが大丈夫です。複雑なことは何もなく、シンプルに考えられるコツを今回はお話したいと思います。

編曲とは?

編曲とは

編曲は目的によって、大きく分類することができる。

  • 原曲の指定と異なる楽器編成で演奏するため。独奏のための編曲も含む。
  • 原曲と異なるジャンルやスタイルで演奏するため。
  • 演奏者が独自色を出すため、また他の必要からの大まかな修正(ヘッドアレンジ)。
  • 未完成と思われる原曲を完成させるため。

wikiより

作曲がメロディを書くことに特化した仕事なら、そのメロディより分かりやすく伝えることが編曲の仕事といえます。しかし、そのためには技術的に覚えることも多く、メロディは作れても編曲は難しいと考える人が多いです。だったらいきなり全部やろうとするから難しく思うわけで、ここでまず「どんな音色を選ぶのか?」という視点から編曲を見てみたいと思います。

音色の選び方や考え方(時代にあった音色を選ぶ)

その時代を彩ったサウンドというのものがあります。言い換えれば音色がその時代を作ったという言い方もできます。これを知って編曲時に音色を選ぶのか、しらずに選ぶのかで音楽の説得力は全然変わってきます。

90年代を代表するジャンルの一つといえばTKこと小室哲哉によって作られたダンス・ミュージックです。今ほど多様化されたダンスミュージックではなく、ディスコやユーロビートが主なダンスミュージックとして好まれていた時代です。そこで活躍した音色がご存知JD-800の53番のピアノです。

さて、このサウンドに目新しさはあるでしょうか?もちろん使い方によってあるかもしれませんし、世代によってTKサウンドを知らない人も多いので再認識される音色かもしれませんが、やはり一時代を築いたサウンドでもあり世代を超えて認識されている割合が多いため、目新しさを見出すのは難しい音色といえます。

 

80年代のPOPSに使われたサウンドといえばYAMAHAのDX7のエレピでしょう。クールな都会をイメージさせるにはぴったりのこの音色も当然「手垢が突き倒した音色」です。今後どこかで再燃する可能性もありますが、普通に使ってしまうとやはり80年代〜90年代前半を彷彿とさせるサウンドです。他にもゲートリバーブを多用したドラムマシンのサウンドやシンセベースなど80年代を代表するサウンドの一つと言えます。

 

70年代になると無機質であまり作り込まれていないアナログシンセの音などはまさに70年代のを感じさせます。またエレピで言えばウーリッツァーやローズ。クラビネットにオルガンなどデジタルにはない生楽器のサウンドが時代を作っていました。

 

これらはほんの一部でしかありませんが、その時代を彩った音色であることに間違いはありません。一般的な答えもいいですが、「自分にとってはこの音色に時代を感じる」というものが見つかればそれはあなただけの価値観になるので大切にしましょう。そういう音のチョイスや捉え方にも編曲のオリジナリティは現れてきます。

音質も音色(悪いなりの理由を考える)

2000年以降になるとデジタルMTRやDTMのDAWなどによって劣化のないマルチトラック録音をパソコンで出来るようになり、ノイズがなくクリアな音質がスタンダードになっていきます。

90年代にもデジタルMTRはありますが、まだカセットMTRもあり、アナログからデジタルへの過渡期とも言えました。サンプルレートやビット深度は今よりも低く「CDと同じ音で録音可能!(44.1kHzの16bit)というコピーがすごい!と言われていた時代です。

さて、これらを踏まえたうえで考えたいのは「音質」もまた時代を作った音色の一部という見方をすることで、音色に対する理解がさらに深まります。今ほど抜けが良いわけではなく、解像度が良くなくても時代がその音質を受け入れたわけです。

そこで重要なのは自分が今使おうとしているその音色の音質にどんな意味を与えようとしているかということです。最近のDAW内蔵音源であればアナログシンセの音からDXのエレピに最新のEDM系の音色まで幅広く含まれています。

そしてその音色は誰でも同じように選べてしまうわけです。だからこそ「音色にどういう意図をもたせるか」という視点が一歩抜きん出た編曲の視点になるわけです。

音色にあったエフェクトプラグインの選び方

例えばmoog的なシンセリードを使った場合、そこに最新のイコライザーやコンプなどで処理をするのか、アナログライクな音がするイコライザーやコンプを使うことどちらが「よりその音色の魅力を引き立たせることができるのか?」という視点で考えてみます。

例えばディスコ調のジャンルであれば、最新のクリアなプラグインを使うよりアナログサウンドを得られる方が音色的にもマッチします。なぜならば70年代のミックス環境にクリアなイコライザーやコンプなんてものはないからです。

「そうか!わかったじゃあ全部アナログ的な音がするプラグインにすればいいんだね!」と思うかもしれませんが、それをすると今度は逆に吐出するサウンドがなくなってしまいます。つまり今という時代の中に「エッセンスとしての70年代のサウンドを取り入れる」という考え方をすることで。シンセリードの音は時代を超えた存在になるわけです。

例えば、今と昔で音質の違いは低音の解像度が随分変わりました。低域がクリアになればなるほど現代の時代性にあった音色として感じやすいです。であるならば、それを知った上で、ベースの抜けを少しだけ悪くして、サチュレーションレベルの歪をベースやキックだけにすれば「クリアな音質の中に存在するドライブ感」ということでキックやベースをより目立たせることが可能です。

さいごに

音色のチョイスも編曲の重要な役割だということをわかってもらえかと思います。そして選んだ音にどんなストーリーを作るかによって説得力が増し、そこに根拠を与えることができれば、編曲の難しさの中に楽しさを見出せます。

「その音色はどんな時代のどんな音質の音色?」

「なぜその音色を選んだ理由は?」

誰かに説明するのではなく「自分が納得できる言葉」でいいので考えてみましょう。