自分の中に眠っているまだ見ぬオリジナリティを開放してくれるのがW.A. ProductionのInstaComposerです。AIによりメロディー、リズム、ベース、パッド、コードを作り出してくれるMIDIエフェクトプラグインです
ファーストインプレッションで思ったのは創作を自由にしてより自分の中のクリエイティブと対話できるプラグインで、自分のまだ知らないオリジナリティと出会える。そんな印象です。
今日はInstaComposerを使うことに戸惑いを感じている人に私が使ってみた感想をお話します。
InstaComposerの特徴
5つのパートに「メロディ、リズム、オスティナート、リフ、ベース、パッド、コード」という要素を自由にあてはめ、それらをボタン1つで生成及び変更が可能、
できたフレーズやコードはDAWにドラッグアンドドロップをすることが可能
ボタン1つパート毎及び全パートを一気に変更可能
プリセットは223のコード進行からなる
色々と機能はありますが、ざっくりいうとこれがInstaComposerの特徴です。
もう少しわかりやすい例えをするなら以下のDTM本が一つのプラグインに収まっている状態です。
223のコード進行について書かれたDTMコード本
223のコードに合わせたリズムアプローチについて書かれたDTM本
223のコードに合わせたベースフレーズについて書かれた本
223のコードに合わせたパッドorコードについて書かれたDTM本
そしてあくまで基本は223種類であってもそこをベースにAIが無限にバリエーションを増やせるわけですから、1冊1500円くらいのDTM本があってそれを5冊購入すれば7500円ですから、このプラグインを買えばどれだけお得かよくわかりますし、何より「AIによる無限フレーズバリエーション」はプライスレスと言ったところでしょう。
InstaComposerのCPU負荷
InstaComposerはMIDIエフェクトなのでCPUを専有するほどのものはなく負荷はほぼゼロといっていいでしょう。これを使って発生する負荷はあくまで音源側の負荷になります。
InstaComposerの使い方のコツ
まずはシンプルに使う!
難しいことは考えずにまずはシンセでも何でもいいのでコードが出せる音源に使ってみるのがよいでしょう。そうすると、ピアノだけを使ってメロディー、リズム、ベース、パッド、コードを演奏させ、それをパートごとに変化させることが可能です。
ここではLogic Proでの使い方になります。
立ち上げ方は好きな音源のMIDIエフェクトとして使用するのがInstaComposerの基本的な使い方になります。(音源の上にあるスロットからInstaComposerを選択)AudioFXには出てこないので注意が必要です。
立ち上がったら、プリセットから好みのプリセットを選んで、あとは鍵盤を押すだけ、指定されているトラックが一気に演奏するので音量に注意してください。
プリセットを堪能するだけでもインスピレーションがわく人もいるかもしれません。
次に面白いのがコード自動で作り出してくれる機能です。
このボタンを押すことでどんどん新しいコードを生成してくれます。
また、このコードは自分でも打ち込むことが可能なので、例えばみんな大好きな4536(Cメジャーで言うところのF-G-Em-Am)を打ち込み、フレーズやメロディをAIに任せると親しみのある世界観が出来上がるかもしれません。
複数のシングル音源でInstaComposerを鳴らす方法
InstaComposerはマルチMIDIエフェクトです。それぞれのパートのMIDIチャンネルは独立しています。シングル音源(1つの音源)で鳴らそうとすると5つすべてのパートが発音してしまうのは上の動画でも確認ができます。
では自分の気に入った別々のシングル音源でInstaComposerを鳴らすことはできないのか?という疑問がでるかもしれませんが、Logic Proの場合MIDIエンバイロメントという特殊な機能を使って鳴らすことが可能です。
その方法は先程の動画の後半から解説しています。
エンバイロメントだけを表示するとこのようになります。
MIDIエンバイロメントでこのように接続することででInstaComposerの各パートを任意のシングル音源で発音させることが可能です。
マルチ音源でInstaComposerを使う場合
マルチ音源とは、1つ以上のトラックを持つ音源のことです。下記にもありますが、Kontaktなどはマルチ音源の代表です、シングル音源としてはSerumが挙げられます。
Xpand!!2もマルチ音源ですが4パートマルチ音源であり、InstaComposerの5つのパートを再生することはできないので最低でも5つ以上のマルチ音源を記載しています。
マルチ音源で使う場合はシングル音源で立ち上げるときと同じように、使いたい音源にMIDIエフェクトとしてInstaComposerを立ち上げ、あとはマルチ音源側で5つトラックを立ち上げるだけです。
InstaComposerのメリット
触ってみてここはいいなーって思ったポイントを紹介します!
ボタン1つで誰でもできる作曲&アレンジ!
GOと書かれたボタンを押せばコードに表記された範囲でフレーズ等が瞬時に作成されます。ALLを選択すれば、全パートの生成がはじまり、数字をクリックすると任意のトラックだけのフレーズ生成が始まります。
気に入ったフレーズがあればDAWへのドラッグアンドドロップができる
InstaComposerの各トラックはDAWへのドラッグアンドドロップが可能です。このおかげで、もっと音色の選択及びフレーズ等の有効活用が可能になります。
自分には思いつかないフレーズと対話しながら新しいメロディが作れる
この機能が作曲の時短となるかは受け取る側のスキルと関係するかもしれませんが、コード進行の中で新しいフレーズを探す場合、自分の手癖&手垢がついたフレーズばかり出てくることがありますが、InstaComposerを使えば「そっち行くんや!」って感じ新しい発見があります。
この瞬間のワクワクは非常にクリエイティブな時間です。
InstaComposerのデメリット
使ってみて「これはちょっと使いにくいなー」「もっとこうできないのかなー」という疑問的な部分でもあり、使いものにならないほどのデメリットというわけではありません。
プリセットのパートが決まっていないため、音色の変更が必要
InstaComposerは5つのトラックが並んでいます。上から(メロディ、リズム、ベース、パッド、コード)という並びですが、これがプリセットによって変わります。そのため、メロディやリズムをイメージした音色をスタンバイしていてもあまり意味がありません。
あくまで個人的にですが、ここはdefaultで決めてしまった方が使いやすいように思いました。
お気に入りボタンが欲しい!
