バーチャルアナログソフトシンセは数多くあります。そのため「どれがいいかわからない」というのが悩みの種になっていませんか。正直なところ最近のDAWに付属しいてるVAソフトシンセはかなり良い出来のものが多いので下手なVAソフトシンセを買うならば、内蔵のを使いこなした方が遥かによいです!ただどうしても独特の質感に拘るのであれば、やはり有料の選びたいところです。
私がよく使うkHS ONeもまさにその独特すぎる質感がやみつきになったVAソフトシンセです。
kHs Oneとは
安価で使いやすいモジュール式のエフェクトプラグインを開発しているデベロッパーkHsが作ったVAソフトシンセです。このシンセとにかく潔いコピーが最高です。そのコピーとは
kHs ONE was not designed to be a fat analog beast with a massive warm sound.
kHs ONEは、大規模で暖かい音を伴う太ったアナログ獣になるようには設計されていません。
普通だったら「すごい太いぜ!最高だぜ!お前がこのシンセを使ったらフロアが揺れるぜ!」くらいの煽りを入れてきそうですが、kHs Oneにはそれがありません。
その代わりに次のように製品の特徴を明確にあらわしています。
We have put a lot of time and effort into making oscillators and filters of the highest quality which gives kHs ONE a pleasantly warm and analog sound.
私たちはkHs ONEに心地よく温かみのあるアナログサウンドを提供する最高品質のオシレーターとフィルターを作ることに多くの時間と労力を費やしました。
低音至上主義のような音ではなく質の良いサウンドを届けることを目的としたのがkHs Oneです。だからといっていかにもなアナログシンセVCOではなくデジタルとアナログのハイブリット的なDCOの雰囲気があります。このあたりの質感が「80年代のローランドシンセや、古い世代のエンソニックシンセに似たキャラクター」と言わています。
kHs Oneの仕様と魅力
- 2 Oscillators (saw/square/noise)
- Sub oscillator
- 2 Filters
- Per voice wave shaper
- 2 LFOs
- 3 Envelopes (amp/filter/mod)
- 8 voice unison
- 24 voice polyphony
- Env/LFO legato on/off
- Portamento/Glide
- FX: Chorus, Delay, Equalizer and Limiter
オーソドックスなアナログシンセの仕様ですが、シェイパーなどがついているので歪み系の音作りも可能です。
アナログシンセしすぎていない
上記でも軽くお話しましたが、VCOというよりDCOです。太さというよりは繊細さでどことなくデジタルな質感があり、DCOベル的な雰囲気の音も作ることができます。
暖かくもなく冷たくもない中間的な音
個性と見るか弱点と見るかは人それぞれですが、デジタルでもなくアナログでもない本当に古き良きハイブリッドなサウンドです。しかしここまでオールドでハイブリッド的なサウンドはあまりお目にかかれないので重宝する音質です。
Filterのかかり方が良い
VAソフトシンセという立ち位置なので、フィルターの質感にギラギラした感じがなくまろやかなです。なのでUNISO系の音をフィルターで閉じていくときの閉じ具合にハマる人も多いかもしれません。
イニシャライズパッチを装備
何度言っても足りないくらいの重要な機能ですw音をゼロから作ることができるイニシャライズパッチを装備しているので音作りも常にまっさらな状態から始められます。音作りになれていない人はとにかくこのイニシャライズパッチから音を作るようにしましょう。
ユニゾン機能でSuperSaw的な音も作れる
デジタル&アナログサウンドのハイブリッド的な質感ですが、近年のEDM系のサウンドを意識したゴージャスなユニゾンサウンドも作ることができます。
kHs Oneデメリット
GUIで損している
個人的な感想ですが、音はめちゃめちゃいいのにGUIが普通なのが残念すぎます。ただパラメーターの配置等は音作りにまったくストレスがない見事な配置なので、あとはプラセボではないですが、もうちょっと凝ったGUIだとそれだけで飛びつく人が多いと思われます。
エフェクトにON/OFFのスイッチがない
エフェクト機能のオンオフはエフェクトパラメーターのMIXノブを右に回した状態でONになります。
パラメーターの表示にバグがある?
使っているバージョンやDAWのせいかもしれませんが、OSCを切り替えるときには上下の↑ボタンを押します。しかし、切り替えじにオシレーターの波形が切り替わらないのに、音は変わっているので「果たしてオシレーターがいくあるのか」みたいな状態になって、よくわからなくなります。
CPU負荷はUNISON機能に比例する
- パソコン Macmini2018
- CPU Corei7(i7-8700B)6コア HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
- メモリ 32GB
- システム OS10.14.6 Mojave
- Audio/IF Motu896HD
- バッファー 256
- DAW LogicProX10.4.8
上記の環境でUNISONを8にして右手で3和音 左手でルートを弾くと瞬間的に50%近くまであがりますが、そのあとは25%〜30%を推移します。どのソフトシンセもそうですが、UNISON機能は今後のCPU負荷の1つの課題になるような気がします。
サンプルデモ
インストール方法
サイトでインストーラーをダウンロードします。kHs Oneを選択しインストールするだけでOKです。他のエフェクトプラグインもこのインストーラーを使用します。
まとめ
独特の質感は好き嫌いが分かれるサウンドですが、古き良き時代のサウンドはkHS Oneが得意とするサウンドなので隠し味によく使います。良い意味で個性的なクオリティのkHs One一度試してみるのもよいかもしれません。
kHs Oneは公式サイトでは19$で販売しています。しかし他のプラグイン販売サイトでは10,000円くらいしています。どういう値段設定なのか気になるところではあります…気になる人はトライアルも可能なので試してみるのもいいですよ。