MIXにおいて歪みは毒にも薬にもなります。上手く使えば太さや抜けを強調できます。「そのわずかな歪み」が曲の良さを伝える最高の手段になるのはMIXエンジニアの共通認識とさえいえます。しかし、一歩間違えれば「何をやっているかわからない」「音が強烈に痩せてしまった」など歪のコントロールの代償を払ったことがある人はおおいはずです。
しかし音楽とは創作です。間違った歪みであろうが「上手く使えばそれも個性!」と言えるのが面白いところ。だったらその歪みからクリエイティブな作り方だってできることを教えてくれるのがBerzerk Distortionです。
開発したWAVESも
新しいビートを作るとき、シンセのメロディーで遊んでいるとき、その場で曲のアイディアをまとめなければならないとき。制作を前に進める「インスピレーション」が欲しくなることがあるでしょう。WAVES Berzerk Distortionはそんな思いを叶えるツールとして開発しました。
歪のクリエイティブな部分に目を向けています。
しかし、私はこのプラグインは一発で簡単に音の太さをコントロールできる便利なプラグインとして使っています。コンプやEQやトランジェントプラグインをあれこれ駆使して音を太くするよりはるかに簡単です。
今日はBerzerk Distortionを使えばどれだけ簡単に音を太くすることができるかお話します。
アンプ、真空管機器、ストンプボックスやビンテージのアナログ機器の再現

基本的で簡単な使い方はCHARACTERで音の歪みのタイプを決め、INPUTとDRIVEで歪みの量をコントロールします。DENSITYでは歪にランダム成分の量をコントロールします。ここの設定は歪の種類によってはあまり心地よくないサウンドになることがあるので歪みとのバランスを意識するとよいです。個人的にはCHARACTERの中にある「FUZZED」タイプとの相性がよいです。
BERZERK「GO」でランダムに設定を変えられる
同じ歪成分にもう少しバリエーションがほしい場合に使います。これはインプットの量やドライブの量が変わるのではなく、あくまでシェイプする量が変わるだけです。



DYNとEQがかなり使える音質
歪の量をコントロールするだけでも意図する音が作れますが、DYNとEQの効きがとても音楽的です。
Qの幅はかなり細く同社のQ10を思い出させてくれます。

ダイナミクスは、歪み処理のためにドライブセクションに供給される信号の動的特性を制御するもので、わかりやすくいえば歪みをコンプするというものになります。なので出力にコンプがかかるという話ではありません。
音色全体の温かみをコントロールできる“TEMPERATURE
歪の低音成分と高音成分の増減をするパラメーターです。左に回しきるとフラットに近い状態右に回しきるとウォームな状態で60Hzあたりが15dB近く持ち上がります。しかしこれもあくまで歪みの量なので、音質的な変化は非常にウォームで暖かい「太い音」に感じられます。




音源サンプル
先日のブログで使ったIRONのギターフレーズにBerzerk Distortionを使ってみました。
メタルギタリストがあなたの曲作りをお手伝い!UJAM「IRON」の魅力
これが元になったフレーズです。
そしてこちらがBerzerk Distortionをかけた状態です。
かなり低音が持ち上がり、音に厚みが増しているのがわかります。
FUZZベースで作り込めばかなりパーティピープル的な歪もできます。
ドラムに使って面白いのはDYNの設定(UP/DOWN)でゲート的に使えるのがユニークです。

LogicProXの仕様なのかわかりませんが、バイパス設定が少し速いのか3小節ジャストにすると少し速くバイパスが動いてしまうので、バイパス設定は3小節より16分音符程度遅くしています。

誰のためのプラグイン?
WAVESとしてはおそらく単なる歪みプラグインとして売り出すにはもうパンチが弱いと感じたのもあって、クリエイティブな使い方ができるよ!という商品にしたかったのだと思いますが、普通に良い歪みプラグインだと思います。エンジニア的なアプローチもいいですし、歪による太さを求める人にも使い勝手がよく簡単でオススメです。
ただizotopeのTRASH2であらゆる歪みをコントロールしようと考えている人にとっては物足りないプラグインです。
究極の歪みサウンドを無限にカスタマイズできるTRASH2の4つの魅力
- ざっくりと音を太くしたい
- ストンプ的に歪みの種類を増やしたい
- TRASH2ほど作り込まいけど自分で歪みをコントロールしたい
こういう人にはオススメです。
まとめ
実は私は去年のBFでBerzerk DistortionをDLしそこねた人なんです。でもサウンド&レコーディングマガジン「We Want WAVES」連動企画 Waves Berzerk Distortionプレゼントキャンペーンがあったので応募したらあたってしまい、ブログのネタにしたという話です。
簡単な操作で音を太くできる。去年のBFでもらったけど使っていないという人はこの記事を機会にもう一度触り込んでみてはいかがでしょうか?
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