リズムにアクセントや表情を加えるのに欠かせない、シェイカーやタンバリンなどのパーカッション。しかし、ただのループやシンプルな打ち込みでは物足りなさを感じることも多いでしょう。
そこで活躍するのが、Klevgrandの「Skaka」。このプラグインは、24種類のパーカッションを自由に組み合わせ、リアルで多彩なリズムを生み出せるのが特徴です。
Skakaでは、各パーカッションが1オクターブ内(例:C1〜B1)に配置され、さらに他のオクターブにも同じ配置で割り当てられているため、どのオクターブからでも直感的に操作が可能です。
ハイハットやシェイカーの違いを活かしたリズム作りを簡単に行えるだけでなく、ビート全体に「クール」なエッジや「かわいらしい」アクセントを付けられるのが魅力です。音楽制作におけるリズムの表現力を一段と高めてくれるSkakaは、まさにプロフェッショナルから初心者まで幅広くおすすめできる一台です。
Klevgrand Skakaとは
Klevgrand Skakaは、小物打楽器(シェーカーやタンバリン系)に特化したサンプルベースのシーケンサープラグインです。このプラグインは、音楽制作に人間らしさをもたらすことを目的として開発されました。
各楽器ごとに 30 以上のラウンドロビンを備えた 8 (または 9) のベロシティ レイヤー (数千のサンプルを使用)というのスペックがKlevgrand Skakaを小型打楽器専用プラグインとして扱える強みとも言えます。
- 12個のパラレル・スロット: それぞれのスロットに独自の楽器、豊富なパラメーター、パターンを設定できます。
- 豊富なプリセット: あらゆる音楽ジャンルとスタイルをカバーする200種近くのプリセット・パターンが付属しています。
- 高品質なサウンド: 上質なシェイカー・サウンドを実現し、楽曲に人間味のあるパーカッション要素を加えることができます。
ちなみに同じ16分音符のリズムをハイハットで演奏するのとシェイカーで演奏するのでは以下のような違いがあります。
- 鋭さと明瞭さ:ハイハットは金属的なアタックが特徴で、音がシャープで明瞭。16分音符のリズムが明確に聴こえ、キレのある印象を与えます。
- エネルギーとアクセント:ハイハットはトランジェントが強く、リズムにエネルギーとアクセントを加えます。そのため、16分音符で演奏すると、グルーヴ感が強調され、タイトで力強い印象になります。
- 音域の違い:ハイハットは高域にある音で、ミックスの中でしっかりと存在感を発揮します。16分音符で刻むと、リズムが前に出る印象を強く受けます。
- 柔らかさと広がり:シェイカーは砂やビーズの動きによる音なので、柔らかく、やや拡散した音質です。16分音符で演奏しても、ハイハットほどはっきりとしたアタックはありません。自然で温かみのある音が特徴で、リズムに空間的な広がりを持たせます。
- 背景的なリズムサポート:シェイカーはリズムのサポート的な役割が強く、リズムを埋めつつも前に出すぎないため、グルーヴ感を維持しながら他のパートを邪魔しません。細かな16分音符であっても耳に負担をかけにくく、スムーズにリズムに馴染みます。
- 周波数のバランス:ハイハットほど高域が目立たず、中高域寄りで丸みのあるサウンドなので、全体のミックスの中で控えめに感じられ、穏やかな印象を与えます。
- ハイハット:鋭いアタックと高域で、リズムを強調しタイトなグルーヴ感を作り出す。
- シェイカー:柔らかく広がりのある音で、バックグラウンドでリズムを補完し、ナチュラルなグルーヴ感を作る。
ハイハットは力強くタイトなリズム感を強調したいときに、シェイカーはナチュラルで柔らかなリズムを補完したいときに適しています。
シェイカーとハイハットだけの比較になりましたが、Klevgrand Skakaではその他にもタンバリンや、多くの小物打楽器が用意されています。
Klevgrand Skaka レビュー
Klevgrand Skakaでは、24種類のパーカッション音源を1オクターブ内(例:C1〜B1)に配置し、各キーにアサインされています。これらの楽器は、他のオクターブにも同じ並びでコピーされているため、異なるオクターブで同じパーカッションを鳴らすことができます。
最大8小節のグルーブパターンを自由に作れる
Klevgrand Skakaの魅力はクオリティの高いサンプルを使って独自のグルーヴをKlevgrand Skaka内で作れてしまうことにあります。
ここでは、タイミング毎にベロシティ、デュレーション、ゲインの微調整が可能なので、DAWのピアノロールで作るよりはるかに細かく生々しいグルーヴをかんたんに作成できます。
これらの機能をDAWで操作(再現)しようと思うと、タイミング毎に、オートメーションやら何やら情報の大渋滞になり管理も大変ですが、Klevgrand Skakaならかんたんです!
