SSL Native X-EQ 2 レビュー セールに飛びつく前に知っておきたい5つの購入ポイント

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ミックスやマスタリングにおいて、最高の音質を追求するためには、どのイコライザープラグインが最適かを見極めることが重要です。

SSL Native X-EQ 2は、24バンドの高度に設定可能なEQプラグインであり、独自のアンチクランピングアルゴリズムを特徴とし、これにより比類のない開放感と透明感のあるサウンドが得られます。

この記事では、プロフェッショナルの間で高い評価を得ているSSL Native X-EQ 2を、Logic Pro付属のイコライザー、Pro Q3、Sonnox Claroと徹底比較します。

音質、機能性、操作性、安定性、価格の5つの観点から、その真価を解き明かし、あなたの制作環境に最適な選択肢を提供します。SSL Native X-EQ 2の魅力を深掘りし、他のイコライザーとどう違うのか、一緒に探ってみましょう。

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SSL Native X-EQ 2 サウンドレビュー

SSL Native X-EQ 2はアンチ・クランピングアルゴリズムによってクリアでオープンな音質を得ることができます。

アンチクランピングアルゴリズムについては機能性の項目で解説しますが、DAW付属のEQと比べて果たしてどこまで違うのか、この辺りはしっかりと抑えておきたいポイントです。

そこで、Logic Pro EQ、SSL Native X-EQ 2、Pro-Q3、Claro,のそれぞれの音質比較をしてみましょう。

使用しているのでドラムトラック(ステレオ)で設定は以下の数値をすべてのEQプラグインで統一しています。

55Hz206Hz6100Hz
GAIN5dB4dB4dB
Q1.05.91.0

さて、どうですか?音質の違い分かりますか?実際のところほとんど聞き分けはつかないのではないでしょうか?

ガチプロの人からすれば「この違いがわからないならDAWの使っとけ!」となるかもしれません。

実際波形で確認すると違いがあるのがわかると思います。

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では、これが曲の中で聴くとどのような感じになるかを確認してみましょう。

OZONE10を通してダイナミクスおよびステレオは調整していますが、イコライザー機能はカットしています。

これらの違いを聞いて「SSL Native X-EQ 2の音質が一番好みだ!」と感じた人には間違いなくSSL Native X-EQ 2はオススメなイコライザープラグインとなるでしょう。

曲名の後ろにある数値について

曲名の最後に-2.2といった数字があります。これはピークが-0.1になるようにしたミキサーの出力設定値です。

これはすべて同じ設定にしたにも関わらず、書き出し時にはこれだけの差がでます。

ノイズについて

SSL Native X-EQ 2はクリアな音質と言われていますが、アナログらしい質感もあるとされています。その理由がノイズです。と言っても可聴範囲のノイズではなくはるかに小さいノイズです。

これらのノイズは今回計測したすべてのイコライザープラグインで発生しています。ただ調べているうちにわかったのですが、これらはすべてAUプラグインによっての計測です。VSTプラグインでも基本的には同じ結果がでるのですが、ClaroだけVSTプラグインの結果が次のようになります。

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THDノイズがまったくありません。噂ではキルヒホフイコライザーがこれと同じ状態という話もあります。これがバグなのかそれともVSTとAUによるプログラムの違いなのか、私の環境ではVSTを調べることができないので、Claroを持っていてい気になる人はぜひ調べてみてください。

機能性および機能性

SSL Native X-EQ 2のアンチクランピング・アルゴリズムはボーカルのエアー感や全体の明るさをCPUの負荷をかけずに使える機能のことです。

より詳しく解説するとアンチクランピング・アルゴリズムには次のような効果があります。

アンチクランピングアルゴリズム
  1. デジタルオーディオシステムの周波数帯域の上限(ナイキスト周波数)に近づくと発生する「クランピング」または「ラッピング」と呼ばれる現象を防ぐ。
  2. クランピングは、周波数スペクトルの上端(約15 – 20kHz)でベル形状のブーストやカットが影響を受け、歪みやリングなどの不快な音響効果を引き起こす。
  3. ボーカルからの「空気感」を引き出したり、全体のミックスに明るさや空気感を加えたりするときに特に有用。
  4. 多くのメーカーが「オーバーサンプリング」を実装してこの問題を解決しているが、X-EQ 2はSSLの独自の「アンチクランピング」アルゴリズムを使用して、追加のCPUコストなしにこれを実現。

デジタル信号処理の精度を向上させるオーバーサンプリングは、サンプルレートが増加することで、各サンプル間の情報が増加し、より詳細な処理を可能にするものです。

しかし、オーバーサンプリングはCPU負荷を大きくしてしまうデメリットがあります。これを解決するのがアンチクランピング・アルゴリズムです。

さて、実際のところ他のイコライザープラグインと比べるとSSL Native X-EQ 2はどうなのか?比較してみましょう。

Pro Q3が負荷が一番高負荷ですが、他の3製品と比較してもそこまで大きな違いはないように感じました。ただこの比較はオーディオファイルに1つだけ使った状態なので、数が増えてくるとまた負荷も異なってくるでしょう。

イコライザーカーブが多彩!

