『作曲少女』は、DTMに挑戦する女子高生いろはの物語。14日間で作曲を学ぶ過程を描き、専門用語不要で音楽制作の楽しさを伝えます。
天才作曲家の珠美からのヒントと共に、いろはは自分の音楽を創造。このライトノベルは、作曲の初歩からクリエイティブな思考までを気軽に教える、DTM初心者や音楽愛好家に最適な入門書。仰木日向による執筆で、音楽の可能性を広げる一歩を提案し、読者に作曲の第一歩を踏み出す勇気を与えます。
ざっくりと解説!作曲少女のお話
青春真っ只中の16歳の高校2年生、「山波いろは(やまなみいろは)」が何かをはじめたいと選んだのがDTM、しかし、いざ初めて見ると「何がなんだかさっぱりわからない」多くのDTM初心者本を買い揃えるも「読んでもわからない」
「まず、やっちまった…」と思う。しかし諦めきれない山波いろははクラスメイトに「超高校級天才作曲家」である黒白珠美(くろしろたまみ)から作曲を伝授してもらうことを決意する。
果たしてド素人に毛も生えていない超初心者の山波いろはは無事に黒白珠美から作曲を教えてもらい無事に曲を完成させることができるのか?
というのが「作曲少女」のお話です。
ここで大切なのは主人公である山波いろはは「やばい、やっちまった」とDTMに足を踏み入れたことを後悔するところから物語が始まるということ。
多くのDTM初心者も「全然わからんわ!」と始めたことを後悔しているのかもしれません。
この後悔から出発しているところがこのお話の最初のフックです。
それではもう少し読み進めてみましょう。
DTM本は曲をかけるようになってから読むもの
多くのDTM初心者は「DTM本が曲を作るガイドラインとして絶対不可欠」的なイメージをもっています。主人公である山波いろはもその一人です。しかし黒白珠美は「DTM本は曲をかけるようになってから読むもの」と言います。
これは私も同意見です。そもそも見たことも聴いたこともない情報をいきなり理解してDTMで作曲することは不可能です。
だからこそ人は不安でガイドライン的なDTM本を頼りにしたいわけです(実際私もよく頼りにしました)
ですが、この本では作曲を身につけるためには「何がなんでもいいから一曲つくる」と説明しています。
もちろんDTM本の存在を否定するつもりはありません。DTM本の書いてあるとおりのことを実践すれば作曲している雰囲気を実感できるものもあります。
しかし、DTM本に書いてあることをより深く理解したいのであればまずは「作ってみる」です。
子供が初めて自転車に乗るのに教本などは見ることはあまりないでしょう。転んで痛い思いをしてから「どうしたら転ばないようになるのか?」を意識し、それを繰り返しうまくなっていく。それを似たような感覚なのかもしれません。
まずい私家にDTM本めっちゃある…
理論書があればすごい曲が作れる。理論書があれば間違いがない。理論書があればなんでもできるすすめば分かるさ!イチ、ニ、サン、ダァー!じゃないですが、曲を書くのは理論書ではなくてあくまで自分。
最近は「誰でもできるシリーズ的な理論書」がたくさんあるおかげでそれにそった曲の大量生産が可能になったけど、大切なのは「なんでそうしたのか」ということを簡単でいいから説明できること「なんとなく。いいかなーって思って」というのは感動の再現じゃないから。
「山登りをしたときにツライ勾配をこのメロディで表現しました」ってこんな感じ。そもそも作曲なんざ基本解釈の塊なわけだから「理論理論」と思い込む必要はない。不協和音だって意図が間違いなければめちゃめちゃかっこいい世界なんだから。それ以上に理論を勉強したければアカデミーに行くのがいい。でもその目的が「より理論を知るため!」ってならないように。あくまで「山登りの勾配をメロディ」をもっとわかりやすく感じる方法について学ぶことを目的としていることをお忘れなくw
持っていると安心する。バファリンみたいな存在で理論書を山積みしているそこのあなた!!(←わたしのことです)用法用量はちゃんと守りましょうw
作曲少女を読んで疑問に思うこと
14日で曲は作れるようになるのか?
この本のタイトルでもあるように物語は14日で作曲ができるかどうかが焦点になります。
結果は読んでからのお楽しみなので気になる人はぜひ「作曲少女」の購入をオススメします。結末に涙するとは言いませんが、読みすすめるうちに山波いろはに共感する部分は多くでてくることでしょう。
作曲少女には打ち込みの方法が書いてあるわけではない
すぐれたDTM本と書きましたが、ベロシティの設定やドラムのフレーズ、ギターにベースの打ち込みデータは一つも載っていません。DTMテクニックを学びたいのであれば作曲少女はオススメできません。
この本ではテクニック以上に重要な作曲の本質を学ぶことができるのが大きな特徴といえます。
もしそのような書籍をお探しの人はDTM初心者 作曲おすすめ本 7選!をオススメします。こちらでは、作曲少女以外に、具体的な打ち込みテクニックについて書かれた書籍を紹介しています。
さて現実問題として14日で作曲ができるようになるかどうかですが、20年以上の作曲キャリアをもつ私の意見は「できるようになる」です。ただ一つ付け加えるならば「今のレベルで完成できる作曲」です。
つまり14日後にプロから声がかかるレベルの作曲が可能になるかと言われれば限りなく「できない」というのが現実的です。
しかし誰でも最初のステップは小さなものです。そのステップを実感することは14日あれば可能であると言えます。
高校生に作曲は出来る??
