プロフェッショナルな音楽制作環境を整える上で、複数のプラグインバンドルの中から最適な選択をするのは悩ましいものです。
UAD Complete 2やWaves Mercury、Softube Volume 5といった豪華なバンドルが魅力的な一方、T-RackS 5 MAX V2は圧倒的なコストパフォーマンスで注目されています。
セール時には、非常に手頃な価格で手に入るこのプラグインスイートは、53種類もの高品質なモジュールを提供し、特にJoe Chiccarelli監修のVocal StripやSunset Sound Reverbなど、プロフェッショナル仕様の機能が揃っています。
Slate Digital All Access Passと比較しても、長期的な投資として非常に優れた選択肢であり、コストを抑えつつもプロフェッショナルなサウンドを追求する方にとって、T-RackS 5 MAX V2は見逃せないオプションです。
\バンドルセットが圧倒的にお得!/
T-Racks5 MAX V2 サウンドレビュー
ここではT-RackS 5 MAX v2の中で特にお気に入りのプラグインのサウンドレビューを行います。
まずはテープエミュレーションシリーズよりTEAC A-6100 MKII
UADと比較すると、ちょっとおとなしめな印章がありますが、通しただけで好みの音になってくれるので重宝します。
続いて、The Stone Room
ドラムに硬質なリバーブ感を与えてくれるリバーブプラグインです。ポイントはカーテンのON/OFFで質感調整が変化すること、ドラム専用的な位置づけですが、ボーカルに使ってもいい感じです。
次にボーカル用のチャンネルストリップのJoe Chiccarelli Vocal Strip
Joe Chiccarelli Vocal Stripは3つのコンプレッサーUREI 1176、Fairchild 670、UA 176/Tube-Tech CL 1Bハイブリッドの3種類をパラレル処理し、ボーカル特有のダイナミクスを自然にときにアグレッシブに処理できます。
また、リバーブやエコー、そしてイコライザーも搭載していますが、それぞれのパラメーターがシンプルなので非常に使いやすいです。
最後は、マスタリング用的な意味合いで使いやすいTR5 Suite
それぞれのプラグインを組み合わせてマスタリングプロセッサー的に使うことができます。プリセットはそれほど多くないのですが、派手なサウンドからビンテージ系のミックスサウンドまでこなしてくれます。
機能性および操作性
ここでは個人的に気になったポイントを解説します。
古今東西のプラグインを50以上搭載
以下は、T-Racks 5にそれぞれグレードがあり収録されているモデル数が異なります。
機能/プロセッサ | T-RackS 5 CS (無料版) | T-RackS 5 Special Edition | T-RackS 5 v2 | T-RackS 5 MAX v2 |
---|---|---|---|---|
販売価格 | FREE | $/€149.99 | €199.99 | €49.99 |
プロセッサ数 | 1 | 10 | 22 | 53 |
64-bitネイティブサポート | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
スタンドアロンワークステーション | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
アルバムアセンブリ | ◯ | ◯ | ||
192kHz / 32-bitフローティングサポート | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
プロセッサ | ||||
Classic T-RackS Equalizer | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
Classic T-RackS Compressor | ◯ | ◯ | ◯ | |
Classic T-RackS Multi-band Limiter | ◯ | ◯ | ◯ | |
Classic T-RackS Clipper | ◯ | ◯ | ◯ | |
Master Match | ◯ | ◯ | ||
Dyna-Mu | ◯ | ◯ | ||
EQual | ◯ | ◯ | ||
One | ◯ | ◯ | ||
Full Metering | ◯ | ◯ | ||
De-esser | ◯ | ◯ | ◯ | |
Vintage Tube Compressor/Limiter Model 670 | ◯ | ◯ | ◯ | |
White 2A Leveling Amplifier | ◯ | ◯ | ◯ | |
Black 76 Limiting Amplifier | ◯ | ◯ | ◯ | |
CSR Room Reverb | ◯ | ◯ | ||
Tape Echo | ◯ | ◯ | ||
Mic Room | ◯ | ◯ | ||
British Channel | ◯ | ◯ | ||
Quad Comp | ◯ | ◯ | ||
Quad Lim | ◯ | ◯ | ||
Quad Image | ◯ | ◯ | ||
EQP-1A Vintage Tube Program Equalizer | ◯ | ◯ | ||
Opto Compressor | ◯ | ◯ | ||
Brickwall Limiter | ◯ | ◯ | ||
Linear Phase Equalizer | ◯ | ◯ | ||
Saturator X | ◯ | |||
Stealth Limiter | ◯ | |||
EQ PA | ◯ | |||
EQ PB | ◯ | |||
EQ PG | ◯ | |||
EQ 73 | ◯ | |||