SSL Native X-EQ 2には17 種類の EQ タイプとフィルター形状を選択できるのが魅力的です。

イコライザータイプを多く選択できるということは調整したい周波数帯域付近の調整をより細かくできるということなので、この数が多ければ多いほどイメージする音に近づける可能性があります。

それ以外の機能としてはオートゲインがないのはユーザーによってはマイナス面と捉える可能性が多い機能かもしれません。

Logic Pro イコライザーSSL Native X-EQ 2Pro Q3Claro
バンド数8バンド24バンド24バンド26 バンド
イコライザータイプなし17種類9種類11種類
Q幅10010.340100
スロープ(oct/dB)なしLo/Hi Cutのみ
6、12、18、24、30
、36,40,48
12、24、48、72、9612、24、36、48、72、96、120
オートゲインなしなしありあり
オートゲインとは
  1. イコライザーのオートゲインは、音量のバランスを自動的に調整する機能
  2. イコライザーで特定の周波数をブースト(増幅)またはカット(減衰)すると、全体の音量レベルに影響を与えてしまう
  3. オートゲインは、これらの変更を自動的に補償し、全体の音量レベルを一定に保つことを目的とする
  4. しかし、オートゲインはあくまでツールの一部であり、完璧な結果を常に提供するわけではなく。音量レベルやバランスは、聴覚的な判断と個々のプロジェクトのニーズに基づいて調整する必要がある
  5. オートゲイン機能があるイコライザーもあれば、ないものもあある。この機能が必要かどうかは、個々のミキシング状況や個々のエンジニアの好みによる

今回比較した他のイコライザープラグインの中でもタイプ数は一番多いです。しかし、Q3やClaroで見られるようなベル系でのスロープ変更ができないため形には出来ません。実際この形の有用性を見出していないのならば、そこまで気にする必要はありません。

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SSL Native X-EQ 2では各バンド毎に違うイコライザータイプを設定することができます。

クラシックシンメトリカル(Classic Sym)
クラシック・アシンメトリカル(Classic Asym)
プロポーショナル
プロポーショナル2(Prop 2)
プロポーショナル3(Prop 3)
コンスタントQアシンメトリカル(CQ Asym)
コンスタントQアシンメトリカルリバース(CQ Asym R)
コンスタントQインバート(CQ Invert)
コンスタントQニュー(CQ New)

これらの意味合いはQ幅におけるカーブの違いであって、他のイコライザーでも再現可能です。

ちなみにこれらのカーブを選択するにはGUIの上にあるPARALLELボタンを灰色(非点灯)にする必要があります。イメージ的には点灯状態がパラレルONのような気がするので注意が必要です。

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TYPEボタン両隣の→で変更可能
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Pro Q3も基本はクラシックシンメトリックカーブです。

数値入力ができない?

SSL Native X-EQ 2では周波数、Q幅、スロープーカーブ、M/S処理、EQタイプの変更を1つのウィンドウ内で変更可能です。

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この機能のおかげで最小限の動きで最大限の効果を最短の時間で作り上げることができます。最近ではこの機能は当たり前になっているので、これがないと操作性が著しく悪く感じる人も多いと思います。

Pro Q3には同等の機能が搭載され、Claroでは艦隊版的な機能が搭載されています。

さて操作性において問題がないのかと言われると、個人的には数値入力が出来ないのが少し問題のように感じます。

上記の動画を見てもらえるとわかると思いますが、変更したいパラメーターの上にカーソルを持っていくと一瞬数値入力ができそうな画面に変わるのですが、それがすぐに消えてしまいます。いくつかのレビュー記事を見るとテンキー入力(数値)が可能とありますが、私の環境ではデフォルトで立ち上げた状態では上記の動画のようになってしまいます。

A/B比較ボタンとデフォルトプリセット装備

SSL Native X-EQ 2には任意のイコライザー設定を2つ比較できるA/B比較ボタンと初期設定にすぐに戻れるdefaultプリセットが用意されています。正直、この2つがあるかどうかでイコライジングの効率は大きく変わります。

A/B比較ボタンとdefaultプリセットはClaroにはないので、その部分の操作性の有効性を理解している人にとってはSSL Native X-EQ 2を選択する価値は大きいです。

Pro Q3はdefaultという名前ではなくCleanという名前になります。

カーブの数値が計測と合致しない

余談レベルですが、以下の画像をごらんください。

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これはプラグインドクターというアプリで、SSL Native X-EQ 2とPro Q3をまったく同じ設定にしたときの差異を示しています。

若干の差はあるもののほとんど同じレベルと言っても問題はありません。

しかし、次の画像を御覧ください。

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少し見えにくいかもしれませんが、SSL Native X-EQのローカットのカーブは48dB/octになっています。

続いて、Pro Q3ではカーブは75dB/octになっています。

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ちなみにカーブだけだと、Claroも48dB/octでX EQ 2と同じ形になるので、Pro Q3が間違っているのかもしれません。

