Black Rooster Audio The ALL Bundle がっつりレビュー

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音楽制作の世界は、日々進化し続けるテクノロジーによって、ますます複雑かつ多様なものになっています。かつては高価なスタジオ機器と専門的な知識が必要だったタスクも、今では手軽に、そして低コストで実現できるようになりました。

しかし、この進化の裏には一つの大きな問題が潜んでいます。それは、多くのプラグインやツールが出回る中で、本当に「質の高い」ものを見つけ出すことの難しさです。特にビンテージのアナログ機器のサウンドをデジタルで再現しようとすると、そのクオリティには大きなばらつきがあります。

このような課題に対する解決策として、強くお勧めしたいのがBlack Rooster Audioの「The ALL Bundle」です。

このバンドルは、ビンテージ機器のエミュレーションに特化した多数のプラグインを一つにまとめたもので、そのクオリティと使い勝手の良さで業界内でも高い評価を受けています。VLA-2A、VLA-3A、VPRE-73といった名前を聞いただけでも、多くのプロデューサーとエンジニアが信頼を寄せる理由がわかるでしょう。このバンドルを使えば、ミキシングからマスタリング、サウンドデザインまで、あらゆるステップでプロフェッショナルな仕上がりを手に入れることができます。

でも、こんなに大量のプラグインはいらないという人もいるでしょう。そういう人のために、私が個人的にこれをもっておくのがオススメとしたプラグインを5つ最後にまとめてあるので、気になる人は参考にしてください。

Black Rooster Audio
UG
  • 元ゲーム音楽屋(NintendoDSなど)
  • 作曲歴20年以上
  • DTM記事執筆500以上
  • ショートアニメ、CM、企業PV音楽を制作
  • 詳しいプロフィール

タップできる目次

Black Rooster Audio The ALL Bundle 概要

画像
メーカーBlack Rooster Audio
製品名The ALL Bundle
特徴ダイナミクス7種類
サチュレーション3種類
リバーブ&ディレイ4種類
イコライザー4種類
アンプシミュ&チャンネル・ストリップ4種類
システムすべてのテーブルタイポグラフィはMサイズにする
バージョン以下のテーブルに表記
認証方式シリアル認証
認証数5
容量総容量642.5MB
マニュアル公式サイトにて(英語のみ)
価格438.90ドル→108.90ドル
備考体験版あり(14日期間限定)
VSTプラグインは2.4((VST3は開発中)

Black Rooster Audioは、ドイツのソフトウェア会社であり、さまざまなデジタルオーディオワークステーション(DAW)用の高品質なオーディオプラグインを作成しています。The ALL BundleはBlack Rooster Audioで開発されたプラグインを一つにまとめたバンドルセットであり、そのクオリティはアマチュアからプロまで幅広く指示されています。

製品名価格特徴ver日付更新内容
BlueAsh SC-5$29.00電子ギターとドラムに適した多機能VCAコンプレッサー2.5.12020-08-03名前変更
BlackAsh SC-5$39.00ドラムとボーカルに適した、より暗い音色のVCAコンプレッサー2.5.12020-08-03名前変更
The Canary無料ドラムのトーンを復元1.02015-04-15リリース
Cypress TT-15無料低ワットのアンプを模倣1.42017-02-02リリース
Edelweiss`72$79.00プロフェッショナル向けの高度にダイナミックなミキシングツール2.3.02018-10-26リリース
GA-GT2$29.00ギター、ベース、ボーカルに適用可能な多機能プリアンプ2.6.32022-12-15リリース
KH-COMP1$59.00高速なアタックが可能。ほぼすべてに適用可能。2.52020-04-16リリース
KH-EQ1$59.00ボーカル、楽器、バス、ミックスチャンネルに適用可能2.5.52021-05-05リリース
Magnetite$49.00スネアドラム、ループ、ボーカルに最適2.02017-06-30リリース
OmniTec-436C$59.00ゴールデンエイジの音楽に似た鮮やかなエネルギーを注入2.6.42023-05-04リリース
OmniTec-67A$39.00ヴィンテージのチューブプリアンプ2.5.62021-09-09リリース
RO-140$49.00ヴィンテージプレートリバーブの最高のエミュレーション2.6.02022-07-22処理更新
RO-GOLD無料オリジナルのプレートリバーブの明瞭性を維持2.6.12022-08-30リリース
RO-SPR$49.006種類のスプリングタイプと多機能なEQ2.6.02022-07-22処理更新
TD-201$49.0021世紀に適した多機能なテープエコープラグイン2.6.22022-10-14リリース
VEQ-1P$39.00高域と低域を操作しながら、中域を影響させない2.6.5*GUIを刷新
VEQ-5$29.00ボーカル、ギター、キーに最適なミッドレンジ2.6.5*GUIを刷新
VHL-3C無料シンセサイザー、ボーカル、ベースに適した高品質なEQプラグイン2.6.5*GUIを刷新
VLA-2A Mark II$59.00ボーカル、ストリング、ホーンに最適2.6.02022-07-22GUI操作更新
VLA-3A$59.00ミッドレンジを強調し、ミックスをしっかりとまとめる2.5.92022-03-25リリース
VLA-FET$59.00ダイナミクスの非常に直感的な操作が可能2.4.02019-07-01リリース
VPRE-73$39.00マスターバス、電子ギター、ピアノに最適2.5.82021-10-31ハロウィンエディションリリース

Black Rooster Audioにはそれぞれ特化したバンドルセットが存在します。それらは次のようなプラグインによって成り立っています。

製品名The ALL BundleVocal Mix EssentialsVLA BundleReverb & Delay BundleDrum Mix EssentialsControl Room Bundle
価格438.90ドル163.90ドル163.90ドル163.90ドル163.90ドル163.90ドル
セール価格108.90ドル53.90ドル53.90ドル53.90ドル53.90ドル53.90ドル
BlueAsh SC-5
BlackAsh SC-5
The Canary
Cypress TT-15
Edelweiss`72
GA-GT2
KH-COMP1
KH-EQ1
Magnetite
OmniTec-436C
OmniTec-67A
RO-140
RO-GOLD
RO-SPR
TD-201
VEQ-1P
VEQ-5
VHL-3C
VLA-2A Mark II
VLA-3A
VLA-FET
VPRE-73

自分の用途にあったバンドルセットを選ぶのもいいですが、値引き率から言えばThe ALL Bundleが最もお得だといえます。

それでは次の項目からそれぞれのプラグインを単体でレビューしていきます。

Black Rooster Audio The ALL Bundle レビュー

BlueAsh SC-5&BlackAsh SC-5

BlueAsh SC-5BlackAsh SC-5
マニュアル英語英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

