かっこよくて簡単な操作性を誇るArturiaのオリジナルシンセPigmentsを知っていますか?おそらく今後はSerumやMassivに並ぶシンセになるのは間違いないです。名前は知ってるけど詳しい機能は知らない。ちょっと触ってみたいけど触り方がわからないという人のためにレビューを詳しく書いてあります。「みんなSerumばっかり使って面白くない」というサウンドクリエイターはこの記事を参考して購入を検討してみるのをおすすめします。
Arturiaのソフトシンセへの回答
いままでクオリティの高いエミュレーションを出していてArturiaが初めて作り上げたオリジナルシンセは「何の変哲もないそのあたりにありふれた普通のソフトシンセ」です。音源方式も「ウェーブテーブルとVA音源とサンプル音源をミックスさせたもの」にはまったく目新しさはありません。すでにどのメーカーもすでに作っていてそのタイプのソフトシンセはすでに飽和状態です。
じゃあ何故こんな音源を作ったのか?
Arturiaは単なるデジタルソフトシンセを作りたかったのではなく時代を超えたソフトシンセを作りたかったその答えがPigmentsだったように思います。世界中から評価されているエミュレーション技術で磨き上げた音色のクオリティは多くのユーザーを虜にしています。その技術を最新のデジタルソフトシンセと融合させることで生まれるケミストリーはいくら他のソフトシンセと同じフォーマットと同じであって同じでないそれがPigmentsのサウンドです。
Pigmentsのプリセット(Preset)について
何千というプリセットが当たり前になる最近のソフトシンセからするとPigmentsは数百種類とちょっと少なめですが、一つ一つのクオリティが高く「作り込まれている」印象を受けます。重要なのは使える数なので、下手に多いよりこのくらいの数の方が共感をもてます。
これはArturiaのどの製品にも言えることですが、Arturiaのソフトシンセはプリセットの管理が非常にわかりやすく音色選びに不必要な時間をかけなくてすむのがよいです。
またTemplateの中にはDefaultと呼ばれる無加工な音色があるので音作りを始める時はこのプリセットを選ぶのがオススメです。このデフォルトの設定があるかないかで私はソフトシンセの評価を決めるほど重要なプリセットです。
音色の作り方を学ぶときにも「どのパラメーターがどのくらい変わっているのか」これさえわかれば自分でいくらでも音色を作り出せるわけなので、これは本当に大切です。
Pigmentsのマニュアルは?
Arturiaの製品のすべてに日本語マニュアルがあります。Arturiaのマニュアルはソフトシンセの使い方について書かれているだけではなく、そのソフトシンセを作った経緯や歴史なども書かれているので、非常に勉強になります。
Serumとの違い
いくつかの違いはありますが大きいところでは
- 音源方式 PigmentはVAソフトシンセ+ウェーブテーブルシンセ+PCMシンセのハリブリッド、Serumはウェーブテーブルシンセ
- アルペジエーター Pigmentsは有り、Serumは無し(自分のアルペジエーター的なものを作ります)
一長一短の部分がありますが、Pigmentsの方が音作りの幅は広いです。
ここだけは触っておきたいPigmentsのすごい機能
「VA+ウェーブテーブルシンセ方式」という他のデジタルソフトシンセと同じフォーマットですがここだけは触ってほしいのがsample機能です。実はArturiaはシンクラヴィアとCMIなどのサンプリング機能を有するソフトシンセをエミュレートした際にオリジナルのオーディオデータをインポートできる機能をつけていました。今回Pigmentsもそのサンプル機能を受け継いでいて専用のオーディオデータを読み込むことができます。
そしてループ機能とグラニュー機能を使って個性豊かな音色を作り上げることができます。Pigmentsのオーディデータは正直音色的にはDAW付属のサンプリング音源にも劣ります。しかし、このソフトシンセは「クオリティの高いソフトサンプラー」ではなく「オリジナルのオーディオデーターを読み込んで自由度の高いグラニューシンセや、ループポイントを設定して新しい音色を作り上げることを目的としています。
