MENU

低音処理に必要なベースのローカットをする前に覚えておきたいこと

ミックスをしてもなんだかごちゃごちゃとしてスッキリとした雰囲気にならないという人はいませんか?原因は1つではありませんが、改善方法の1つとしてベースのローカットをうまく処理することでスッキリとしたミックスになります。

しかし、「上手いローカット処理って何?」って思いますよね?

そこでこの記事ではベースのローカットとはなにか?ローカットすることのメリット・デメリットをしっかりと解説しています

画像アルハ

教則本やネットの情でベースは100Hz以下をローカットって書いてあったから真似したら音が細くなった効果的なローカットってどうすればいいの?

「えっ?単に無駄な帯域を切ってるだけでしょ?」と思うかもしれませんがそうではありません。ベースに限らずローカットするときに、この記事に書いてあることを知っているか知っていないかでミックスの考え方が変わります。

目次
UG
作編曲家(DTMブロガー)
作編曲家/DTMブロガー&講師 /
日本シンセサイザー協会準会員/
テレビ番組/CM、映画、よさこい、
ゲーム、などのBGM及び効果音を作成

イコライザー ローカットとは?

ローカットをする目的は「輪郭をもたない低域」のボリュームがあまりにも大きすぎる場合です。なぜ低域が大きいと問題になるのかというと、コンプレッサー等を使用したときにコンプは一番大きい音から反応するようになっているからです。

つまり本来かかってほしい帯域より前にローエンドに反応してしまうのは困る。だからローカットが必要という考え方につながります。だから「絶対ローカットが必要」という話にはなりません

確かにローカットすることで音圧を出しやすくはなりますが、その結果、迫力のない音にもなりやすいです。「必要なLowを残す」を意識をもつことがミックス上達のコツでもあります。

カットとブーストの役割

EQはカットです。こう覚えて問題はありません。なぜなら、出過ぎた帯域は削る。これは音源収録時についてしまった部分ですが、もともと含まれていない帯域、例えば

キックで超高域(18kh)をブーストしてもおそらく増えるのはノイズです。多くのKICKに必要な成分はそんな高域に含まれていません。そんな部分をブーストしても意味はないのです。収録の仕方が上手くない音源ほしい帯域がない(例えばふくよかさがほしいのにmid-lowがない)とかそういう音源のmid-lowをEQで上げても持ち上がりません。ないものはEQであげられないこれはEQを扱ううえで絶対覚えておくべき言葉です。

画像

イコライザーなどについているカット専用のフィルターです。シンセなどではHPF(ハイパスフィルター)と呼びます。さて、このローカットですが、よく「不必要なノイズに鳴りやすい超低域はカットした方がコンプのかかり方などが良くなる。わからなければローカット」という考え方で使っている人が多いのですが、ベースのローカットについては少しだけ考える必要があります。

ベースの音域周波数

画像

ベース(4弦ベース)で一番低い音はE1(41.2Hz)で一番高い音はF#4(370Hz)になります。ネットの情報で「ベースのローカットは100Hz付近で」という話を思い出すと「そんなところローカットしたら一番低い弦の音を聴こえなくなる?」ということです。しかしローカットをしたことある人はわかると思いますが特に問題はありませんよね?

ベース 最低音41.2Hzってどんな音?

まずは普通に4弦ベース、4弦開放の一番低い音を聞いてください。

馴染みのある音ですね。この音(周波数41.2Hz)は音階的にはE1であり、88鍵盤のピアノでいうところの一番低いミの音になります。しかし多くの人はこれより1オクターブ高い音をベースの最低音と思い込んでいます。

その理由はベースの倍音にあります。

実際のところ、実音は41.2Hzですが、アナライザーで確認するとオクターブ上の82.4Hzの方が大きく出ていたりします。なので、むやみにローカットすると実音を消してしまい芯のない低音を作ることになる可能性が出てきます。

