
OmnisphereとかKontakt持ってるんだけど、Roland CloudのXV-5080って何が違うの?



あれらは膨大なサンプルと最新音作りに強いけど、XV-5080は“即戦力の幅広さ”と“軽快さ”が売りなんだ。



幅広さっていうと?



それぞれの音色がとても軽いからメモリ負荷も少ない!それでいてオケの中でしっかりとした存在感で鳴ってくるれるよ
メリット | デメリット |
---|---|
ハードウェアとほぼ同等の音質 豊富なプリセットと使いやすいGUI ソフトウェアでスムーズな編集&DAW統合 | サンプル読み込みなどオリジナルの機能が制限 一部音色の品質に賛否あり すべての拡張カードは再現されていない |
Roland Cloud XV-5080 とは
2000年(正確には2001年4月に発売)に登場したハードウェア版 XV-5080 は、「Roland の究極のサウンド・モジュール」です。PCM ベースの多音色対応、洗練されたモジュレーション、多彩な DSP エフェクト、SRX 拡張ボードへの対応などを備えており、幅広いジャンル(オーケストラ、テクノなど)で重宝されました
Roland Cloud 版では、それらの機能を再現しつつ、900 種類以上のプリセットを収録。ジャンルを超えたサウンド探求をスムーズにし、編集のための GUI や SYSTEM-8 などのハードウェアとの連携にも配慮され、現代の音楽制作事情にもストレスなく使用できる音源です。
Roland Cloud XV-5080 レビュー
- ハードウェアとほぼ同等の音質
- 豊富なプリセットと使いやすいGUI
- ソフトウェアでスムーズな編集&DAW統合
- サンプル読み込みなどオリジナルの機能が制限
- 一部音色の品質に賛否あり
- すべての拡張カードは再現されていない
Rolandらしい音の集大成


Roland Cloud XV-5080を使ってみて思ったのは、Rolandの集大成的な音色に即座にアクセスできる便利性だと思います。近年ではKontaktやSample Tankのようなマルチ音源は数多くあり、それらはメモリも潤沢に使用されています。
しかし、その反面、DAW使用時にメモリを圧迫するため音源やエフェクトプラグインを制限しなければいけない可能性があります。
Roland Cloud XV-5080では一つの音色のメモリ使用量が少ないため、Kontaktの類と比べるとメモリ使用量はかなり低いためストレスフリーなマルチ音源環境になります。
実機との違いはどこまで重要か?
私にとっては実機と比較しての良し悪しはそこまで必要ではなく、楽曲制作においてすぐに使えるツールであるかどうかという方が大事だったりします(もちろんハードウェアの良さは認めたうえでの話です)
一部の音色では実機と違う!という声もネット上では見られますが、その音色がユーザーにとって必要不可欠ならばそれはデメリットに感じるかもしれませんが、実機の音色についてそこまで詳しくない場合はそこまで気にする必要はないと思います。
音色面においては鉄板の128 Voice Piano、正直いって近年の10GBオーバーピアノと比べればリアルじゃありません。しかし、JD-800のようなアタック感をジェントルにさせたようなXV-5080のピアノの音は汎用性も高く、オケの中でもほどよい存在感を示してくれます。
他にもキーボード系の音色はシンセ系とサンプリング系の音色がほどよくミックスされたものがあり、単純なコードであっても弾いていてるとその音色の世界観に堪能できるものが多くあります。
また汎用性高いベル系の音色も充実しており、アニソンやゲームで使われているようなベルはだいたいRoland Cloud XV-5080で聞くことができます。
そして、みんなだいすきオーケストラヒット!(最近はそうでもない?)も19種類あり、インパクトのあるオケヒ音色を自由に扱えます。
他にもシンセパッド系やブラス系、ギターなどとにかく「PCMシンセとしてのRolandが目指した最高峰の音色」が用意されていることが「Rolandらしい音の集大成」と思った理由です。
Roland Cloud XV-5080はマルチ音源なので、1曲を作り上げてしまうことも可能です。もちろんギターやドラムにベースなど近年の専用音源を使ったほうがリアルになるのは間違いありませんが、Roland Cloud XV-5080だけで作るメリットとしてミックスバランスが整いやすいのでイコライザーやコンプでこねくり回すよりはよい結果を生みやすいです。
ただ、Roland Cloud XV-5080はあくまでPCM音源(ピアノやギターをサンプリングした音源)であるため、SERUM等のウェーブテーブルシンセのような音色は出せませんので注意が必要です。
音色エディットがわかりやすい


Roland Cloud XV-5080は実機と同じ900近い音色にすぐにアクセスできますし、大画面を活かした音色エディットもかんたんに行えます。
実機では小さいウィンドウ(それでも当時は大きかった)を見てパラメーターを操作してたわけですが、Roland Cloud XV-5080ではパソコンの画面を使ってエディットできるので視認性の良さは桁違いに良いです。


音色選択ブラウザも名前とカテゴリに分かれているため、音色選択のストレスはあまりありません。ただ個人的に言えば900もある音色で実際使うのはせいぜい1割り程度なので、できればお気に入りだけをピックアップできる機能等があればもっとよかったように思います。
実機から省かれた機能として、サンプリング機能があります。XV-5080はサンプラーとしての機能もありました。つまり自分が取り込んだ音とXV-5080の波形をミックスさせてサウンドエディットができたわけですが、Roland Cloud XV-5080にはその機能はありません。
DAW上ではドラッグアンドドロップで波形を読み込んで自由に音色をサンプリングできるわけですから、わざわざRoland Cloud XV-5080に読み込ます必要は感じません。かりにRoland Cloud XV-5080に読み込ませた場合のファイル管理等の手間を考えれば、むしろ煩わしくなる可能性も大きいです。
まとめ
メーカー | Roland |
システム | Windows: Windows 10 (64 ビット) または Windows 11。 macOS: macOS 11 (Big Sur) 以降。 |
認証方式 | シリアル認証 |
マニュアル | ソフト内で呼び出し可能(日本語) |
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Intel Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.6.1 Monterey
Audio/IF Focusrite RED 8PRE
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.7
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
Roland Cloud XV-5080はウェーブテーブルシンセではなく20年以上前にリリースされたPCM音源(マルチ音源)ではありますが、現代でも使える音色が多いです。
とくにゲーム音楽や一般的な汎用曲と呼ばれるものとの相性は抜群なので、BGM制作ユーザーの頼もしい味方になってくれることは間違いありません。
選択肢として考えるときに近年のマルチ音源と比較するとその軽さと使いやすさにあると思います。KontaktやOmnisphereなどはどこで使うのかよくわからないアビンエント的な音色が多いのに対してRoland Cloud XV-5080は歌目の、BGMで使いやすい即戦力の音色が多いため、使いやすさで決めるならばRoland Cloud XV5080がおすすめです。