それに内蔵されているオーディオデータの「クオリティが高くない=使えない」ではなく実にツボを抑えたオーディオデータになっています。個人的にはマレット系の使い勝手がよく、楽曲のバックにほどよい存在感を作り上げてくれます。
それ以外にも多くのオーディオデータがありVAやウェーブテーブルとの絡みやすい音色になっています。このサンプルとVA音源の融合はUVIのFalconが得意とする部分でもありますが、PigmentsはFalconほど見た目も操作性も複雑ではなくとてもスマートに簡単に音作りをできるように設計されています。
一つ注意したいのはpigmentsはソフトサンプラーではありません。なので、高音質なストリングスやピアノの波形を取り込んで使う意図ではないと思います(もちろんそのような使い方ができないわけではないですが)なのでそういう使い方をメインで考えていると「全然使えない音源」と思い込んでしまうかもしれません。
作曲家の2つの感情を刺激するUIと音色
Pigmentsは作曲家の好奇心を刺激してきます。触りながらドキドキしてくる。「このパラメーターを動かせばどうなるのか?」「ちょっとまってこっちのパラメーターは何だ?」こんなドキドキがPigmentsにはあります。それは非常にUIとしてのバランスが整っているからだと思います。
私のお気に入りがsample音源のこの項目です。
何の変哲もないOUTPUTとSAMPLE/GRAINの並び方コレよく出来ています。OUTPUTでボリュームを決めて、SAMPLE/GRAINでサンプルが始まるポイントを決める。この2つをこの並びにしたおかげでオーディオデータを使っての音作りの速さが格段によくなります。
実はサンプルスタートはオーディオデータを扱うときにとても重要なポジションです。なぜならばオーディオの音の出始めを使って音を作るのとDecayやリリース場所を使って音を作るのではまったく違う音になるからです。
そのポイントの見極めが重要でありそこをストレスなく操作できるのは地味ながらよく考えられています。使いやすいソフトシンセはとにかくUIが良いです。なぜそこにそのノブがなるのか?なぜそこにそのパラメーターがなるのか?
これらのユーサービリティをエミュレーションソフトを通して研究し続けてきたArtruriaだからこそのUIといえます。好奇心を刺激したあとは続いて高揚感を刺激します。好奇心で作られた音色を聞くと「うわーめっちゃいい音だよ!コレ!!!!」とSNSで喋りたくなるかもしれません。よい音はみんなに聴いてほしい。すごい音源は自慢したくなる。
人間の基本的な心の開放なのかもしれません。
しかし、それゆえに「あんまり喋ったらみんなが使い始めてしまうのはちょっと嫌だな」「自分だけの最終兵器にしたい」そんな気持ちにさせてしまうイケナイPigmentsさんです。
踊らせてくれるソフトシンセのPigmentsの正体
踊りと言われればEDMやダンス・ミュージックを想像するかもしれませんが、体を動かしくなる音楽はすべて「踊れる音楽」です。極論的に言えばオーケストラ音楽で「思わず指揮のまねをしてしまう」あれも踊りと同じです。ところで人は何故踊るのでしょうか?踊る理由についてこのような研究結果を出している人もいます。
1.言葉では伝えられないものを伝えるために踊る
2.無意識のうちに音楽に同調して本能で踊る
3.リズムの共有による感情の共有が心地よいため踊る
4.心身を緊張や脅威から解き放つために踊る
5.時代に求められて踊る
他のシンセにも言えることではありますが、pigmentsはこの人間の自然な反応を最大限高めてくれるのものであるのは間違い有りません。もちろん近年のEDMサウンドだって問題なく作れます。クラブ特有の攻撃的なリードサウンドからEDM系やみんな大好きSuperSawもあります。だから「なんだかすごいソフトシンセなのでは…」と怖気付く必要はありません。高貴なソフトシンセではありながら敷居はとても低いだれでもウェルカムなソフトシンセです。
