圧倒的な存在感と生の質感に拘ったドラム音源fxpansion BFD3の音作りは難しいと感じる人は多いです。
実際触ってみるとパラメーターの多さに「何をどういじればいいのかわからない」となってしまうかもしれません。
そこで、この記事ではBFD3を触った人でも音作りに迷わないために端的にポイントを4つに絞って説明しています。
BFD 3を買ったけどもう少し基本的なところから覚えたいという人はこちらの記事から読みすすめるのをオススメします。
音量調整で作るキックとスネアの音作り
BFD 3での音作りの基本は音量調整です。キックとスネアには3本のマイクで収録した音をミックスして1つのキックやスネアにしています。
キックの音作り
キックの場合は「In」「Out」「sub」というマイクがあります。
Inとはビーターを呼ばれる足で踏み込むことでキック(バスドラム)を鳴らすための装置です。
キックを録音するときは、全面の穴が空いているところからマイクを入れてこのビーターの音を取れるようにすることで「バチッ」とアタックの強い音になります。音の粒立ちを担う重要な音です。
これを調整するのが「In」になります。一方「Out」はキックの中にマイクを入れないでキック全体を録音するものです。
キック全体を録音するとふくよかななキックになります。
「Sub」はより低域に特化したマイクで録音したものです。Outよりさらにローエンドが含まれているのでかなりの低音量になります。
このことから「ロック系でバチッとアタックの強い音」を作りたいときは、Inを基準にしてOutとSubを混ぜる。
ポップスやバラードのようなアタックがそれほど必要ないものはOutを基準に考えることで適したキックの音色が作れるようになります。
スネアの音作り
スネアはスティックで叩く打面がTopになり、「カコン!」と硬い音担当するSide、「ジャリジャリ」とスネアの高域を強調するスナッピーによるサウンドでボトムで作られています。
イコライザーなどで「8kHzをブーストして…」といった文章はbottomであるスナッピー部分のボリュームを上げているとある意味で同義語です。
それならイコライザーで上げればいいので?
このように思う人もいるかもしれませんが、イコライザーだとスナッピー以外の部分も持ち上がる場合があります。(アタック成分とか)そうすると意図したサウンドにならない可能性が高いです。(高域がうるさいだけのスネアってことです)
そうならないためにも音量調整による音作りがもっとも適しているといえます。
BFD 3のスネアとキックにはこのように音色をエフェクトで過度に変える必要がない音作りができるようになっているのがポイントです。
TechとModelの使い方
BFD 3の基本的かつ重要な音作りとしてTechとModelがあります。ここでは音量、音程、各パーツに被るTechから見ていきます。
ブログでの説明上横に配置していますが、本来は縦に並んでいます
フェーダーボリュームとは別のボリュームとしてTrimがありさらに細かく音量調整できます。その下にあるTuningで音程である(ピッチ)を変更できます。
Bleedは他の音に音を混ぜるかを調整できます。本来ドラムはパーツの数だけマイクがありそこにはあらゆる音が入り込みます。例えばキックにスネアにの入っていたりする感じです。究極的にいえばOHのマイクはドラムすべての音が入っているわけです。
現実的に各マイクの音のかぶりを完全に調整することは不可能です。
それらを細かく調整するのがBleedです。音が混ざらないようにすると昔のドラムマシン音源のような雰囲気になります。これもまた一つの個性ではありますが、ある程度混ぜることで「マイクを使ってドラムを収録した生々しさ」が出てくるようになります。
BFD 3の最大の特徴でもあるアンビエントはよりドラムの空気感を生々しいものにしてくれます。
先程のBleedはパーツに張り込む量を調整できましたが、AmbienceMicではアンビエンスのマイクに入り込む量を調整できます。これも現実的には不可能なことですが、ソフトならではといえます。
音像が大きい(迫力のある)ドラムサウンドを目指すならばRoom音量を上げるのがおすすめです。しかし、上げすぎるとセンターの音が弱く感じるかもしれません。その場合、compと書かれたマイクのフェーダーを調整することで芯がありながらも音像の大きいドラムサウンドにできます。
Modelの使い方について
Modelを選択することで音の長さ(デュレーション)を調整できます。ここではDampingと呼ばれています。
音の余韻はGrooveに大きな影響を与えます。(タイトな曲にしたいのに音が伸びているとタイトにならない)
こういう場合余韻を調整するのが望ましいです。
使い方はAmountを右に回すことで余韻がなくなっていきます。まずはAmountによる余韻の長さを実感してから他のパラメーターを調整するのが音作りに迷わないコツです。
