メロディがもっと良くなるオープン&クローズボイシングの使い方

「メロディに和音をつけるとなんか気持ちよくないけど、何が問題なのだろう?」と思ったことは誰でもあると思います。原因は色々と考えられますが、メロディとボイシングがあっていない可能性について今回はお話してみたいと思います。

巷では「ボイシング理論」なんて呼ばれてますが、そんな難しい事は使わずに、サンプルを聞きながら説明していくので、安心して読み薦めてください。

ボイシングとは何か?

メロディに和音をつける場合や和音にメロディをつける場合でもメロディと和音がどのような関係になっているかを理解していないとお互いがお互いを邪魔して音楽に説得力がなくなってしまいます。そのうえで大切なのはボイシングです。

ボイシングとはコードの構成音の積み重ね方です。例えばコードがCならCのコードの構成音ドミソですね。このドミソの構成音にはオープンボイシングとクローズボイシングの2つが存在します。しかし、どちらが良いというわけではなく「どちらが今自分が伝えたい曲に必要なのか?」という視点で考えます。

このボイシングにおいては適当に捉えている人が多いですが、適当に捉えながらもその違いを説明すると多くの人が「そうそうこう言うのをやりたかった!」と言えるくらいらいシンプルなものです。

なので「その構成音を響かせることによってどういう効果を得たいのか?」という目的を常に考えながら読みすすめることをオススメします。

オープンボイシングとは何か?

オープンボイシングとはコードの構成音が1オクターブ以上離れている状態のボイシングのことをオープンボイシングといいます。

オープンボイシングのメリット

サウンドの傾向は透明感がありながらも壮大な感じがします。とりあえずストリングスで広がりのある雰囲気を使いたい場合はオープンボイシングで考えてみるのは間違いではありません。

なぜ、広がりのある雰囲気を作れるのかというと音と音の感覚が広がることで構成音の間に隙間ができます。コードの構成音の1つ1つが1音の中には倍音と呼ばれるものがあって、その倍音同士が響き合うことで音に広がりを作ることができます。

もちろんバラードだからといってクローズボイシングをやってはいけない!ということではありませんが、メロディや響きをしっかりと聴いてもらうのがバラードの特徴の1つですから、楽器同士の響きをよくするためにオープンボイシングは多用されますし、1つの共言語としてバラードをよりバラードらしかう聴いてもらうための手法的な側面もあります。

ではロックやポップスでは使わないのか?というそうではありません。音色によってもクローズボイシングとオープンボイシングを使い分けることでより楽曲のもつメッセージ性が明確にできるので、バラード専門のためのボイシングという覚え方はしないようにしましょう、

オープンボイシングのデメリット

音の間隔を広くするわけですから、音の密度は弱くなります。それゆえコード感が弱くなるので、音の厚みを出したい場合や勢いをつけたい場合には向いていません。

クローズボイシングとは何か?

クローズボイシングとは構成音が1オクターブ以内に収まっているボイシングのことをクローズボイシングといいます。

クローズボイシングのメリット

先程のオープンボイシングとは違い音の間隔がないために音の密度が上がります。それゆえに音のパワー感はオープンボイシングと比べるまでもなく大きいです。ギターやシンセなどでコードそのまま動かすようなリフはクローズボイシングになっています。

クローズボイシングのデメリット

ただ音色によってはクローズボイシングをすることで音の密度が増えすぎてこもる原因になったりもするから注意が必要です。

倍音が少ない楽器はクローズボイシングにすると音の密度が増えます。例えばローズやWurlitzerなどのエレピは普通のピアノと比べると倍音が少ないです。そんとために音が混ざり合いにくくなります。それらをクローズボイシングにしてしまうことで必要以上に音の密度が上がってしまい、音のこもる原因になる可能性があります。

1つの例として、オーケストラと吹奏楽部の違いは弦楽器の有無です(吹奏楽のコントラバスは省きます)吹奏楽器は息によって発音するのでその時点で弦楽器と比べると音圧が高いことになります。弦楽器は弓で弦をこすることで発音するシステムなので、どうしても吹奏楽器より音量は小さくなります。

そしてもう一つ、吹奏楽はクラリネットでコード(和音)を奏でる事がありますが、クラリネットという楽器の性質上、ストリングスに比べると倍音が少ないため印象といてはサイン波に近くなります。(厳密な意味でのサイン波ではありません)しかし、倍音が少ないと音の混ざり具合がストリングスより弱いために和音が肉厚的になります。

楽器別オープンボイシングとクローズボイシングのサンプル

ではオープンボイシングとクローズボイシングの聴き比べをしてみたいと思います。まずはストリングスでクローズボイシングをした状態です。

何をもって良し悪しとするかは作曲の意図によるところですが、ストリングスで音をつなげていくときは基本それぞれの共通音を残して行くのがセオリーです。そのセオリーからみれば上記のコードボイシングは全く守られていません。

では、なぜ上記のボイシングはセオリーではないのか?と考えたときに、トップノートが動きすぎると、そこにはメロディの要素を強く感じてしまいます。おそらく聴いている人もそう感じた人は多いのではないでしょうか?

