DTM ミックスがよくするためMIDIデータをオーディオ化するワケ
DTM ミックスのコツ!ソフトシンセのタイミングを合わせよう
はこちらの記事にまとめました。
Mixのクオリティを上げたいという人はmidiトラックをオーディオ化してみましょう。実はソフト音源の状態で書き出すとソフト音源特有の発音タイミングによってミックスバランスがうまくできない場合があります。
もしミックスのクオリティを少しでもあげたいのであれば各音源を個別にオーディオに書き出しをすることをおすすめします。
ソフト音源を書き出すメリット
1ソフト音源の癖がわかる
この癖というのは色々な意味がありますが1番わかりやすいのは「発音タイミング」です。
今回の記事ではサンプリング音源をテーマにしていますが、実はVAソフト音源でも発音のタイミングが異なります。
関連記
作曲クオリティが上がるソフトシンセのタイミングの合わせ方
最初にもお伝えしましたがこれが1番重要です。ソフト音源の中には発音タイミングにばらつきがあります。耳がよければソフト音源使用時から「ん?なんか音が遅れているような気がする」という感覚から発音タイミングをずらして修正できる人もいますが、そうでない人は気が付かずにそのままミックスする人もいます。
フリーのものだったり安い音源に見られることがありますが、それなりに高価なものでもそういう音源があります。例えばKontaktシリーズに付属しているベース音源SCARBEEシリーズ
これで例えば次のようなフレーズを打ち込んでみます。
わかりやすいようにLogicProXのEXS24のドラムキットにあるキックの音で4つならしてみます。
どうでしょう?違和感を感じませんか?
ただこれに違和感を感じないからといって「私駄目なんだなー」と思う必要はありません。慣れればわかるようになります。
ではこれの何が問題なのか?を書き出した画像を見て確認してみます。
まずはキックの音から拍子の頭にジャストに揃っています。
次にベース音源。キックと比べると音が最大化する部分までが随分遅れているのがわかります。
キックとベースはタイミングが命です。意図的にずらす必要がない場合を覗いて基本は合わせた方が無難な結果を得られます。特に低音は発音タイミングをシビアにしないと曲のグルーヴ感が損なわれるので注意した方がよいでしょう。
さてここからは私が勘違いしていた見識による記事です。
さらに拡大するとわかるのですが、ベース音源は音量が最大化しているところが下にふれているのがわかります。
つまり位相が反転している状態です。
ちなみにキックは位相のズレはありません。
ちなみにこれらを位相とタイミングあわせると次のようになります。
合わせていない最初のやつと聴き比べしてみてください。↓
音が閉まる感じがあると思います。
逆位相と通常の位相のものを同時にならすと上にふれる+と下にふれる−で音がかき消えてしまいます。ベースとギターでは音色自体が違うので完全にかき消えるわけではありませんが、音に迫力がなくなりみすぼらしいものになります。こんな状態でいくらコンプを使おうがイコライザーで頑張って音作りをしても効果はありません。
こういう発見が書き出すことで可能になります。
もちろん耳で判断できる人もいるとは思いますが、なれていない人は手間であってもこういうところを確認できる(意識できる)がクオリティの高い曲を作れるようになる秘訣とも言えます。
ちなみに位相をもとに戻す方法は簡単です。各DAWには位相反転プラグインやイコライザーなどに位相スイッチがついているものがあるのでそれらを使うことで逆位相をもとに戻すことが可能です。
LogicProXの場合はGainというプラグインにPhase Invertというスイッチがそれにあたります。
位相系に関しては次の記事のプラグインを使うことでも補正することができます。
補足訂正
私の位相についての認識の甘さがあったみたいです。とりあげている内容についてプロのエンジニアさんから「位相、逆位相」という問題ではなく「位相差」「時間差」という問題で認識することがよいという話を聞きました。
今回の内容でいうところはタイミングの問題になるという話です。
この記事を読んでみなさんの知見が深まるきっかけになること嬉しいです。
巷でのオーディオ化への反応と対策
波形として見たときにそこから得られる情報
midiとしては見られる情報はピアノロールの長さや強弱による色の違いですが、オーディオ化することでより多くの情報を得ることができます。それが今回のタイミングだったりもします。
以外に多いのがアルペジオやスタッター系による同期問題です。このあたりは実際書き出してみないとわからないことも多いのでトライアンドエラーによる対策が必要になる場合があります。
音源によっては書き出し時の音が違う「タイミングガチャ」的な音色もあります。こうなると発音時に「あー!その音じゃないのに」とイライラにの原因になります。
これが以外に大切だと思っています。midiだとつい簡単に修正がきくため「あとで変だったら戻せばいいや」という気持ちが音楽のクオリティにつながる部分があります。不退転の決意ではありませんが、あとには引けない!という気持ちで作るための書き出しも有用です。
最終的には自分の耳で聴いて「OK!」と思えるかどうかが1番重要です。必ずしもバウンスが必要というわけではありませんが、今回の記事の「タイミング」の問題や、音源によるエラーでは確認作業をするにこしたことはないですね。
「音楽は耳だろ!」という意見は当然ですが、耳が鍛えられていない状態では5感を総動員して良いものを作ろうとする意識が必要です。
ひと手間かけるだけでクオリティアップに貢献できるわけですからやらない手はないですよね。
このようにバウンスにおけるメリット・デメリットは人それぞれですが、音源として少しでも気になる場合は書き出し時のチェックをおすすめします。
ソフトシンセをたくさん使ってそのままバウンス(書き出し)をしている人は多いと思います。しかし1ランク上のミックスを目指すならばソフトシンセは一度オーディオファイルに書き出すのがオススメです。
その理由は次の2つです。
発音タイミングの調整
CPU負荷の軽減(音割れや音飛びを防止)
これらを意識して行うことでミックスのクオリティを1ランクアップできる可能性があります!
