EVERTONE COMP / EXPANDER / METRO レビュー― 音量ではなく「時間」を整えるダイナミクス処理

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EVERTONE COMPRESSOR / EXPANDER / METRO は、いわゆる「便利で分かりやすいコンプレッサー」ではありません。

このプラグインが扱っているのは、音量そのものではなく、
演奏の流れの中で音のエネルギーをどこに配置するかという時間軸の感覚です。
BPMと連動した NOTE VALUE や Physics Mode、HOLD といった独自の仕組みによって、
ダイナミクスを「縦(音量)」だけでなく「横(時間)」としてコントロールします。

派手な変化は起きませんが、何度も聴くほどにアレンジを邪魔しないこと、ミックス全体が自然に呼吸していることに気づくはずです。本記事では、その少し分かりにくいが確かな違いを整理していきます。

セールは3月1日まで!

Evertone Project
UG
  • 元ゲーム音楽屋(NintendoDSなど)
  • 作曲歴20年以上
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  • ショートアニメ、CM、企業PV音楽を制作
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EVERTONE PLUGINS EXPANDERCOMPRESSORMETROについて

EVERTONE PLUGINSにはEXPANDERCOMPRESSORMETROの3つがあります。

EXPANDER & COMPRESSOR は、信号のエネルギー変化に追従する独自のダイナミクス制御により、音を潰さず自然な抑揚を保ったまま整えることが可能です。

METRO では、METROは、音を変えるためのプラグインではなく、音楽の拍に対して処理のタイミングを揃えるための“時間軸の基準”

これらを使うことで以下の3つを自由に扱えるようになります。

音の強弱を単なる音量調整ではなく、エネルギーと動きとして制御できる。
トランジェントや余韻を自然に保ちながら、立体感や前に出る感覚を引き出せる
設定次第で繊細からアグレッシブまで、音楽的なノリをダイナミクス表現を自在に作れる

とくに個人的には音楽的なノリ直感的にコントロールできるため、プロや上級者にだけではなくコンプの不慣れな人であっても、使って得られるメリットは大きいと感じます、

エキスパンダーとコンプレッサーについて

エキスパンダーとコンプレッサーは、どちらも音のダイナミクス(強弱)を整えるための代表的な処理です。
エキスパンダーは、音量差を広げる方向に働き、小さな音をより小さく、大きな音をより際立たせることで、アタック感や輪郭を強調します。一方コンプレッサーは、音量差を抑える処理で、ピークを制御しながら音を前に出したり、全体のまとまりを作る役割を持ちます。
両者は逆の動作をしながらも、音楽的な表現を支える重要な存在です。

EXPANDER & COMPRESSOR レビュー

まずEXPANDER & COMPRESSOR両者の共通的な機能についてかんたんに解説します。

EVERTONE EXPANDER & COMPRESSORは既存のコンプではない

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注目点は2つ!

EVERTONE COMPRESSORは、VCAやOptoといった既存回路の挙動を再現するコンプではなく、音のエネルギーが時間の中でどう加速・減速するかをF=ma(力=質量×加速度)の考え方で制御する“時間挙動ベース”のコンプレッサーである。とういことです。

もう少しわかりやすくいうと、EVERTONEは「どれだけ潰すか」ではなく、「音がどのタイミングで、どんな勢いで前に出るか」を物理的な動きとしてコントロールしているということになります。

F=ma 物理演算エンジンは耳慣れない言葉ですが、一言でいうと「音の動きを“音量”ではなく、“力と反応”として制御する仕組み」ということですが、私もよくわかりません。調べてみると、ゲーム等で使われる技術らしく「より自然な挙動」を得られる技術と解釈できます。

F=ma 物理演算エンジンとは?