ちなみにピアノのE1はこんな音です。

ピアノとベースをアナライザーを使って見てみましょう。

ベース

画像

ピアノ

画像

音源によって違ってはきますが、さてここで気づいてほしいのは、41.2Hzの周波数のところあまり上がってないように思いませんか?41.2Hzより82Hz辺りの方が大きいですよね。違うアナライザーでみるとこんな感じです。赤がピアノ緑がベースです。

画像

拡大図

画像

E1(41.2Hz)と比べてオクターブ上の E2(82.4Hz)や2オクターブ上のE3(164.8Hz)の方が振幅度合いが大きい=音量が大きいというわけです。私達が普段耳にしているベースは基音の41.2Hzではなく倍音であるE2やE3の成分をよく耳にしていることになります。

ちなみに41.2Hzという純音とはどんな音なのかを聴いてみましょう。(ヘッドホン推奨)

アナライザーでみるとこんな感じです。

画像

ここで「ベースはハイカット100Hzくらいまで入れてね」という巷のミキシングにおけるローカットの使い方は基音をごっそりカットしていることになるわけですが、ベースとして聴こえているのは倍音部分がメインになるので、実はそれほど大きな影響はでません。ただ、基音を無視してローカットするのはクリエイティブな視点とは言えません。

「キックより下にベースを存在させるべきかどうか?」という作曲意図との関係で考えたうえで「基音までカットするローカット」に意味をもたせるのが正しいミキシングに低音処理と言えます。

ちなみに6弦ギターの一番低い音はE1(82.4Hz)になります。これも実は「オクターブ上の音ばかり聴いてることになるの?」という疑問を持ってもおかしくありません。ということでアナライザーで見てみましょう。青がギターのE1です。

画像

ギターはベースのように倍音をメインに聴いているわけはありませんが、それでもE1のオクターブ上E2にも同じような振幅があるので、感じ方としてはE2がギターの最低音と捉える人がいてもおかしくありません。

ベースやキックの音作りには低音域がきれいに再生できるスピーカーがおすすめです。ADAMシリーズのT7Vスピーカーはコストパフォーマンスもよくベースの基音が聞き取りやすいのでおすすめです。

サブベースとは?

サブベースとは一般的に20Hz〜60Hzのベースサウンドと言われていますが、かなり広義な捉え方になります。なぜならばエレキベースの最低音が41.2Hzになります。音域だけ見るとサブベースになりますよね。純粋な意味でのサブベースはベースの代理になりうる音色を使ったもの。という考え方になります。

サブベースに関してはこちらの記事で詳しく説明しています。

音の種類について

音は3つの種類に分けられます。

  • 純音 倍音を含まない規則的な音(サイン波)。音叉の音や、デジタル放送によって今では聴かなくなったテレビで流れていた時報の音
  • 楽音 規則的でありながら倍音を含む音 楽器から発生する音
  • 騒音 規則的ではない音 短時間しかならない(ドラムのアタック音など)

楽器の音が楽器らしく聴こえるの倍音が含まれているからです。倍音は第一倍音を基音とよび、それ以降を上音と呼びます。言い換えると基音以外の上音(倍音)をすべて取り除くと純音(サイン波)になります。

つまり、すべての音色は純音(サイン波)になりますが、その音色らしさを決定しているのはあくまで「倍音」であるという説明が成り立ちます。

純音だけの音(倍音を含まない楽器や音)というのは人工的に作られた音であり自然界には存在しません。ギターのハーモニクスなどは純音に違い音ですが、弾く瞬間には騒音が含まれますので、やはり純音とはよべません。

なぜここで小難しい話をしているのかというと、我々が普段聞いている音色は倍音によってそのイメージが決定されるからです。つまりここでの言葉を借りるならば「楽音」になります。

音の種類について正しい知識をもつことで、作曲もミックスもよくなります。

低い音程の楽器ほど「楽器の特徴的な倍音」の存在が大きくなります。

各楽器の周波数

音階を周波数で理解することで、イコライザーがどんな音階(周波数)をブースト/カットしているか理解できるようになります。

例えばピアノ

A0(27.5Hz)〜C8(4186.009Hz)

ギター

E2(82Hz)〜D#6(1245Hz)