BlueAsh SC-5&BlackAsh SC-5 概要

バージョンと更新内容:

BlackAsh SC-5とBlueAsh SC-5のバージョンは両方とも2.5.1で、2020年8月3日に名前変更が行われました。

BlueAsh SC-5

BlueAsh SC-5は、クラシックで人気の高い VCA コンプレッサーの 70 年代のオリジナルのブルーフェイス バージョンを正確にモデル化、明るく鮮やかな音色でギターとドラムに適した多機能VCAコンプレッサーです。

  • 目的: クラシックなVCAコンプレッサーの70年代のブルーフェイスバージョンを模倣。
  • 特徴: 自動ゲイン補正、本格的な回路エミュレーション。
  • 多用途性: マスターバス、ドラムバス、ダイナミックな素材に対応。

BlackAsh SC-5

BlackAsh SC-5は、80年代のオールアメリカンコンプレッサーを再現、ドラムとボーカルに適しており、より暗い音色のVCAコンプレッサーとして設計されています。またBlueの違いとして外部サイドチェイン入力が搭載されています。

  • 目的: クラシックなVCAコンプレッサーの「ブラック」バージョンを模倣。
  • 特徴: 外部サイドチェーン入力、自動ゲイン補正。
  • 多用途性: マスターバス、ドラムバス、ダイナミックな素材に対応。外部サイドチェーンで更に多様な圧縮動作。

Blueの方が高域がプッシュされるためか音が明るく感じます。ただプッシュされているのは15〜20kHz付近の超高域付近なので素材によってはそこまで違いがわからないと感じる人もいるかもしれません。

dry
Black SC-5
Blue SC-5

デモを確認する限り、Blackの方が高域の減衰感が早く感じます。このため少し暗い印象あります。しかし、シックな印象と解釈できるサウンドなので、高域をなだらかにしたいトラック等に使うと意図する音質になる可能性があります。

BlueAsh SC-5&BlackAsh SC-5のメリット

  • BlueAsh SC-5: マスターバスの信号を甘くしたり、ドラムバスで歪んだサウンドを作成したり、ダイナミックな素材を制御したりする際に有用です。自動ゲイン補正機能により、入力ゲインを調整しながら出力レベルを維持できます。
  • BlackAsh SC-5: BlueAsh SC-5と同様の用途に加え、外部サイドチェーン入力を使って更に多様な圧縮動作を得られます。特に、外部サイドチェーンを用いて特定の信号に対するコンプレッサーの反応を調整することが可能です。

両方とも多用途であり、音楽制作やミキシングで遭遇する多くの問題に対応できるよう設計されています。特に、ダイナミクスの制御、トーンの調整、サウンドの「色付け」などが容易になります。

The Canary

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格(無償)
総合評価

The Canaryの概要

The Canaryは、録音やミキシングプロセスで最も力強く説得力のあるドラムサウンドを作成するために設計されたプラグインです。このプラグインは、録音プロセス中に失われた可能性のある、または最初から存在していなかったドラム信号の基本的な側面(トーン、アタック、サステイン、基本的なフィルタリング)を拡張および回復する機能があります。

主な機能

  • アタックプロセッサ: 入力信号のアタックフェーズを強調します。
  • サステインプロセッサ: 入力信号にトリガーされた合成サステインフェーズを追加します。
  • フィルターとミックス: 追加された信号成分は、4つの単純な事前定義されたフィルターを使用してフィルタリングできます。

サウンドデモ

Canary dry
Canary wet

使い方はそれぞれですが、ルーム感の大きいドラムトラックからもう少し素材のアタックやOFF感が欲しいときに役立ちそうです。

The Canaryのメリット

The Canaryは、録音中に失われたアタックやインパクトを合成的に追加することで、ドラム信号をミックス内で洗練および再定義する能力があります。特に、ドラムが鈍く聞こえる、またはそれほど力強くない場合に有用です。このようにして、The Canaryはドラムのサウンドを強化し、ミックスにおけるその存在感を高める問題を解決します。

Cypress TT-15

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格(無償)
総合評価

Cypress TT-15はBlack Rooster Audioによって開発されたギターアンプヘッドのエミュレーションプラグインです。このプラグインは、低ワット数のアンプを非常に独特なサウンドで忠実にモデル化しています。非常にシンプルで直感的な6つのコントロールを備えており、クリーンからクランチ、さらには歪んだリードサウンドまで、幅広いギタートーンを短時間で作成するのに役立ちます。また、外部のパワーアンプやキャビネットに電力を供給する場合、または他のソリューションを探している場合には、2×12キャビネットシミュレーションをバイパスすることもできます。

サウンドデモ

Cypress TT-15 dry
Cypress TT-15 wet

無償クラスしては音質や空気感も良く、個人的に高い評価です。しかし、ボリュームでかなり音が変わるのですが、個別のゲインを調整できるパラメーターはないので、音量調整に別途ゲイン系のプラグインがあった方がよいシーンも出てきそうです。

Cypress TT-15のメリット

Cypress TT-15は、以下のような問題を解決します:

  1. 多様なギタートーンのニーズ: クリーンなサウンドから歪んだリードサウンドまで、多様なギタートーンを短時間で作成できます。
  2. シンプルな操作: 6つの直感的なコントロールにより、複雑な設定なしで素早く理想的なサウンドを得られます。
  3. 柔軟性: 既存の外部パワーアンプやキャビネットと組み合わせて使用することも、スタンドアロンで使用することもできます。

このように、Cypress TT-15はギタリストやプロデューサーが求める多様なサウンドを効率的かつ簡単に作成するためのツールとなっています。

Edelweiss`72

音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

Edelweiss ’72は高度に調整されたチャンネルストリッププラグインで、ミキシングプロセスを強化する多機能ツールです。

このプラグインは、ダイナミックレンジを拡張するエクスパンダ、5バンドのイコライザー、およびコンプレッション/リミッティングステージを一つに組み合わせています。また、17個の個別バイパスと複数のソロオプション、さらには高度なメータリングオプションも備えています。これにより、ユーザーはミキシングプロセスをより正確かつ効率的に行えます。音質に優れ、信頼性が高いこのプラグインは、プロフェッショナルなサウンドエンジニアリングに必要なすべてを提供します。

