
Roland Cloud TR-909って何がすごいの?サンプリング音源でわりとお腹いっぱいなんだけれど



Roland Cloud TR-909は本家RolandのACB機能によって実機の再現力が高いためサンプリング音源では得られない質感が魅力だよ



でも、実機の再現って本当に良いの?サンプリングでも十分な気がしてる



実機の再現の定義をどう考えるかは重要だね!そのあたりも踏まえてRoland Cloud TR-909の魅力について解説していくよ!
メリット | デメリット |
---|---|
本家ACBによる回路挙動の再現 オーディオ&MIDIが書き出し可能 | エフェクトがない プリセットが少ない |
Roland Cloud TR-909とは
2018年にリリースされたRoland Cloud版「TR-909 Software Rhythm Composer」は、1983年登場の名器TR-909を忠実に再現したソフトウェア音源です。
Analog Circuit Behavior(ACB)技術により、アナログ+デジタルのハイブリッドサウンドを精緻に再現しつつ、8バリエーション/パターン、フラムやシャッフルといった高度なシーケンサー機能、DAWへのMIDI/オーディオドラッグ&ドロップ、VST3/AU/AAX対応しています。
Roland Cloud TR-909 レビュー
- 本家ACBによる回路挙動の再現
- オーディオ&MIDIが書き出し可能
- エフェクトがない
- プリセットが少ない
本家RolandによるACB再現で、実機に近い可変性・演奏性を手にできる


TR-909はあまりにも有名で、過去30年以上にわたり無数のサンプルパックやソフトウェアが出回ってきました。しかもD16 DrumazonやWave Alchemy Revolutionなど、完成度の高いサードパーティ製プラグインも存在します。その中であえてRoland Cloud TR-909を選ぶ目的は次の点にあります。
1. Roland公式の「本家サウンド」
Roland自身がACB(Analog Circuit Behavior)技術で設計しているため、サンプリングでは表現しきれないアナログ回路特有の微細な揺らぎやニュアンスまで再現可能。「本家が出している」という安心感とブランド力は大きな購入動機になります。
ACBとは
Analog Circuit Behaviorとは、Rolandが実機アナログシンセやドラムマシンの回路動作を数学的に解析・再現する技術であり、サンプリングや単純なVAとは違って、生きたような音の揺らぎや可変性を忠実に再現することを目的としています。(一種のアナログモデリング技術)
TR-909はキック、スネア、タムがアナログ音源でありハイハット、ライド、シンバルがデジタル(PCM)です。
ベロシティを上げていくとキックやスネアは良い意味でドライブがかかったような音色となるあたりはサンプリング音源にはない魅力ですし、TUNEやLEVEL、ATTACKやDECAYなどを変化させたときも、より自然で僅かな変化も感じることができるのがACB技術の高さのような気がします。


Roland Cloud TR-909では8つのキットと50のリズムパターンが収録されています。キットに関してはそのプリセット名を印象付けるためのサウンドエディット加工が施されたものになります。8つのキットに関してはそこまで目を見張るものではありませんが、即戦力的なサウンドであることは間違いありません。
他にも12のマルチアウト設定やCPU負荷下げるための機能等もあります。






またRoland Cloud内でTR-808やSHシリーズなどと並行利用でき、Roland環境に統一感を持たせたい人にとっても魅力的な要素です。
「実機同等および実機以上の体験」を得られる


サンプリング音源は静的でパラメータ変化に限界がある一方、ACBベースのTR-909はキックやハイハットを微妙にチューニングしても実機のように自然な変化が得られる。単なる音源ではなく「インストゥルメント」として扱えるのが強みといえます。
Battery 4やDAW付属のドラム音源でもTR-909のサンプリングは多く見られます。そしてそのクオリティは十分に使えるレベルですが、やはり、Roland Cloud TR-909の存在感は実質的な音とサウンドエディットしたときの変化は心理的な安心感を得られます。
また操作感においてRoland Cloud TR-909内で作成したリズムパターンをMIDIまたオーディオファイルとして書き出すことも可能なため、DAW上でバウンスする必要がありません。オーディオ化することでスタッターやグリッチ系のエフェクトプラグインでさらにアクティブな音作りが可能なのも使い勝手のよい機能です。
実機再現の定義における注意点


ただ音質面において気をつけたいポイントとして「実機を再現しているのかどうか」という点です。私の考えとしては実機は個体差というか状態によって音質も変化しているので「再現の定義」が実は曖昧です。
そして、さらにTR-909の音色の音と認知している音が「まったくの素の音」(エフェクト処理がされていない)なのかエフェクト加工された音なのかも大事です。
楽曲等で聞けるTR-909の音は当然、その楽曲のためにより最適化された音色に変化しています。つまり素の音ではないため、無加工のTR-909を聞いても「何か違う気がする」という感想を持つ人もいます。
Roland Cloud TR-909が本気を完全に再現していたとしてもその音質が好みかどうかはユーザーに委ねられる。という視点をもっておく必要があります。
Roland Cloud TR-909の場合、他のサンプリングされた音色の違いはやはりRolandのACB技術によってモデリングされているためエフェクト加工することでよりリアルなアナログキックのサウンドを提供してくれる点にあります。
そのため「自分のイメージしたTR-909をどこまでも追い込んでいる」というのがRoland Cloud TR-909の最大の魅力だと感じます。
まとめ
メーカー | Roland |
システム | Windows: Windows 10 (64 ビット) または Windows 11。 macOS: macOS 11 (Big Sur) 以降。 |
認証方式 | シリアル認証 |
マニュアル | ソフト内で呼び出し可能(日本語) |
価格 | $163.90 |
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Intel Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.6.1 Monterey
Audio/IF Focusrite RED 8PRE
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.7
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
寄らば大樹の陰ではありませんが、やはり本家が出しているという点は大きな強みであり、安心感があります。
サンプリング音源でも問題なくない?という声もあると思いますし、実際その音がユーザーにとって最適であれば、Roland Cloud TR-909である必要はないです。
しかし、最初にRoland Cloud TR-909を立ち上げそこから発するのはモデリング技術によるリアルさとは別に何か訴えかけてくる音の説得力みたいなものがあります。
もちろん、私がそのように感じたいという目的がある可能性は否定しませんが、創作とはそのような感情と表裏一体であるという部分もまた事実です。
大切なのは実機を再現できているという次元ではなく、Roland Cloud TR-909を使って自分が作りたい音楽を作るトリガーとして役目を果たせるのかどうか?という視点が大切です。
少なとても私にとってRoland Cloud TR-909のキックやスネアを聞くだけで創作意欲を強く刺激されるだけのポテンシャルを秘めたソフトドラム音源であると感じました。