FireSpacerレビュー 4つのモードで音の団子ミックスをかんたん改善!

<景品表示法に基づく表記>当サイトのコンテンツには、広告を掲載している場合があります。

画像

キックとベース、ギターとシンセパッド、それらがうまく混ざらずにモコモコとしたミックスになってしまう。

画像

ミックスはアレンジから見直すべきところだけれど、そのうえでFireSpacerを使えば、トラック同士の音の重なりが上手く解消されるよ

画像

それってかんたんにできるの?

画像

簡単だよ!基本的には1つのノブでやりたいことの8割は完結できるよ!

メリットデメリット
4つのモードで帯域被りの自動処理
NoLatencyモードが使いやすい
コストパフォーマンスが優れている
サイドチェインなしのDAWでは使用不可
SpectralモードはCPU負荷が高い
United Plugins
UG
  • 元ゲーム音楽屋(NintendoDSなど)
  • 作曲歴20年以上
  • DTM記事執筆500以上
  • ショートアニメ、CM、企業PV音楽を制作
  • 詳しいプロフィール

タップできる目次

FireSpacer

2024年7月にリリースされたFireSpacerは、UnitedPlugins社のミキシング支援プラグインで、サイドチェーンを活用してトラック間の周波数衝突を解消し、各要素に明確なスペースを提供します。

楽曲ミックスはバランスが命!

が基本的なところであり、エフェクトプラグインを何も使わない状態でいかにトラック同士の周波数がぶつからないようにするわけですが、どうやってもぶつかります。そのぶつかっている部分を解消してくれるのがUnitedPlugins FireSpacerの素晴らしいところです。

例えば、ドラムのキックとベースのように近い周波数帯域の場合、にお互いの干渉しあっている周波数帯域を棲み分けするという使い方やギターとボーカルをに使うことで埋もれないボーカルを演出できます。

一言で言えばミックス最適化の時短ツール的なポジションという考え方で捉えてもらえればよいと思います。

機能面の簡易解釈

モード選択:4つの異なるアルゴリズムから選べます。精度の高いものは処理に時間がかかり、速いものは精度が落ちます。

周波数範囲設定

MIN FREQ:例えば、ボーカルとギターが衝突する場合、この値を上げてギターの低音を保護しつつ、高音域でボーカルを際立たせることができます。

MAX FREQ:例えば、ベースとキックドラムの衝突を解決する場合、150 Hz程度に設定することで、ベースの低音は削除しつつ、高調波は残せます2

ビジュアライゼーション

アナライザーで入力信号(灰色)、出力信号(虹色)、サイドチェーン入力(赤)をリアルタイムで表示します。

A/B比較

2つの設定を保存し、簡単に切り替えて比較できます。

RELEASE

リリースは、衝突する周波数が減衰した後、元のレベルに戻る速度を制御します

  • 短いリリース時間:音の変化が速く、ダイナミックな効果が得られます。
  • 長いリリース時間:音の変化がゆっくりで、より自然な印象になります。

例:ボーカルとギターが衝突する場合、短いリリースを使うとボーカルの言葉の間にギターがすぐに戻ってきます。長いリリースではギターがゆっくりと戻り、より滑らかな印象になります。

PRESISION

精度は、スペクトルモードでのみ機能し、プラグインが衝突する周波数を特定する正確さを調整します。

  • 高精度:ほぼ同一の周波数のみを除去します。透明度が高くなりますが、効果は限定的です。
  • 低精度:より広い範囲の周波数を除去します。効果は大きくなりますが、音色が変わる可能性があります。

例:ドラムとベースが衝突する場合、高精度設定では特定の周波数のみが影響を受け、低精度設定ではより広い範囲のベース音が減衰します。

GAIN

ゲインは入力と出力のレベルを調整します。

  • 入力ゲイン:プラグインに入る信号の強さを調整します。
  • 出力ゲイン:処理後の信号レベルを調整します。

例:入力ゲインを上げると、より強い効果が得られます。出力ゲインは、処理後の音量を他のトラックとバランスを取るために使用します。これらの調整を組み合わせることで、各楽器やボーカルが互いに干渉せず、クリアに聞こえるミックスを作成できます。

ゲイン

ゲインは入力と出力のレベルを調整します12

  • 入力ゲイン:プラグインに入る信号の強さを調整します。
  • 出力ゲイン:処理後の信号レベルを調整します。

例:入力ゲインを上げると、より強い効果が得られます。出力ゲインは、処理後の音量を他のトラックとバランスを取るために使用します。これらの調整を組み合わせることで、各楽器やボーカルが互いに干渉せず、クリアに聞こえるミックスを作成できます。