では実際の音を聞いてみましょう
1〜4小節目はシェイカー、5〜8小節目はタンバリン、9〜12小節目はエッグシェイカー
途中ピッチを変更している部分もあります。
どうですか?こんなにも生々しい小型打楽器によるリズムパターンは今までいろいろなソフトシンセを触ってきましたが、私ははじめて出会えたような気がしています。
タンバリンのロールのような演奏の場合でも非常にリアルに作成できます。
操作は簡単で、グリッド上をクリックしてリズムを配置して、あとはピッチやデュレーションやゲインを調整するだけです。
楽器も今回はオーソドックスなシェイカーやタンバリンしか使っていませんが、パーカッションに限らず色々な振りモノ系の楽器が用意されています。
また、タイミングに関してはグリッドに貼り付けることも可能ですが、できればグリッドに貼り付けずに微妙にずらして配置すると驚くほど生々しくなります。
マスターにHFがついているのが良い
シェイカーやタンバリン高域が耳につきます。そのため、イコライザーやフィルターちょっと削ったりすることがありますが、Klevgrand SkakaはマスターアウトにHFが搭載されています。
これはかゆいところに手が届いた素晴らしい機能です。
12の個別パッドにもフィルターは搭載しているので、シーンによって個別で微調整するのかざっくりとマスターで調整するのを決められるのは本当に便利です。
グルーヴパターンのプリセットも用意
各楽器に適したグルーヴプリセットも用意されています。これらをベースに微調整していくとわりとイメージするパターンをかんたんに作成できるように思いました。
NEWを押すと何もリズムが入っていない状態の画面になるのでゼロから作りたいという人にはこちらを使用しましょう。
オリジナルのリズムパターンプリセットはExport機能を使うことで保存できますが、上記の画面上に表示されるわけではないので、そのあたりは少し手間に感じるかもしれません。
改善要望点
ここでは操作して気がついた改善要望点についてお話します。
オーディオ書き出し機能がほしい!
Klevgrandのソフト音源すべてに言えるのですが、できればオーディオ書き出し機能を搭載してほしいですね。これだけかんたんに理想とするグルーヴを作れてオーディオ書き出し機能があればあと10ドル高くても売れると思います。
マルチアウトがほしい
これも前回書いた、Klevgrand Slammerでも書いたのですが、やはりDAWにマルチアウトしてDAW内でバランスを取りたくなりますね。
あと通常の時は問題ないのですが、ピッチを大幅に下げたときに再生音がおかしくなるバグがありました。しかし、毎回発生するのではなくランダムに発生するので、このあたりは早く改善してほしいところです。
バグの音は5〜8小節目のタンバリンの箇所でかなりピッチが低いタンバリンの音がなっている箇所です。
システム
- macOS 10.10以降(M1プロセッサ向けに最適化)
- Windows 7 SP1以降
- AU、VST-2、VST-3、AAX
まとめ
Klevgrand Skakaは、シェイカーやタンバリンといったパーカッションのリアルなニュアンスを、直感的な操作で自在に表現できる頼もしいツールです。
24種類のパーカッションが1オクターブ内に配置されており、同じ設定が他のオクターブにも反映されることで、即座に異なる音域で同じリズムを鳴らすことが可能。
実際に操作してみると、ワンクリックでリズムの質感や立体感が変わり、ビートに生命感が宿るような使用感が印象的です。
リバーブも個別のパッドにそれぞれアサインできるため、このパーツだけはリバーブを深めにかけたい!という要求にも答えてくれますし、グルーヴのタイミングを一括調整するDELAY機能もあるので「なんかモタリ気味なのを解消したい」というきも便利です
複雑な設定なしにリズムに「クール」さや「かわいさ」を加えられるため、どんな楽曲にも柔軟に溶け込み、制作時間の効率化にもつながります。Skakaはリズムトラックにさらなる彩りと深みを与える一台です。
これがあれば、小型打楽器系のグルーヴは完成します。