大量のプリセット(メロディー、フレーズ、リフ、コード)があり、探すだけでもインスピレーションを刺激されます。しかし、その数が多いことで「あれっあのプリセットのやつどこだっけ」ということがよく起きました。
かっこいいプリセットが多いだけに、次回のバージョンアップでお気に入りボタンが欲しいところです。
戻るボタンがないため、MIDIデータの聴き直しができない
生成したMIDIデータを聴いたり自分でInstaComposerのピアノノールで変更したときに「ん?さっきの方がよかったから元に戻したい!」となった場合に普通ならば⌘Zで元に戻せそうですが、InstaComposerにはそれらのコマンドが搭載されていません。これは現状多くのユーザーが「改善してほしい!」と願うところです。
ユーザーの一人がW.A. Productionにその旨を連絡したところ次のバージョンでの組み込みを検討するという返信があったそうです。
その他にも小さなバグとして、InstaComposerのウィンドウが表示されっぱなしになるバグ等がありますが、使用するのにそれほど障害となるものではありません。
あと画面が暗いので次のバージョンではGUIの選択や調整ができるようになってほしいところです。
InstaComposer 口コミ
InstaComposer、結構すごくてびっくりした
— しぐ (@sig25111) October 6, 2021
ベロシティとかまで自動生成してたら最強だった
やれることはかなりあって、正直全部使いこなしたらそれなりのものができそうな予感があります。
ありがとうございます!InstaComposerは、思ったよりいい曲を作ってくれるので面白いです。
— kotora (@kotora_5) October 7, 2021
たしかにMIDIインテリジェンス機能にはあまり期待していない部分がありましたが、だいぶこなれてきたような感じがあり、あ!このフレーズイントロとかに合いそう!と思いました。
InstaComposer by W.A Production
— Yamaken (@Yamaken0402) October 6, 2021
昨日買った楽曲制作支援ツール。軽くしか触れてないけどキーとか設定値決めて生成回すだけなんで楽でした。
見た感じジャンル指定みたいなのは見当たらなかったから、吐き出したmidiはあくまで下地と考えてそれをアレンジしてくのが妥当。 https://t.co/8iwbQmuxJJ
これが一番大事なことだと思いますが、あくまで下地として考えるということ。もちろん使えるフレーズ等もありますが、あくまでそこからブラッシュアップすることでより使えるようになっていくなと触っていて感じました。
InstaComposerのQ&A
- InstaComposerとはなんですか?
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AIによってMIDIフレーズを生成できるインテリジェントMIDI生成プラグインです。
- InstaComposerはエフェクトプラグインですか?
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InstaComposerはMIDIエフェクトプラグインなのでオーディオエフェクトスロットには表示されません(Logic Pro)
- InstaComposerのCPU負荷は高いですか?
-
InstaComposerはMIDIエフェクトなので負荷はほとんどありません。
- InstaComposerでできたフレーズは著作権的な問題はありますか?
-
ありません。自由に使うことが可能です。
- InstaComposerを使うコツは?
-
できたフレーズからインスパイアされて楽曲制作を広げていけるきっかけとして使うのが良いと思います。
- 誰にでもオススメできますか?
-
この手のプラグインは経験上飽きてしまうことがありますが、忘れたころに使ったら面白い刺激になると思うので、常備するのもいいですが、たまに使うくらいの人がよいのかもしれません。
InstaComposerシステム要求環境
システム要求
ウィンドウズ
- Windows8以降
- VSTフォーマット
- 32ビットおよび64ビット互換
マック
- macOS10.15以降
- VST&AUフォーマット
- 64ビット互換のみ
MIDIエフェクトということで特に新旧のOSでの動作には問題がないようです。
まとめ
InstaComposerがあればどんな曲でも作れる!というほど万能なフレーズ生成プラグインではありません。しかし、自分の手垢のついていないラインなどを提示してくれたときには「なるほどそれも有りだな!」と思わせてくれます。
初心者の場合はこれで作曲の空気感みたいなものを楽しむのもありでしょう。生成されたフレーズには「かっこいい」と思えるものもたくさんあります。
これらのつくったフレーズにかっこいいと思うのもクリエイティブな一面です。年をとるたびに新しい手法や今までにないものには懐疑的になりますから、でもInstaComposerを使いこなして今までにない作曲スタイルを確立するのも私は個人的に有りだと思っているので、どんどん使ってほしいと思っています。
「こんなものを使ったらオリジナリティがなくなる!」という人もいると最初にお伝えしましたが、それは人それぞれの価値観なので、気にしなくていいいでしょう。
作曲のインスピレーションも一期一会です。InstaComposerが新しい可能性の扉を開いてくれるのかどうかは、まず使ってみてから判断するのが一番だと思います。