smart:eq 2 レビュー初心者でもプロのイコライジングができる!

  • イコライザーはプリセットから選ぶだけでいいの?
  • もうちょっとイコライザーを効果的に使ってみたい

コンプに比べるとイコライザーは効果がわかりやすいです。ですが、それゆえに適当にして終わる人も多いですが、そこからもっと効果的なイコライザーの使い方を覚えたいと思っても情報集めても「キックはとりあえず50Hzをブースト」みたいな内容ばかりでイマイチ具体的な方法が分からないですよね。

smart:eq 2はAIが音色に最適なイコライザーを設定してくれる大変便利なイコライザーです。

今日はsmart:eq 2の使い方等についてお話したいと思います。またAIプラグインとして有名なizotopeのNeutronとも比較をしてみたいと思います。

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UG

ゲーム会社で作編曲効果音を作っていた人。ネットや書籍のイコライザー設定をためしてもしっくりこなかった経験から、イコライザーについて真剣に考え

その本質を追求するようになった人

イコライザーの使い方や目的

イコライザーは周波数別にブーストカットするエフェクターです。一般的には「音質補正」がイコライザーの目的です。しかし「音質補正」と言われても「どんな音質をどういう目的で補正しているのか?」ということについて考えている人は少ないです。

そこでここではイコライザーの使い方とその目的についてお話したいと思います。

イコライザーの音質補正とは以下の通りです。

  • 録音対象とマイクの距離の補正
  • 倍音調整(音作り)
  • 不要な音を取り除く

例えば、キックの中にマイクを突っ込めば突っ込むほどアタックの強い音が録音できます。これはキックのビーターの位置にマイクが近づくからです。逆にビーターから遠くなればなるほど低音感あふれる音になります。これはキック全体の音をマイクが拾っているからです。

イコライザーでキックの抜けを良くしたいならば5kHz付近を上げましょう。というのはビーターの音を強調することでアタック感がわかるようになり、キックのリズム的な役割を感じやすくするためです。

またキックの低音感がほしいのならばとりあえず50Hz付近をあげようというのも、いわばキック全体の音を収録すると50Hz付近が強調されたような音になります。

エンジニアが完璧にマイクのセッティングを済ませてしまえるならばイコライザーによる音質補正はしなくてよくなります。しかし、それはマイクの距離とマイクの特性を知り尽くしたエンジニアでないとかなり難しい話です。

また、複雑に入り組んだ倍音同士による音の干渉などをイコライザーで取り除くことができますが、これもまた経験が多いエンジニアでないと難しい技術になります。

smart:eq 2とは?

smart:eq 2はsonibleというメーカーが作ったイコライザープラグインです。ただのイコライザーではなく「smart:engine」というAIによる自動イコライジング機能が備わったイコライザーです。このAI機能を使うことで「透明性のあるサウンド」を簡単に作り出すことができます。

この透明性のあるサウンドとは上記で説明したものを最適化したものになります。

  • 録音対象とマイクの距離の補正
  • 倍音調整(音作り)
  • 不要な音を取り除く

繰り返しますが、これらのバランスはプロのエンジニアが長年かけて経験した技術です。それをAIが多くのデータベースをもとに素早く最適化してくれるわけです。

sonibleは他にもリバーブプラグインであるsmart:reverbやコンプのsmart:compを作っています。そのどちらもAIによって最良の音質を設定できるようになっています。

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不要な音とはどういうものか?

音には倍音が含まれており、その倍音が部屋の中で反射することで生まれる不要な音です。これは共振とも呼ばれています。この不要な共振は音抜けの邪魔になることが多いので、できるだけ、取り除くことが望ましいです。

また、ベースやキックなどは周波数帯域が近いため同時になると音が団子になることが多いです。そのような場合はどちらか一方のかぶっている周波数をカットすることでお互いが抜けの良いサウンドになり、低音の透明性を確保することができます。

これらをsmart:eq 2はサウンドに合わせて自動で設定してくれます。

音がこもる!音が抜けない!ということで困っている人には最良のプラグインといえるかもしれません。

smart:eq 2を使うメリット

シンプルな操作で透明感のある音を素早く作れる

smart:eq 2の使い方はシンプルです。プラグインを立ち上げてプロファイリングした素材を選び、録音ボタンを押して数十秒待つだけ、たったこれだけけで、透明感のあるフレッシュなサウンドにしてくれます。

適当にプリセットを選んで「なんか違うような気がするけどとりあえずこれでいいや」ということもなくなりよりメロディ制作に集中したりアレンジに集中することができます。

そもそもsmart:eq 2にはプリセットはありません。各楽器のプロファイリングデータがあるだけです。これについて後で詳しく説明します。

私もミックスになれていないときはプリセットを使ったりネットの情報でイコライザーの設定を試しました。おそらくですが一日1時間くらいはイコライジングによる音作りに費やしていたと思います。そうすると一ヶ月で30時間、年間では360時間、日数にすると15日間です。

