Klevgrand Speldosaレビュー|4種類の音色を比較・使い方も解説

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曲にオルゴールの音を入れたいけれど、思い描いている音色になかなか出会えない。そんな経験はありませんか?

オルゴールの音は一見どれも似ていますが、音の立ち上がりや明るさ、余韻の長さによって、同じメロディでも印象が変わります。

また、製品ページのデモを聴くだけでは、和音や細かいフレーズを演奏したときに、どのような響きになるのか判断しにくいものです。

そこで今回は、Klevgrandのオルゴール音源「Speldosa」を使い、4種類の音色を同じ設定・同じフレーズで比較しました。

さらに、単音・和音・連続フレーズの演奏例やRMS・Peakの測定結果も用意しています。

音色の違いや使い方、購入前に知っておきたい注意点を、実際の音を聴きながら確認していきましょう。

Klevgrand Speldosa
総合評価
( 4 )
メリット
  • 4種類の音色を簡単に使い分けられる
  • 逆再生サウンドが内蔵されている
  • 音の減衰と残響を調整できる
デメリット
  • 音色のバリエーションは限定的
  • 細かな音作りには制約がある
  • モデルによってRMSが異なる
タップできる目次

Speldosaとは?実物のオルゴールを収録した音源

Speldosa(スペルドーサ)は、スウェーデンの音楽制作ソフトメーカーKlevgrandと、音楽家Martin Molin(Wintergatan)が共同開発したオルゴール音源です。

シンセサイザーでオルゴールに似た音を合成するのではなく、実際のオルゴールをサンプリングしているのが特徴です。

4種類の音色モデルに加え、音の減衰や残響を調整する機能も搭載されています。

Wintergatanとの共同開発と独自の録音方法

Speldosaの音色を制作したMartin Molinは、ビー玉を使って音楽を演奏する「Marble Machine」の制作者としても知られる音楽家です。

彼はオルゴールを録音する際、アコースティックギターを共鳴箱として使用しました。

ギターのボディを共鳴に利用してオルゴールの音を収録し、その音をサンプリングするという独自の方法です。

このオルゴールサウンドは、彼が活動してきたDetektivbyrånやWintergatanでも特徴的な音色として使用されてきました。

Speldosaは、そのサウンドをほかの音楽制作者もDAW上で演奏できるようにしたソフト音源です。

4つの音色とシンプルな操作性

Speldosaには、Modern、Vintage、Antique、Eternalという4種類の音色モデルが用意されています。

明るくクリアなオルゴールから、音色を抑えたモデル、逆再生による特殊な音色まで切り替えられます。

また、Dampで音の減衰を調整できるほか、RoomとSpaceを使った残響のコントロールにも対応しています。

複雑な音作りを前提とせず、音色を選択して必要な部分を調整するシンプルな設計です。

Speldosaの4種類の音色を比較

Speldosaの4種類の音色は、実際にどの程度違うのでしょうか。

今回は同じ演奏フレーズを使用し、モデル以外の設定を統一して比較音源を作成しました。

モデル音色の特徴
Modern明るくクリアな響き
VintageModernより高域成分が控えめ
AntiqueVintageよりさらに高域成分が少ない
Eternal逆再生による独特の発音

