
Roland CloudのJD-800って、昔のシンセでしょ?そんなに音が良いの?今さらソフトで出されてもピンとこなくて…



JD-800って単なる懐古趣味じゃないんだよ。1991年に出たハードウェアの名機で、今でも根強いファンがいる。Roland Cloud版は音だけじゃなく、操作感まで当時の雰囲気をかなり再現してる



実際の音とか使い勝手はどうなの?他のソフトシンセと比べて、選ぶメリットあるのかな?



重厚なサウンドとレイヤーの自由度の高さが、今の音楽制作にもハマるんだよ。触ってるだけでインスピレーションが湧くというか。初心者でもプリセットから入れば全然OK。
メリット | デメリット |
---|---|
実機サウンドをプリセット番号を含めて再現! 実機に勝るとも劣らない操作感とGUI ソフトならではなの拡張機能多数 | ハードウェアの拡張カードサウンドはない 実機のDACを再現しているわけではない |
音楽バブル全盛期のシンセサウンドを扱いたい
TKサウンドの代表するあのピアノの音を使いたい
音作りを視覚的に確認したい!
Roland Cloud JD800とは
Roland Cloud JD-800は、1991年に登場した伝説的なシンセサイザー「JD-800」をソフトウェア音源として再現した製品です。
オリジナルの豊かなデジタルサウンドと直感的な操作性を忠実に再現し、多数のスライダーによるリアルタイムコントロールも継承。厚みのあるパッドや煌びやかなベル系サウンドなど、90年代らしいサウンドを現代のDAW環境で扱えるのが特徴です。さらに、Rolandの先進的なモデリング技術により、音質やレスポンスも高品質に保たれています。
ZENOLOGY JD-800との違い


Roland Cloud のJD‑800 は、ZENOLOGY Pro に対応した Model Expansionとして提供される形態 です。単体プラグインではなく、ZENOLOGY プラグイン内で動作します 。
対して「Roland Cloud JD‑800」と呼ばれる製品名も、実際は ZENOLOGY Pro の共通エンジン上で動作する Model Expansion を指しています。つまり、両者は同じ製品 です


Reddit や Gearspace などでは、「JD‑800 Model Expansion は実質 Zenology 上の特殊スキンに過ぎず、純粋な ACB プラグインほど忠実ではない」という声もあります。
ただ、ZENOLOGY JD-800ではプリセットの番号が異なるため、俗に言う「53番ピアノ」はZENOLOGYでは違うプリセット番号になっているので注意が必要になります。
同時発音数を拡張可能


ハードウェアのJD-800は同時発音数が24という制限がありましたが、ソフト版で Voice Limit: Light/Middle/Heavy の3段階から選べます。これは CPU負荷と同時発音数制限のトレードオフとして機能します。
公式には数値として明示されていませんが、以下は Gearspace のフォーラムや実使用報告を基にした推定です:
Voice Limit 設定 | 同時発音数の予測目安 |
---|---|
Light(ライト) | 約 12〜16ボイス(最も制限が緩く、音切れが少ない) |
Middle(ミドル) | 約 8〜12ボイス(中間設定、CPU負荷とのバランス) |
Heavy(ヘビー) | 約 4〜8ボイス(制限が最大、Heavy=重制限との誤解も) |
ただこれは使用する環境に影響する可能性があるので、参考程度にしておくべきかもしれません。
Roland Cloud JD800レビュー
- 実機サウンドをプリセット番号を含めて再現!
- 実機に勝るとも劣らない操作感 とGUI
- ソフトならではなの拡張機能多数
- 豊富なエフェクトとチェイン変更
- ハードウェアの拡張カードサウンドはない
- 実機のDACを再現していない
完成したソフトウェアJD−800サウンドの決定版


JD-800といえば53番、53番といえばJD-800と知らない人からすると暗号でしかないこの会話。これはTKこと小室哲哉が使いまくったピアノのプリセットナンバー53から来ています。
私もJD-800は所持してメイン音源化していた時代が数十年ありましたが。時代の流行りの変化とともに手放す流れになりましたが、どこかで「もう一度あの音に触れたい」と願い続けていました。近年になってからJD-800をソフト音源かしたものがリリースされましたが、そのどれもが「どこか違う」という質感ですし。操作性に至っては別物でした。
ハードウェア自体を中古で買い直すと中古で完動品のJD-800は年々値上がりして現在では12万〜15万、極美品レベルとなると20万を超えてきます(ちなみに定価は30万)
そして何よりこのご時世、ソフトでできるのであればソフトで済ませたいわけです。
そんな中で数年前に本家ローランドがRoland Cloudをリリースし、Rolandの往年の名機がどんどんと再現されリリースされるようになる中で満を持してソフトウェア版であるZENOLOGY JD-800をリリース。
これは上記でも説明しましたが基本は同じなのですが、GUIやプリセットの番号の違いなどがあり微妙に使いにくさが指摘されていました。
そこで、GUIも完全に再現したRoland Cloud JD800が満を持してリリースというわけです。
プリセットは完全再現。実機と見間違うレベルの美しいGUIと操作性。ソフト版のオリジナル機能としてエフェクトチェイン変更や、追加プリセット、ユニゾンモードなるものを搭載しました。