リアルタイム周波数分析とフィルタリング

サイドチェーン入力からの周波数成分をリアルタイムで分析し、衝突する周波数を自動的に減衰させ、ミックスの明瞭度を向上させます。

なので、サイドチェインが使えないDAWなど(ガレージバンド)等では使えないので注意が必要です。

4つの処理モード

レイテンシーと精度のバランスを考慮した4種類のアルゴリズムを搭載し、用途に応じて最適な処理を選択できます。

ireSpacerには、以下の4つの処理モードが搭載されています。

モード名特徴長所短所
Spectral 1高精度なスペクトルアルゴリズムを使用周波数の処理精度が最も高いレイテンシーが発生し、CPU負荷が高い
Spectral 2精度と効率のバランスを取ったスペクトルアルゴリズム高い精度を維持しつつ、レイテンシーとCPU負荷を軽減若干のレイテンシーとCPU負荷がある
No Latency 1最小位相フィルターを使用したノーレイテンシーアルゴリズムレイテンシーがなく、リアルタイム処理に適している処理の精度が低下し、不要な周波数まで除去する可能性がある
No Latency 2処理効率を重視したノーレイテンシーアルゴリズムレイテンシーがなく、CPU負荷が最も低い精度が最も低く、広範囲の周波数に影響を与える可能性がある

各モードは、精度とレイテンシー、CPU負荷のバランスが異なるため、用途やシステム環境に応じて最適なモードを選択することが推奨されます。

周波数範囲とリリース時間の調整

処理する周波数帯域やリリースタイムを細かく設定でき、特定の楽器やボーカルに合わせたカスタマイズが可能です。

FireSpacerレビュー

FireSpacer
総合評価
( 4 )
メリット
  • 4つのモードで帯域被りの自動処理
  • NoLatencyモードが使いやすい
  • コストパフォーマンスが優れている
デメリット
  • サイドチェインなしのDAWでは使用不可

4つのモードで音質から作業効率までを調整

UnitedPlugins FireSpacerは、特定の周波数帯域の衝突を解消し、音の明瞭さを高めるために使うのが一般的です。

実際にFireSpaceの効果を確認してみます。

以下のトラックはドラム(キック、スネア、ハイハット、タム)のパラアウトしたものと、ベースのトラックです。

エフェクト効果の確認はでヘッドホンの着用をおすすめします。

ベーストラックにFireSpaceを挿して、サイドチェインでキックを選択すると、FireSpaceは起動します。

言葉で説明すると暴れがちなベースがキックのなるタイミングでほどよく後ろに言ったという印象です。ミックスに不慣れな人だとあまり差を感じないかもしれませんが、

ベースとキックの棲み分けができているとウワモノの響き方も変わります。

さて、FireSpaceには4つのモードがあるという話を最初にしました。

モード名特徴メリットデメリット
Spectral 1高精度なスペクトルアルゴリズムを使用周波数の処理精度が最も高いレイテンシーが発生し、CPU負荷が高い
Spectral 2精度と効率のバランスを取ったスペクトルアルゴリズム高い精度を維持しつつ、レイテンシーとCPU負荷を軽減若干のレイテンシーとCPU負荷がある
No Latency 1最小位相フィルターを使用したノーレイテンシーアルゴリズムレイテンシーがなく、リアルタイム処理に適している処理の精度が低下し、不要な周波数まで除去する可能性がある
No Latency 2処理効率を重視したノーレイテンシーアルゴリズムレイテンシーがなく、CPU負荷が最も低い精度が最も低く、広範囲の周波数に影響を与える可能性がある

先ほど聞いてもらったのは、Spectral 1のモードになります。

では、それ以外のモードではどのような音質になるのかを聞いてみましょう。

Spectral 2
No Latency 1
No Latency 2

SpectralとNo Latencyでは処理のプロセスが異なるため、音質はかなり違います。とくにSpectral 1とNo Latency 2では違うプラグインなのでは?と思うほどです。

CPU負荷やレイテンシーの問題があるので、レコーディング時はNo Latencyモード、ミックス時にはSpectralの使い分けができるのは音質と作業効率を重視するエンジニアにとっては有用なモードであると感じます。

では、次にギターとオルガンで試してみます。

カッティングのギターにコードトラックというのはポップスの定番設定でもあるので、他のミックス時の参考にもなると思います。

Dry
wet

モードはSpectral 1で使用しています。使用していないときはギターと同等の立ち位置的な場所にいたのが、使用時には良い意味で後ろに隠れてくれるような印象です。ただ隠れるとは言っても音色のピントがずれていないので、音色の印象はそこまで変わりません。