今回の比較音源を解析すると、Modern、Vintage、Antiqueでは高域成分の割合に違いが確認できました。

一方、Eternalは逆再生という仕組みが異なるため、ほかの3モデルとは発音の特徴が大きく異なります。

Modern|明るくクリアな音色

speldosa-modern

Modernは、明るくクリアな響きを特徴とするモデルです。

今回の比較では、VintageやAntiqueより高域成分の割合が多く、比較的明瞭な響きになっています。

オルゴールのメロディをはっきり聴かせたい場合に、最初に試したいモデルです。

Vintage|使い込まれた質感の音色

speldosa-vintage

Vintageは、長年使われてきたオルゴールをイメージしたモデルです。

今回の比較では、Modernより高域成分が控えめになっています。

明るくクリアなModernとは異なり、少し落ち着いたオルゴールサウンドを求める場合に候補となる音色です。

Antique|落ち着いた音色

Antiqueも、使い込まれたオルゴールをイメージしたモデルです。

今回の音声解析では、Vintageより高域成分の割合が少ない結果となりました。

VintageとAntiqueはどちらも音色を抑えたモデルですが、今回の比較では違いが確認できます。

明るさや音の輪郭に注目して聴き比べると、それぞれの特徴を判断しやすいでしょう。

Eternal|逆再生のオルゴール

speldosa-eternal

Eternalは、オルゴールのサンプルを逆再生したモデルです。

通常のオルゴールは発音直後に音が立ち上がり、その後、時間とともに減衰していきます。

一方、Eternalは逆再生によって、音が徐々に膨らむような発音が特徴です。

通常のオルゴールとは異なるため、アンビエントや幻想的な場面の演出などにも利用できそうです。

4モデルのRMS・Peak比較

4種類の比較音源について、RMSとPeakを測定しました。

モデルRMSPeak
Modern-11.84 dBFS-0.16 dBFS
Vintage-11.44 dBFS-0.10 dBFS
Antique-11.86 dBFS-0.10 dBFS
Eternal-13.39 dBFS-0.10 dBFS