使ってみた印象はとにかく「これよ!これ!これがJD-800の53番よ!」と言いたくなるほどのクオリティ、近年のピアノ音源と比較すればまったくピアノじゃない音なんですが、JD-800特有のアタックが強すぎて「キャンキャンうるさいねん!」ってツッコミをいれたくなるほどの音色ですが、これがJD-800の53番なんですw
その他にも透明感が強すぎるローズ系のエレピや、民族的な雰囲気を感じるマレット系のサウンド。分厚く存在感があるシンセブラスなど、自分が求めていたJD-800のサウンドがほぼほぼ完璧に再現されていました。
また、JD−800のプリセット数は64ですが、今回はさらに64追加されプリセットは128!そして任意のサウンド保存できるイニシャルプリセットが15あるのも特徴の一つです。
ソフトウェアによって同時発音数の問題をクリア
ハードウェアでは同時発音数が24ということ、そしてエフェクトはあくまでシングルパッチのみで有効つまり、マルチティンバーとして使うと、エフェクトは使えなくなります。(確か空間系のエフェクトを共有で使えたとかそんな仕様はあったはず)
派手なディストーションギター(プリセット番号75Velo Velo Crunch)や個性的なフェイザーがかかったクラビネット(プリセット番号35Throaty Clav)などは目(耳)も当てれれないほど貧相で別の何かになってしまうほどJD-800のエフェクトは超がつくほど個性的でした。
しかし、Roland Cloud JD-800ではマルチティンバー的な問題はなく、CPUが許す限りシングルサウンドを立ち上げられるのでご機嫌なエフェクトサウンドを堪能できます。


また、エフェクトはソフトウェアならではの機能として自由にエフェクトチェインを変更できるのも嬉しいところです。


音色面ではほぼ完全に再現していますし、ハードウェアよりクリアで低域の透明感があるので現代的なブラッシュアップも行われているように思います。
実機の質感まで再現とはいかない
音色およびプリセット、操作性、GUIの再現までは完璧に違いのですが、DAコンバーターレベルにおいてハードウェアの質感を再現しているわけではありません。同時のDAの質感こそJD-800だ!というユーザーにはいくらプリセットが完全に再現されたとはいえ違和感の残る印象をもってしまうかもしれません。
少し残念に感じたのは追加カードを再現していない点です。JD-800にはいくつかの追加カードが発売されており、それらにはJD-800には搭載されていないドラムサンプルなどが含まれており、私は追加カードのRock Drumsの音がリアル(当時)で多様しまくっていましたw
もちろん今となっては追加カードによるサンプルのクオリティ等はそこまでのレベルではないものの、Roland Cloud JD-800で追加カードを再現してほしいと思うユーザーは一定数いると思います。
Roland Cloud JD800はどんなユーザーにおすすめなのか?
では改めて今このJD-800を購入すべきユーザーはどんなユーザーなのか?を考えてみます。
TKピアノの作り方を極めたい
まずはTKサウンドの要である53番のピアノがほしい人です。他のFree VSTでもピアノだけ有志によって作られていたりしますが、本物のTKピアノの作り方を学ぶのであればRoland Cloud JD800が一番本物に近く、またそれ以上の作り込みが可能になります。
シティポップ系のサウンドがほしい
続いて、おすすめなのはシティポップ系のサウンドを求めているユーザーです。
近年世界でも日本のシティポップは高く評価されています。シティポップのクリアで少しひんやりとしたデジタル的なサウンドはRoland Cloud JD800の得意とするところです。
その他にも向いているユーザーとそうでないユーザーは次のようにまとめられます。
ユーザー像 | 向いている理由 |
---|---|
JD‑800の名サウンドを気軽にDAWで使いたい制作者 | コスト高・場所取らず・プラグイン形式で即使える |
モダンな音設計を追求するサウンドデザイナー | 柔軟なプリセット編集、エフェクトチェーン、拡張プリセット |
実機トラブルを避けたい人 | メンテ不要、故障リスクなしで安定使用 |
物理操作に強いこだわりがある場合 | ソフトUIでは操作感が制限される |
Sysexなど外部プリセット連携を重視する人 | ハードプリセットの移植不可 |
かなり軽量な、小規模環境で使いたいケース | 高音質ゆえのCPU負荷を要注意 |
まとめ
メーカー | Roland |
システム | Windows: Windows 10 (64-bit) or Windows 11. macOS: macOS 11 (Big Sur) or later. |
認証方式 | シリアル認証 |
マニュアル | ソフト内で呼び出し可能(日本語) |
CPU負荷計測/使用環境
パソコン Mac Studio
CPU M4 MAX
メモリ 64GB
システム OS15.5 Sequoia
Audio/IF Focusrite RED 8PRE
バッファー 64
DAW LogicPro11.2.2
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
改めて思ったはJD-800のサウンドは53番のピアノ以外にも素晴らしい世界観を持った音色が多数用意されています。
90年代にリリースされたということもあって時代を感じる音色も見受けられますが、何周回って今となってはそれも一つの個性的なサウンドとして捉えることができます。
若い人は「どうしておじさんたちはJD-800にこれだけ魅了されているのか?」という疑問をRoland Cloud JD800を手にして感じてほしいです。もちろん好き嫌いや、ジャンルによって合う合わないもあります。
しかし、Roland Cloud JD80から新しい音楽が生まれる可能性はゼロではありません。若い人であればその若い感性で有限の中に見た無限とも感じる音色エディットで新しい時代を切り開いてほしいですし。
リアルタイムでJD-800サウンドを生きた世代のユーザーであれば、Roland Cloud JD800からあの時代のあの匂いや空気感を感じ取れるタイムマシンのようなサウンドを堪能してほしいです。