EQ 81 | ◯ | |||
Master EQ 432 | ◯ | |||
Precision Comp/Limiter | ◯ | |||
Bus Compressor | ◯ | |||
White Channel | ◯ | |||
CSR Plate Reverb | ◯ | |||
CSR Hall Reverb | ◯ | |||
CSR Inverse Reverb | ◯ | |||
Comprexxor | ◯ | |||
FAME Studio Reverb | ◯ | |||
Joe Chiccarelli Vocal Strip | ◯ | |||
Space Delay | ◯ | |||
Sunset Sound Studio Reverb | ◯ | |||
T-RackS Leslie | ◯ | |||
Tape Machine 24 | ◯ | |||
Tape Machine 440 | ◯ | |||
Tape Machine 80 | ◯ | |||
Tape Machine 99 | ◯ | |||
TASCAM 388 | ◯ | |||
TASCAM PORTA ONE | ◯ | |||
TEAC A-3340S | ◯ | |||
TEAC A-6100 MKII | ◯ | |||
The Farm Stone Room Studio Reverb | ◯ |
T-Racksにはグレードがあり、MAXは文字通り全部盛りという状態です。
では、このグレードの中でMAXを買い求めるメリットは何かと言われれば、
以下の15のプラグインが個別で購入するより安くなる点です。
名前 | カテゴリ | 価格 |
Comprexxor | コンプレッサー | $149.99 |
FAME Studio Reverb | リバーブ | $149.99 |
Joe Chiccarelli Vocal Strip | チャンネル・ストリップ | $149.99 |
Space Delay | ディレイ | $149.99 |
Sunset Sound Studio Reverb | リバーブ | $149.99 |
T-RackS Leslie | レズリースピーカー | $149.99 |
Tape Machine 24 | テープエミュレーション | $99.99 |
Tape Machine 440 | テープエミュレーション | $99.99 |
Tape Machine 80 | テープエミュレーション | $99.99 |
Tape Machine 99 | テープエミュレーション | $99.99 |
TASCAM 388 | テープエミュレーション | $149.99 |
TASCAM PORTA ONE | テープエミュレーション | $149.99 |
TEAC A-3340S | テープエミュレーション | $99.99 |
TEAC A-6100 MKII | テープエミュレーション | $99.99 |
The Farm Stone Room Studio Reverb | リバーブ | $149.99 |
この中でもさらに個人的に好きなものを3つ紹介します。まず最初が、TEAC A-6100 MKIIです。
サウンドレビューの項目でも紹介しましたが、これが一番のお気に入りです。
バスチャンネルからマスターまでどこでも使えるテープエミュレーター系プラグインですが、キックとの相性がよく、ふくよかなローエンドと耳に優しい高域をうまくだしてくれるので、下手にコンプやイコライザーを使うよりは”らしい”音になります。
次はTASCAM PORTA ONE
これはカセットテープマルチトラックレコーダーをエミュレートしたものですが、よくある汚し系とは違うレトロな質感を得られるプラグインです。
カレットMTR特有のチープなダイナミックサウンドを使用することで、レトロだけれどしっかりとした存在感を発揮します。レイヤーサウンドの隠し味やリズム系に使うと面白いです。
そしてリバーブ系とくにSunset Sound Studio Reverbがお気に入りです。
このリバーブがすごいのは、チェンバー系からルーム&ブース系、そしてプレートリバーブ(スプリング・リバーブ)までかなり多用なリバーブサウンドを楽しめる点です。またIK Multimedia独自のVRM™(Volumetric Response Modeling = 体積応答モデリング)技術によってアルゴリズムリバーブでは得られないリアルな質感を楽しめます。
その他にも世界で最も愛されたドラムリバーブサウンドを再現したThe Farm Stone Room Studio ReverbやFAME Studio Reverbなど、往年のアメリカリバーブサウンドを堪能できるのが大きな魅力です。
モジュレーション系プラグインはほぼない
多くエフェクトプラグインを搭載しているT-Racks5 MAX V2ですが、モジュレーション系はありません。(Space Delayはディレイ及び空間系など除外しています)
コーラスやフェイザーにも名機と呼ばれるものは多いので、できれば今後はそのあたりのエフェクトプラグインを搭載してくれると嬉しいですね。
Sutieを使えばT-racksを一つのプラグインで管理できる
T-Racks5 MAX V2は多くのエフェクトプラグインを搭載しているプラグインですが、使いすぎるとプラグインスロットがごちゃごちゃしてしまいます。
そんなときはTR-Rack Sutieの出番です。これはTR-Racksのプラグイン一つのプラグインの中だけで自由に使えるプラグインです。utieではプラグインを直列及び並列に並べることができるので、自分の好みのプラグインをチェインして、さらにそれを保存できるのが便利です。
またメーター等も装備されているので、数値を管理しながらより適切なゲインを追い求めることも可能です。
プラグインをシンプルに管理したい人にはおすすめです!
