オルガンといえば「ハモンド!」と言う人はたくさんいると思います。しかし世の中にはハモンド・オルガン以外にもFarfisaとVox Continental というオルガンがあります。ハモンドを優等生とするならこの2つはどこか不良っぽい印象受けるほどアクが強く。バンドサウンドの中で我先に主張してくるサウンドでもあります。
そんな個性の塊オルガンFarfisaとVox Continental モデリングしたのがArturia Farfisa VとVox Continental V です。アクの強さからかDTM界隈では今ひとつメジャーになりきれていない両機種ですが一度使えば病みつきになる中毒サウンドなのでここでその個性を紹介してみたいと思います。
Farfisa
ArturiaがモデリングしたのはFarfisa Compact Deluxe Combo Electric Organというタイプのモデルです。
ちなみに実機はこんな感じ、何度もいいますが、ArturiaのGUIはサイコーです!
1960年〜1970年代にイタリアの電機メーカーがFarfisaが開発した電子オルガンの機種の1つ音作りにおいてオルガンといえばサイン波ですが、farfisaは音程の異なった音程のアナログ波形をスイッチのオンオフによって組み合わせて作っていく方式です。
このFarfisaの最大の特徴は簡易ながらVCAがついているということ。つまりオルガンに電気信号的なアタックをつけることができるということ。本来オルガンはアタックをつけることができません。
そのためにperceiveというモードが搭載されているわけだけど、farfisaは波形自体にアタックをつけることができるためエレピのような音色を作ることもできます。地味な話なんですが、これスゴイことなんですよ!そのほかにもトレモロエフェクトや、ベースの音を丸くアタックのある音を作れたりします。
この辺りはプレイヤーには便利な機能だと思います。
著名な Farfisa ユーザーと Farfisa が使用されている曲
1960s
Sam the Sham “Wooly Bully”
The Swingin’ Medallions “Double Shot (Of My Baby’s Love)
Percy Sledge “When a man loves a woman”
Strawberry Alarm Clock “Incents And Peppermints”
1970s
Jean Michel Jarre
SunRa
Pink Floyd (many albums up to Dark Side of the Moon)
Kraftwerk
Tangerine Dream
Sly and the Family Stone
Van Der Graaf Generator
Led Zepplin “Dancing Days”
Herbie Hancock
Elton John “Crocodile Rock”
Steve Reich “Four Organs”
1980s
Blondie
B-52’s
Squeeze
alking Heads
Simple Minds
REM
Fleshtones 1990s
Green Day
Inspiral Carpets
2000s
The Moons
Stereolab
Tara Busch
Paul Weller
Lords of Altamont
The Cesars
VOX Continental
実機はこちら
Jennings Instruments(JMI)社によって作られたコンボオルガンシリーズVOX Continental そのVox Continental 300をモデリングしたものがVox Continental Vです。音色はFarfisaと似ている部分もありますが、Vox Continentalはハモンド・オルガンと同じようなドローバーによる音色エディットが可能です。
しかしハモンド・オルガンのようにサイン波だけではなく矩形波を使えることで高域に特徴がある金属的なオルガンサウンドを作ることができます。
様々な Vox のモデルを使用してレコーディングされたアルバムの一部
96 Tears – Question Mark & the Mysterians House Of The Rising Sun – The Animals I’m Down – The Beatles
Light My Fire – The Doors
Watching the Detectives – Elvis Costello
Do You Love Me – The Dave Clark Five I’m a Believer – The Monkees In-A-Gadda-Da-Vida – Iron Butterfly One Step Beyond – Madness
Working My Way Back To You – The Four Seasons マニュアルより
聞き比べ
では実際に作ったデモを聞いてみてください。
Farfisa
VOX Continenta
Voxの方が金属的な音色のおかげか抜けは非常に良いです。しかしFarfisaの中低域の粘り感は非常に土臭いニオイがして、荒々しさを感じます。
まとめ
どちらを選ぶと言われたら、「どっちも選ぶ!」ですwロックに歪ませるハモンド・オルガンの音もいいですが、この両機種のような土着なニオイがする不良サウンドもまたオルガンサウンドの魅力だと思います。どちらも非常に優れたオルガン音源で、シーンに合わせて使い分けて世界観を作り込んでいきたいものです。