ベース

E1(41Hz)〜F#4(370Hz)

になります。

私達が何かとイコライザ高域を扱う時は基本倍音領域の調整をしているのが多いと思いますが、ソフトシンセなどで倍音が少ない音色の場合高域をブーストするということはノイズを持ち上げているだけの可能性があるので注意が必要になります。

61鍵盤でベースを打ち込むときの注意

相対的な問題ですが、鍵盤の低い方=ベースの音域と考えてしまいますが、61鍵盤の一番低い音はE2となります。ベースでいうとそこは2弦2フレットのE2(82.4Hz)になります。なので61鍵盤でベースを打ち込む時はトランスポーズ機能か、打ち込み終わったあとピアノロールで1オクターブ下げる必要があります。

EQの正しい使い方と認識の仕方

イコライザーの意味は「均一化」です。つまり大きいところをカットして全体のバランスを整えるのがEQの仕事です。もちろん意図的に特定の帯域をブーストする音作りの方法もありますが、そのブーストの意味を理解せずに「高域をあげると気持ち良いからとりあえずブーストする」なんて使い方をすると今度は低音がなくなってしまったから「低音をブースト」という終わりの見えないEQ沼に入ることになります。

よくあるのがドラムのキック50HzあたりをEQで3dBブーストするという話。キックはもともと50Hz帯域を多く含んでいる楽器です。そこを3dB上げる目的を理解しないと上げる意味がないどころか、MIXの邪魔になるだけです。

画像

これはとあるソフト音源のキックの音色です。40Hz〜100Hz付近を多く含んでいます。またキックのAttack成分になりそうな1540Hz〜9000Hz付近は低音成分の半分以下の音量しかありません。ちなみにこのキックはDAWのミキサーでは3dBくらいまでメーターが揺れます。(Trure Peak)キックの音量はジャンルによもよりますが、おおよそ-10dbくらいが一般的なのでかなり大きいといえます。

これに「キックはとりあえず50Hzを3dBくらい足しておく」という言葉を鵜呑みにDAW付属のEQでプッシュしてデフォルトのキックと比較してみます。

画像
画像

緑が最初の方で赤がEQでプッシュしたものです。プッシュしている以外の帯域にも影響が出ていますね。しかしこの画像で大事なのは、True Peakが-1.6まで上がっていることです。そしてそのピークは当然先程EQでプッシュしたのが原因です。正直大きすぎます。もちろんここからフェーダーで下げてバランスをとるわけですが、本当にそこまであげる必要があったのかどうかを考えないといけません。

そもそもこのキックでどういう音楽を作りたいのか?という疑問を持てるかどうかです。

スピード感のある音楽の場合ローエンドの多いキックではスピード感が損なわれます。2バスで「ドコドコ」16分で刻む時正確に16分を感じるためには低域よりAttackがある高域が必要です。なぜなら低域は輪郭を感じにくい帯域だからです。これは一例にすぎませんが、EQをするまえに「自分はどんな曲を作ろうとしているのか?」を明確でないと最適なEQになりません。「でも最適なEQは難しそう」と思うかもしれませんが、「どういう音楽を作りたいのか?」という明確な意図がすべてを解決してくれます。

不必要なEQはご覧の通り他の帯域にも影響がでます。

さいごに

まとめると以下のようになります。

  • ベースの基音である41.2Hzは聴くのではなく感じる音 耳に届いている音は第2倍音である82.4Hzから
  • ローカットする場合基音の感じさせ方がポイントになる。
  • ギターの一番低い音はE2(82.4 Hz)ベースと被っているように見えるが実際はベースの倍音がギターに重なっている。ただ低音の倍音は実音なみに感じるので何かしらのギターとの棲み分けを考える必要が出てくる場面もある。

闇雲にローカットと考えるのではなく感じる音の領域をどう扱うか、正直難しい部分ではあるので慣れいなければ「ローカット100Hz付近」を使ってもよいのかもしれませんが、そのローカットにどんな意味があるのかを知っておくことでベースの音の扱い方について深い考察ができるようにはなります。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次
閉じる