F=ma(力=質量×加速度) はニュートンの運動方程式として知られる物理法則で、物体にかかる力とその運動との関係を表します。コンピュータ上の 物理演算エンジン は、こうした運動方程式を基にして、物体の動きや相互作用をリアルタイムにシミュレーションする技術です。これはゲームやシミュレーションで衝突・摩擦・重力などの自然な挙動を再現するために使われます。

物理演算というとモデリングシンセサイザーをイメージする人もいるでしょう。考え方は近いのですが、対象と目的が違います。

シンセサイザーで使われる物理モデリングが音を生成するアプローチにたいしてVERTONEの F=ma 物理演算エンジンはすでに存在している音を「制御」するための技術になります。

F=ma 物理演算エンジンを使用することで音量を数値的に上下させるのではなく、音のエネルギー変化やトランジェントを力学的な挙動として捉え、「勢い」「反動」「減衰」といった物理的な動きを操作します。これにより、コンプレッサーやエキスパンダーとして、音の動きを自然に整える処理を実現するというのがEXPANDER & COMPRESSORの大きな特徴であると捉えるとよいかもしれません。

EVERTONE EXPANDER & COMPRESSORのパラメーターは音楽のノリを重視して設定される

2つ目は音楽的なノリをベースにパラメーターを設定できるということ

一般的なコンプレッサーでは、アタックやリリースを「◯ms」といったミリ秒単位で設定します。しかし ms という数値は音楽と直接結びついていないため、コンプレッサーに慣れていない人にとっては「この設定が曲に合っているのかどうか」が直感的に分かりにくいという難しさがあります。

EVERTONE のアタック、ホールド、リリースは ms 表示よりも NOTE VALUE を前面に出している理由は、ここにあります。NOTE VALUE は、曲の BPM から導かれる拍の長さを、8分音符や16分音符といった音符単位に置き換えたものです。

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たとえば BPM120 なら、16分音符は約125ms、8分音符は約250msとなり、設定した時間は常に楽曲のテンポと同期します。
これにより、「16分音符くらいの速さで戻ってほしい」「8分のノリに合わせたい」といった音楽的な感覚のまま操作が可能になります。EVERTONEでは、コンプレッサーを単なる音量調整ではなく、演奏やリズムと一体になって動く“楽器的なツール”として扱っているのです。

では実際の音で確認してみましょう。

EVERTONE COMPRESSOR サウンド

まずはバイパス状態のもの

つづいてキックだけにEVERTONE Compを使用したもの

速く掴んで、しっかり踏ん張り、グルーヴの中で戻す

次にキックとスネアにだけEVERTONE Compを使用したもの

狙い

アタック直後を活かし、余韻で踏ん張らせて、次の音へ自然に返す

最後にキック、スネア、ドラムバスにEVERTONE Compを使用したもの

狙い

音量を揃えるのではなく、拍の中でまとまる感覚を作る

今回はBPM138の楽曲に合わせ、Attack / Hold / Release をすべて NOTE VALUE で設定しています。これによりEVERTONEが意図する「拍の中でダイナミクスを整える」挙動がより分かりやすく現れます。

さて違いわかりましたか?この違いに気がつく人はEVERTONE CompおよびEXPANDERはかなり頼もしい武器になってくれると思います。

EVERTONE Compを使いグルーヴが消失しないダイナミクス管理に耳がなれると、他のコンププラグインでは思うようなノリを作れない体になる可能性が高いです。

いざ、コンプを使ってみたけれど自分の思うようなノリが消えてしまったという経験をしたことがある人は間違いなく買っておいて損はないでしょう。

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EVERTONE EXPANDERについて

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VERTONE Expanderは、音を削る装置ではなく、音が存在する「時間の形」を整えるプラグインです。普通のExpanderは小さい音をさらに小さくして「消す」のに対してEVERTONE Expanderは強い音が出た瞬間だけ反応し、
その前後の時間を“空ける”ことで、音の輪郭とノリをはっきりさせるというのが目的のように思います。

