EQ(eq)(イコライザー)プラグインの数ってなんでこんなに多いのだろう?って思ったことありませんか?
EQの選び方や使い方で迷っている人は大勢います。この記事で6種類のEQをドラムのキックに使うことでどのような音色変化があるのかをまとめています。
EQが持つ特性をしっかりと理解すれば「おすすめEQだから使う」なんて曖昧な使い方をせずにより自分の音楽の魅力を最大限に引き出すEQが使えるようになります。
使い分けのポイント
EQを使うときのポイントは「倍音が付加されるかどうか」という点でみます。わかりやすく言うと「倍音=歪み」です。つまりキックに対して「どれくらいの倍音を足したいのか?」という目的から逆算してEQを使うのがポイントです。倍音は多すぎると原音を損なう音質変化になります。
なのであくまで「少し倍音が増えたかな?」という程度で抑えるとよいでしょう。
でも「倍音が少し増えたなんてわからないよ」という人もいると思います。そこで毎度同じみのスペクトラムアナライザーの出番です。
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アナライザーを使うことで音色を周波数で表示してくれます。これを使えばドラムの音程を表示させることもできるので「スネアやタムのピッチがわからない」という人の問題も解決できます。
今回は周波数で表示されたキックにEQをたすことでどれだけ倍音が増えていくのかを目で見てオーディオデータを聴いて確認していきます。
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通すだけで音がよくなるイコライザーとは?
プラグインの中には通すだけで音がよくなると言われているプラグインがあります。これは実機のマイクプリアンプなどでおこりうる変化をプラグイン上でエミュレーションしているわけですが、これの理由も上記で説明した「倍音の付加」です。
よくwavesのSSLは通すだけで音がよくなるなんて言われています。(実際は倍音付加はありません)もし入力された音の変化だけを楽しみたいのであればサチュレーターを使う方が目的に叶う結果が得られます。
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確認条件
比較プラグインは以下の6つです。
- waves API550A
- waves VEQ3/VEQ4
- waves Kramer HLS
- waves Scheps73
- waves PUIG TEC
- SSL SSL Native V6
60hzのSIN波とドラムのループによって行います。周波数的にはすべて50hzか60hzの周波数をブーストさせて音のサイン波がどう変化するかを確認します。
画像はサイン波です。
次にドラムループを流し込んで低域の膨れ方を確認します。何もかけていない状態ですとこういう状態になります。

DrumLoop
waves API550A
50hzを12dbまで上げることができます。基本的に純粋にブーストさせたように感じます。アウトプットを前回にしても純粋にゲインが上がるだけです。ANALOGスイッチをいれることで倍音が発生します。

550Bともありますが、違いは3バンドが4バンドになったのと調整できる周波数が下は30hz上は20khzまで拡張していますが、今回のテストにおいては音質差はありませんでしたので割愛します。
waves VEQ3/VEQ4

APIとの違いは35hzから調整出来る点とブーストの量がAPIは12dbに対してVEQ3は18dbとこちらの方が6db多くブーストできます。VEQ3は60hzをブーストさせただけでかなり音が変化しますが、これOUTPUTを18dbブーストさせても同じ音の変化がします。このあたりがどういう仕様なのか一枚いち掴みきれません。
VEQ4は単にバンドが増えただけではなくブースト時の音の変化が違います。VEQ4の方がよりアグレッシブに変化します。

waves Kramer HLS

非常に頭わるい子になりますwかなり強烈に音が歪みます。
そしてINPUTとOUTPUTをマックスにすると

完全に不良です。親も見放しますwですがかなり面白い音の変化なので上手く調節してやればアグレッシブな音になると思います。
waves Scheps73

往年の名機1073のエミュレーションですが、音の変化は少ないです。INPUT OUTPUTをお互いマックスにしてもさほど音には影響せずPREAMPを入れると多少倍音の変化が見られる程度です。
やはりこのプラグインはDRIVEがすべてといえます。ドライブを通した瞬間がこちら

完全に社会不適合wこのプラグインはいかにINPUTとDriveで音を作り込めるかでポテンシャルを発揮できるみたいな気がします。

このような設定くらいでも十分driveの威力がわかります。
waves PUIG TEC

EQP-1Aのエミュレーターブーストすることで若干倍音に変化があります。
SSL SSL Native V6

すごいです。超絶に優秀です。インプットとアウトプットをマックスまであげてもまったくと音が変化しません。
しかしだからといってデジタル臭いという話でもなく非常に使いやすい音を作りやすいEQといえます。
さいごに
EQの違いで倍音はここまでかわります。プロのエンジニアはこのように用途にあったEQを使って音作りをするケースがあります。しかし基本的には音の変化が少ないEQの方が使い勝手としてはよいわけです。
なぜなら下手に音が変化するのは意図した音作りを壊してしまう可能性があるからです。
私がなぜ「おすすめEQを使わなくてすむ」という言い方を冒頭にしたのかは、おすすめEQの音の変化(意図せぬ倍音の負荷)があなたの作曲の意図を壊す可能性があるからです。
「そんな些細な変化初心者にはわからないからおすすめを使うんだよ」という人はDAW付属のEQを使いこなすだけでも十分にイコライザーとしての役目は果たします。
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