V Collection Xの魅力とは?アップグレードで何が変わった?

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ArturiaのV Collectionは、ヴィンテージシンセやクラシックなキーボードのファンにとってまさに宝箱のような存在です。

その最新作であるV Collection Xは、一体どのような進化を遂げたのでしょうか?今回のアップグレードでは、ただ音色が追加されたわけではなく、アナログ感や表現力をさらに磨き、現代の制作環境にフィットする新機能も搭載されています。

特にサウンドの奥行きや再現性が向上しており、プロからアマチュアまで幅広いユーザーにとって価値のあるパッケージに仕上がっています。このレビューでは、V Collection Xの魅力と変化点を徹底解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

UG
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V Collection 10のアップグレードの詳細

V Collection 10では6つの新規インストゥルメントとバージョンアップしたインストゥルメントが2つそしてArturiaのすべての音源として簡易的に操作できるAnalog Labがバージョンアップしています。

特徴V Collection XV Collection 9
収録インストゥルメント数3933
新規追加インストゥルメントMiniFreak V, Acid V, CP-70 V, Augmented GRAND PIANO, Augmented BRASS, Augmented WOODWINDS 
リビルトインストゥルメントMini V4, Wurli V3
プリセット数10,000以上9,000以上
追加プリセットInward UniverseInner
City Soul
Hyper Rave
アプリ内チュートリアルあり
Analog Lab バージョンProV

新しいインストゥルメントの紹介

新規のインストゥルメントはMiniFreak V, Acid V, CP-70 V, Augmented GRAND PIANO, Augmented BRASS, Augmented WOODWINDSになります。

Augmented シリーズでは今回PianoとBrassとWoodwindsが追加されたことで、9までに搭載されていた Augmented StringsとVoiceを使うことで壮大かつアブストラクトなオーケストラを制作することが可能になりました。

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MiniFreakは、Arturiaが開発したハイブリッドシンセサイザーです。デジタルボイスとモデリングされたアナログフィルターを組み合わせことで、独自の世界観をもつシンセサイザーとして人気です。

ソフトウェア版:V Collection Xに含まれる「MiniFreak V」は、ハードウェアのMiniFreakをソフトウェア化したものです

音色の傾向としてはウェーブテーブルのような感じのものからアナログシンセ的なものまで見受けられます。サウンドエディットに関しては最小限のパラメーターで上手く構成されているので、初心者であっても楽しく操作できると思いました。

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ACID VはローランドのTB-303をモデリングしたベースシンセサイザーです。

90年代のテクノで一世風靡したサウンドシーケンスベースサウンドはこれでかんたんに出せます。フィルターの効きもレゾナンスの効きの再現もよく出来ています。

またTB-303といえばディストーションと併用して使うのが主流であり、その流れをうけてACID Vには複数のディストーションが用意されています。

909系のリズムマシンとACID Vで遊びはじめればあっという手に一晩が過ぎ去るので、次の日に予定がある人は注意しましょう

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最近何かと見直されることが多いYAMAHA電子グランドピアノCP-70をArturiaがモデリングしてきました。CP-70はNaitive Instrument のKomplte15にAlicia’s Electric Keysとし搭載されています。

Alicia’s Electric Keysと比較すると、CP-70 Vの方がモデリングという点もあってピエゾ感的な電子的な響きがあります。生のピアノであればこのピエゾ感はあまり好ましくないものですが、CP-70の場合ではそれがよい影響を与えいて、するどいアタックとCP特有の響きになっています。

既存インストゥルメントの改良点

既存のインストゥルメントとしてバージョンアップしたのはMini V4, Wurli V3の2つです。

Arturiaの独自のアナログエミュレートシステムやフィジカルモデリング技術により、より高品質な音源が利用できます。

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Moogに関しては今さら説明の必要はないものですが、バージョンが進むにつれて、良くも悪くも音が変化してきました。個人的にはV2の音が好みだったので、V3になってからはあまり使うことがなくなりましたがV4になってからV2のニュアンスを踏まえながらさらに、音の解像度も高くなり使えるMoogサウンドとしてバージョンアップを遂げた印象です。