サウンドデモ

Edelweiss ’72 dry

使ってみて思ったのは、イコライザーのかかり方がとても気持ちよく、どこを持ち上げても下げても心地よい感じになってくれます。

イコライザーのゲイン幅は±15dB、イコライザーノブはHish、High、Mid、Low、Lowsh,Gainと書かれているだけで具体的な周波数はわかりません。調べて見限りですが、およそ次の値になります。

Hish20kHz
High5kHz
Mid1500kHz
Low450Hz
Lowsh100Hz

他のイコライザープラグインとはLowやMidの概念が異なる印象があります。コンプやリミッターもがっつりとかかるので気持ちの良い圧縮サウンドを楽しめます。

CPU負荷は少し高めな印象なので、ソフトシンセに大量につかう場合は注意が必要でしょう。

チェインの順番を変更できないのが少し残念ですが、音質的にははっきりとしたわかりやすいサウンドが特徴的です。

Edelweiss ’72のメリット

  1. ダイナミックレンジの拡張: 信号のダイナミックレンジが狭い場合、エクスパンダを使用して広げることができます。
  2. 高精度なイコライゼーション: サウンドに必要な特定の周波数調整が必要な場合、5バンドのイコライザーで細かく調整できます。
  3. 信号の最適化: オートゲインとメイクアップコントロールを備えたコンプレッション/リミッティングステージで、信号を最適なレベルに引き上げることができます。

このように、Edelweiss`72は、ミキシングプロセス全体を高度に制御し、最適化するための多機能なツールとなっています。

Edelweiss`72はThe ALL Bundleの他Control Room Bundleにも収録されています。

GA-GT2

音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

GA-GT2: 概要

GA-GT2は、SansampのGT2をモデリングしたアナログアンプエミュレータープラグインです。このプラグインはギター、ベース、さらにはボーカルトーン(試してみてください)を迅速に手に入れるための理想的な選択です。ヴィンテージトーンからヘビーメタルのディストーションまで、この多機能なユニットは何でもこなします。

GA-GT2 dry
GA-GT2 wet

特長

  • キャビネット回路エミュレーションをバイパスできる機能
  • トレブルとベースのコントロールでシェルビングEQを調整
  • 信号を反転させてフェーズキャンセルを避ける機能
  • 入力信号と歪んだ信号をブレンドするミックスノブ
  • 高度な回路エミュレーションでアナログユニットのサウンドと感触を忠実に再現

GA-GT2のメリット

  1. 多様なトーンの必要性: GA-GT2は、ギター、ベース、ボーカルなど、多様な楽器や用途に対応したトーンを提供します。
  2. サウンドのカスタマイズ: トレブル、ベース、ミックスノブなどの多機能なコントロールにより、ユーザーはサウンドを自分好みに調整できます。
  3. フェーズキャンセルの防止: 信号を反転させることで、フェーズキャンセルを避け、クリアなサウンドを保ちます。

このプラグインは、多様な音楽ジャンルやプロダクションニーズに対応する多用途のプリアンプエミュレーションとして、さまざまな問題を効率的に解決します。

CPU負荷はマルチコアでの分散が効いているとはいえ少し高めの印象です。

操作性等は実機であるGT-2を触っていなくてもパラメーターは少ないので困ることはありません。価格は29ドルとコスパが高いので、元祖アンプシミュレーターのサウンドを楽しみたい人、実機を持っているけれどソフトウェアバージョンを探している人におすすめです。

KH-COMP1

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

KH-COMP1は、多くのプラチナアルバムを持つミックスエンジニアでありプロデューサーであるKoen Heldensとの共同開発によるプラグインです。このプラグインは、特にヒップホップジャンルでのアルバム制作においてKoen Heldensが持つ深い音楽と技術の理解に基づいています。KH-COMP1は、非常に特定の、市場にない圧縮ソリューションを必要としていたKoen Heldensの要求に応えるために開発されました。

主な特徴

  • 4つの検出モード(HILBERT/PEAK/VINTAGE/RMS)で、サイドチェーンレベルを広範かつ正確にキャプチャ。
  • インバーティブルSCフィルターで、サイドチェーン信号を完璧にトリミング。
  • ブレンデッドステレオリンクで、ステレオチャンネル間の詳細なコントロール。
  • ゼロレイテンシーで、リアルタイムモニタリングやライブ環境に最適。

サウンドデモ

KH-COMP1 dry
KH-COMP1 wet

ゲインリダクションは-3dB程度、コンプのかかり方は4つのモードより選択できます。

画像

サイドチェーン信号は、2バンド反転フィルターを使用して完全にトリミングできます。このサイドチェインはLISTENをONにすると、サイドチェインの音だけを確認することができますが、少しローファイ感あふれる音になるので、面白い音作りをすることもできます。

KH-COMP1 sidechain

KH-COMP1のメリット

KH-COMP1は、特にヒップホップジャンルにおいて、非常に特定の音楽制作ニーズに対応するための高度な圧縮ソリューションを提供します。具体的には、プロセスタイミング、チャンネルリンク、サイドチェーンフィルタリングなど、従来のプラグインやDAWで制限されていた部分に対する新しい解決策を提供します。これにより、よりクリエイティブで柔軟な音楽制作が可能になります。

KH-COMP1はThe ALL Bundleの他にDrum Mix Essentials Control Room Bundleにも含まれています。

KH-EQ1

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

KH-EQ1の概要

KH-EQ1はパラメトリック5バンドEQで、非常に独特な特性を持っています。各周波数帯域に色を付けることができ、非常に音楽的な機能性で創造的なサウンドシェイピングを促します。

このEQは、Koen Heldensのシグネチャーシリーズの第二弾であり、バンドごとの調和飽和と革新的なMid-Stereo-Sideルーターを備えています。Koen自身によって作成されたカスタムプリセットが各ライセンスに含まれており、プロフェッショナルなスタジオ体験を提供します。このプラグインは、プロデューサーのアーセナルに最適な追加であり、あなたのプロダクションに豊かさと創造性を加える理想的なツールです。

ユニークなのはSATと書かれたノブ、各帯域に一つずつサチュレーションを独立して使うことができます

通常でもある程度の倍音は発生します。

MIDのSATを中央付近まであげてみます。

画像

計測に使用しているサイン波は64.5Hzですが、かなりの倍音が発生します。この時点でかなりのクセが強い感じがあります。

画像
画像

またMIDのSATを50%にした場合、リニアカーブはこのような形になります。音作りの方向で使うには面白いイコライザーです。

サウンドデモ

KH-EQ1 dry
KH-EQ1 wet

KH-EQ1のメリット

サチュレーションによる独特の色付けや、33kHzまで設定できる超高域などの幅広い音作りが可能、サチュレーションの設定次第では意図しない音になってしまうので少し注意が必要だけれど、うまく使えれば、団子ミックスを回避できる要素を見いだせる。

