DTM初心者が速く曲を作るために必要なのは準備です。準備にも色々ありますが今回紹介するのはテンプレートの作り方(使い方)です。テンプレートを作らずに作曲を始めるということは標高5000mの登山に何の準備もせずに挑戦するようなものです。確実に遭難です。そうならないための方法をわかりやすく書いているので参考にしてください。
テンプレートとは?
DAWに予め音源が立ち上がった状態ですぐに曲作りに専念できるためのファイルのことです。テンプレートは自分の好みによっていくつでも設定できるので、ジャンル別に分けて作っている人も多いです。
DAWを立ち上げたときに何もない真っ白な状態から作曲しようと思うと、いろいろな音源を読み込ませるところからスタートしなければいけません。テンプレートに関しては「毎回同じ音源を使うことでクリエイティブではない」という理由からプロの中ではあえてテンプレートを立ち上げない人もいますが、DTM初心者は「1曲でも多くの曲を作る。作曲の速度を上げる」といった目的があるわけですから、そのためのテンプレートは作っておいても損はないと思います。
ハリウッドなどのトレイラー系の音楽では300〜500くらいは当たり前で、多いものになると1000トラックを超えるものもあります。こうなるとテンプレートなしでゼロから1000トラックを立ち上げようと思うとどれだけの時間がかかるか想像もできません。
メリット
- 自分の好みの音色がスタンバイされている
- 音源やエフェクトプラグイン立ち上げ(選択)の時間を短縮できる
何もない状態から音源を立ち上げ音色を選んでいくのも作曲のプロセスですが、最近の音源は何千というプリセットあるものも多いわけですから、そんな中から毎回音色を選んでいる時間も体力も初心者にはありません。だから「よし作ろう!」と思った瞬間に音源が立ち上がっているというのはモチベーションの維持にも役立ちます。
デメリット
- 音源の立ち上げに時間がかかる可能性がある
- 決まった音色を使う可能性が高くなることで創作性がなくなる
大量の音源を立ち上げるわけですから、テンプレートファイルを開くのに少し時間がかかるようにんらいます。それでもゼロから音色を選ぶより速いです。上記でも軽くふれましたが、テンプレートを作ることで音色を選ぶという作曲プロセスを省略することになります。それゆえに同じ音色ばかりで飽きてしまう可能性もあります。
余談 作曲に行き詰まる原因の1つもテンプレ制作不足
よく「作曲に行き詰まっています」という話を聞きますが、実はこれもテンプレートなど何も立ち上げずにゼロから作ったために集中力が途切れてしまうのが原因の1つです。できる人は準備に時間をかけます。
それは曲を作るときの「解析、分析」と同じです。自分の中に作るべき音楽を落とし込む、そうやって初めて作るべき対象の本質が見えてくるわけですね。テンプレートも良い曲を作るための準備です。準備を怠らないければ不必要な行き詰まりに悩まされることは軽減されます。
テンプレート作るコツ
音源構成
歌ものに限らず次の4つ音源とそれぞれに必要なエフェクトプラグインをさしておきます。
- シンセリード(メロ用)
- 和音(コード用)
- ベース
- ドラム
- エフェクトプラグイン(コンプ、EQ)BUS(リバーブ)
どれくらいの数のトラックをつくれば良い?