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WURI VのバージョンアップでもMoog同様に音の傾向が明るくメリハリのあるものに変化しました。このあたりの変化はユーザーにとって派手すぎるという印象を受ける可能性もあります。

V Collectironの場合は以前のものをそのまま残しておけるのでシーンに応じてV2とV3を使い分けが可能なのはありがたいことです。

V Collection 10の製品構成

ここではV Collection 10の製品構成について解説します。

各インストゥルメントの特長

V Collection 10の製品構成は次のようになっています。

インストゥルメント名種類特長
Augmented WOODWINDSハイブリッドサンプリングと合成を組み合わせた革新的な木管楽器音源
Augmented GRAND PIANOハイブリッドアコースティックピアノと合成音を融合した先進的なピアノ音源
Augmented BRASSハイブリッド金管楽器のサンプルと合成音を組み合わせた多彩な音源
Augmented STRINGSハイブリッド弦楽器のサンプルと合成音を融合した表現力豊かな音源
Augmented VOICESハイブリッドボーカルサンプルと合成音を組み合わせた革新的な音声音源
Korg MS-20 Vアナログシンセ伝説的なモノフォニックシンセサイザーの忠実な再現
SQ80 Vデジタル/アナログハイブリッド80年代のクロスウェーブシンセシスを再現
CS-80 VアナログシンセヤマハCS-80の豊かで表現力のある音色を再現
Prophet-5 Vアナログシンセクラシックなポリフォニックシンセサイザーの忠実な再現
Prophet-VS Vデジタルシンセベクターシンセシスを特徴とする革新的なデジタルシンセ
Piano Vアコースティックピアノ物理モデリングによる高品質なピアノ音源
Analog Lab VプリセットブラウザV Collectionの全音色にアクセス可能なインターフェース
Vocoder Vボコーダークラシックなボコーダーサウンドを再現
Jun-6 VアナログシンセローランドJuno-106を模した温かみのあるポリシンセ
OP-Xa Vデジタル/アナログハイブリッドオベルハイムOB-Xaの特徴的な音色を再現
Mellotron Vテープサンプラー60年代のクラシックな鍵盤楽器を忠実に再現
Synthi VアナログシンセEMS Synthiの実験的なサウンドを再現
CZ Vデジタルシンセカシオのフェーズディストーションシンセを再現
CMI Vデジタルサンプラー/シンセFairlight CMIの革新的なサウンドを再現
Clavinet VエレクトロメカニカルホーナーClavinetの特徴的な音色を再現
Acid Vアナログシンセクラシックなアシッドサウンドを生成するシンセ
MiniFreak Vハイブリッドシンセデジタルオシレーターとアナログフィルターを組み合わせた革新的なシンセ
CP-70 VエレクトリックピアノヤマハCP-70の特徴的な音色を忠実に再現
DX7 VFMシンセヤマハDX7の革新的なFM音源を再現
Buchla Easel VモジュラーシンセBuchla Music Easelの実験的なサウンドを再現
Synclavier Vデジタルシンセ80年代の革新的なデジタルシンセを再現
Emulator II VデジタルサンプラーE-muの伝説的なサンプラーを再現
B-3 VトーンホイールオルガンハモンドB3オルガンの温かみのある音色を再現
Mini VアナログシンセMoog Minimooogの伝説的な音色を忠実に再現
Stage-73 Vエレクトリックピアノフェンダーローズの特徴的な音色を再現
Matrix-12 VアナログシンセオベルハイムMatrix-12の複雑なモジュレーション機能を再現
Farfisa VトランジスタオルガンFarfisaコンパクトオルガンの特徴的な音色を再現
Solina VストリングマシンARP/Solina String Ensembleの温かみのある弦楽器音を再現
SEM VアナログシンセオベルハイムSEMの特徴的な音色を再現
Jup-8 VアナログシンセローランドJupiter-8の豊かな音色を忠実に再現
ARP 2600 VアナログシンセARP 2600の多彩な音作りを可能にする半モジュラーシンセ
VOX Continental VトランジスタオルガンVOX Continentalの特徴的な音色を再現

購入を検討している人に気をつけてほしいのは、V Collection 10は基本は往年のシンセサイザーを再現しています。そのため、他のマルチ音源のようなそれぞれの楽器を網羅的に収録はしていません。