音量を下げて整理するのではなく、音が鳴く「瞬間」と「間」をコントロールすることで、グルーヴと明瞭さを同時に整えるエキスパンダーである。ダイナミクスとグルーヴの関係をより強固にするEVERTONEならではのエフェクトプラグインです。

EVERTONE EXPANDER サウンド

では、ここでも実際のサウンドで確認してみます。

まずはバイパス状態のもの

キックにだけEVERTONE EXPANDER を使用したもの

狙い

アタックの存在感を強調、低域の濁りを減らす、音量を上げずに「踏み込ませる」

次にキック、スネアに使用したもの

狙い

ゴーストノートを整理、ヒットのコントラストを強調、バスに送っても埋もれない

最後に、キック、スネア、ドラムバスに使用したもの

狙い

バラついたエネルギーを整理、演奏のメリハリを作る、

単体で使用するのと、Compと併用するのとどちらが良いかは目的次第になりますが、サンプルドラム、整った音源、ダイナミクスを壊したくない場合はExpanderだけでも意図したサウンドになる可能性はありますが、グルーヴを前に出したい!!ノリを作りたい場合などはCompと併用するのがベストと思われます。

下記はキック、スネア、ドラムバスにそれぞれCompとExpanderを使用した例です。

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使い方について

普通に使うのも難しいコンプレッサーですが、ここまでの説明を聞いているとさらに難しく感じてしまう人も多いでしょう。しかし、実のところEVERTONE EXPANDERもCompressorもそこまで使い方は難しくありません。

まず、プリセットからイメージするものを選択します。(画像右はExpander、左はCompressorのもの)

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この状態ではNOTE VALUEはDAWのBPMと同期はしていませんが、ASSIST機能を使うことでBPMに対して推奨される有効なパラメータ値をNORMALかADVANCEDの2種から選べるようになります。

画像上がASSIST前、下はASSIST後ADVANCEとNORMALの比較です。

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あとは、スレッショルド等でGRを任意に設定していくだけです。むしろ普通のCompよりはるかにわかりやすい気がします。

他にも特有の機能がありますが、まずはここから初めていくのがサウンドへの理解につながると思います。

Physics Modeの違いについて

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EXPANDER & COMPRESSORには独自のパラメーターがありますがその中でもPhysics ModeはとくにEXPANDER & COMPRESSORの個性を強く押し出せる機能であると感じます。

Physics Mode は「入力された音のエネルギー変化に、どれくらいの“加速度”で反応するか」を切り替えるモードです。「どれだけ速く反応するか「」どれだけ強く押し返すか」「反応後、どう収束するか」この3点が変わります。

決してこれが正解というわけではないと思いますが、なんとなく以下のような違いが得られるイメージだと思います。

Physics Mode加速度特性 / 挙動音のキャラクター聴感的な印象向いている用途
Standard標準的な反応従来型に近い挙動ニュートラル音が整うクセが出にくいバスマスター全体調整
F=ma Light低加速度ゆっくり反応繊細・控えめ自然な前後感アタックが柔らかい空気感が保たれるボーカルアコースティック楽器アンビ・パッド
F=ma Medium中加速度バランス型音楽的・汎用音が前に出る輪郭が明瞭圧縮感が自然ドラム全般ベース多くのトラックの第一選択
F=ma Heavy高加速度瞬時に強く反応ダイナミック・攻撃的パンチ感跳ねる・叩く感覚存在感が強いキック/スネアパーカッションサウンドデザイン
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EVERTONE METRO PLUGINとは?

