キックにもっとアタックやサブローエンドがほしい
スネアを少し太くしたい
これらの作業は任意の波形を用意できれば可能かもしれませんが、その任意の波形がない場合、あってもイメージと違った場合、これらの作業はひたすら「これじゃない」を繰り返すだけの非効率な時間になります。
しかし、Snapbackを使えばそれらの問題を解決できる可能性があります。
Snapbackは発音タイミングに合わせて、アタック的なサウンドからふくよかなローエンドの成分をレイヤーできるプラグインです。
ドラム音源のループを再生しながら、Snapbackを使用することもできるので最適なリズムトラックを高速に作成できます。
Snapbackとは
Snapbackは、Cableguysが提供するタイミング操作に特化したプラグインで、ShaperBoxシリーズの一部機能を独立させた製品です。
オーディオ素材にリバースやタイムシフト効果を瞬時に適用し、リズムやフレーズにクリエイティブな変化を加えることができます。
特に、簡単かつ直感的な操作性が魅力で、プロのサウンドデザイナーや音楽プロデューサーに適したツールです。多様なサウンドメイクに役立つこのプラグインは、音楽制作に新しいインスピレーションをもたらします。
Snapback使ってみた感想
ここでは実際に使用した印象について解説しています。
Snapbackは基本的に発音タイミングにレイヤーするエフェクトプラグイン的な立ち位置ですが、MIDIモードにすることでドラム音源的なポジションに変更することも可能です。
では、最初にSnapbackを使った音源を確認してみましょう。
EZDRUMMER3のキック、スネア、ハイハット、をパラアウトしてそこにSnapbackを使用してみました。
つづいて、シンセにも使用してみました。
シンセのアタック部分にプラック的な成分が加えられたのがわかります。これは設定次第で量感を変更することも可能です。
数秒で解析後レイヤーするのが便利すぎる
Snapbackの特徴でもありますが、入力された音を数秒で解析してトランジェントとSNAPBACKという2つの音色をレイヤーします。SNAPBACKについては後述します。
それぞれにテクスチャーごとに分けられた音色が用意されているので選びやすいのもよいですね。
解析はヒットのタイミングだけではなく、強弱にもスレッショルドで対応できるので、柔軟なリズムの処理に対応できます。
DTMユーザーならば、好きなドラム音源をマルチ出しして任意のトラック(キックやスネア)に使用すれば、今まで得られなかったトランジェントや新しい質感をかんたんにレイヤーできます。
いままで、DAW付属のドラム音源等でパンチが足りないと感じていたトラックが一気に化けます!
また、ドラムをレコーディング後音色を差し替えていたミキシングエンジニアにとってもSnapbackは新しい選択肢になりえます。
プリトランジェントが便利
最近たまにSNSで目にするプリトランジェントなるものをかんたんに扱えます。これは、ヒットする直前にノイズ成分的な音色を加えることで生ドラムのフラム的な表現を加えるものだと思います。
EDM系のドラム(特にスネア)ではこのフラム的な打ち込みは生ドラムのようにしてもイメージするものと違う結果になることが多いのですが、Snapbackを使えば、エレクトリックなドラムであってもその音質を保ったまま有機的なグルーヴを生み出すことが可能です。
また、SNAPBACKやTRANSIENTはエンベロープカーブや発音タイミングにステレオ感やピッチ情報を変更できるので思っている以上に音作りの幅は広いです。
音色切替時に再解析が発生する
いくつか用意されている音色切り替えるたびにタイミングの再解析がはじまってしまい演奏がもたつきます。数秒の解析でジャストのタイミングになるわけですが、スムーズな音色変更を求める人にとっては多少ストレスになるかもしれません。
最初の読み込みに時間がかかる
購入後、ダウンロード、そしていざDAWで使ってみると最初に音源のダウンロードが始まります。ネット環境にもよりますが、私の3分〜5分くらいかかりました。
ユーザーが独自の波形をインポートする機能は含まれていない
ほぼほぼ満足できるSnapbackですが、オリジナルの波形をインポートできれば、さらに使い勝手がよい音源になると思うのですが、現状でその機能は搭載されていません。
まとめ
Snapbackは数秒で発音タイミングを解析してSNAPBACKやTRANSIENTといった音色をレイヤーするエフェクト音源です。
エレクトリック系のドラムにプリトランジェントといノイズ成分で有機的なグルーヴを作るというのは話には聞いていましたが、Snapbackを使うとそれが簡単にできるのは作業効率が良いように感じます。
EDM系から生系のドラム音源までユニークな音色情報を即座に加えられるSnapbackの使用率は今後大きくなるプラグインになるでしょう。