最後にボーカルとギタートラック&オルガンをまとめたバス・トラックで使用してみます。

dry
wet

使用することで、ボーカルのAir感的な部分が浮き出てきた印象になります。ボーカルの抜けを良くしたい!という気持ちでイコライザーやコンプを使うよりもスペクトラムダッキングで処理する方が何倍も効果的であり、シンプルな作業になります。

United Plugins

CPU負荷やレイテンシーについて

Spectral 1No Latency 2でCPU負荷に異なるのですが、オーディオトラックに使用した限りでは、その違いは高くても10%以内であり、Spectral 1ではCPU負荷が高すぎて使えない!というほどではありません。

ただ、ソフトシンセ等で使う場合は音源によって、負荷がかかり方が異なる可能性があるので若干注意が必要です。

レイテンシーに関しては、Spectral 1では他のソフト音源と併用しながら使えるレベルではないレイテンシーがあります。反対にNo Latencyは限りなくゼロに近いので、2MIXにボーカルを重ねる際などにストレスなく使用できます。

ボーカル録音のコツ

プリプロ段階では、まずノーレイテンシーモードをオケに適用し、高域や低域の揺れを抑えた状態を作ります。

軽く通しでボーカルを仮録りしていただいた後、Spectralモードに切り替えてオケを処理し、バウンスします。

これにより、ボーカルのボリュームを上げることなく歌いやすいオケが完成

類似製品との比較

近年多くのメーカーがサイドチェインによるSpectralダッキングプラグインをリリースしています。その中でも有名な次の4つの製品とFireSpacerと比較してみました。

製品名価格主な特徴FireSpacerとの違いFireSpacerが勝っている点
Trackspacer$64.90サイドチェインに基づいてトラック間の周波数帯域をダッキングするプラグイン。ダッキング強度を簡単に調整可能。ダッキングに特化し、シンプルな操作性が特徴。より軽量で処理が高速。FireSpacerは4つのモードで詳細な処理が可能。CPU負荷を考慮した切り替えが便利。
sonible pure:unmask$53.90ワンクリックで周波数被りを解消する簡易型プラグイン。初心者でも扱いやすい設計。機能がシンプルで、細かい調整ができない。FireSpacerは柔軟な設定が可能で、プロ向けの細かな制御が行える。

この他にもsonible smart:EQ 3やiZotope Neutronなどもありますが、比較的操作方法がシンプルでかつ機能性の類似点などから考えると上記の2つが比較対象になりやすいと考えました。

価格面でみるとFireSpacerは通常価格が$81.40と少し高めですが、現在はセール中で$31.90でコストパフォーマンスが優れています。

また音質についてはFireSpacer4つのモードから選択できる選択制のメリットなどがあげられます。

Trackspacerを含めたこれらの製品の中で、FireSpacerは特化型プラグインとして、周波数帯域の精密な処理と手軽な操作性を提供しています。特定の用途で素早く結果を得たい場合に特に有効です。

まとめ

メーカーUnited Plugins
システムMac
macOS 10.10 and later (Intel / M1 Apple Silicon supported) 
Intel / AMD / M1 processor with SSE2 Support
VST, VST3, AU, AAX 
Windows
Windows 8 and later (Windows 11 supported) 
Intel / AMD processor with SSE2 Support
VST, VST3, AAX 
認証方式シリアル
認証数制限なし
マニュアル英語
価格$81.40→$31.90
CPU負荷計測環境

パソコン  Macmini2018

CPU  Intel Corei7(i7-8700B)6コア 

HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz

メモリ 32GB

システム OS12.6.1 Monterey

Audio/IF Focusrite RED 8PRE

バッファー 256

DAW   LogicPro10.7.7

48kHz/24bit

再生ストレージ SSD

使ってみると。FireSpacerのSpectralDuckingは操作性も音質もよくセール時のコストパフォーマンスも言う事はありません。安い時に購入するメリットは当然大きいですが、通常価格であっても、仕事であるならばすぐに元がとれるレベルです。

ミックスはバランスが命、と最初にお伝えしましたが、そのバランスはSpectralDuckingを使えばより精度の高いバランスになります。

下手にコンプやイコライザーなどを使うよりとりあえず、FireSpacerをもってバランスの最適化をはかることがクオリティの高いミックスの近道であり、そこから学習できる価値の大きいものだと思います。

United Plugins
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
タップできる目次