※モデル以外の設定を統一した同一フレーズを比較。48kHz・160kbpsのMP3ファイルをデコードして測定した値です。

画像

Peakはほぼ同じですが、RMSには違いがあります。

今回の音源ではVintageのRMSが最も高く、Eternalが最も低い結果となりました。その差は約1.95dBです。

ただし、RMSの違いがそのまま聴感上の音量差になるわけではありません。

モデルによって発音の立ち上がり方や減衰の仕方も異なるため、音色を評価する場合は数値だけでなく、実際の響きも確認する必要があります。

また、モデル間で音質を比較するときは、音量差が印象に影響する可能性があるため、必要に応じて音量を揃えて試聴するとよいでしょう。

Speldosaの使い方と音作り

Speldosaは音色モデルを選択したあと、音の減衰や残響を調整するだけで基本的な音作りができます。

主な調整機能は、Damp、Room、Space、Vibratoです。

Dampで音の減衰を調整する

Dampは、オルゴールの音が鳴ったあとの減衰を調整するパラメーターです。

以下のデモではdumpingを0%から100%までオートメーションで変化させたものです。

オルゴールは金属の櫛歯を弾いて音を発生させる楽器で、発音後の余韻も音色の特徴になっています。

しかし、細かいフレーズでは前の音と次の音の余韻が重なりすぎる場合があります。

SpeldosaではDampを使って音の減衰を調整できるため、フレーズに合わせて余韻の長さをコントロールできます。

例えば、細かいフレーズでは余韻を短めに、ゆったりしたメロディでは長めにするといった使い方が考えられます。

なお、Dampはバージョン1.0.3で追加された機能です。

RoomとSpaceで残響を調整する

Speldosaには、RoomとSpaceという2種類の空間処理が用意されています。

項目RoomSpace
処理方式コンボリューションリバーブアルゴリズムリバーブ
特徴2種類の部屋の響き長い残響
調整方法Room選択とLevelSpaceレバー

Roomは、オルゴールを演奏する部屋の響きを加える機能です。

小さな部屋と大きな部屋を想定した2種類のモデルが用意されています。

コンボリューションリバーブとは、空間の響きを記録したインパルスレスポンス(IR)を利用して残響を再現する方式です。

SpeldosaではRoomを選択し、LevelでRoom信号の量を調整できます。

一方、Spaceは、長い余韻を加えるアルゴリズムリバーブです。

アルゴリズムリバーブは、計算処理によって残響を生成する方式です。

SpeldosaではRoomで空間の雰囲気を選び、必要に応じてSpaceでさらに残響を追加する使い方ができます。

ただし、残響を増やしすぎると音の重なりが大きくなり、メロディの輪郭がわかりにくくなる場合があります。

特に細かいフレーズでは、残響を増やす前に原音の余韻を確認するとよいでしょう。

リバーブの仕組みやパラメーターについては、リバーブの基礎と使い方でも詳しく解説しています。

Roomの設定によるCPU負荷の変化

Speldosaはシンプルなオルゴール音源ですが、Roomの設定によってCPU負荷が変化します。

今回、Logic Proのパフォーマンスメーターで確認したところ、Roomの設定変更後に処理スレッドの負荷が上昇しました。

特に右端の処理スレッドでは、メーターの表示が約20%から35%程度に上昇しています。

ただし、これはLogic Proの処理スレッド単位の負荷であり、Mac全体のCPU使用率を示しているわけではありません。

Roomにはコンボリューションリバーブが使用されているため、設定によって処理量が変化する可能性があります。

今回の使用では動作上の問題はありませんでしたが、複数のトラックでSpeldosaを使用する場合は、Roomの設定による負荷の違いにも注意するとよいでしょう。

Vibratoで音の揺らぎを加える

Speldosaは、ビブラートによる音程の揺らぎにも対応しています。

ビブラート量はMIDI CC1(モジュレーションホイール)でコントロールします。

MIDIキーボードのモジュレーションホイールを操作するか、DAWでCC1のデータを入力することで、演奏中にビブラート量を変化させられます。

例えば、長く伸ばす音にだけビブラートを加えたり、フレーズの後半で徐々に変化させたりする使い方が考えられます。

通常のオルゴールらしい演奏だけでなく、少し変化を加えた表現を試したい場合に役立つ機能です。

Speldosaを単音・和音・フレーズで検証

今回は単音、和音、短い音符が連続するフレーズを用意し、それぞれの演奏特性を確認しました。

単音はC4を繰り返し、和音と連続フレーズにはModernモデルを使用しています。

C4の単音で発音レベルの変化を確認

【音声プレーヤー:speldosa-c4-single.mp3】

まず、C4を4回繰り返した音源を確認しました。

今回の音源では約0.8秒間隔で発音しており、後の音ほど出力レベルが大きくなっています。

それぞれの音は発音直後に立ち上がり、その後、時間の経過とともに減衰しています。

ただし、今回の音声ファイルだけでは、具体的なMIDIベロシティ値や、音量以外の音色変化がどの程度生じているかまでは判断できませんが、ベロシティレイヤーが組まれているような音色変化は感じませんでした。