Magnetite

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

Magnetiteの概要

Magnetiteは、磁気テープレコーダーのサウンドに敬意を表して作られたプラグインです。このプラグインを使用すると、録音ゲインノブで望む量の飽和と暖かみを簡単に設定でき、ミックスにアナログテープの特性を追加できます。特に、大きなドラム、歪んだループ、飽和したボーカルなど、Magnetiteを使ってトラックに新しい命を吹き込むことができます。

主な特徴

  • クラスAの録音と再生アンプ、テープの応答と飽和、NABのプリエンファシスとディエンファシスEQ、テープ速度とバイアスレベルの音響効果、ヒスとハムなど、アナログテープに関連するすべての音響側面をエミュレート。
  • 3種類のテープを選択可能
  • オーバーサンプリングは自動調整され、最も透明なサウンドを提供しながらCPUパワーを節約。

サウンドデモ

Magnetite dry
Magnetite BLK
Magnetite BLU
Magnetite RED

ネット界隈でも多くの人がコストパフォーマンスの高さと音質を評価している。テープエミュレーションプラグインです。色付けはそこまでなく、ナチュラルに音が持ち上がり、心地よいテープサチュレーション感が得られます。

使い方のコツとしては録音レベル(REC LEVEL)がポイントです。入力信号に適用されるゲインを -24 ~ 24 dB の間で制御しテープに送信することになります。メーターが0デシベルとを超えすぎると飽和感が強くなるので、ピークが0dBを超えないあたりにすると良いでしょう。

Magnetiteのメリット

Magnetiteを使用すると、アナログテープのような暖かみと飽和感をデジタルミックスに簡単に追加できます。これにより、特にドラムやボーカルなどのトラックが生き生きとした質感を持つようになります。

MagnetiteはThe ALL Bundleの他にDrum Mix Essentialsにも含まれています。

OmniTec-436C

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

OmniTec-436C 概要と特徴

OmniTec-436Cは、1950年代に導入された伝説的なAltec 436Cチューブコンプレッサーに触発されたプラグインです。このコンプレッサーは、その高いダイナミックレンジとビンテージの暖かさで高く評価されています。OmniTec-436Cプラグインは、このビンテージコンプレッサーの最良の特性を現代化し、追加のサイドチェーンフィルター、デュアルモノ/ステレオリンク、リミットモード、SCリッスンモードを提供しています。

音質に関しては、OmniTec-436Cはチューブベースのモデリングを採用しており、滑らかで柔らかなトーンを楽曲にもたらします。このプラグインは、ボーカル、弦楽器、金管楽器、さらにはシンセサイザーにも適用可能です。

サウンドデモ

OmniTec-436C dry
OmniTec-436C wet

サイドチェインを設定し、スネアとタムの奥行きを調整する感じでです。音質はいかにもアナログテイストあふれるものになっていますし、ギターの持ち上がり方も自然な雰囲気です。Muコンプ的なアプローチがほしいときに試してみたいプラグインです。

特定の特徴:

  • ヴィンテージのvari-muコンプレッサーの回路と特性を正確にエミュレート
  • 強力な2バンドのサイドチェーンフィルター
  • 高度なステレオリンクと並列圧縮機能

OmniTec-436Cのメリット

  1. 音質の向上: OmniTec-436Cは、そのチューブベースのモデリングにより、楽曲に滑らかで柔らかなトーンをもたらします。
  2. 多様な適用: ボーカルからシンセサイザーまで、多くの楽器やトラックに適用可能です。
  3. 高度な制御: 2バンドのサイドチェーンフィルターと高度なステレオリンク機能により、よりプロフェッショナルなサウンドとステレオイメージの制御が可能です。

このように、OmniTec-436Cは音質の向上、多様な楽器やトラックへの適用、そして高度な音像制御の面で非常に有用です。

OmniTec-67A

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

OmniTec-67Aの概要と特徴

OmniTec-67Aは、ヴィンテージの真空管プリアンプで、信号を豊かで生産的なものに変換します。このプラグインは、特にモータウンの音楽に大きな影響を与えた有名なAltec 1567Aに触発されています。OmniTec-67Aは、ボーカル、ベース、ドラムトラックに飽和、高調波、微妙な歪みを追加するのに最適なツールです。

このプラグインには、3種類の真空管タイプ、基本的なゲインステージングのためのライン/マイクスイッチ、クラシックな3バンドイコライザー、2つのバイアス電圧オプションなど、多くの機能が含まれています。

音質面ではわりとすぐに歪む印象です。その歪もサチュレーションのような心地よさというよりはかなり歪んでしまっている感じで人によっては好ましくない音質と受け取ってしまうかもしれません。

しかし、素材と設定さえはまれば、文字通りモータウン的なニュアンスの音色を提供してくれますし、素材の持っている空気感を上手く引き上げてくれます。

この歪み方は他のプラグインではあまり聴いたことないタイプなので、イコライザーのバリエーションというよりは歪のバリエーションとして持っておきたいところです。

サウンドデモ(ドラムのバスとギターに使ってみました。)

OmniTec-67A dry
OmniTec-67A wet

OmniTec-67Aのメリット

  1. 飽和と高調波の追加: ボーカルや楽器のトラックが平坦で無生気な場合、OmniTec-67Aはそれらに豊かな飽和と高調波を追加して、より生き生きとしたサウンドを作り出します。
  2. 多機能性: 3種類の真空管タイプと3バンドイコライザーにより、多くの異なるアプリケーションと音楽ジャンルに対応しています。
  3. ゲインステージング: ライン/マイクスイッチにより、ソースに応じて適切なゲインステージングが可能です。

OmniTec-67AはThe ALL Bundleの他にControl Room Bundleにも含まれています。

RO-140

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

RO-140の概要

RO-140は、Black Rooster Audioによるプレートリバーブのエミュレーションプラグインです。このプラグインは、伝説的なハードウェアと同様に、アナログユニットのサウンドと感触をできる限り忠実にキャプチャすることを目的としています。RO-140は、6種類の物理的にモデル化されたプレート素材(金、銀、鋼、アルミニウム、青銅、チタン)を提供し、それぞれのプレートサイズ、減衰、プリディレイコントロールがカスタマイズ可能です。

サウンドデモ(ドラムとギターに使ってみました)

