クオリティの高いソフト音源は沢山出ています。しかし、最近はハードシンセも負けていません。そんなハードシンセから最近とんでもないシンセが生まれていました。それがJUPITER-Xmです。JUPITER-Xmは一言で言うとデジタルモデリングシンセの完成系です。音色エンジンの数や、アルペジェーターなどたくさん素晴らしい点はありますが、
JUPITER-Xmの特筆すべき点は音色変化の滑らかさです。
これは今までのモデリングシンセにはないレベルです。ただの音色やオシレーターやエフェクターを詰め込むだけ詰め込んだ。幕内弁当的シンセではありません。Rolandの本気のシンセです。なので本気の音作り、本気のサウンドをもって最高の曲を作りたいと思う人以外は下手に手を出さない方が良いかもしれません。
今日は楽器屋で触って感動した私の個人の見解でプチレビューをしてみたいと思います。
JUPITER-Xmは強烈な音源モジュール
モデリングエンジンは
- JP、
- JUNO、
- JX、
- SH (JUPITER-8、JUNO-106、JX8、SH-101)
PCMエンジンは
- XV-5080ステージ・ピアノ RD
合計6機のサウンドエンジンを内蔵しています。アナログ・モデリングでは最大32音、デジタルでは最大256音の同時発音数繊細な音から肉厚的な音までオールマイティにこなせるサウンドです。PCMも含めて全ての音色エンジンに言えるのは音がめちゃくちゃクリアということ。抜けがよく、音の粒がとても綺麗です。この辺りのトランジェントの質感は最新技術によるところも大きいと思います。
とくにアナログモデリング系のウォームなパッドなどは音が密集してしていると音が歪むことが多いのですが、JUPITER-Xmはすべてのボイスが独立しているかの如く、透き通ったウォームなパッドになります。これはエンジンもさることながら、DAコンバータの質が良いものを使ってるのではないかと思っています。
音の変化が通常のシンセの10倍滑らか
私が一番声を大きくして言いたいのはこれですw通常フィルターは128段回の解像度です。そのためにフィルターの開閉によるサウンドの変化はどこかぎこちなく感じます。いくらオシレーターのモデリングがクオリティが良くても音色変化の要でさるフィルターと時間変化をコントロールするエンベロープがいまいちだと「やっぱりデジタルだなー」という印象になってしまいます。
それがJUPITER-Xm はその解像度が1024です。言うなれば音の変化がハイレゾレベルです。音のハイレゾは聴いても分からないかもしれませんが、音の変化は素人であろうが誰でも聞き分けられます。フィルターやエンペロープのノブを回すと音が指に吸い付いてくる感じです。
音の変化にタイムラグがないといえばイメージがわくでしょうか?レイテンシーが0.01くらいのソフトシンセを触っている感じです。これはギターやベースなどの弦楽器でわずかにポジションを移動した時の音色変化にも似ているかもしれません。これがJUPITER-Xmは楽器と思えた理由です。
フィルターの種類は3種類
- RはRoland独自のフィルター
- Mはmoogのラダーフィルダー
- Sはプロフェット系のフィルター
フィルターの切り替えの質感については好き嫌いが分かれるところでもありますが、3つに分けたことで音色作りの楽しさは3倍になります。個人的にはラダーフィルダーの質感はかなりツボでした。レゾナンスも耳をつんざくレベルでご機嫌なフィルターサウンドを楽します!
