太くて存在感があるベースやシンセリードを作りたい!そういうときに使われるのがmoogシンセです。
しかし実機はケアも大変ですし何よりも高いです。最近では実機にまさる音質のmoogエミュレーションしたソフトシンセもたくさん出ています。
数あるmoogシンセの中でも、synapse audio the legendとArturiaのMini V3どちらもminimoogのエミュレーションとして人気です。
正直「どっちが本物っぽいの?」という疑問をもつことが多いソフト音源ですが、もし本物を求めるならばエミュレーションをやめた方がいいです。どちらも本物にはなれません。
そこでどちらが自分が求めているサウンドになるのだろう?と考えたときに今回の記事は両者の細かい機能の違いにスポットをあててそれが音にどのように影響するかを調べています
Mini V3とLegendの違い
発音数
同じMiniMoogのエミュレーションですが、音作りは実機を遥かに凌げます。
Legendが同時発音数がMAX 4音に対して 3OSCに4音なので12VCO
Mini V3は同時発音数が最大で32音になります。 3OSCに32音なので96VCOということになります。
もうこんな発音数を選択できる時点で真の王族直系ではないですよねw
やろうと思えばMini V3はMemory Moogのエミュレーションも可能になります。
オシレーターの種類
Mini V3は実機のMiniMoodと同じオシレーターで左から、
三角波、三角ノコギリ波、
ノコギリ波(SAW UP)
矩形波 1、
矩形波 2(パルス幅 25%)
矩形波 3(パルス 幅 10%)
オシレーター3 は三角ノコギリ波の代わりに SAW DOWNが使われています。
ミキサーとフィルターについて
ミキサーについてLegendにはFEEDBACKがついていて音の太さを調整できるような使い方が可能です。
フィルターについても本来実機のMoogはLPFの24Poleですが、
フィルタータイプを切り替えられたり、LPFの他にBPFも装備しています。
そしてフィルターエンベロープとアンプエンベロープにもリリースが装備されています。
(本来のMoogにはリリースというつまみはありません)
結構チート感がありますw
謎の復活の呪文を打ち込んで最初から結構の武器を装備しているみたいなもんです。
それに対してArturiaはあくまで生粋のレベル1からの音作りをすることになります。
小学生同士なら「ずっこいやんけ!」と喧嘩になるかもしれませんw
同じパラメーターならどんな音の違いになるのか?
比較するときに一番てっとり速い方法はスーパーで買物をしているおばちゃんに聞くことです。
「ほなあんたおんなじもん食べ比べてみたら一発やんか」
ということです。
LegendとMini V3はまったく同じパラメータではないので
完璧に揃えることはできませんが、収容パラメーターは同じにして比較してみます。
両者共通
オシレーター1 三角波 RANGE8
オシレーター2 のこぎり波(UP SAW)RANGE16
ミキサーフリボリューム10
フィルターセクション
FILTER
CUTOFF
Legend 264Hz
Minii V3 264.4Hz
REZONANCE 両者0
ENV AMT
Legend 6.95
Minii V3 69.6%
FILTER ENVELOPE
Legend
A 2ms D112ms SUSTAIN 0 RELEASE 2ms
Mini V3
A 1.94ms D110.80ms SUSTAIN 0
LOUDNESS CONTRUR(Legend名AMPLIFIRE ENVELOPE)
Legend
A 2ms D 1.2s SUSTAIN 10 RELEASE 0
Mini V3
A 1.96ms D 1.22s S 10.0
ボリュームに関してはDeayのポイントが均一になるようにしています。
Legend
VOLUME 4
Mini V3
VOLUME 12.73dB
Legendに関しては背面パネルでの音作りが若干可能ですが、
できるだけ0にしています。
Legend
Mini V3
全然違いますw
スーパーで買い物しているおばちゃんにこれを言ったら
「ほなあんた好きなほうこうたらよろしいやん」としか言えませんw
冗談はさておき、フィルターの開閉がまったく違います。
さてここで「どっちのフィルターが正しいのか?」という疑問が出てきます。
ということで、次は他のフィルタープラグインを使って調べてみたいと思います。
Mini V3のフィルターCUT OFFのポイントを調べる
Fab Filterをつかって26.4HzまでHighCutを入れてみます。
