ゲーム会社は労働時間だけを見るとブラックです。特に制作に関する部署は一日8時間で終わることはありません。それでもそこの楽しみを見出しているのであればとくに問題はないのですが、気づかないうちに色々と麻痺していきます。それは健康や常識です。
今回はゲームサウンドクリエイターに憧れる人にちょっとだけ夢と現実をお話します
最初はめっちゃ楽しいこれぞまさに天職!
まぁ社会的に認められたサウンドクリエイターというお仕事にやっとなれた遅咲き30歳の春w仕事を覚えるためにも初日から残業しまくりでしたが正社員になるまでの3ヶ月、先輩(といっても年下ですが)がやたら言い続けていたことがありました。それは「早く帰られる間は早く帰っておいた方がいいですよ」
なんとなくイメージはありました。泊まり込んで仕事するとか納期前はやばいとかそしてそれを実感するのがその年の11月はじめてのお泊りはじめてのトキメキw先輩は文句たれまくりでしたが私は楽しかったwまさに天職だと思いましたw
会社に長くいる他の社員さんもどことなしかこの空気を楽しんでいる感じこれがゲーム開発の雰囲気かぁと思ったりもしながら、1つ目のプロジェクトが終わりすぐさま2つ目のプロジェクトに取り掛かりました。ところがこの2つ目のプロジェクトでクライアントとうちの会社でのちょっとしたトラブルがあって、仕様がグタグタになりました。仕様が数日毎に変化するなかで先輩は付き合っていた彼女と結婚し超絶忙しい時期に新婚旅行w
仕様変更のせいでサウンド関係も大打撃を受け私はとにかく仕様内容にあった曲の修正に追われる毎日になります。
一日平均18時間労働のはじまり
内訳はこんな感じでした。
他の部署も連勤しまくるせいでみんなおかしくなってくるんですよね。つまらないミスを連発したり、なんか変なことで怒り出したり、明らかにやばい雰囲気が会社中を支配してましたそれでも「いつものことだから」という暗黙の空気感がさらにそれを超えて支配していました
私も最初の一ヶ月は楽しかったのですが、(それもおかしいと言われましたがw)2ヶ月半くらい休み無しで働くとなんかいろいろとおかしくなってきていました。
麻痺したつらさ
中途で入った段階で手取り23万、そこから業績不振や色々とあり最終的には手取りで19万でしたwそして辞める直前の年の冬のボーナスはありませんでした
ずっと連勤が続くと曜日感覚がなくなります。帰れたとしても家に着替えとシャワーをあびるだけの毎日。テレビも見なくなるので、本当に何曜日かわかりません。
次にヘッドホン900STをし続けていたせいで耳がかなり疲れてしまい音の聞こえ方がなんかおかしくなりました。こもるとかそんなじゃなくとにかく違和感がすごいその違和感が気持ち悪くてCD900STが苦手になりました
納品後の代休に思ったこと
納品後一日だけ代休をもらいましたが、何をするわけでもなく街を歩いて散歩してたら日が暮れましたwそのときふと思いました「こういう働き方って大丈夫なのかな?」とそしてもう一つ「こういう働き方でこの会社大丈夫なのかな」そして次のプロジェクトに参加しましたが、モヤモヤが残り続ける毎日
いくら好きな仕事とはいえこのままいったらどこかでパンクするような気がする。一応入社前は健康体でしたが、一年も立たないうちにあちこちボロボロになりました
そして関わったプロジェクトが終わったときに退社を決意しました。家の事情も重なって仕事を続けるのが難しくなっていたのもありました。
「好きなこと出来ているんだからいいじゃない、やりたくても出来ない人がいるんだよ」なんて言葉はしったこっちゃありませんw身を護る仕事の仕方ができない以上は自分で守るしかないそして会社をやめて6年後
勤めていた会社がなくなりましたw
寂しい気持ちもありましたが、やっぱりか…という気持ちの方が大きかったですね。でも楽しかったのは事実ですし、プロの現場で結果を出さなければいけないというプレッシャーのなかで学べたことはいまでも私のサウンドクリエイターとしての大事な一部分になっています。
連勤自慢をしたいわけでもなく、むしろ連勤でない方が自慢になると思いますが、あの時間を振り返ってよかった部分も悪かった部分も今の自分なわけなので無駄とは思っていません。ただ振り返ってみると自分が感じた違和感が倒産という形で証明されたのを見ると、自分の声に耳を傾けることは大事だなと思いましたね。1日18時間60連勤で得られたのは何かがおかしいと思う自分の思考には耳を傾けるヘッドホンは一日中つけてはダメでした。
好きなことだったら何でもできると思う人も多いかもしれませんが、そこは他人の声を参考にするのではなく自分の声を参考にしましょう。
まとめ
どうですか?夢とか希望を見いだせましたか?wおそらくこういう今残っている会社でこういう経営ができるのはおそらく大手でしょうwどこでもいいからゲーム音楽を作りたいという気持ちはわかりますが、しっかりと基礎を学び、潰れないゲーム会社のサウンドクリエイターが増えることを祈るばかりです。
いろんな記事を読んでみると「ゲーム会社はブラックだ!」「ホワイトなゲーム会社なんんてない」というネガティブな言葉ばかり。私の記事でもゲーム会社のマイナス面が目立つ内容にはなっています(実際経験したことなので)
ですが、私はやりたいのであればゲーム会社に入るために頑張って欲しいと思っています。確かに身も心もボロボロになります。給料もよくないです。でもそれってどこへ言っても似たりよったりです。自分にとって最高の環境とは自分がそれを受け止めるかによって変わります。
誰かが「最悪だからやめておけ」というのを聴いて「じゃあ辞める」というのであればおそらくあなたが自身が心のそこから満足できる仕事環境は一生手に入らないと思います。
コメント
コメント一覧 (2件)
自慢でも競うわけでもないのですが、こちらも似たような環境でしたので書かせていただきます。
私の場合は大手通信カラオケ配信の制作会社で、ひたすら耳コピ打ち込みです。
同じく900STにて、一日15~18時間くらい・月数回は泊り込みも。
8年もやってしまいました。
細かいことは割愛しますが、意思もなくなるくらいの現場でしたね。
ヘッドホンの違和感、分かります。耳の違和感でもあったような気がしますが。
もう聴覚ボロボロで、通勤も就寝時も耳栓がかかせない。視力がた落ちw
さらに体全体にガタが今になってどんどんきていますね。
曲の分析と再現は得意になりましたが笑
やはりどんな職場であろうと自分の体は自分で守るべきですね。。。
残業戦士さん
なんとも壮絶なハンドルネーム^^;
私よりもかなり過酷な現場にいらしたみたいですね。
本当にお疲れ様でした。
本当にボロボロになりますよね。
続けることで得られることもあるとは思いますが、
体を壊しては意味がありません。
世間ではそういう考えを「あまい」だの「好きなことやってるんだから我慢しろ」
とかいいますが、
そんな次元の話ではなくなるんですよね。
本当に自分の身は自分で守る
これにまさるものはないですね。