RO-140 dry
RO-140 wet

サウンドはいかにもプレートリバーブといった硬質的な響きです。ただ広がり感が少し狭い印象があり、素材によってはモノラル的に聴こえる場合があるかもしれません。

ノブを回すのがちょっと上手く行かないなどの操作性がイマイチと感じる点があります。また好みのリバーブサウンドにするのに設定を追い込まないといけないような点があるので、使った瞬間に「最高だ!」とは思えませんでした。しかし、設定を追い込むことで、好みのプレートリバーブサウンドになり、またそのサウンドは他のリバーブでは出にくいニュアンスがあるので、リバーブのバリエーションとして役に立つシーンはあるように感じました。

RO-140のメリット

  1. 多様なリバーブニーズ: RO-140は、トラックに適したリバーブを選ぶ際の柔軟性を提供します。これにより、広々とした空間からコンパクトな環境まで、さまざまな空間をシミュレートできます。
  2. コストと時間の削減: かつては、高価なリバーブルームを再現するために金属板や箔が使用されていましたが、このプラグインにより、そのような手間とコストを削減できます。
  3. サウンドのカスタマイズ: 素材とサイズの異なる6つのプレートを組み合わせることで、独自のリバーブサウンドを作成できます。

RO-140はThe ALL Bundleの他にControl Room Bundle、Reverb&Delay Bundleにも含まれています。

RO-GOLD

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

RO-GOLDの概要

RO-140と姉妹にあたるRO-GOLD、一見すると、RO-140の中にあるリバーブ設定のGoldだけを抜き出したものかとも思いましたが、サウンドが絶妙に異なり、RO-GOLDの方がシックでジェントルな響きを持っています。

RO-140 Gold
RO-Gold

フリー配布されているものですが、それなりのクオリティもあるので、リバーブの手数を増やしたい人は持っておいてもよいかもしれません。

RO-GOLDはThe ALL Bundleの他にReverb&Delay Bundleにも含まれています。

RO-SPR

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

RO-SPRの概要

RO-SPRは、Black Rooster Audioによって提供されているビンテージスプリングリバーブのエミュレーションプラグインです。このプラグインは、6種類のスプリングタイプ、3バンドのイコライザー、スプリングの長さとモードの制御を提供しています。RO-SPRは、ギター、ベース、ボーカル、ドラム、ブラス、シンセトラックにビンテージのスプリングサウンドを追加することができます。

サウンドデモ

RO-SPR dry
RO-SPR wet A
RO-SPR wet B
RO-SPR wet C
RO-SPR wet D
RO-SPR wet E
RO-SPR wet F

ピチャピチャという「いかにもスプリング・リバーブ!」というものから、プレートリバーブにニュアンス近いものまで。6種類のバリエーションがあるあので音色幅は広いので、リバーブの手数を増やしたい人にはオススメです。

RO-SPRのメリット

  1. サウンドデザインの多様性: RO-SPRは、6種類のユニークなスプリングタイプを提供することで、多様なサウンドデザインが可能です。
  2. スペクトル調整: スプリングリバーブは通常、低域が重い傾向がありますが、このプラグインには3バンドのイコライザーが付いているため、自然なルームフィールを維持しながらスペクトルを調整することができます。
  3. 空間表現の柔軟性: スプリングの長さと減衰を調整することで、クラシックなルームリバーブからサイケデリックな空間デザインまで、多様な空間表現が可能です。
  4. モノとステレオの対応: モノ、ステレオ、M2Sモードがあり、特にM2Sモードでは、モノ信号を非同一のスプリングに送ることで独自の幅を作成することができます。

これらの特性により、RO-SPRは音楽制作において多様で高度なリバーブ効果を簡単に実現できるツールと言えるでしょう。

RO-SPRはThe ALL Bundleの他にReverb&Delay Bundleにも含まれています。

TD-201

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

TD-201の概要

TD-201は、ビンテージテープエコーをエミュレートするプラグインです。このプラグインは、1950年代の音楽制作における多くの革新的な技術の一つとして誕生しました。特に、EchoplexやCopicatなどの初期のテープディレイは、技術的には不安定でありながらも、そのサウンドが非常に魅力的であったため、さまざまな改良が加えられました。TD-201は、これらのビンテージユニットの持つ特性を高度にカスタマイズ可能な形で提供しています。

サウンドデモ

TD-201 dry
TD-201 wet

TR-201と元となった機材はスペーシーなエコーとして有名ですが、それと同じくらリズミカルなエコーとしても有名です。デモではSAW波をリズミカルな感じで飛ばして遊んでみましたが、テクノポップっぽい雰囲気をかんたんに出せます。初心者にとってはパラメーターの意味合いを理解するのに時間かかるのと、音量調整が絶妙に難しい場面があると感じました。

TD-201のメリット

  1. 信頼性と利便性: 旧式のテープディレイは、技術的に不安定で、移動や使用が困難でした。TD-201は、これらの問題を解消し、安定した環境でビンテージサウンドを再現します。
  2. 高度なカスタマイズ: TD-201は、再生ヘッドごとに深度、ボリューム、ステレオ位置を調整することができ、非常に高度なカスタマイズが可能です。
  3. 同期機能: プラグインには、タップと同期機能があり、エコーをリズムに合わせて簡単に同期することができます。
  4. ランダム性の追加: モーター、フラッター、ヘッドルーム、ドロップアウト、ノイズなど、ハードウェアテープマシンの特性を微調整して、より本物らしいエコーを作成することができます。
  5. Lo-Fiカセットエフェクト: エコーを0msに設定し、モーター、フラッター、ヘッドルーム、ドロップアウト、ノイズを調整することで、Lo-Fiカセットエフェクトを作成することも可能です。

これらの特性により、TD-201は音楽制作やサウンドデザインにおいて、高度なエコーとディレイ効果を効率よく、かつ柔軟に実現する強力なツールと言えます。

TD-201はThe ALL Bundleの他にReverb&Delay Bundleにも含まれています。

VEQ-1P

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

VEQ-1Pの概要

VEQ-1Pは、Black Rooster Audioによって提供されるプログラムイコライザーのプラグインです。このプラグインは、スタジオ史上でも最も有名で尊敬されているイコライザーに触発されています。VEQ-1Pは、低域と高域のスペクトルを操作することができ、中域に影響を与えることなく、非常に音楽的な方法で棚周波数を処理する多くのオプションを提供します。

