
TAPE Sと外のテープエミュレータープラグインと何が違うの?



TAPE Sは“テープ感”を無理に演出しない地味ながらに確実な効果があるプラグインだよ



AI解析?AIが搭載されているの?



その辺りも今回の記事でしっかりと解説してみるよ
THREE-BODY TECH TAPE S はテープエミュレーションプラグインであり、俗に言う暖かみという言葉が引用されやすいプラグインですが、その言葉だけを鵜呑みにするのではなく、より幅広い視点で音作りする創造性が求められるプラグインです、
メリット | デメリット |
---|---|
サウンドの質感向上 シンプルな操作性 | GUIのクオリティが低い 音のバリエーションがない 話題性が弱い |
TAPE Sとは
2024年7月にリリースされたTAPE Sは、1980〜90年代の1/4インチ・テープマシンをAI技術で再現したテープ・サチュレーション・プラグインです。
その特徴的なサウンドは、過度にピークを潰さず、自然なダイナミクスを保ったままテープらしい質感を加えたように感じるサウンドです。操作性も高く、シンプルなインターフェースで直感的に使用でき、CPU負荷も軽いため、幅広い制作環境で活用可能です。
以下は、THREE-BODY TECHのTAPE S AIの主な機能を、製品概要およびAI技術を省いて表形式でまとめたものです。情報は公式サイトや関連ウェブソースに基づいています。
機能 | 詳細 |
---|---|
ドライブ調整 | 現在のプロファイルのドライブ効果を微調整可能。アナログのサチュレーションや歪みをコントロール。 |
出力ゲイン | -12dB〜+12dBの範囲で出力ゲインを調整可能。 |
リンクモード | ステレオチャンネルのパラメータを連動させるリンクモードの有効/無効を切り替え可能。 |
ノイズ・シミュレーション | ビンテージハードウェアのノイズを再現。ノイズを含むサウンドを好みに応じて有効/無効に設定可能。 |
チャンネル・モニタリング | L/R/M/S(左/右/ミドル/サイド)のいずれかのチャンネルをソロでモニタリング可能。 |
その他の機能 | – アンドゥ/リドゥ機能 – A/B切り替え – モノモード – LR/MS処理 – 位相反転 – GUIリスケーリング – 入出力レベルメーター フラッター効果の再現など |
レイテンシ | 26サンプルポイント(44.1kHzで約0.6ms)。 |
TAPE S レビュー
- サウンドの質感向上
- シンプルな操作性
- GUIのクオリティが低い
- 音のバリエーションがない
- 話題性が弱い
地味ながらに確実なテープエミュレーション効果が得られる
TAPE Sは非常にシンプルなプラグインであり、音質もそれに伴った質感があります。
CPU負荷はオーバーサンプリングなしで30%程度、2倍で50%4倍で75%程度、最大の8倍で100%になります。


公式ではCPUの低負荷を謳っていますが、そこまで低い印象はありません。ただこれは私の環境がintel Macであるのが大きいと思います。おそらくMチップを搭載したMacであると負荷はかなり低いものだと考えられます。
では実際どのような音質なのかをドラムループを使ってチェックしてみます。設定はデフォルト状態のDRIVE4 OUTPUT4から以下、DRIVEを6、8と変更したものになります。


続いて、デフォルト状態のTAPE Sを通したもの
ここちよい中低域の膨らみが得られます。がっつりとローエンドが持ち上がるわけではないので、地味に感じるかもしれませんが、これくらいの方が自然な印象があって私は好みです。では次にデフォルト時よりDRIVEを2あげた状態のものがこちら
さらに押しが強くなってきました。しかし、それでも音が荒々しくなるようなものではなく自然な持ち上がり方です。
次にDRIVE8にした状態
ここまで来るとかなり派手なサチュレーションになります。クリーンな処理をしたい素材にはあまり向かない印象です。
TAPE Sは入力レベルを監視するランプ的なGUIがあります。ここで入力量(クリッピング)を視覚的に確認できます。


今回のドラムループではレッドがつくほどのものではないため、INPUTを12dB上げてわざとクリッピング的な効果を狙ったのが以下の音声です。
この効果をどのような目的で使うかはユーザーの創造性に委ねられるほど挑戦的なサウンドの1つだと思います。ただここまで荒々しくしなくても個人的にデフォルトの状態で隠し味程度に使っても効果的な質感を持っているように感じました。
テープサウンドのバリエーションがないのがネガティブな要素と受け取る人もいるかもしれませんが、一球入魂的な立ち位置で使ってしなうのがわかりやすく良いように思います。
TAPE Sはテープサチュレーションだけではなく、テープ特有のゆらぎであるTape Wow/Flutter 機能も搭載しています。


Tape Wow/Flutter はテープのゆらぎ的な部分の再現でありその効果はコーラス等に近いモジュレーションですが、コーラスと思って使っても意図した効果はでません。
ただ、この揺れの部分は独特のローファイ感を演出できる機能でもあり、トラックメイキング時に役に立ちます。
以下の音声はエレピのループにTape Wow/Flutter を通したものとそうでないもののファイルです。
TAPE Sのサチュレーション感とTape Wow/Flutter による揺れによって太く前に出てくるエレピループに進化しています。
GUIの質感について
個人的に近年のプラグインは音質もさることながらプラグインのGUIのクオリティの高いのが特徴だと思います。音質的には影響がないにしても、テープエミュレーションの場合だとテープが回るようなアニメーションはそれだけ少し気分があがります。
TAPE Sはそのようなアニメーションがないのが少し残念ですし、ピントも少しぼやけた印象があります。またGUIのスケーリングの変更も一度プラグインをリスタートさせなければいけないのは少し手間のように感じました。
まとめ
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Intel Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.6.1 Monterey
Audio/IF Focusrite RED 8PRE
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.7
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
TAPE Sを含むTHREE-BODY TECHのDEEP VINTAGEはAIによってモデリング元の質感の再現に力を入れているのがわかります。
サイトによってはAI機能搭載という文言で紹介されているのですが、あくまで解析にAI技術が使用されているのであってAI機能自体が搭載されているわけではない点に注意が必要です。
操作性もかんたんで初心者から中級者まで「らしい」質感を手に入れられるのは本製品のメリットでもありますが、他機種と比べると音のバリエーションが少ない点が気になる人もいるのではないでしょうか?
GREEN ADと同じくモデリング元があきらかにされていない状態でYoutubeの音質比較動画はそこまで意味があるように感じませんが、ただ、もっちりとしたテープ感あふれる音質はバスチャンネルからマスターチャンネルまで使ってみたいと思う質感だと感じました。
価格は定価は$86.90、現在セールで$42.90は国内代理店より安い価格になっているのは魅力です。