「音痩せを回避」するイコライザーテクニック

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DTMerは2つのタイプがいます。EQを使うと「音を痩せさせてしまうDTMer」と「音色の良さを保つことができるDTMer」です。

音を少しでもよくしたいと思いEQを使っているのに何故か気がつくとペラペラな音になっている。これらはEQの正しい使い方をしていないのが原因です。しかし「何が正しくて何が正しくないのか」の視点を正しく持ち合わせていないと「EQでなぜ音痩せが起こる理由もわかりませんし、今の処理が音痩せしていても気づくことすらできません。

結論から言うと「音色にあっていないEQ処理が音痩せ」につながるということになります。

UG
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音痩せとは?

一言で説明すると「音質劣化」です。では音質劣化とは何か?この定義はエンジニアによって異なるかもしれませんが「原音の良さを削りすぎた状態」です。EQの扱いに慣れていないDTMerはこれを理解しないために「EQによる音痩せ」を作り出してしまいます。

原音の良さを削るとは?

原音のよさとはその音色が持っている一番の特徴といえます。音色の一番の特徴の捉え方は当然つくる曲の目的の精度が関係します。EDMを作る場合曲に重たさをもたせたい場合はローエンドを多く含んだ低音が求められますし、スピード感がほしい場合はおもすぎるローエンドは逆効果です。これらを考えずにEQを使うと「不必要なブースト」「不必要なカット」を繰り返すとそれが音痩せに繋がります。

音痩せしないEQの使い方

音の優先順を決めることでEQを不必要に使わなくなります。優先順位とはその曲の中で何が一番リスナーを説得できるか?多くの場合はキックになります。キックの音色1つでリスナーを惹きつけられます。そのためにはそのキックがどのような音色的特徴を持っているかを確認します。

つまり正しい音色選びの段階で明確な意図を持って選択しその意図どおりに曲が作ることができればEQを使う必要はありません。

なぜEQを使うのか?

EQを使う理由は次の3つが一般的です。

  • トラックの質感を整える
  • トラック間の音の干渉を抑える
  • 質感を変化させる

トラックの質感を整える

出過ぎた部分を引っ込めて足りない部分を補う。という使い方ですが、まずEQの前提は「無い袖は触れない」ということです。ローエンドが含まれていないキックにローエンドを足してもそれは一種のノイズを持ち上げているだけになります。音痩せの一般的なイメージはギターリストがストンプボックスをつなぎすぎたことで起きる音質劣化(良い音が削られていく)をイメージしやすいですが、原音の良さをなくすという言葉に変えたとき不必要なEQ処理も音質劣化であり音痩せと同義語と考えても問題はありません。

トラック間の音の干渉を抑える

キックとベースは周波数帯域が近いのでお互いの音でお互いの良い部分を打ち消す場合が多々あります。これを回避しようとEQを使うケースが多いですが、これもキックの音色を決めた時点で干渉しないベースの音色作りを意識することで必要最低限のEQ処理で問題を解決できます。

生ベースやギターの場合でアンプのEQの使い方もそれに準じたものになります。

質感を変化させる

EQのブーストカットで音の質感は大きく変わります。音色にきらびやかな印象を作りたい場合よく高域をブーストするという発想につながりますが、これも「原音の良さ」を念頭においていると、EQでブーストする前にできることはないか?という視点を持てます。

ギターであれば高域をブーストすればきらびやかな印象になるかもしれませんが、それ以前にギターのピックアップの位置が適切かどうかによっても音色は全然変わってきます。

ピアノの高域をきらびやかにしたい場合そもそも選んでいる音が重く豪華なグランドピアノである場合があります。それならばポップスで使えるようなピアノの音色をチョイスするところからスタートすればよいのです。このように適切な音色を選ぶことさできれば「質感の変化」を目的としたEQ処理はしなくてすみます。

それでもEQを使う場合

コツは簡単です。1.5dB〜2dBの幅でしかEQを使わないようにします。これはマスタリング的なEQの使い方でもあるのですが、大げさに使わないと自分の意図とする音色ならないのであればそれは音色選びの段階で問題があるという考え方です。こうすれば「EQに頼らない=元の音色のクオリティを吟味できる」という能力も身につきます。

まとめ

EQの使い方と言われたら、「Qを短くしてブーストして音が変に感じる部分を探しましょう」という話をするケースが多いですが、EQを使わなくていいという考え方からスタートする方がよっぽど楽ですし音色のクオリティを保てるので楽曲のクオリティも上がります。

そもそも今みたいにDAWでEQやコンプが当たり前のように使われてなかった時代は外部ミキサーにつないで音量バランスだけで曲を作りそれがプロデューサーにジャッジされてOKが出ている時代から考えれば今はあまりにもプラグイン前提で考えすぎです。

とくにDTM初心者はEQやプラグインなどの使い方を覚えなくても良い曲は作れるという考えをしっかりもっておかないとDTMができることの多さに振り回されるだけになってしまいます。そういうことにならないためにも「音痩せするEQとしないEQの使い方は何が違うのか?」という切り口から音色選びの重要性に気づけるDTMerは今後のDTMライフを謳歌できるセンスがあるといえます。

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