VEQ-1P dry
VEQ-1P wet

パルテックEQは多くのメーカーからエミュレーションが開発されています。どのエミュレーションプラグインが良いかどうかは実機を所持している人からすれば、実機のサウンドをどこまで再現できているかがポイントですが、プラグインの音しかしらない場合は操作したときの音質の変化が好みにあうかどうかでしょう。

UADのパルテックEQと比較して思ったのあ、UADの方が同じパラメーターであってもどっしりとしている印象でしたが、VEQ-1Pも心地よいサウンドを提供してくれるので、好きな方を選んでも問題ないと感じました。

VEQ-1Pのメリット

  1. 中域の保護: 低域と高域を調整しても、中域が損なわれることはありません。これは、ボーカルや楽器の自然な質感を保ちながら、必要な調整を行う際に非常に有用です。
  2. 多様なフィルタリングオプション: ブーストとカットを同時に行うことができるインタラクティブなフィルタネットワークを提供しています。これにより、他のイコライザーでは達成できないような、非常に音楽的な調整が可能です。
  3. 高度なカスタマイズ: 回路の各部分が詳細にモデル化されているため、アナログ機器に近い音質と感触を得ることができます。
  4. CPU効率: オーバーサンプリングが自動調整されるため、高品質なサウンドを維持しながらCPUリソースを節約できます。

これらの特性により、VEQ-1Pは音楽制作において、高度で柔軟なイコライジングを効率よく実現できる強力なツールと言えます。

VEQ-1PはThe ALL Bundleの他にDrum Mix Essentialsにも含まれています。

VEQ-5

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

VEQ-5の概要

VEQ-5は、Black Rooster Audioによって提供されるビンテージミッドレンジイコライザーのプラグインです。このプラグインは、スタジオ史上でも最も有名で尊敬されているイコライザーに触発されています。特に、200Hzから7kHzの「パワーレンジ」周波数に焦点を当て、ボーカルをクリーンアップし、甘美なサウンドを作成することを目的としています。また、ギターやキーボードにも効果的です。

こちらもUADと比較してみましたが、カーブ的な特性も含めてそこまで大きくサウンドに影響するものではありませんでした。

画像

ただUADの方がローカットが入っていない点で若干低域にふくよかさがある印象です。

VEQ-5 dry
VEQ-5 wet

VEQ-5のメリット

  1. ミッドレンジの調整: VEQ-5は、ミッドレンジ周波数に特化しています。これは、多くの楽曲や音源がこの周波数範囲で生きているため、非常に重要です。ボーカルや楽器の中域を効果的に調整できます。
  2. サウンドの甘美化: プラグインは、ボーカルを「甘美」にすることを目的としています。これは、ボーカルが自然で心地よく聞こえるようにするために有用です。
  3. 多様なアプリケーション: このプラグインは、ボーカルだけでなく、ギターやキーボードにも適用できます。これにより、一つのプラグインで複数の楽器や音源を調整することができます。
  4. CPU効率: オーバーサンプリングが自動調整されるため、高品質なサウンドを維持しながらCPUリソースを節約できます。

これらの特性により、VEQ-5は音楽制作において、特にミッドレンジの調整とサウンドの甘美化に非常に効果的なツールと言えます。

VEQ-5はThe ALL Bundleの他にVocal Mix Essentialsにも含まれています。

VHL-3C

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格[review_stars5/5](無償)
総合評価

VHL-3Cの概要

VHL-3Cは、Black Rooster Audioによって提供されるビンテージの高/低パスフィルタープラグインです。このプラグインは、1950年代初頭に登場した非常に音楽的でインタラクティブなパスフィルターを持つアナログプロセッサーに基づいています。VHL-3Cは、3つのシンプルかつ直感的なコントロールを提供し、信号から低周波の騒音(rumble)、ハムノイズ、または過度な高周波を効果的に除去することができます。

当時はノイズを除去することを目的に作られていましたが、今はフィルターとしてクリエイティブな音作りに使うことの方が多くなりました。

サウンドデモ

VHL-3C dry
VHL-3C wet

UADのHLF-3Cと比較するとUADの方が若干高域が明るい印象ですが、それらの違いはそこまで大きな問題にならないレベルです。ただ使ってみて思ったのはハイが痛いギター等にはかなり有効的な印象なので、ハイが上がりすぎるDTMギター音源等に使ってみると良い結果になるでしょう。

VHL-3Cのメリット

  1. ノイズ除去: VHL-3Cは、低周波の騒音やハムノイズを効果的に除去することができます。これは、クリーンな録音やミックスを作成する際に非常に有用です。
  2. 高周波調整: 過度な高周波を抑制することで、サウンドが耳障りになるのを防ぎます。
  3. バンドパスフィルタリング: 両方のフィルターノブを極端な位置に設定すると、狭い「電話線」のようなバンドパスフィルターが作成されます。これは、特定のエフェクトやサウンドデザインに使用できます。
  4. CPU効率: オーバーサンプリングが自動調整されるため、高品質なサウンドを維持しながらCPUリソースを節約できます。

VHL-3Cは音楽制作やサウンドデザインにおいて、ノイズ除去以外に、ローファイサウンドへのアプローチ方法として有効なプラグインといえます。特に、このプラグインは無料で提供されているため、低予算でも高品質なサウンド処理が可能です。

VLA-2A Mark II

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

VLA-2A Mark IIの概要

VLA-2A Mark IIは、Black Rooster Audioが提供するビンテージレベリングアンプのエミュレーションプラグインです。このプラグインは、入出力トランス、ディスクリートなサイドチェーンとオーディオパスネットワーク、フィルター、そしてT4Bセルなど、アナログユニットの重要な部分が忠実にモデル化することで、特に、ドラム、ベース、ボーカルなどに優れたパフォーマンスを発揮します。コンプレッションを慎重に調整することで、信号がミックスにうまく収まるように設計されています。

サウンドデモ

VLA-2A Mark II dry
VLA-2A Mark II wet(CELL TYPE A)

VLA-2A Mark II アタックタイムとリリースタイムが異なったセルを3種類用意されており自由に選ぶことができます。

上記のデモではTYPE Aを選択していますが、BとCは次のようになります。

VLA-2A Mark II wet(CELL TYPE B)
VLA-2A Mark II wet(CELL TYPE C)