一般的なソフト音源では、ベロシティによって音量だけでなく音色が変化するものもあります。詳しくはDTMのベロシティと音色変化についての解説をご覧ください。

和音を演奏したときの響き

次に、Modernモデルで和音を演奏しました。

次に、Modernモデルで和音を演奏しました。

今回の音源では複数の音高が同時に発音され、それぞれの響きが重なっていることを確認できます。

オルゴールは発音後も音が減衰しながら残るため、和音では複数の音の余韻が重なります。

特に和音を連続させる場合は、前の和音の余韻が次の和音と重なることを意識するとよいでしょう。

細かいフレーズを演奏したときの特徴

最後に、Modernモデルで短い音符が連続するフレーズを演奏しました。

今回の音源では短い間隔で音が繰り返し発音され、前の音の余韻と新しい音が重なっています。

このように、MIDI上で短い音符を配置しても、音源の減衰や残響によって実際の響きが長く残ることがあります。

細かいフレーズで音の重なりが気になる場合は、Dampで音の減衰を調整したり、RoomやSpaceの残響量を見直したりする方法が考えられます。

Speldosaのメリット・デメリット

Speldosaの魅力は、実際のオルゴールを収録した音色を、複雑な設定をせずに使用できることです。

一方で、音色のバリエーションや細かな編集機能には制約があります。

Speldosaのメリット

1. 4種類の音色を簡単に使い分けられる

Speldosaは、モデルを切り替えるだけで音色を変更できます。

今回の比較でも、モデル以外の設定を変えずに音色や発音の違いを確認できました。

特にEternalは逆再生という特徴があり、ほかの3モデルとは異なる表現が可能です。

2. 音の減衰と残響を調整できる

SpeldosaにはDamp、Room、Spaceが搭載されており、音の減衰と空間の響きを調整できます。

オルゴールは余韻が特徴的な楽器なので、こうした機能を備えていることには実用的な意味があります。

ただし、今回の検証では各パラメーターを個別に変化させた比較までは行っていません。

3. 単音だけでなく和音や連続フレーズも演奏できる

今回の検証では、単音、和音、連続するフレーズをそれぞれ書き出しました。

単音のメロディだけでなく、和音を使った演奏にも対応しているため、さまざまなフレーズを試せます。

Speldosaのデメリット・注意点

1. 音色のバリエーションは限定的

Speldosaの音色モデルは4種類です。

Modern、Vintage、Antiqueはオルゴールの質感を変えたモデルで、Eternalは逆再生を利用した特殊な音色です。

多くのベル系楽器や鍵盤楽器をまとめて収録した製品ではないため、さまざまな楽器の音色を求める人には向いていません。

2. 細かな音作りには制約がある

Speldosaは、サンプルそのものを細かく編集するタイプの音源ではありません。

基本的な音作りは、モデル選択、減衰、残響、ビブラートの調整が中心です。

自由に波形を加工したり、複雑な音色設計を行ったりしたい場合は、別のサンプラーやエフェクトとの組み合わせを検討する必要があります。

3. モデルによってRMSが異なる

今回の比較では、モデル以外の設定を統一してもRMSに違いがありました。

モデルを切り替える際は、音量差によって音質の印象が変わる可能性があるため、必要に応じて出力音量を調整するとよいでしょう。

Speldosaの価格・動作環境・無料体験版

Speldosaは、Klevgrand公式サイトやPlugin Boutiqueで購入できます。

無料体験版も用意されているため、購入前に音色や操作性を確認できます。

Speldosaの価格とセール情報

Speldosaのメーカー公式通常価格は9.99ドルです(2026年10月29日確認)。

Plugin Boutiqueでも販売されており、セール期間中は割引価格で購入できる場合があります。

セール価格や終了日は時期によって変更されるため、購入前に販売ページで最新情報を確認してください。

Speldosaの対応OS・プラグイン形式

SpeldosaはmacOSとWindowsに対応し、AU・VST3・AAX形式で利用できる64bitプラグインです。

項目対応環境
macOS10.10以降
WindowsWindows 7 SP1以降
MacAU / VST3 / AAX
WindowsVST3 / AAX
Apple SiliconM1プロセッサー向けの最適化あり
デスクトップ版v1.0.4

Logic ProではAU形式、CubaseではVST3形式を利用できます。

また、iPhone・iPad向けにはスタンドアロンおよびAUv3版も用意されています。

なお、メーカーが公開している最低動作要件は、最新のOSやDAWとの完全な互換性を保証するものではありません。

購入前に無料体験版で動作を確認することをおすすめします。

無料体験版のダウンロードと使用制限

Speldosaは、Klevgrand公式サイトから無料体験版をダウンロードできます。

体験版では製品版と同じ機能を試せますが、ときどき音声が途切れる制限があります。

現在はKlevgrand Helperを使用して体験版をインストールできます。

  1. Klevgrand公式サイトからKlevgrand Helperをダウンロードする
  2. Klevgrandアカウントでログインする
  3. ExploreタブからSpeldosaを選択する
  4. 「Get demo」を選択してインストールする

購入済みの製品は、ライセンスをKlevgrandアカウントに登録したあと、Klevgrand HelperのMy Pluginsからインストール・認証できます。

Plugin Boutiqueなどの販売代理店で購入した場合は、発行された引き換えコードをKlevgrand公式サイトで登録します。

Speldosa公式サイト・無料体験版

Klevgrand Speldosa 総合評価

評価項目評価評価理由
音質★★★★☆ 4.04種類の音色に違いがあり、Eternalの逆再生サウンドも特徴的
機能性★★★☆☆ 3.5減衰・残響を調整できるが、細かな音色編集には制約がある
操作性★★★★☆ 4.5シンプルな操作体系で音色を切り替えられる
安定性★★★★☆ 4.5今回の使用では動作上の問題なし
価格★★★★☆ 4.5通常9.99ドルという手頃な価格

総合評価:4.2 / 5.0

Speldosaは、実際のオルゴールを収録した音色を手軽に使用できるソフト音源です。

音作りの自由度は限定的ですが、4種類の音色を切り替えられ、減衰や残響も調整できます。

今回の使用では安定性にも問題がなく、オルゴールサウンドを必要とする人にとって、価格と機能のバランスがよい製品と評価できます。

まとめ|Speldosaはどんな人におすすめ?

Speldosaは、実際のオルゴールをサンプリングした音色を、手軽にDTMで使用したい人におすすめのソフト音源です。

今回の比較では、Modern・Vintage・Antiqueの音色の違いに加え、逆再生を利用したEternalの特徴も確認できました。

単音だけでなく、和音や細かいフレーズも演奏できるため、オルゴールのメロディや伴奏など、さまざまな使い方が考えられます。

特におすすめなのは、次のような人です。

  • 実物のオルゴールを収録した音源を探している人
  • 複雑な設定をせず、手軽にオルゴールの音を使いたい人
  • 明るい音色と落ち着いた音色を使い分けたい人
  • 逆再生による特殊なサウンドも取り入れたい人

一方、オルゴール以外のベル系サウンドを多数使いたい人や、サンプルを細かく編集したい人には、機能が物足りない可能性があります。

Speldosaは多機能な音源ではありませんが、オルゴールというひとつの楽器に絞り、音色や余韻を調整できる点が特徴です。

今回は楽曲全体に組み込んだ検証までは実施していませんが、4モデルの音色や単音・和音・連続フレーズの演奏は比較音源で確認できます。

通常価格は9.99ドルなので、オルゴールサウンドが必要な人は、まず無料体験版で自分の制作環境や楽曲に合うか試してみるとよいでしょう。

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