CPU負荷について
T-Racks5 MAX V2のCPU負荷はエフェクトプラグインによって異なります。たとえば、T-RackSシリーズといえばコレ!的な雰囲気のイエローボディのエフェクトプラグインや往年の名機をモデリングしような外観のプラグインのCPU負荷は低いです。
一般的に負荷が高くなる傾向があるリバーブでもそこまで負荷は高くないのはありがたいことです。
一方でテープエミュレーション系のプラグインはどれも負荷が高く、ソフトシンセとの併用には注意が必要だと感じます。
また、これは私だけの環境かもしれませんが、例えばトラックにTEAC A-6100 MKIIを挿した状態の負荷とマスターにTEAC A-6100 MKIIを挿した状態でCPU負荷が異なりました。
左がマスターに挿した状態、、右がトラックに挿した状態のCPU負荷です。
なぜこのようなCPU負荷になるのかはわかりませんが、とにかくテープエミュレーションの負荷の高さは目立ちますが、収録されているテープエミュレーション(製品バンドル名T-RackS TASCAM Tape Collection)でしか得られない質感があるので、うまく付き合ってでも使いたいプラグインです。
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Intel Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.6.1 Monterey
Audio/IF Focusrite RED 8PRE
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.7
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
他社とのマルチプラグインバンドルの比較
UAD Diamond Bundle、Slate Digital All Access Pass、Waves Gold Bundle、Softube Volume 5の価格と搭載しているエフェクトプラグインの数をまとめました。
バンドル名 | 価格 (USD) | エフェクトプラグインの数 |
---|---|---|
UAD Complete 2 | $10,995.00→ $3,999.00 | 100+ |
Slate Digital All Access Pass | 月額$14.99 | 60+ |
Waves Mercury | $7,599→$2,499 | 170+ |
Softube Volume 5 | $899→$539 | 30+ |
T-Racks5 MAX V2 | $329.99→$54.99(セール時) | 50+ |
リリースしているプラグインを全部搭載しているというバンドルでの比較になります。この価格から見てもT-Racks5 MAX V2のバリュー感は高いのがわかりますし、セール時のコスパの高さも素晴らしいです。
まとめ
- 50を超えるエフェクトプラグインを収録
- テープエミュレーションの音質が素晴らしい
- T-Racksを一つのプラグインで管理できるSutieが便利
- 価格が安い
- モジュレーションプラグインがない
- テープ系のCPU負荷は高い
メーカー | 各列で最低限維持する幅 30% |
システム | Mac (64 ビット) 最小: Intel® Core™ 2 Duo、 4 GB の RAM (8 GB 推奨)、 macOS 10.10 以降。 Windows® (64 ビット) 最小要件: Intel® Core™ 2 Duo または AMD Athlon™ 64 X2、4 GB の RAM (8 GB を推奨)、 Windows® 7 以降。ASIO 互換のサウンド カードが必要です。 |
認証方式 | シリアル |
認証数 | 5 |
マニュアル | 英語 |
価格 | $329.99 |
備考 | サポートされているプラグイン形式 (64 ビット): Audio Units、VST 2、VST 3、AAX。 |
私は初代のT-Racksから使っているのでT-Racks歴はもう20年近くになります。バージョンがあがるたびに新しいプラグインが追加されていますが、正直なところ、音質的には近年作られたプラグインと比較すると多少音質的に古さを感じる部分もあります。
ですが、使えないというものではなく、その傾向の音質がほしいときには活躍してくれています。
T-Racks5 MAX V2ですが、おそらく、初心者から中級者にむけてのユーザーがターゲットだと思います。そして現状ではそのターゲットにはOzoneやNeutronといったizotopeが幅を効かせている状態です。
その場合ユーザーはどちらを選べばよいのか?という話になると思います。
正直にいうとizotope製品の方がモダンミックスサウンドになります。おそらくミックスに知識がない人でも60点程度でのミックスが可能になります。それほどizotopeは素晴らしいプラグインですが、GUIであるプラグインの見た目がどうしても好きにはなれません。
そういった意味で私はT-Racks5 MAX V2のようなGUIのプラグインが大好きなので、結果よりも過程を楽しむことができる今の自分にとってはizotopeよりT-Racks5 MAX V2の方が触っていてワクワクします。
単体で購入するよりもTotal Studio 4 MAXを購入すれば同じ価格で以下のセットが購入できるので断然Total Studio 4 MAXの方がお得です。
製品名 | 定価 (USD) | セール価格 (USD)(税込み) |
---|---|---|
AmpliTube 5 MAX v2 | $329.99 | $109.99 |
T-RackS 5 MAX v2 | $329.99 | No sale |
SampleTank 4 MAX v2 | $329.99 | $54.99 |
Syntronik 2 MAX v2 | $219.99 | No sale |
ARC 3.5 | 記載なし | No sale |
Hammond B-3X | $110.59 | No sale |
Lurssen Mastering Console | $110.59 | No sale |
Miroslav Philharmonik 2 | $221.20 | No sale |
MixBox | $109.99 | No sale |
MODO BASS 2 | $219.99 | $54.99 |
MODO DRUM 1.5 | $299.99 | $49.99 |
SampleTron 2 | 記載なし | No sale |
TONEX MAX | $329.99 | $109.99 |
\バンドルセットが圧倒的にお得!/