作曲に慣れていない間は、できる限り少ないトラックのテンプレートを作った方がよいでしょう。なぜならできることが多すぎるとそれだけで「どうしていいかわからない」という状態になってしまいます。初心者の場合はそれだけで疲れて作曲どころではなくなります。
SNSでは月に何十という曲を書いている人だって最初は「何を選んだらいい」「どうしたらいい」という選択とパニックを繰り返していたんですよ。だからできるだけ悩まない環境作りは初心者にとってそれだけストレスフリーな環境になります。その結果、作曲ができるようになるまでの時間が圧倒的に速くなります。
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上記の8トラックでしっかり聞ける音楽できるようになるためには「楽曲に必要最低限のことを見極める」能力を鍛えられるのでオススメです。
途中で変えたくなった場合に備えていっぱい立ち上げる人もいますが、やめておいた方がいいです。大量の作曲スキルを身に着けたプロでも道具選び(音源選び)には迷います。作曲になれていないDTMerだったら迷うどころか確実にDTM作曲の山で遭難コースです。
LogicProXテンプレートの作り方/使い方
好みの音源を立ち上げたものをファイルメニューから「テンプレートとして保存」を選びます。
次回立ち上げ時からマイテンプレートの中に保存したテンプレートファイルが出てくるのでそれを選んで立ち上げればOKです。
次からはテンプレートを作るのにどんな音色を選べがよいのかについてお話します。
好きな楽曲を聞いて音源をチェックする
好きな音楽がどんな音色で作られているかを考え書き出していきます。「それすらもよくわからない」という場合はドラムからチェックしましょう。
ドラムキットは通常キック、スネア、ハイハット、タムタム、シンバル、等で構成されています。生バンドの多くは生ドラムを使っているのでDAWの音源のドラムトラックから好みのものをチョイスします。
次にベースですが、これも生バンド系の場合はエレキベースが多いです。(中には打ち込みベースのサウンドもありますが)このときにベースがピックなのかフィンガーなのかスラップ系なのかを聞いて確認しておきましょう。多くの場合はピックかフィンガーです。最初から最後までスラップという曲はジャンルが限られてくるので、そのようなジャンルを作りたい場合は別途それ専用のテンプレートを作った方がいいかもしれません。
とにかく音色選び難民になるのだけはさけましょう。
ギターはリード系とコード系の2種類で構成されていることが多いので、2トラック用意します。その場合歪み系のエフェクトを最初からさしておくかどうかは迷うところかもしれませんが、「作り上げるためのテンプレート」が目的なので、好みの歪み(アンプシミュ)はかけておく方がよいでしょう。
キーボード系(シンセを含む)場合はそれらのトラックを任意で足します。ただ、ギターでコード、ピアノでコードとなると抜けが悪い原因にもなるので、コード楽器を2つ使う時は同じボイシングにしないように注意したいところです。
まとめると
バンド系の場合はこのようなテンプレートになると思います。
- ギター(ステレオで作りならX2)
- 生ベース、
- ドラム、(オーソドックスなドラムキット)
- ピアノorストリングス系
- シンセ数トラック、
EDM系やダンス系の場合
- ドラム(キック、スネア、ハイハット)
- ベース
- シンセ数トラック
EDM系はキックが命と言われるくらいキックの音色が作り込まれるケースがありますが、初心者が作曲するのに大切なのは音源選択迷子にならないためですから、最初の間は好きなEDM系のドラムキットををここでは読み込ませる方がよいです。
ベースはシンセベースからワブル的なものまで色々とあると思いますが、まずは好みのシンセベース1トラックでOKです。
シンセに関してはバンドと同じく「コードを弾く音色」と「リード(メロディ的なフレーズ)を取る音色」この2つは必要不可欠です。
テンプレート作りのために必要なこと
音源の中の大量の音色を一通り確認することが大切です。1音色に付き1秒出会っても1000個確認すると16分近くかかります。もちろん1秒でどんな音を覚えるのは難しいと思うので、10秒くらいかけるとすると160分およそ3時間弱になります。
しかし、自分がどんな音色を持っているのかがわからないと音色選択難民になってしまうので多少時間をかけても音色チェックをするようにはしましょう。チェックマークがない場合はDAWにノート機能がある場合はそこに書き込むのもありです。
音源の中には★マークをつけてお気に入り登録ができるので自分だけのプリセットを作り上げる感覚で使うとよいですよ。
まとめ
テンプレートを作る目的は理解できましたか?慣れてきたらテンプレートを使わなくてもいいとは思いますが、やはり使わないより使った方が作曲の面では効率がよくなります。ジャンル別に立ち上げいつでもDAWを立ち上げれば作曲できる環境を作っておくことが「速く曲を作れるようになるコツ」といえます。