それでも、やはり誰かが作ったフォーマットのジャンルで踊るのではなく自分の作った音楽に体が動き出すのが何よりも幸せな時間です。それをPigmentsはアシストしてくれます。
音色にある侘び寂びの心
私も今まで何百というソフトシンセを触ってきて思いましたが、Pigmentsのスゴイところは「品のよい濁りがある」があることです。一言で言えばお抹茶のようなものかもしれません。音という抹茶に侘び寂びを詰め込み侘び寂びの心を教えてくれます。
だからなのか、。
実に上品でマットな雰囲気であり、音全体には品格に溢れ、常に潤いがあります。
その高級感を感じるとれるかどうかは振れてきた音楽と音源の数によるかもしれませんが、もしこれがMy Fast softSynthならばこれからの審美眼が鍛えられる一本であることは間違いないです。
Pigmentsは偏差値70の秀才です。
天才は思いつきで行動するのに対して秀才は再現を重視します。つまり同じ結果を作り上げるには天才より秀才の方が上というわけです。Pigmentsは天才なソフトシンセではなく、どこをいじったのかを理解するのに長けている秀才的なソフトシンセです。そして数回の音作りでその概要を覚えてしまえるほどのシンプルな設計です。
「自分は凡人だから使いこなせない」と思うかもしれませんが、大丈夫です。凡人のあなたの中にいる秀才にアクセスし「音作りってこんなに簡単なんだ俺ってこんなに頭良かったんだ!」と思わせてくれます、
Pigmentsの弱点
秀才にも弱点はあります。
オシレーターに「S」ソロ「M」ミュートをつけてほしかった。
PigmentsはDual ENGINE方式です。一つのエンジンにOSCを3つ内蔵しているので合計6OSCを管理できます。しかし、それらを独立して確認しようとすると、他のボリュームを下げることでしかそのOSCを確認できません。こういうときにDAWトラックのソロとミュートボタンがあれば便利だと思うのですが残念です。アップグレードでつくことを期待しています。
Pigmentsは今が安い!
いつまでセールをするかはわかりませんが、販売価格¥22,500が現在50%オフになっています。我らがPLUGIN BOUTIQUEでは10,828円になっています。
スーパーセール情報
¥20,350 ¥16,370 (80%)引きで& 配送料無料です。
これは買った方がいいですね!
終了しました。買えた人はラッキーでしたね。スーパーセールは終わりましたが、それでも半額にはなっているのでまだまだお買い得です。
Pigmentsは買わないと損?
すべてのソフトシンセに言えるのは買わないと損とか得というものはありません。道具は必要であれば買うのが正解です。ただその必要の度合が購入を難しくしてしまっていると思います。「今すぐ買いたいけどお金ない。でもきっとこれがあれば少しでも良い曲がかけると思う」
私もこうやって買ったはいいけどホコリが被ったソフトシンセは山程ありました。お金は大事です。上手に使わないと本当に必要なときに必要なものが買えなくなります。
だから悩みへのアドバイスはこうです。「死ぬ気で一ヶ月使い込むのならば買ったほうが良い」どんな音源でも一ヶ月間寝る暇惜しんで触り続ければそのソフトシンセのポテンシャルを感じ取ることはでき作曲に活かすことができます。
なので購入に迷ったら「このソフトシンセを一ヶ月間触り続ける覚悟あるか」くらいの気持ちを確認すると良いです。
まとめ
「Pigmentsはいいぞ」これは間違いないです。すべてにおいて品格に溢れています。その品位あふれる音色はあなの心を踊らせます。そしてその高揚感あふれる状態で作った曲は聞き手の心を踊らせることでしょう。Arturiaのソフトシンセはいつも根底に「音作り」があります。それはアナログシンセのエミュレーションで築き上げた一つのポリシーかもしれません。そのポリシーか生まれた初のオリジナルソフトシンセPigmentsはあなたの音作りの意識をの次元を高めてくれるそんなシンセになってくれます。
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