UADのLA-2Aのバリエーションみたいなものがこれ一つで済むのでプラグインの差し替えの手間等が省けます。

しかし、少し不具合的なものがあります。次のデモを聞いてください。

この不具合は私だけの環境の可能性もあります。

わかりますか?少し頭がかけてしまうのです。これは、TYPE A、B、Cによって異なります。これを回避するためには下記の画像のように頭を少しあけて書き出します。

画像

原因はわかりませんが、本来は音を止めればコンプはGRは0に戻るはずですが、なぜかメーターはゼロに戻ってくれません。

これがバグなのかどうかわかりませんが、操作性を悪くしている要因の一つであり改善されることを祈るばかりです。

音色が良いだけに残念です。

VLA-2A Mark IIのメリット

  1. ダイナミクスのコントロール: VLA-2A Mark IIは、ドラム、ベース、ボーカルなどのダイナミクスを効果的にコントロールします。これにより、各トラックがミックスにうまく収まるようになります。
  2. サウンドの質感向上: コンプレッションを慎重に調整することで、サウンドがより豊かでプロフェッショナルなものになります。
  3. CPU効率: オーバーサンプリングが自動調整されるため、高品質なサウンドを維持しながらCPUリソースを節約できます。

VLA-2A Mark IIは音楽制作において、ダイナミクスのコントロールとサウンドの質感向上を効率的に実現できる強力なツールと言えます。特に、この新しいバージョンはVLA-2A(バージョン1)の所有者に対して無料で提供されています。

VLA-3A

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

VLA-3Aの概要

VLA-3Aは、Black Rooster Audioが提供するビンテージレベリングアンプのプラグインです。このプラグインは、1970年代のアナログユニットを非常に忠実にエミュレートしています。特に、ボーカルに対する「ゴー・トゥー・コンプレッサー」として、また、パーカッションの素材に環境を出すためや、ミックスに一体感を出すためにも使用されます。

VLA-3A dry
VLA-3A wet

ピアノ、ドラムミックス、ベース、パーカッションなどにかけてみましたが、パーカッション系のアタック感を上手く拾って前に持ってくることができます。

VLA-2Aにあったようなバウンス不具合も特にありません。使い勝手がよいオプトコンプエミュレーションです。

UADのLA-3Aと比較すると、設定次第ではUADの方が歪みがあり派手に聞こえます。VLA-2Aではおとなしめの印象なので、そのあたりで使い分けが可能になりそうです。

VLA-3Aのメリット

  1. ダイナミクスのコントロール: VLA-3Aは、ボーカルやパーカッションのダイナミクスを効果的にコントロールします。オプトコンプの中でよりアタック感を強調したいときに有効です。
  2. 環境の強調: パーカッションなどの素材に環境を強調することで、楽曲に深みと広がりを与えます。
  3. ミックスの一体感: このプラグインを使用することで、楽曲全体に一体感を出すことができます。これは、特に複数の楽器や音源が組み合わさった複雑なミックスに有用です。
  4. CPU効率: オーバーサンプリングが自動調整されるため、高品質なサウンドを維持しながらCPUリソースを節約できます。

VLA-3Aは音楽制作において、オプトコンプでありながらも速いアタック感を音楽的にコントロールすることで、ミックスの一体感を効率的に実現できる強力なツールと言えます。

VLA-3AはThe ALL Bundleの他にVocal Mix EssentialsとVLA-Bundleにも含まれています。

VLA-FET

マニュアル英語
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

VLA-FETの概要

VLA-FETは、Black Rooster Audioによって提供されるビンテージFET(Field-Effect Transistor)レベリングアンプのプラグインです。このプラグインは、スタジオ史上でも最も有名で尊敬されているレベリングアンプに触発されています。特に、ドラム、ベース、ボーカルなどのダイナミクスを効果的に操作するために設計されています。超高速のアタックとリリースタイムにより、より精密かつ効率的なシグナル処理が可能です。

VLA-FET dry
VLA-FET wet

UADの1176と比較すると音色的にはREV Eが一番近い印象です。VLA-FETは中低域の解像度が低めに感じますが、独特の歪み感的な音色でもあるので、上手く設定すればガッツあふれる音色にもなります。

機能面では、1176の特徴であるRATIO全押しだけにとどまらず、1176をプリアンプとして使うRATIO解除モードもあり、他のメーカーの1176より広い音作りを可能とします。

VLA-FETのメリット

  1. ダイナミクスの精密なコントロール: VLA-FETは、1176系のアタックの速さがメリットです。ドラム、ベース、ボーカルなどのダイナミクスを非常に効果的にコントロールします。これにより、各トラックがミックスにうまく収まるようになります。
  2. 効率的なシグナル処理: 超高速のアタックとリリースタイムにより、シグナルをより精密かつ効率的に形成できます。これは、力強いドラムやベース、明瞭なボーカルを作成する際に特に有用です。
  3. CPU効率: オーバーサンプリングが自動調整されるため、高品質なサウンドを維持しながらCPUリソースを節約できます。

VLA-FETは音楽制作において、特にダイナミクスの精密なコントロールとアグレッシブなコンプレッションにおけるサッシュくサウンドによって楽曲に強烈なエネルギーを与えることが可能です。

VPRE-73&VPRE 73 Halloween Edition

VPRE-73VPRE-73 VPRE-73 Halloween Edition
マニュアル英語なし
音質
機能性(オリジナル性)
操作性(使いやすさ)
安定性(CPU負荷)
価格
総合評価

VPRE-73の概要

VPRE-73は、Black Rooster Audioが提供するビンテージプリアンプのエミュレーションプラグインです。このプラグインは、録音スタジオの歴史においても最もクラシックなプリアンプの一つに触発されています。VPRE-73は、独自の離散プリアンプ回路とオーディオトランス、さらには高域のシェルフフィルターバンドを忠実にエミュレートしています。このプラグインは、低域の魔法、高域の輝き、そして独特でクラシックな雰囲気を再現するために必要な適量のTHD(全高調波歪)を提供します。

サウンドデモ

VPRE-73 wet

NEVEの1073をイメージして作られたプリアンプエミュレーションです。入出力オーディオトランスやプリアンプ回路、高域のシェルフフィルターバンドなどが忠実にモデル化されているため、NEVEに近いサウンドを提供してくれます。良い意味でGAINを上げると非常に良い意味で暑苦しい音になります。挙げすぎると音楽的に心地よくない歪みになるので、味付け程度に歪ませるのがよいでしょう。

VPRE-73のメリット

  1. サウンドの質感向上: VPRE-73は、ボーカルや楽器のサウンドに深みと輝きを加えることができます。これにより、録音やミックスがよりプロフェッショナルなものになります。
  2. ダイナミクスの調整: このプラグインを使用することで、楽曲やトラックのダイナミクスを微調整することができます。これは、特にミックスが平坦に感じられる場合や、特定の周波数帯が目立ちすぎる場合に有用です。
  3. CPU効率: オーバーサンプリングが自動調整されるため、高品質なサウンドを維持しながらCPUリソースを節約できます。