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EVERTONE METRO PLUGINは、音を直接変えるためのプラグインではありません。
コンプレッサーやエキスパンダーが「いつ反応するか」を、BPMと拍を基準に決めるためのツールです。

一般的なコンプでは、アタックやリリースをms(ミリ秒)で設定しますが、これだと「音楽のどこで効いているのか」が分かりにくくなりがちです。METROを使うと、1/16や1/8といった音符単位で時間を指定できるため、処理をリズム感覚で理解しやすくなります。

特にEVERTONEのComp / Expanderは、音量だけでなく音の動きやノリを整える設計です。METROを併用することで、「この音は次の拍まで踏ん張らせる」「ここで自然に戻す」といった音楽的なコントロールが直感的に行えます。

EVERTONEを単なるコンプレッサーではなく、音楽の流れを整えるツールとして使いたい人にとって、METROはその考え方を支えてくれる重要な存在です。

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CPU負荷について

CPU負荷はほとんどないレベルです。単体トラックにどんどん挿して使っても問題はないと思われます。ただ、BPMを変更した場合、NoteValueの設定はBPM変更前のものになっているので、その場合はNoteValueウィンドウを閉じれば新しいBPMのNoteVlaueが表示されるようになります。

まとめ

プラグイン名価格(税込)対応フォーマット
EVERTONE COMPRESSOR¥17,643¥23,580VST / AU / AAX
EVERTONE EXPANDER¥17,643¥23,580VST / AU / AAX
METRO PLUGIN¥8,821¥11,705VST / AU / AAX
EVERTONE BUNDLE (3製品セット)¥35,455¥47,330VST / AU / AAX

セール価格は3月1日まで!

CPU負荷計測環境

パソコン  Macmini2018

CPU  Intel Corei7(i7-8700B)6コア 

HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz

メモリ 32GB

システム OS12.6.1 Monterey

Audio/IF Focusrite RED 8PRE

バッファー 256

DAW   LogicPro10.7.7

48kHz/24bit

再生ストレージ SSD

EVERTONE COMPRESSOR は、FETやオプト、VCAといった従来のコンプレッサー分類には当てはまりません。これらが回路構造を基準にした分類であるのに対し、EVERTONEはF=maに基づく物理演算によって音の挙動そのものを制御する設計だからです。結果として、設定次第でそれらに近い質感を作ることは可能ですが、本質的には「どの回路を模したか」ではなく、「音をどう動かすか」を重視した全く別のアプローチで作られたプラグインです。

使ってみて思ったのは自分が以下にダイナミクスという処理に無知であったかということ。ダイナミクスを整えるなんて抽象的な解釈はまだまだ理解の階段すら上がっていないことを痛感しました。それほど奥深く、また素晴らしい世界をみせてくれるプラグインがEVERTONE PLUGINSです。

価格は、普通のコンプレッサーやエキスパンダー系プラグインと比較すると割高な印象ですが、この価値を見いだせる人にとってはおそらくそこまで高い買い物ではないと思います。

EVERTONEは、いわゆる「便利」「分かりやすい」「即効性がある」タイプのコンプレッサーではありません。
音を派手に変えたり、分かりやすく潰したりすることはほとんどなく、第一印象では違いが分かりにくいと感じる人も多いと思います。

その代わりEVERTONEは、アレンジを邪魔せず、何度聴いても耳が疲れにくく、ミックスが進んでから少しずつ効いてくる――そんなタイプのコンプレッサーです。

もし違いが分かりにくいと感じた場合は、次のようなシンプルな方法を試してみてください。

ドラムバスにEVERTONEを挿し、
ゲインリダクションを約2dB、
ReleaseをNOTE VALUEで1/8に設定します。
その状態で30秒ほど、バイパスのON/OFFを繰り返してみてください。

バイパスに戻したときに、「少し落ち着きがなくなった」「演奏が急いで聴こえる」と感じたなら、
すでにEVERTONEの違いは耳で捉えられています。

それでも特に違いを感じなかった場合、それはEVERTONEが合っていないということではなく、単にあなたの音楽や制作スタイルにとって必須のツールではなかった、というだけの話です。それもまた、ひとつの正解だと思います。

EVERTONEは、
“分かりやすく効かせる”ためのコンプレッサーではなく、
“音楽の流れを静かに整える”ためのコンプレッサー。
その性格を理解した上で使うと、
ミックスの後半でじわりと効いてくる存在になるはずです。

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