良い楽器を使えば練習ははかどります。今回紹介するYAMAHA CP88は練習にそしてステージで活躍するステージピアノといえます。今日は私が弾いてみた感想とシンセ音源部の音色のレビューをしたいと思います。
YAMAHA CP88とは
YAMAHAが発売したステージピアノそれがCP88です。
特徴として一部ですが次のような機能が搭載されています。
- 88鍵盤 NW-GH3鍵盤(木製象牙調・黒檀調仕上げ、グレードハンマー3)
- プリセット106 (PIANO: 14/E.PIANO: 19/SUB: 73)
- ダンパーレゾナンス装備(ペダルを操作したときに発生する本物のピアノの倍音を再現したエフェクト)
- OUTPUT [L/MONO]/[R] (標準フォーン端子、アンバランス)
- 消費電力14W
- USBによるOSアップデート
サイズ
- 1298mm
- 141 mm
- 364mm
- 18.6 kg
CP88の内蔵音色
- PIANO
- グランドピアノ5種類
- アップライトピアノ2種類
- CP(エクレトリックピアノ)2種類
- レイヤーサウンドピアノ2種類
- E.PIANO
- ローズ系5種類
- ウーリッツァー系3種類
- クラビネット系3種類
- DX系エレピ6種類
- SUB
- パッドストリングス系17種類
- オルガン10種類
- クロマティックパーカッション11種類
- 生ベース系3種類
- シンセベース系4種類
- ブラス系(シンセブラス含む)6種類
- シンセリード系7種類
- ギター系2種類(アコースティック系のみ)
他3種類OSのアップデートなどで順次追加されるとのことすでに30個のボイスがOSのアップデートとともに無償で追加されたとのことなので今後も増えていくことが予想されます。クオリティの高い音源などは有償提供になる可能性もありますね。
シンセ音色に関してはシンセサイザーを多く触ってきた視点からするとクオリティが高いレベルではありませんし、ガンガンと音色エディットができるわけでもありません。しかし、アタックとリリースは調整できるので、シンセサウンドの立ち上がりは調整できますし、ツボは抑えられているので使いやすい音色という印象はあります。この辺りも今後クオリティに特化した音色がどれほど増えていくかがポイントにもなりそうです。
ステージピアノとエレクトリックピアノの違い
ステージピアノは主にステージで使うことを想定したエレクトリック・ピアノです。そのため運搬に耐えうる頑丈製と重量が評価のポイントにもなります。
またステージピアノという名前であってもオルガンやシンセサイザーなど様々な音色があり、ピッチベンドやmodulation系のリアルタイムに音を変化させられるコントローラーを装備しているのもステージピアノの特徴といえます。
エレクトリック・ピアノ(YAMAHAの場合はクラビノーバ(登録商標)は自宅で引くことを目的としています。そのためエレクトリック・ピアノにスピーカーが内蔵しているものが多く、機能美よりもインテリアとしてのデザイン美が追求されています。
デザインがクール
ステージピアノと言われたら鍵盤があるくらいのシンプルなデザインですが、CP88はゴツゴツしていますw一見難しそうに見えるかもしれませんが、求めている音を素早くコントロールできるパネルデザインになっています。ピアノの音色は赤いボタンELECTRICピアノは黄色のボタンその他のオルガンやシンセ類は緑のボタンというふうに色分けでの音色バンクを分けられているのは視認性の高さも良いですしノブをくるくる回して「やっとエレピだー」と音色探しの手間を省けるのと同時に往年の名機で使われていたスイッチは思わず触りたくなるオーラがあります。
シックで必要最低限のボタンだけを配置したステージピアノもあります。しかし、そこにボタンがあれば押してみたいそこにノブがあるなら回してみたい。そういった好奇心をくすぐる機能は、練習の疲れを忘れさせてくれます。ピアノで練習していた曲をエレピでやってみると「おっ!こっちの方がいい!」なんて発見もできると思いますし、
夜にCP88のパネルの光を浴びながらお酒を飲んで赴くままに演奏する。そんなおしゃれな空間を演出してくれます。
気に入った音色をアサインできる8つのスイッチ