BFD 3内部エフェクトの種類と使い方
さて、さきほど「エフェクトに過度で変える必要がない音色」と説明しましたが、それでもエフェクトによる音作りにはそれなりのメリットがあります。
BFD 3には以下のエフェクトが用意されています。
Dynamics7種類
- Gain
- Comp Chan
- Comp Bus
- Comp VCA
- DCAM EnvShaper
- Distortion
- Limiter
- NoiseGate
Filter7種類
- EQ
- EQ8
- MS Eq
- Hilo Balance
- Filter
- Filter Mod
- Comb
Spatial9種類
- Delay
- Delay Drive
- Delay MultiTap
- TinCanVerb
- FXverb
- Breverb Hall
- Breverb Plate
- Breverb Room
- Breverb Inverse
Effect6種類
- Flanger
- Phaser
- Chorus
- BitCrusher
- RingMod
- FreqShift
Utility9種類
- LR 2 MS
- MS 2 LR
- FET
- TestTone
- TestPulse
- Oscilliscope
- Phase Scope
- EnvShaper
- Drive
BFD Drumのエフェクトは昔から定評がありBFD2の時代にはPSPのVintageWarmerが搭載されていたこともあります(今ではなくなってしまいましたが)
またBFD 3ではリバーブにハイクオリティなコンププラグインなどで有名なOverloud社のBreverbを搭載されています。このようにBFD 3はエフェクトに強いこだわりを持っているのがわかります。
エフェクトはGUI自体は地味ですが音のクオリティは単体で販売してもおかしくないレベルのエフェクトです。
エフェクトの選び方はフェーダーウィンドウのメニューの中にあるEffectを選択し、任意のパートタブから選択するだけです。DAWと同じように1つのパートに最大で6つのエフェクトを使うことが可能です。
さて、ここでこんな疑問をもったかもしれません。
BFD 3のエフェクトを使うよりDAWの方でエフェクトをつかった方がよいのでは?
この場合は2つの考え方ができます。一つはDAW上で任意のエフェクトプラグインを使って音作りをする。そしてもう一つが「BFD 3上で最初からそのような音色だった」という前提でBFD3のエフェクトを使うかです。
これはどちらが良いという話ではなく目的が明確であればどちらでもOKです。ただBFD 3の中にはスネアのリムの音がうるさすぎるものもあります。
そういう場合はBFD3内でうるさいリムを取り除いた音を作ってからDAWに出力した方が意図とした音になることが多いです。
レイヤーサウンドによる音作り
タイプの違うキックを重ねる(レイヤー)することでの音作りもBFD 3の魅力の一つです。やり方は簡単です。
キックのアイコンで右クリック、メニューの一番上のdrumを選択、そこから「add another kick slot」を選択し任意のキックを読み込ませます。しかしこの状態では単にもう一つのキックが読み込まれただけなので、これをリンクさせることで、Midiキーボードなどで同じ鍵盤をトリガーしても2つの音色が同時になるようになります。
レイヤーのメリットはアタックの強いキックとそうでないキックをレイヤーすることでバランスの取れたサウンドを作れることにあります。これはスネアやタムなどにも同じことが言えます。
しかし、デメリットとして音が複雑になることで予期せぬピークが発生する(アタック強すぎるなど)場合があります。レイヤーは高度なテクニックなので最初の間は無理して使う必要はないでしょう。
コンプやイコライザーで音作りを覚えたうでで「どうしても実音的な響きが欲しい」場合に使用すること効果的です。
レイヤーは最大で5つまで重ねることができます。キックやスネアの場合は独立した3つのアウトを持っているわけなので、5つのレイヤーを駆使した場合、最大で15の個別アウトをもつ音色になります(現実的じゃないですけどね)
拡張音源の購入
BFD 3の音源内だけを使うだけでも十分すぎるクオリティのドラムサウンドを作ることができますが、拡張音源を購入することでさらに音作りの幅が広がります。
最近はBFD3の拡張音源は頻繁に半額セールをやっているので狙い目かもしれません。
まとめ
BFD 3の基礎的な音作りのコツは以下の3つになります。
- 音量調整
- 音のかぶりとピッチそして長さのコントロール
- エフェクトによる音質調整
そのうえで拡張音源による音色の保管をするという意識でBFD3を触るのが効率的で迷わない音作りのコツです。
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