日本のシティ・ポップが世界的に注目されています。「おじさんたちには懐かしく」「若い人には目新しいジャンル」世代を超えて楽しめるそれが「シティ・ポップ」です。
しかしどの音色を使えばシティポップらしさを作ることができるのか?と言われるとなかなか奥が深いです。そこで今日はシティポップの代名詞といえるFM音源を再現したUVI音源のFM Suiteにスポットを当てて魅力や性能についてお話します。
シティポップって何?
1970年代〜1980年代に流行した、日本のポピュラー音楽のジャンルのひとつデジタルシンセ特有の「冷たい音色」が都会的な雰囲気にマッチした音楽ジャンルとも言えます。
もちろんシティポップはデジタルシンセだけを使ったジャンルではなく、その雰囲気にマッチすれば、アナログシンセも多く使われていますが、80年代後期なるとやはりデジタルシンセのサウンドが多く目立ち。その中の代表となるサウンドがFMサウンドといえます。
このシティポップがなぜ世界から注目されているのかはこちらの記事が参考になると思います。
日本のシティ・ポップは、なぜ世界中のリスナーを虜にしているのか?
音源に話しを戻すとFM Suiteで聞かれるサウンドはとにかくこのシティポップ臭が強くあります。その理由をこれからお話します。
最新のFMサウンドではない
FM音源の特徴の一つは強烈なモジュレーションにあります。それが近年のEDMやダンス・ミュージックに向いていることで注目されていますが、FM SuiteはEDMに対応できそうな強烈なモジュレーションサウンドはほぼありません。
とにかく音が良い意味で「古い!」音の質感がまさにシティポップですw昔は「デジタル=冷たい」というイメージがありましたが、今の人たちからすれば独特の暖かみを感じることができるかもしれません。
FM SuiteならずUVI使いとしても有名な作曲家山木さんのサウンドを聴いてこの質感に酔いしれる人は多いと思います。
音がすごくノイジー
語彙力がなさすぎて問題ですが、FM特有のノイジーさを感じることができます。このノイジーさが「シティポップ」的な雰囲気を作り出してくれているように個人的には思います。
今でこそキレイな音が出るのは当たり前ですが、この頃のサウンドは発音的にもノイジーでしたし、DAコンバーの質が音色の色となる部分も多かったです。
つまり最新のFM音源を使ってFM Suiteの音色を作ることはできてもその質感までもは再現できません。UVIがサンプリングに拘る理由の人が「この質感」です。もちろん、それがすべて正しいわけではないのですが、そこに正解を求める人が多いのも事実です。
容量がやばい
FM Suiteは古き良きFM音源の良さを余すところなく妥協なくサンプリングしまくった結果37.37GB(FLACロスレス圧縮済、非圧縮WAVサイズは102.23GB)というかなり大容量な音源になっています。
いろんなFM音源が出ている中でこれほどまでに大量なサンプリングにこだわったのは先程も書きましたが、とにかく「質感重視」の一点につきるように思います。ただのFM音源のエンジンではなく「あの時代のあの音」を求めた結果がこの容量になったのでしょう。とにかく、大容量です。
CPU負荷もそれなりある
FM Suiteには5つのFM音源を再現しています。
- 8オペレーターのFMシンセサイザー、FVX-1をベースにしたFMX-8OP
- FMX-8opの4オペレーターバージョン。TX81ZやDX100ベースにしたFMX-4OP
- 初期のFMキーボード、GS2をベースにしたFMX-GS
- DX-7の上位機種DX-1をベースにしたFMX-1XL
- V50、DX21、TQ5、KORG DS8をベースにしたFMX-2XL
これらの音源はすべてが同じ負荷ではなく音色によってはCPU負荷が高い音色もありました。
- パソコン Macmini2018
- CPU Corei7(i7-8700B)6コア HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
- メモリ 32GB
- システム OS10.14.6 Mojave
- Audio/IF Motu896HD
- バッファー 256
- DAW LogicProX10.4.8
この環境でFMX-8opのブラス音色を鳴らしたところこんな感じになりました。
ずっとこのような状態ではなく弾いた瞬間の負荷なのですが、パワフルな音はCPUの負荷もそれなりにあるので注意が必要かもしれません。
シティポップはチャンス
DTMで好きなジャンルを作るのも楽しいですが、ネットで音楽を配信/発表しているということを考えるとシティポップは世界から注目される可能性が高いジャンルとも言えます。
いきなりどこかのプロデューサーから声がかかる!なんてドリームが起こるかもしれませんw
まとめ
シティ・ポップに限らずFM Suiteはその独特の質感から上質なスパイスを与えてくれる音源だと思います。しかし下手に使ってしまうと単に「古臭い音楽」というイメージを与えてしまう可能性も高いです。それくらいインパクトのある音源ですので、
使い方のセンスが大きく問われます。
しかし、FM Suiteをうまく使えば広い世代に伝わりやすいサウンドになるのは間違いないです。
お値段はUVIサイトで149ドル楽天などでは以下の価格になっています。
安く買えるにこしたことはありませんので、気になる人はブラックフライデーまでまつのもよいかもしれませんが、速く買えばそのぶん自分の曲を差別化することができます。