また、コンボジャックのオーディオ入力があって外部信号のフィルタリング等が使用できるという話ですので外部音源にも高解像度のフィルターでサウンドの変化を楽しめるということです、こういう外部入力をフィルターに通すってよほど自信がないとつけない機能です。だってわざわざそんな機能つけなくても内蔵サウンドだけでもフィルターサウンドを楽しめるわけですから、それを「外部入力使ってフィルターサウンド楽しんでよ!」ってところが、製作者のこだわりの強さに感じます。
JUPITER-Xmはミニーキーボードであってミニキーボードではない。
鍵盤こそ小さいですが、しかしその鍵盤もプレイを意識した鍵盤に仕上げられています。黒鍵のマットな質感はミニキーボードでは味わえない高級感があります。実際通常のミニキーボードよりはストロークが長い独自のミニ鍵盤ということです。抑え込みが少ないのは仕方ないですが、ミニ鍵盤でこれなら十分「弾いている」という気持ちになれます。
一緒に試奏したプロのピアニストでさえ、弾くに耐える鍵盤と太鼓判を押してました。弾いていて気持ちが良いのは鍵盤の構造的な部分もあるとは思いますが、音との最適化されているように思いました。このあたりも「楽器」としてのイメージが強く残りました。
とにかく鍵盤を押した瞬間の出音にはたまらない気持ちよさがあります。
ちょっと残念な点
残念ながらキープレッシャーがついてないため押し込み具合で音変化させることができません。これができたら120%の楽器だと思えました。
ボコーダーも完備
ミニキーボードの一つの流行ですがボコーダーも当然完備しています。しかし、音質は2つとJD xiのようなボイスチェンジャー機能はないみたいです。
出力端子が本気
標準的なミニキーボードのアウトプット端子はフォン端子ですがJUPITER-Xmはキャンノン端子です。ノイズにも強い端子を採用してるところがサウンド面への強いこだわりを感じます。
追加記事2019/11/27
すいませんフォン端子もあったうえでのキャノン端子です。用途に合った使い方ができます。
ダンパーペダルをつけられる!
JD xiはホールドボタンでサスティンを得るものでしたがJUPITER-Xmはきちんとダンパーペダルをつけられます。やはりサスティンペダルは必要ですね。
ユニゾンモードもあるが…
super sawを作るほどのデチューンはありません調べたとこと波形は3つ分と言われていますsuper saw的なサウンドを作れるかどうかは確認はできませんでしたが、2OSC仕様なのでそれっぽい音が出るのかな?と思ったりもしましたが、もはやJUPITER-Xmの魅力を語るのに「SuperSawが出る出ない」は必要ないように思います。
隠し機能のオシレーター劣化モード!
往年の名機はその時代と共に経年劣化による音質変化を余儀なくされます。そのために完全新品のアナログシンセの音を知らない人からすれば、クリアすぎる音は往年のそれとは認識しづらいです。そこで役立つのがオシレーター劣化機能です。良くも悪くも埃臭い音にしてくれるこの機能はあまり注目されませ
お値段は?
165,000円です。
ミニキーボードと考えるとちょっと高いかもしれませんが、6つのエンジンに楽器ともいえるサウンドエディットを可能とするフィルターやエンペロープは今までになかったシンセサイザーです。私はこの楽器とも呼べるJUPITER-Xmの値段は決して高いものとは思えませんでした。シンセ歴20年以上のワタシでも久々にほしいと真剣に思いました。
まとめ
シンセサイザーの新しい可能性に追求したJUPITER-Xmは本当に素晴らしいです。触った瞬間に次の音を触りたくなる音の変化を楽しみたくなるこれは本当に楽器です。そしてミニキーボードシンセと一緒にしてはいけません。それは大きな間違いです。まったくポジションが違います。ただ鍵盤が小さいだけで中身はやわなシンセは足元にも及びません
この話が本当かどうかは楽器屋さんで触って確認してほしいです。おそらく多くの楽器屋さんで触ること出来ると思います。何度も声を大きくして言いたいのはデモ音源をだけを聴いてこのシンセの良し悪しを決めるのはナンセンスです。触って感じてその機能を体感して初めて、このシンセの奥深さの一端を知ることができます。
最近の若い子は、これをマイファーストシンセに出来るのであれば我々の世代からすると幸せだと思います。
音楽が飽和し始めている今だからこそ楽器といえるJUPITER-Xmの存在は大きく新しい音楽がうまれるきっかけになる予感がします。最後に氏家さんのレビュー動画で物欲を刺激されてください。
氏家さんと言えば11/30日に大阪マークスミュージックでJUPITER-Xmではありませんが、MONTAGE シンセサイザー・セミナーを開催するとのことです。「どうも氏家です!」を生で見られるチャンスです。まだ残席があるそうなので、行ける方はぜひ言ってみることをおすすめします。詳しくは
マークスミュージックまで問い合わせてみてください。