音圧重視は懸念されてるけど私はがっつりとした音圧でミックスしたい!
Tbproaudio SLM2を使えばとにかくアナログ的な質感が詰まったミックスを作り上げることができます。一時期に比べると音圧重視的なサウンドは減りつつありますが、それでも高い音圧に自分らしさを求めている人も多いでしょう。
そこでTbproaudio SLM2の出番です。このVST プラグインを使えばとにかくアツアツなミックスになります。ロックやEDMなどのジャンルを自分が思い描いた以上の音圧を作り出してくれます。
Tbproaudio SLM2とは
Tbproaudio SLM2は低価格でありながらアナログテイストあふれるマキシマイザーです。マスタリングから個別のトラックの音作りまで幅広く対応します。
マキシマイザーとは音割れさせずに音圧を高めるエフェクトプラグインです。DAWの中に標準装備されていてLogicProではAdaptive Limiter がマキシマイザーになります。
Tbproaudio SLM2の特徴
- 透明度の高いブリックウォールリミッター
- 入力信号の飽和
- 攻撃と解放の完全な制御
- 切り替え可能な先読み
- 切り替え可能な彩度
- 2つのリミッターモード
- 追加のドライブ/クリップステージ
- ステレオリンク
- 最大16倍のオーバーサンプリング
- 使いやすいGUI
- プリセットマネージャー
- 大きくて正確なライブメーター
- すべてのサンプルレートをサポートしま
個人的に注目したいのは透明性と飽和を兼ね備えたマキシマイザーであることです。タイトルにもある「アナログ風マキシマイザー」は飽和サウンドを指した言葉です。基本的な使いかたは後のお伝えしますが、左のブロックで透明感のあるマキシマイザー右のブロックでクリッパーとしてsoft〜Hardなサチュレーション感を作り出します。
一粒で二度美味しいマキシマイザープラグインといえます。
マスタリング時にも使えますし、ドラムバスに使えばGlue的な効果も見込めます。
またオーバーサンプリングが16倍まで対応しています。オーバーサンプリングとは例えばDAWで指定しているサンプリング周波数が48kHzの場合、オーバーサンプリングが2倍ならプラグインの中では96kHzとして処理します。Tbproaudio SLM2は最大で16倍なので、768kHzで処理することが可能です。当然高いサンプリング周波数を扱うとなると負荷が高くなりますがそれだけ音質向上のメリットがあります。
システム要件
WindowsXPSP3以降
MacOSX10.9以降
Win:32/64ビットVST、32/64ビットVST3、32ビットRTAS、32/64ビットAAX
OSX:32/64ビットVST、32/64ビットVST3、32 / 64ビットAU、32ビットRTAS、32/64ビットAAX
動作確認DAW:Cockos Reaper、Steinberg Cubase / Nuendo / Wavelab 6/7/8/9/10、FLStudio 12.x / 20.x、PT10 / 12/2018、Reason 9.5 / 10、Studio One、Ableton Live
基本的にどのDAWでも問題なく動きます。
Tbproaudio SLM2の使い方
左のブロックのGainが基本的なマキシマイザーとなります。それぞれのパラメーターの変化幅は以下の通りです
- Gain 0~24dB
- アタック 0~1000ミリ秒
- リリース 0~1000ミリ秒
リリースは「手動とAuto」に変更することが可能です。
アタックはトランジェントをクリッピングステージ(右側のブロック)に渡すかを制御します。
Saturationというスイッチが見られますが一般的に「音を飽和させる」というサチュレーションとは違うのかいくつかのパラメーターを動かしながら確認してみましたがはっきりとした違いは確認できせんでした。
中央のパネルはVUメーターとオーバーサンプリングの切り替えになります。オーバーサンプリングにこだわらないのであれば1X(オーバーサンプリングなし)でも十分な音質をです。
右側のブロックはクリッピングステージと呼ばれ、音圧と飽和感をコントロールします。各パラメーターは以下の通りです。
Look Ahead(先読み)
信号分析の時間枠の長さを制御します。上がショートで下がロング、ロングにすると音の劣化を抑えられます。ショート/ロング、デフォルトはショート。
リミッターモード
「Norm」は標準のリミッターモードで、「Smooth」は追加のアンチクリッピング機能を有効にします。(上がNormで下がSmoothでデフォルトはNormになります。
ドライブクリッパー
SLM2の要とも言える2番目のゲインステージです。ラウドネスをさらに上げるために使用できます。
変化幅は0- + 24 dB、デフォルトは0.0 dB
チャンネルリンク
100%に設定すると、ゲインリダクションは両方のステレオチャンネルの最高ピークから計算されます。0%までは、両方のチャネルが完全に独立して処理されます。
変化幅は0〜100%、デフォルトは100%
Ceiling
Ceilingは、出力信号が到達できる最大レベルを設定します。
変化幅は-24-0 dBFS、デフォルトは0.0 dB
Tbproaudio SLM2 CPU負荷について
使用環境は以下の通りです。
- パソコン Macmini2018
- CPU Corei7(i7-8700B)6コア HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
- メモリ 32GB
- システム OS10.14.6 Mojave
- Audio/IF APOGEE Symphony Ensemble
- バッファー 256
- DAW LogicPro10.6.1
- 48kHz/24bit
- 再生ストレージ HDD
オーバーサンプリング16Xはさすがに高負荷になりますがそれ以外ではほとんど負荷的なものはないと見て間違いありません
左側の画像に若干負荷があるのはBFD3を立ち上げているためです。
Tbproaudio SLM2 サウンド
DrumのバスチャンネルにSLM2を使用してみました。まずはプラグインをOFFの状態
次にプラグインをONにして左のブロックのGainで6dBアップした状態
次に右ブロックのDriveでさらに6dBブーストした状態
割と素直な印象です。
アナログらしい歪が付加された状態ですが、聞くに堪えないほどではありません。
ちなみにですが、左ブロックのゲインは6dB程度では倍音が発生することはありません。サイン波で計測したところ11.59dB付近から倍音が発生します。いわゆる歪出すということですね。
Tbproaudio SLM2の価格
Tbproaudio SLM2の価格は49€ 日本円で税込み7,436円です。最大16倍のオーバーサンプリング機能がついた高品位なマキシマイザーとクリッパーが1つになって7,436円は高い金額ではないと思います。
またデモも試すことが可能です。制限は特にありませんが、90秒ごとに瞬間無音になります。
まとめ
Tbproaudio SLM2は透明性のあるマキシマイザーとアナログ飽和感あふれるクリッパーを兼ね備えたマキシマイザーです。
音の傾向はPSPのVintageWarmer 2と似ている部分もあります。安価でクオリティがよく、オーバーサンプリングまで搭載したTbproaudio SLM2はかなり使い勝手がよいマキシマイザーです。
骨太なロック系にはかなりハマりやすいように思いました。みなさんも一度を使ってみることをオススメします。
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