Image Line Sakuraレビュー ここだけ触ればOKなポイントを紹介

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「Sakura は独自の「hanami-Go」というメソッドで音作ります」多くのサイトではこのように書かれていますが、果たして何人が「そうか!そういうことか」と理解できるのか疑問です。物理音源はアナログシンセのようにシンプルではないため、使い方が難しいです。

しかし安心してください。この記事では「物理音源ってなに?」どうやって音の仕組みを理解すればいいの?という視点でSakuraの音の作り方についてお話していきます。

おさえるべきポイントはたった2つです。それだけでSakuraシンセの魅力を堪能できます。

UG
  • 元ゲーム音楽屋(NintendoDSなど)
  • 作曲歴20年以上
  • DTM記事執筆500以上
  • ショートアニメ、CM、企業PV音楽を制作
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Image Line  Sakuraとは

SakuraはImage Lineが開発した物理モデリングエンジンを搭載したソフトシンセサイザーです。

Image LineはFL Studioを作っているメーカーで搭載されているソフトシンセの質の高さには定評があります。

物理モデリングとは

サンプリング(生楽器やシンセを録音)せずに楽器の音の発音方式を演算(プログラミング)するシンセサイザーのことです。

Sakuraの特徴

  • 物理モデリングシステムによる音作り
  • 弦楽器、管楽器、打楽器の特性を再現、または特性を大きく超えた音作りが可能

サンプリング音源(PCM)は楽器そのものを録音再生するのにたいして、物理(PHYSICALMODELING略してPM)音源とはコンピューター上でその楽器の特性を1から作り上げる音源システムのことです。

システム要求環境

PC

  • Windows: 7 or later.
  • 2 GHz AMD or Intel Pentium 3 compatible CPU with full SSE1 support
  • 512MB RAM.
  • 30MB free disc space.
  • DirectSound or ASIO compatible soundcard.
  • VST 2 compatible host.

Mac:

  • OS X 10.11 (El Capitan) or later.
  • G4 1.5 GHz or Intel Core Duo family.
  • 512MB RAM.
  • 30MB free disc space.
  • CoreAudio drivers.
  • VST 2 compatible host.

Sakuraの使い方(これだけ覚えよう!)

物理音源を作るときに大切なのは

「エキサイター」→「レゾネーター」→出力

これが音の基本の発音システムです。

エキサイターとは、音が発音する瞬間の特性です。例えば、トランペットだとマウスピース、ドラムだとスティック、ギターだとピック、ピアノだとハンマー、これらがエキサイターと言われる部分です。

つまり「どんなアクション(プレッシャー)で音がなるのか?」という考え方の部分です。

SAKURのエキサイターはCLICK「弾く」とNOISE「摩擦」に分かれています。

イメージとしてはCLICKは「弦をピックや指で弾いて発音させる」NOISEは「ストリングスなどの弓でこすって発音させる」

NOISEにはNOISE RATEという項目があり、右に回すとNOISEが付加されます。これは「弦のこすり具合」と考えてください。

これらのバランスをスライドバーで調整します。

画像

さて、ここで多くの人は「うん?CLICKとNOISE切り替えても音変わらなくね??」となります。本来ならばCLICKの音の成分とNOISEの音の成分が聴こえても良さそうですよね?実はそれを確認するのはSTRINGSのDECYです。これを左に回すと発音の要素となるエキサイターだけ確認することができます。

たしかにこの状態で「プツプツ」というなんとなくこれがCLICKの要素なのか…という音は確認できますが、いまだにNOISEはわかりませんよね?次に動かすノブは「HI CUT」のAと書かれているパラメーターです。これはエンベロープのアタックになります。もう一度エキサイターの内容を確認します。

CLICKは「弦をピックや指で弾いて発音させる」NOISEは「ストリングスなどの弓でこすって発音させる」

さて、このときどちらの要素の方がアタックタイムが遅いかイメージできますか?これはストリングスなどのゆったりとした音色をイメージするとわかりやすいかもしれません。そう、NOISEの方がアタックタイムは遅いのです。それが弦を擦るという音になるからです。つまりHI CUTのAを遅く(右に回す)ことでノイズの成分が聴こえてきます。

この状態で、STRINGSのDECAYを元に戻せばデフォルトの音をこすった状態、摩擦というプレッシャーを与えられた音色に変化しているのがわかります。

ちなみにハイカットの役目は「どれだけ強く演奏したか?」を再現するものです。強く弾けば当然音は明るくなります。その部分を「Hi Cut」で調整します。右に回しきれ音が明るく、右に回すことでHI CUTフィルターがかかり始めて音が暗くなります。

正直Sakuraで理解してほしいのはここだけです。後の音の変化は時間変化ADSRの延長線上で考えられるからです。

ここを理解できていないと闇雲にパラメーターをいじっては「思った通りの音がつくれない!つまらない!このソフトシンセは地雷だ!」となってしまう可能性たかいです。

次の動画では、エレピ的な音をCLICKとNOISEのバランスを変化させると、エレピのような弾く系からパンフルート的な音になります。

パンフルートは実際「摩擦」ではありませんが、息を吹き続けるというのは連続した摩擦の繰り返しなのでNOISEとして考えても問題はありません。

とにかく覚えよう

エキサイターで生成された音→、レゾネーターへ送られ、レゾネーターで共振された音がアウトプット出力

レゾネーターはどうやって理解すれば良い?