(基本的にはLPFもHighCutもやっていることは同じです)
FF Pro-Q3
こちらの方がLegendと近い気がします。
次にMoogフィルタータイプのエミュレーションプラグインを作っている
KazogというメーカーのSyntWarmerというプラグインを使って試してみます。
SyntWarmer
こちらもLegendとFab Filterに近い音色になりました。
どうやら、この結果から言えるのは
Mini V3のフィルターは開きすぎているように思います。
Mini Filter
Arturiaがエフェクトプラグインとして出しているmoogFilterのエミュレーションです。
最初はMini Vシリーズからフィルターだけを抜き出したものかと思いましたが、
カットオフのポイントはノブの位置だけを見ていてもかなり違います。
カットオフの数値がHzで表示されずに0.264となっていますが、
ノブに表記されている数値絡みても264Hzと見ても間違いなさそうです。
結果はこちらもLegendとFF Pro-Q3、そしてSynthwarmerと近いカットオフ
ポイントのように思います。
しかしMini Filterはローがブーストされているのは
エフェクトプラグインとしての効果をわかりやすくするための処置のようにも思います。
さてここで疑問に思ったのは
「V3はこのフィルターの開きだけどV2はどうだったか?」ということです。
実はV2とV3ではかなり音が変化しました。
その変化の違いからV2にこだわるユーザーもまだ大勢います。
こちらもLegendとV3と同じ設定にして調べてみました。
フィルターのカットオフがLegendと近いですね。
また音のゆらぎもV3と違ってかなり揺らぐポイントも
Legendと似ているように思います。
V3による改善が「改悪」なのか「違ったmoogサウンドのエミュレーション」なのか
わかりませんが、別物であることには変わりません。
ENV AMTとCUTOFFのポイントを使えばもう少しLegendに近づけることもできますが、
まったく同じにはなりません。
この辺りは実機と比べてみないとなんともいえない感じもしますね。
ただ、フィルターの開きを一緒にしてしまっては味がありませんので
V3はV3のフィルターを使いこなす意識をもった方が
「かっこいいMoogベースサウンド」を「使えるMoogベースサウンド」にしていけると思います。
V2とV3の比較に関してはこちらの記事でさらに深く調べたので
参考にしてもらえたらと思います。
arturia miniVはver2と3で音が違う!?moogらしさはどっち?
アナライザーによる比較
E1の鳴らして比較してみます。
赤がMini V3で緑がLegendです。
Legendは第2倍音がかなり多く出ているので根音の音をより太く聞かせる役目を果たしていそうです。
一方Mini V3はフィルターの開きが大きいのもありかなりLegendよりも多くの倍音が出ています。
そしてMini V3とは違ってLegendはかなり音がゆらぎます。
この辺りがアナログ感の演出でしょうか?
Mini V3も若干はゆらぎますが、ここまではゆらぎません。
しかしこうやって聴き比べてみると
Arturiaの方が荒々しさを強く感じ
Legendのは非常に紳士的な雰囲気を出している音源だということがわかります。
マダムとおばちゃんの違いみたいなものかもしれません。
まとめ
どちらが貼りがあるか?と聴かれたら
中低域に特徴のあるMini V3の方です。
おそらく動くベースラインの存在感はMini V3の方が出しやすいかもしれません。
しかし、どっしりとした低音感を望むならば、Legendの方が適している場合もあります。
しかしあえてここでスーパーで買い物しているおばちゃんの言葉を借りると
「食べてオイシイ方や、そして安い方や」
どちらもサイトでデモることは可能です。
そのうえで、購入を考えるのが良いでしょう
Legendは現在セール中で
99ドルのところが79ドルになっています。
一方Mini V3は単品で買うと16,305円
お買い得感は現在Legendの方がありますね。
しかしV Collection7で購入すると
24種類の時代を超越したインストゥルメントを40,700円で購入できるので
Mini V3の値段は1,695円程度になります。
他のプラグインも持っておいて損がないものばかりなので、
安くなっている今が買い時です。
あなたはどっちのMoogエミュレーションが好きですか?
「やっぱりプラグインより実機だぜ!」という方は是非
本物を手にしましょう。
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