ソフトシンセの発音タイミング
色々なミックスソフトを使ってもしっくりこない場合などに気をつけてほしいのはソフトシンセの発音タイミングです。
多くのDTMerが陥りやすいミスとしてソフトシンセを書き出すとすべて同じタイミングになると思っているかもしれませんがそうではないのです。ここをしっかりと意識するとしないのとではミックスのクオリティが大きく変わってきます。
この発音タイミングはプロの世界でも重要視している一つの要素です。なのでDTMでミックスをする私達も蔑ろにするわけにはいきません。
ソフトシンセは書き出すことで発音するタイミングを細かく確認できます。
例えばLOGICでMASSIVE、Jup-8 V3 TRITONは以下のようなタイミングで書き出されます。
MASSIVE
Jup-8 V3
TRITON
また、数値デートして公表されているArturiaのソフトシンセでは次のような違いが見受けられます。
Jup-8 V3
アタック0ms〜6164ms ディケイ0ms〜34625ms サスティン0〜1.000 リリース0ms〜40194ms
Prophet V3
アタック0.15ms〜7400.00ms ディケイ0.50ms〜11000.00ms サスティン0.00〜1.00 リリース0.50ms〜11000.00ms
Modular V3
アタック0ms〜265s ディケイ0ms〜265s サスティン0.00〜1.00 リリース14ms〜471s
MIni V3
アタック0.52ms〜18s ディケイ0ms〜26.88s サスティン0.00〜1.00 リリースはオンとオフの切り替えの
ちなみにMIni V2の場合はアタック0ms〜250s ディケイ0ms〜250s サスティン0.00〜10.00
ソフトシンセでシビアにアタックを調整しても、書き出し時でここまで変わるケースもあります。レイヤーなどで音作りをする場合などで音色が上手くきまらないと思ったときは発音タイミングを合わせることですっきりとした印象になる場合もあります。
バス・トラックでキックとベースのタイミングがずれていてたらそれだけでリズムは安定しませんし、バスにかけるコンプなども上手く働いてくれない場合があります。
演奏や打ち込みの意図も関係してきますが、1拍目の発音タイミングをしっかりと合わせるだけでもミックスクオリティは上がります。なぜなら、音楽理論も知らない普通の人でも頭のタイミングはわりと感じています。だからこそ頭はしっかりと合わせる!これだけは覚えておいた方がいいですよ
CPU負荷の軽減(音割れや音飛びを防止)
最近では少なくなりましたが、インスト(ソフトシンセを使用している)トラックをそのまま書き出すと、音飛びが発生するケースがありました。
理由としては使用しているプラグインの負荷が高い場合や、プラグイン自体の数が多すぎて演算が追いつかなくなった時に起こりました。
その状態で誰かに聴いてもらうのはあまり褒められたものではありません。そしてDTM初心者ほど「2mixの書き出しファイルを細かくチェックしない」という傾向があります。
単体トラックの書き出しはそれほど負荷がかからないため音飛びなどのエラーはゼロとはいいませんが起きる確率は2mix時の書き出しよりはるかに低いです。
また、ボーカル録音の場合などではリバーブを使いたくてもインストトラックでCPUリソースをもっていかれリバーブを立ち上げられないという可能性もあります。
ソフトシンセの場合はバウンスをしなくてもフリーズ機能でCPUリソースを抑えることが可能ですが、やはり最終的にはオーディオで書き出した方が、CPU負荷や発音タイミングの確認においてもメリットは大きいといえます。
まとめ
ソフトシンセをバウンスすることのメリットは次の2つ
発音タイミングを確認(認識)できる
CPU負荷を軽減できる
逆をいえば上記のことをしなければいけないという手間の面ではデメリットともいえますが、クオリティは作業量に比例する部分があります。
神は細部宿る、多くのプロはこの意味と重みを深く理解しています。みなさんも今の自分にできる「ちょっとめんどくさいなー」の部分に目を向けてクオリティの高いミックスをしていきましょう。
オーディオで書き出すことで音源の癖がわかるということを理解してもらえたかと思います。
すべてがこういう音源ではありませんが、こういう癖のある音源を使ってしまうと楽曲全体のクオリティに影響がでます。そのためにも音の正体を知るためにもMidiトラックのオーディオ化をおすすめします。
この他にも常日頃から書き出し癖をつけておくと、仕事などで「すべての音源をパラデータでください」となったときに焦って書き出しミスなどの予防にもつながります。またオーディオに書き出すことでソフト音源に使われていたCPUパワーを開放できるのもメリットです。
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