この記事では「メロディと和音の関係についてのお話です」メロディ的な動きをもつ和音ではメロディの邪魔をしてしまう可能性があります。なのでスムーズなボイシングの連結であればメロディの動きを邪魔しないためボイシングは最小限の動きで次の音につながるのが良いとされています。

それともう一つ、もしバイオリンだけでこのボイシングをするとバイオリンはG3という音域より下はでないからこのボイシングは成り立たちません

これDTMあるあるですが、DAWに付属しているようなマルチ音源だと楽器の最低音は関係なく発音できるものが多いです。実際Stringsという音色名だと、バイオリン、ビオラ、チェロ、を同時に鳴らした状態を示す音色だったりします、これゆえ、適当にボイシングをしてしまうDTMerがたくさんいます。

またこのストリングス音源が24人の奏者によるものだった場合

上記の画像で説明すると「ラに24人 ドに24人 ミに24人」という編成になってしまいます。なので正確なストリングス編成を意識しようと思うと、ノート毎にストリングス編成を分ける必要があります。

楽器の最高音、最低音を理解するだけでも響きはより本物らしくなります。しかし、この楽器の音域を意識せずに曲を書いて怒られたのが作曲家の菅野よう子さんです。マクロスプラスのサントラを作ったときに楽器がでない音域を使ってオーケストラの人に「こんな音域でねーよ」怒られたのは有名な話です。

というわけで、ここからはストリングスというざっくりとした音源を使うのではなくバイオリン4 バイオリン4 ビオラ1(合計9Strings)という構成にしています。

このことから、上記のボイシングの連結をどうすればよいのか?アレンジの意図(目的)によって変わってきます。それゆにえ絶対的な正解はありませんが、1つの方法論としてコード同士の共通音(同じ音)を動かさないようにすれば滑らかなにボイシングの連結が可能です。

これだけ鳴らしてしまうと退屈と思う人もいるでしょうが、大切なのはこれはメロディを引き立たせるためのボイシングでです。退屈なくらい綺麗に収まっているということはそれだけメロディを引き立たせることができます

さて、このクローズボイシングをオープンボイシングにしてみます。オープンボイシングの方法色々とあります。なので、今回はわかりやすい方法としてオーソドックスな3和音の真ん中の音を1オクターブあげてみる方法で説明します。

先程のクローズボイシングに比べるとエネルギーが分散することでよで音の広がりを感じるられると思います。

では次に先程の吹奏楽の話をしていたので同じボイシングをクラリネットで試してみます。

クラリネットも先程のストリングス音源と同じように1つのサウンドに3つずつの合計9人の状態でならします。

クラリネットクローズボイシング

オープンボイシング

クローズボイシングとオープンボイシングで音の密度の違いがわかると思います。

オシロスコープによる音色波形の違い

クラリネットとストリングスでは倍音の出ている量が違います。その結果クローズボイシングではかなり音の密度に違いがでました。これはクラリネットがストリングスと比べるとサイン波に近い音色だからです(厳密にはサイン波ではありません)

これはオシロスコープで見るとその違いがよくわかります。

クラリネットはストリングスに比べるとシンプルな波形をしています。そして音が小さくなるに連れてサイン波になっていきます。 出音に関してはクラリネットもそれなりの倍音を持ってはストリングスと比べるとやはりおとなしい波形です。

メロディを良くするためのボイシングとのバランスの考え方

ボイシングで重要なのはボイシングのトープノートの音がメロディとどういう関係になっているかを考えます。メロディの譜割との関係もありますが、±2音だと音がぶつかってしまうように感じますのでメロディの音がボイシングのトップノートと1.3.4.5.6度の関係であれば音がぶつかるような事はありません。

とくにトップの音とメロディが3度or6度であればお互いをよく響かせ合うことができるのでます。

上記の画像ではトップノートメロディの度数を表しています。メロディの譜割のすべての音を追うのではなく、まずはどのボイシングの始まりの音だけを意識するだけでもよくなります。

さいごに

オープンボイシングとクローズボイシングの違いは

  • 1オクターブを超えて構成される和音がオープンボイシング
  • 1オクターブ以内で構成される和音がクローズボイシング

それらの特徴は

オープンボイシングのメリット

  • 音色の間隔が広がることで得られる広がりのある響き

オープンボイシングのデメリット

  • 和声感が弱くなり、音のエネルギーがなくなる

クローズボイシングのメリット

  • 和音感(コード感)が強い音の密度が増える

クローズボイシングのデメリット

  • 音色によって音がこもる

作曲はこのような理屈を知らなくてもできますが、伝えたいメッセージを明確にしてそのための手法を学ぶとより効果的に伝えられます。

オープンボイシングとクローズボイシングをしっかりと使い分けると、曲の響きが変わってくるので、なんか雰囲気がでないなーと思った時はボイシングを変えてみることをオススメします。でも理屈を抜きで伝わる曲を書くことの大切さも忘れないようにしたいですね。

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