もちろん、Emulator II VやCMI Vといったサンプリング音源も搭載していますが、それらもまたビンテージサンプラーのそれであって最新のIK MultimediaのSampletank4やスタインバーグのHALion7と比較すると網羅性という点においては劣っているように感じるかもしれません

ただ、一つ一つの音源のクオリティはマルチ音源では到達できないレベルなので、各パートの1音のクオリティを最大に高めたいという人にとってはV Collection 10は役に立ちます。

V Collection 10とV Collection 9の比較

ここではV Collection 10の前バージョンである9と8について簡単に比較してみたいと思います。

V Collection 9との違い

もう一度比較表を確認してみましょう。

特徴V Collection XV Collection 9
収録インストゥルメント数3933
新規追加インストゥルメントMiniFreak V, Acid V, CP-70 V, Augmented GRAND PIANO, Augmented BRASS, Augmented WOODWINDS 
リビルトインストゥルメントMini V4, Wurli V3
プリセット数10,000以上9,000以上
追加プリセットInward UniverseInner
City Soul
Hyper Rave
アプリ内チュートリアルあり
Analog Lab バージョンProV

MiniFreak Vはデジタルシンセとアナログシンセによるハイブリッドシンセをソフトウェア化したものですが、今までのV Collectionシリーズには搭載されていない新しいシンセサウンドです。

使い方もシンプルですし、「アナログモデリングだけはちょっと飽きてきた」という人にとって楽しめるソフトシンセです。

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同社のバーチャルインストゥルメント集「V Collection」から厳選されたプリセットを簡単に操作できる統合ソフトウェアであるAnalog LabもGUIとともにバージョンアップしました。

シンセサイザー、ピアノ、オルガンなど数千種類のサウンドが収録され、クラシックからモダンまで幅広いジャンルに対応可能。特にインターフェースは直感的で、サウンドの選択や編集が容易です。

また、必要に応じて各パラメータの微調整も可能で、プロフェッショナルにも最適な柔軟性を持ちます。Arturia製MIDIキーボードと統合でき、ハードウェアとの連携もスムーズに行えるのが特徴です。さらに、軽量なソフトウェア設計により、パソコンの負荷を抑えつつ高品質なサウンドを提供します。

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4と比較するとややすっきりとしたGUIにまとめられました。その簡略化されたGUIからAnalog Labのポイントでもあってレイヤーサウンド方式が取り除かれたしまったかと思いましたが、上にあるプリセット名が表にされているウィンドウの一番左端をクイックして、左タブからExposeを選択すると右側レイヤーを選択できる画面が表示できます。

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使ってみた感想(レビュー)

使ってみて思ったのは、やはりMini V4のブラッシュアップされた音質は個人的に評価が高く、近年他のメーカーから出てきたMoogサウンドと比較すると弱い印象がありましたがそれが解消された印象です。

ただ一つだけ残念なのは、V3に搭載されていた32ボイスユニゾンモードが取り除かれたことです。このユニゾン機能であればMemory Moogのような音色が出せただけにこの機能は残してほしかったですね。

あとすごく些細なことですが、ダウンロードアプリのダウンロード速度が早くなった気がしました。

まとめ

V Collection Xは38の音源からなるバンドルセットです。それぞれの音源は単体でも購入可能ですが、単体で購入するよりバンドルセットの方がはるかにお得に購入できるので、V Collection Xのラインナップに魅力を感じている人はバンドルセットでの購入がおすすめです。

類似製品としてUVIのVintage Vaultがあります。これは255ものハードシンセをサンプリングして作られたモンスターライブラリーです。

しかし、一部のソフトシンセではその機種を代表する音色が入っていないことに不満を覚えている人も多少いますし、V Collectiron10と違いサンプリング音源のためVintage Vaultは285GBのストレージ空き容量が必要になります。

もちろんVintage Vaultでしか得られない質感もあります。しかし、音源を購入後ストレージ空き容量が足りないために追加ストレージを購入するケースを考えると痛い出費に感じる可能性もあります。

(V Collection Xに必要なストレージの空き容量は32GB)

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