情報集めにはもっと時間を使っていることでしょう…

もちろんそこで学んだことは立派な経験になって生きています。ですが、限られた時間の中で作曲とミックスどちらがやりたいのか?と言われたら、「作曲」です。そういう意味でも簡単に及第点を作り上げられるsmart:eq 2は便利で優れたプラグインです。

時間は常に有限ですから、しっかりと優先順位を付けたいところです。

smart:eq 2を使うデメリット

smart:eq 2は高精度の解析ゆえにレイテンシーが高く、リアルタイムでの演奏には向きません。使用する場合は完全なミックス作業に入ってからが良いと思います。

またデメリットというわけではないですが、smart:eq 2は完全にAIによってサウンドを解析しているというよりは、プロファイリングをベースに音を微調整しているという感じが強いので、AI解析という言葉を神格化している人にとっては「使えない!」となるかもしれません。

しかし、ミックスに特化したプラグインなので製作時からこのタイプのプラグインを使うと音色制作迷子になりやすいので、作編曲が終わってからしっかりとsmart:eq 2を使う方が効果的です。

smart:eq 2のパラメーターや使い方について

基本必要となるエリアはこの赤色の2つだけです。上部の緑色のボタンを押すことで音を取り込み解析していきます。この工程をプロファイリングといいます。

プロファリイングは取り込む音に対して最適な結果が得られるように、各楽器がすでにいくつかプロファイリングされています。smart:eq 2にはプリセットはありませんが、あえて言うならばここがプリセットにあたる部分でもあります。

上のエリアには630Hzという周波数が設定されています。これは下のエリアの緑色で山形になっている頂上の部分の周波数を示しています。そこを中心にAI解析をするという意味です。また75%(Strength)と書かれているのはこの緑の山の高さ(言葉の意味では深さ)になり、大きくすればするほど、AI解析の結果の範囲が大きくなります。一言でいうならば、

イコライジングのかかり方を変更できるということです。Strengthをマイナス方向にすれば設定されているイコライジングの結果が反転します。

そのとなりの70%は下エリアの両サイドにある白い縦のラインの幅です。大きくすれば周波数範囲を広げることができるので周波数範囲が広い楽器などはwidthを調整するとよいでしょう。

下のエリアの下の方にはカラフルな丸が並んでいます。これはイコライザーのバンド切り替えです。smart:eq 2はハイカット/ローカットを合わせると最大で7バンドのイコライジングにも対応しています。

smart:eq 2サウンドデモ

smart:eq 2スネアの場合

ここでは実際にプロファイリングの工程からスネアサウンドがどう変わるのかを動画を使って説明してきます。

この解析から学ぶポイントがあります。それは200Hz付近の音を持ち上げていること、500〜2kHzあたり削っていることこうすることです。

スネアの基音(芯のある音と感じる周波数)はおよそ200Hz付近にあります。そしてその上に倍音が重なっていくわけですが、500Hz〜2kHzには他の楽器に邪魔になる音が含まれていることがあります。これはスネアだけではなくキック等にもよく見られます。

なので多くのエンジニアはその周辺のカットにより透明性の高い音を作り上げます。smart:eq2のAIもそのあたりを考慮しながら解析/設定しているのがよくわかります。

解析後はかなり「コーン」という音が目立っているのはその基音が強調されているからです。

smart:eq 2キックの場合

基本的な使い方はスネアと同じようにプロファイリングデータを選択してキックをファイリングするだけです。

このキックでは100Hz〜500Hzあたりにカットが入っています。一般的にはよくいう「キックは50Hzをブーストして」という設定はありません。なぜならばこのキックの場合は必要以上に50Hzをブーストする必要がないとAIが判断しているからです。そしてこのキックに対してベースが乗った場合は100Hz〜500Hzとかぶる可能性を示唆してカットしていると思われます。実際聴いてみてもカットの量で「キック感がなくなっている…」というほどカットされているとは感じないと思います。

では、低音感が少ないキックの場合はどうなるのか?を試してみたいと思います。

smart:eq 2キックその2

低音感が少ない軽めのキックです。先程のAI解析とは違う結果になっているのがわかります。同じプロファイリングであってもAIがファイリングしている音を認識しているのがよくわかります。

smart:eq 2キックとベースの場合

4つ打ちのキックにフレーズ的なベースを一緒に鳴らしたものです。smart:eq 2で解析することでキックとベースの音の分離感が出て音の団子状態を回避しています。もちろんこれが好みでない人もいるでしょう。その場合は解析結果から任意で微調整することでより自分らしさを作り出すことができます。

smart:eq 2のキックの補正はどこまで行われるのか?