VPRE-73は音楽制作において、サウンドの質感向上とNEVEらしいドライブ感が得られ、トラックに強烈なインパクトを与えられます。

VPRE-73 Halloween Editionの概要

VPRE-73 Halloween Editionは、Black Rooster Audioが提供するVPRE-73の特別なハロウィン版です。このプラグインは、元々のVPRE-73と同様に、ビンテージプリアンプのエミュレーションを提供しますが、いくつかの追加機能と新しいデザインが施されています。具体的には、新たに「CRANK multiplicator」と「high-pass frequency control」が追加されています。これにより、信号に「モンスターのようなキャラクター」を追加し、より強烈な効果を生み出します。

サウンドデモ

VPRE-73 Halloween EditionはNEVE1073をイメージしながらギターのオーバードライブ的な音作りが可能です。実際ギターのステムミックスに通すことでより密度の高いギタートラックにできます。

特長

  • 新しいCRANK multiplicator: ゲインステージの入力ボリュームを最大5倍まで押し上げることができます。
  • 新しいHigh-Pass Frequency control: 処理される信号をさらに形作ることができます。
  • 新しいSpooky Design: ハロウィンにちなんだ新しいデザインが施されています。
  • 限定版: 11月1日までの限定販売となっています。

VPRE-73 Halloween Editionのメリット

  1. サウンドの強烈なキャラクター付け: CRANK multiplicatorとhigh-pass frequency controlの追加により、楽曲やトラックに強烈な効果とキャラクターを付けることができます。
  2. 高域の調整: 新しいHigh-Pass Frequency controlにより、特定の高域をカットしてサウンドを調整することができます。
  3. 季節限定のプロダクション: ハロウィンに特化したデザインと機能により、季節限定の楽曲やプロジェクトに独特の雰囲気を与えることができます。

期間限定ということで発売されていました。公式サイトから販売ページを見つけることはできませんが、VPRE-73 Halloween Editionと検索するとトップに販売サイトが出現し、普通に購入できるようです。

VPRE-73はThe ALL Bundleの他にVocal Mix Essentialsにも含まれています。

まとめ

再度各プラグインの一覧表を掲示しておきます。

製品名価格特徴ver日付更新内容
BlueAsh SC-5$29.00電子ギターとドラムに適した多機能VCAコンプレッサー2.5.12020-08-03名前変更
BlackAsh SC-5$39.00ドラムとボーカルに適した、より暗い音色のVCAコンプレッサー2.5.12020-08-03名前変更
The Canary無料ドラムのトーンを復元1.02015-04-15リリース
Cypress TT-15無料低ワットのアンプを模倣1.42017-02-02リリース
Edelweiss`72$79.00プロフェッショナル向けの高度にダイナミックなミキシングツール2.3.02018-10-26リリース
GA-GT2$29.00ギター、ベース、ボーカルに適用可能な多機能プリアンプ2.6.32022-12-15リリース
KH-COMP1$59.00高速なアタックが可能。ほぼすべてに適用可能。2.52020-04-16リリース
KH-EQ1$59.00ボーカル、楽器、バス、ミックスチャンネルに適用可能2.5.52021-05-05リリース
Magnetite$49.00スネアドラム、ループ、ボーカルに最適2.02017-06-30リリース
OmniTec-436C$59.00ゴールデンエイジの音楽に似た鮮やかなエネルギーを注入2.6.42023-05-04リリース
OmniTec-67A$39.00ヴィンテージのチューブプリアンプ2.5.62021-09-09リリース
RO-140$49.00ヴィンテージプレートリバーブの最高のエミュレーション2.6.02022-07-22処理更新
RO-GOLD無料オリジナルのプレートリバーブの明瞭性を維持2.6.12022-08-30リリース
RO-SPR$49.006種類のスプリングタイプと多機能なEQ2.6.02022-07-22処理更新
TD-201$49.0021世紀に適した多機能なテープエコープラグイン2.6.22022-10-14リリース
VEQ-1P$39.00高域と低域を操作しながら、中域を影響させない2.6.5*GUIを刷新
VEQ-5$29.00ボーカル、ギター、キーに最適なミッドレンジ2.6.5*GUIを刷新
VHL-3C無料シンセサイザー、ボーカル、ベースに適した高品質なEQプラグイン2.6.5*GUIを刷新
VLA-2A Mark II$59.00ボーカル、ストリング、ホーンに最適2.6.02022-07-22GUI操作更新
VLA-3A$59.00ミッドレンジを強調し、ミックスをしっかりとまとめる2.5.92022-03-25リリース
VLA-FET$59.00ダイナミクスの非常に直感的な操作が可能2.4.02019-07-01リリース
VPRE-73$39.00マスターバス、電子ギター、ピアノに最適2.5.82021-10-31ハロウィンエディションリリース
製品名The ALL BundleVocal Mix EssentialsVLA BundleReverb & Delay BundleDrum Mix EssentialsControl Room Bundle
価格438.90ドル163.90ドル163.90ドル163.90ドル163.90ドル163.90ドル
セール価格108.90ドル53.90ドル53.90ドル53.90ドル53.90ドル53.90ドル
BlueAsh SC-5
BlackAsh SC-5
The Canary
Cypress TT-15
Edelweiss`72
GA-GT2
KH-COMP1
KH-EQ1
Magnetite
OmniTec-436C
OmniTec-67A
RO-140
RO-GOLD
RO-SPR
TD-201
VEQ-1P
VEQ-5
VHL-3C
VLA-2A Mark II
VLA-3A
VLA-FET
VPRE-73

Black Rooster Audioのプラグインはどれもわかりやすい音質でいかにも「かっこいい!」って感じの音になるのでDTM初心者から中級者が目指す音を提供してくれるプラグインです。

それらがすべて詰まったThe ALL Bundleは魅力的な製品であり、今回のセールは非常にコスパが高い買い物になるでしょう。しかし、それでも、全部はいらないからどれかオススメのものを3つ教えて欲しいと言われたら、

私が選ぶのは次の5つです

これらは他のプラグインと比較しても個性的であり、面白いサウンドを提供してくれます。とくにテープエミュレーターのMagnetiteはプロアマ問わず高く評価されXでも「とりあえずこれは外せない!」というほどの人気なので、購入候補にいれておくとよいでしょう。セールは10月25日までしっかりと考えて自分にぴったりのもの買いましょう!

Black Rooster Audio
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