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実際のところは耳で聞いて調整するところですし、こんなにガッツリとカットする必要とするシーンで両者の数値の違いがどれほどの意味があるのかと言われると、私はあまりないように感じています。

CPU負荷について

先程もお伝えしましたがCPU負荷はアンチクランピングアルゴリズムの効果のせいか、負荷はほとんどありません。ただアンチクランピングアルゴリズム自体をOFFにすることはできないので、どれほどの影響なのかははっきりとはわかりません。

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X EQ 2

ただどちらにしても負荷は軽く使っていて問題はありませんし、DAWが落ちるなどの不安定な挙動もないので、安定性は高いように感じました。

CPU負荷計測環境

パソコン  Macmini2018

CPU  Intel Corei7(i7-8700B)6コア 

HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz

メモリ 32GB

システム OS12.6.1 Monterey

Audio/IF Focusrite RED 8PRE

バッファー 256

DAW   LogicPro10.7.7

48kHz/24bit

再生ストレージ SSD

SSL Native X-EQ 2に関するFAQ

SSL Native X-EQ 2とは何で、どのような機能がありますか?

SSL Native X-EQ 2は、Solid State Logic(SSL)が開発したソフトウェアのイコライザープラグインです。このプラグインは、SSLミキシングコンソールに搭載されているクラシックなSSLチャンネルEQをエミュレートすることを目的としています。このプラグインでは、個々のトラックやミックス全体の音域を精密に制御することができます。ハイパス、ローパス、ベルフィルターなどのさまざまなフィルタータイプを提供し、周波数、ゲイン、Qコントロールを調整することができます。

SSL Native X-EQ 2はDAW(デジタルオーディオワークステーション)と互換性がありますか?

SSL Native X-EQ 2はPro Tools、Logic Pro、Ableton Live、Cubaseなど、ほとんどの人気のあるDAWと互換性があります。これはDAW内のプラグインとして動作し、ミキシングやマスタリングの段階でオーディオトラックにEQ処理を適用することができます。

SSL Native X-EQ 2は異なるEQカーブタイプに対応していますか?

SSL Native X-EQ 2にはさまざまなEQカーブタイプが用意されています。Baxandall、E-Series、G-Series、SSL 9000Kなどのオプションがあります。各カーブタイプには独自の音の特性があり、さまざまなアプリケーションに適しています。これらの異なるカーブを試して、オーディオ素材や希望するサウンドに最適なものを見つけることができます。

まとめ

メーカーSSL(Solid State Logic)
システムマック
macOS 10.15 Catalina – macOS 12 モントレー
 (64 ビットのみ)
2.4GHz以上で動作するIntelデュアルコアMac
Rosetta2 経由で Apple Silicon Mac と互換性あり
最低 4 GB の RAM (8 GB の RAM を推奨)
AU、VST2、VST3、AAX ネイティブ
重要な注意事項:この製品は、Rosetta を使用することで Apple Silicon Mac と互換性があります。
ウィンドウズ
Windows 7 ~ Windows 11 
 (64 ビットのみ)
2.4GHz 以上で動作する Intel Core 2 (または同等の) CPU
最低 4 GB の RAM (8 GB の RAM を推奨)
VST 2、VST3、AAX ネイティブ
認証方式iLok認証
認証数2
マニュアル英語版のみ(Google Chromeで翻訳可能)
価格328.90ドル

SSLプラグインの印象はデジタルでクリアな印象を持っている人も多いかもしれませんが、SSL Native X-EQ 2はアナログ的な雰囲気もあるので、そのような音質を望む人にも十分に使えます。

SSL Native X-EQ 2は17種類の異なるEQタイプとフィルターシェイプを提供します。各バンドは、ベル、シェルフ、ローパス、またはハイパスフィルタータイプ間で切り替え可能であり、各バンドにはクラシックとカスタマイズ可能な形状が用意されています。

古いパラレルパッシブEQ回路の特性音を再現するためのクラシックなX-EQ ‘Parallel’モード、新しい空間処理オプション、バンドソロリングなどが特徴です。

「SSL Native X-EQ 2」は、Apple M1ネイティブサポートを備えたユニバーサルバイナリであり、作編曲時であってもCPU負荷を専有しない効率的でCPU負荷で実行されます。

音質としてはそこまで気になるところではありませんでした。それよりは自分が求める音にどれだけ早く近づけるか、そのワークフローを個人的には重視します。

その視点から行くと、SSL Native X-EQ 2の操作性は数値入力がしにくいという点で私にとっては少し手間があるように感じました。また、すでにPro Q3とClaroを持っている立場からするとセール価格とはいえSSL Native X-EQ 2にそこまでの魅力は感じませんでした。

しかし、Pro Q3もClaroもまた最新のキルヒオフEQも持っていないが、DAW付属のイコライザープラグインからのステップをアップを考えていて、それでいてしっかりとした音質で操作性もよく、またブランドもしっかりとしたイコライザープラグインが欲しいという人には今回のセールはオススメと言えます。

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