さて、この本を読んで思うのは「とは言っても本の中の話、高校生に作曲なんてできるわけがない、できるとしたらそれはもとから才能が合った人だね」と思う人もいるでしょう。私もそういう見方をしてしまう人です。ですが結論からいうと「高校生でも作曲はできます」もちろん一曲目でプロデビュー!ミリオンヒット!という音楽を作ることはできません。大切なのは「とりあえず、一曲できた!」と思えるものです。現役のプロ作曲家も含めて最初に作った曲はほぼ「黒歴史」です。人に聞かせられるものではありません。
ですが、そこから何百何千という曲を作り続けてやっとプロになっていくわけです。なので「作曲=すごいものを作る」という認識は必要はありません。そういう意味で高校生であっても中学生であっても小学生でも作曲はできます。
作業環境の大切さ
作曲は集中力との戦いです。しかしプロもアマチュアも集中力自体の時間はそれほど変わりません。だいたい大人で90分が限界です。
えっ?でも中には何十時間も作曲している人がいるって聴いたことある…
確かに何十時間もギターを弾いたり作曲をし続ける人はいます。しかし、それでも完全に集中状態が続いているわけではありません。DTM初心者の場合「わからない言葉や初めてのDAWなどの触り方」を前に持続できる集中はおそらく30分もないかもしれません。
そこで「作曲少女」では作業環境の大切さを説いています。
その理由は「作曲は感動してきたことを再現する工程である」そのためには常に自分の周りをワクワクするもので固めておくことで楽しいという感情をガソリンに作曲するのが大切と説明しています。
確かに楽しめない環境で音楽を作ることはとてもむずかしいです。親に怒られた。パートナーと喧嘩した。などの感情はそのような曲をつくる場合にプラスに働くこともありますが、基本作曲は喜怒哀楽で言えば、「喜、楽」のどちらかがもっとも作曲に適した感情だと言えます。
その感情を常に感じられるような作業環境はとても大切であると「超高校級作曲家」の黒白珠美は言っています。
作曲少女のまとめとして
DTM本(教則本)は曲を作ってから答え合わせ的な意味合いで読むと良い
真剣にやれば凡人でも14日で作曲はできる
作業環境は大切
作曲少女 試し読みはどこでできる?
作曲少女を読んでみたいけどまずちょっとだけでも試し読みをしてみたいという人はいると思います。
試し読みがしたい人はPixivノベルにて3日目(3話)まで読むことができます。
正統続編作曲少女Qはどこで読める?
書籍化も進行しているみたいで、amazonでは8/24日の発売予定とのことですが、
にてある程度読むことが可能です。
作曲少女 続編について
シリーズ1作目が今回お話する作曲少女です。詳しくか後述します。
シリーズ二作目は作詞にスポットをあてていますが、個人的には作曲少女よりストーリー性があって読んでてドキドキしますし、作曲少女以上に創作のモチベーションやマインドについて熱く書かれているのでおすすめです。
シリーズ三作目は第1作の続編になります。
キーワード「作曲少女 zip」「作曲少女 rar」について
「作曲少女 zip」「作曲少女 rar」というキーワードを見つけて「なんだろう?」と思った人もいると思います。これは圧縮ファイル等をしめすキーワードです。つまり「どこかに違法ファイルが落ちていないか?」ということを検索しているDTMerがいるということになります。
正直にいいますが、そんな違法なファイルから作曲少女を読んでも何も身につくものはありません。心のうちにあるクリエイティブはとてもピュアなものです。確かにお金がないが故に自分が求めるものができないということに悩む人も多いでしょう。しかしだからといって「違法」が許されることではありません。
インプットもアウトプットもクリエイティブな行為です。その行為を違法に染めないでほしいというのが私の願いです。
まとめ
作曲少女は学ぶというより気づかされる。この気付きってホントに大切で、そこから新しい世界が見えてくることが多いです。初心者はとりあえずこの本通りにやれば、下手な理論書を買い込むよりぜったいいい曲できます。
中級者はわすてしまった何かをこの本に見いだして、あのころのワクワクドキドキを思い出してDTMライフを送ると今以上に楽しくなります。作曲は感動の再現いい言葉だなー
この本を読んでDTMに興味をもってくれる人が少しでも増えるとDTMをやっている立場の人間からすると嬉しい限り。