少しわかりにくい説明で申し訳ないですが、生のキックを収録するときにはキックの中にマイクを入れた「kick In」キックの外側を狙った「kick out」よりローエンドを狙った「kick sub」という3つのマイクで録音することがあります。

この場合smart:eq 2はどのように解析するのかを見てみます。

大体似たようなカーブですが、特徴となるうり部分だけはオリジナルの補正が入っているように思います。ちなみにKick Sub(1番右)はハイがない状態なので

頑張ってあげようとしていますが、あまり効果的な補正とはいえません。

smartEQ2なし

smartEQ2 あり

こちらの方が重心が下がっているのがわかると思います。微々たる差ではありますが、非常的に効果的な音の変化です。

smart:eq 2ピアノとドラムの場合

オンマイクで中定期に音が集まりすぎたピアノとドラムのステムに使ってみました。

生録音したピアノ系の補正としてはかなりしっかりと効いているように思います。

smart:eq 2歌ものの場合

一昔前のアニソンのような感じの曲にsmart:eq 2を使ってみました。プロファイリングはスタンダードに設定して解析した結果です。

SmartEQなし

SmartEQあり

某アイドルグルーブのようなサウンドになっている気がします。これがいいか悪いかは別として、音の傾向としてはやはり全体的に抜けの良さを目指した透明性のあるサウンドを意識している感じがします。

ミックスのクオリティが低いものはいくらsmart:eq 2が優れていてもそれ以上にはどうにもならないこともよくわかります。

Neutronとsmart:eq 2の比較

同じAI解析プラグインで有名なのはizotopeのNeutronでしょう。neutronはAIが解析したサウンドにイコライザーだけではなく、コンプやエキサイターなどを使って音作りをしています。smart:eq 2が補正目的なのに対して、neutronは補正プラス積極的な音作りがなされます。

今回は簡単にキックのサウンドのAIイコライジング処理の比較をしてみたいと思います。

Neutronは解析後にEQやコンプにエキサイターなどを使って音作りをするためEQだけ抜き出してsmartEQ2 と比較するのはあまり意味がないかもしれませんが、

イコライザーだけの比較だとこのよな音質になりました。

Neutron EQなし

Nuetron EQあり

smart:eq 2と比べるとおとなしい印象です。kickSubに関しては正直何もする気がないのかもしれませんw全体的にコンプなどの音作りを想定した感じな気がします。

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smart:eq 2のCPU負荷について

それほど重くない印象です。

Neutronはkickだけしかかけていません。やはりEQ以外の部分でそれなりの重たさになっていますが、内容から考えるとNeutronは軽いように思います。

smart:eq 2は何を目的に解析しているのか?

これは非常に重要なポイントです。smart:eq 2が目指すサウンドそれは何度もお話をしてきたように「透明性のあるサウンド」です。そのために音の解析傾向は「ドンシャリ」になっていきます。透明性が高いサウンドとは各楽器の音の輪郭が捉えやすいということです。そして現在のポップスもそれに準じたミックスになっています。

しかしイコライジングになれていない人はざっくりと低域と高域をブーストして「ドンシャリ」としていまいますが、ドンシャリはとても奥が深いサウンドです。初心者が一長一短で音楽的で気持ちのよいドンシャリサウンドを作ることはできません。

ただ個人的には少しハイがキツめに出る傾向があるので、解析後は個別のバンドでハイを落としがちにすると良い感じになります。

smart:eq 2の解析は無理のない音楽的なドンシャリサウンドを得られるプラグインだといえます。

smart:eq 2のセール情報や賢い買い方について

smart:eq 2の定価は14,770円です。

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sonible製品はたまに50%に近いセールもやっているのでどうしても安く買いたい人はセールでの購入を検討するとよいかもしれません。

現在はセールではありませんがお得な買い方としてsmart:compとsmart:reverbとがセットになったものが188ユーロで販売されています。

セールではないと言いましたが一つあたりの値段は60ユーロちょっと、単体で買うよりひとつあたり30ユーロは安くなっています。さらに今ならノイズ処理プラグインで有名なRX7 Elementが無料でもらえます。

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smart:eq 2ユーザーの声

大切なのはAIは完璧ではないということですね。実際「なんでそこ上げるのか?」という処理も見受けれました。

プロファイリングとファクトリープリセットを合わせることで回避できているという声もあります。

さいごに

smart:eq 2は

  • smart:eq 2はsonibleのAI技術によって短時間で音源に最適のイコライジングを施してくれる
  • 他のイコライザーのようなプリセットは存在しない。
  • その効果は基本ドンシャリ傾向にある
  • 負荷は軽い

Neutronと比較するとsmart:eq 2のできることは少ないですが、「高解像度を目的とした補正」がメインでありその音質はNeutronとは別のものなのでふたつを持っていても使い分けが可能です。

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