さて、Sakuraの中で一番理解が難しいのがレゾネーター(共振)です。

共振とは言ってしまえばディレイとも言えます。どれくらいのボディの大きさでどれくらい反響するかで音の性質が決まります。

レゾネーターのスイッチを入れると短いディレイが発生します。これにFBをかけることでどれくらい共振するかを決めるわけです。

レゾネーターのパラメーターを一番右にしてFBを上げてやると低域が強調された音色になります。チェロやコトラバスなどにはこのような処理でらしさを作ることが可能になります。

ちょっとした隠れ技

STRINGSのAMOUNTを右に回しきり、パーカッシブにしたあとこのレゾネーターで低音ブーストの形にすると極太のキックが作れたりします

Sakura メリット

浮遊感漂うサウンドで作り出す幻想的な世界

物理音源はエキサイター(音色の出音の質感)に特徴があります。Sakuraでは打楽器特有の出音と弦楽器特有の摩擦による出音をブレンドすることが可能です。その結果形容するのが難しい音色を作ることが可能になりそれが、現実的ではないパッド等に使うことで存在感を強調できます。

有機的なプラックサウンドで作る

これも上記の応用ですが、管楽器的な要素と打楽器をミックスさせたプラックサウンドなどはEDM系のバッキング音色としてかなり美味しい使い方になります。

Supersaw的な派手な音もいいですが、唯一無二的な音でリズムを奏でることの面白さにハマるとSupersawな派手な音では満足できなくなります。

Sakura デメリット

パラメーターがわかりにくい

これはSAKURAに限ったことではなく物理音源はアナログシンセ等に比べるとパラメーターがかなり複雑です。それが物理音源の特徴でもあり複雑な音色変化に必要なものです。このブログでも音作りの基本として「どのパラメーターをいじるとどんな音になるのか?」というイメージで強くもつことで音の変化を理解しやすくなります。

とにかく大事なのは「エキサイター」→「レゾネーター」→出力」です!

LogicProXだけ?色々と不安定

AUが問題かどうかわかりませんが、LogicProXではオーディオでバッファを切り替えると音色はそのままのですが、プリセット表示がゼロに戻ります。その他にもサスティンが効かないなどの不具合がちらほらと見かけられます。

これはOSなどの環境要因も考えられるので一概にデメリットであるとは断定できませんが、私の環境では多少の不具合が確認されています。

とりあえずまずはデモでお使いの使用環境で問題ないかを確認してから購入を検討した方がよいかもしれません。

インストールがうまく行かない場合がある。

SakuraはFL Studioで認識するのが一般的なのか、普通にインストールするとデモバージョンになりました。キーファイルを読ませることでデモ版ではなくなるわけですが、プラグイン上でキーファイルを読み込むような場所はありません。

回避方法は

Users→Library→Preferenceの中にImage Lineのフォルダがあればその中にキーファイルをいれるわけですが、それがない場合は手動でフォルダを作り入れます。そのあとで再起動します。その場合でもうまく行かない場合はOnyx等のシステム修理アプリを使うことで私の場合はうまくいきました。

CPU負荷について

  • パソコン  Macmini2018
  • CPU  Corei7i7-8700B6コア HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
  • メモリ 32GB
  • システム OS10.14.6 Mojave
  • Audio/IF Motu896HD
  • バッファー 256
  • DAW   LogicProX10.4.8
  • 再生ストレージ HDD

Sakuraの負荷の高さはレゾナンスをどれくらい使うかで決まります。楽器の響き自体を再現しているパラメーターなのでより多くのCPUを消費します。

左側がレゾナンス使用していない状態、右側がレゾナンスを8本使用した状態です。

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まとめ

Sakuraは

  • 打楽器の特性と弦楽器や管楽器の特性をシミュレートした物理モデリング音源
  • 音作りの基本はエキサイターとレゾナンスの関係
  • AUプラグイン環境では多少操作性に難があるものの、存在感のモデリングサウンドを聴かせてくれる

物理モデリング音源としてはシンプルな操作性で音の変化がわかりやすいタイプです。

使い方のセンスが問われるソフトシンセですが、使いこなす価値が高いソフトシンセだと思います。

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