ステージで求められるのは現場にあったベストな音色です。Aメロではピアノを弾いてBメロではストリングス、Cメロではブラスをそんな使い方をしている人は多いと思います。安いステージピアノもスイッチひとつで音色を切り替えることはできますが、音色の幅はありません。「もう少しこのブラスが抜けてほしい」と思ったらエフェクターで少し歪ませるこのピアノはもう少しリバーブがほしいと思ったらエフェクターでリバーブを調整する。そうやってベストチョイスをした音色を8つのボタンにアサインすることでいつでも最高の音色を瞬時に呼び出すことができます。
過去に何度か安いステージピアノでライブをしたことがありますが、音色の切り替えが上手くいかずに恥ずかしい思いをしたことがあります。また、もっとクオリティの高い音色であれば「さらによいステージにできたのに」と録音していた音源を聴いて思ったこともあります。
ガンガン弾いても応えてくれる鍵盤
ステージピアノで音色のクオリティは重要ですが、それと同じくらい重要なのは鍵盤のクオリティです。電子ピアノなどはグランドピアノに似た構造を作ることでかなり本物のタッチに似せてきていますが、ステージピアノにその機能入れてしまうと運搬時に故障してしまうリスクがあるため、複雑な鍵盤構造を作ることは難しいです。しかしCP88はシンプルな鍵盤構造ながら適度な重みと音色との最適化を図られているのでとにかくガンガン弾いても楽しく繊細に弾いても音色がそれを応えてくれます。
いくらピアノの音が良くても鍵盤が悪ければその音色のポテンシャルは発揮できません。CP88はその辺りの「プレイの気持ちさよさ」をしっかりと引き出してくれる鍵盤です。
ステージピアノにもあると嬉しいピッチベンド&モデュレーション
ピアノやエレピには必要ありませんが、シンセサウンド特にリード系の音色を演奏するときはやはりピッチベンドとモデュレーションがあるとポイントが高いですが、CP88は小さいながらついていますが、その操作性が絶妙な触り心地でピッチベンドは軽くもなく重くもない印象なので非常に演奏しやすいです。ギターのソロにかぶるようなしゃくりあげるシンセソロも余裕でこなせます。
CP88のここが残念!
ステージピアノとして個人的にオルガンパートがほしかったです。オルガン自体の音色はありますが、あくまでシンセパートの中に含まれているプリセットです。ドローバーをくっつけてしまうとCP88の抜群のデザイン性が崩れてしまうことになりますが、それでもミニドローバーでも合ったほうがオルガン弾きにも嬉しいステージピアノになったように思います。
また鍵盤のクオリティが高いためサンプルベースもいいですが、モデリングピアノも内蔵されていればよりクオリティの高いサウンドを奏でることができたかもと考えています。エフェクト分にダンパーレゾナンスがあるので、ピアノを踏んだときの倍音を出してくれるエフェクトがあるので音の良い意味での濁りは出せますが、やはりモデリングも欲しかったところです。
DTMで使うときの注意
CP88はDTMで打ち込み用キーボードとして使うことができますが、CP88音源はVSTやAUといったプラグインではないのでDAWに取り込むときはオーディオ録音の手順を必要とします。なので、その場合はオーディオインターフェースのインプット端子にCPP8のアウトプット端子を結線します。
CP88の金額
良い楽器は良い練習をさせてくれます。今までいくら練習しても上手に出来なかったのはあなたの情熱に応えてくれないステージピアノを使っていたからでは有りませんか?CP88を使って見るとわかります。「こいつは俺の(私の)気持ちをしっかりと受け止めてくれる」ということが…そして気がつけばいつもより練習が少し伸びて…いつもより練習の質が上がって…気がつけば自分でも驚くほどの演奏スキルを身に着けている。それを約束するのがCP88です。
CP88は鍵盤の数と鍵盤のクオリティが異なるCP73というコンパクトサイズもあります。CP88は重量が16.8kgにたいしてCP73は13.1 kgです。このサイズですと3kgの差はあまりあってないような気もします。運搬に可能なキャリングケースもあるので、頑張れば一人で持ち運びも可能でしょう。
決して安いものはありませんが、安いものを使ってストレスのたまる演奏するならば、ここは思い切ってよいものを買うことで満足のいく演奏ができるステージピアノそれがP88/73だと思います。
まとめ
もし音色をADSRレベルからエディットして管理してそれをライブで使いたい場合はステージピアノではなく、DAWの持ち込みか、シンセサイザーをおすすめします。そうではなくある程度の音色エディットであとはプレイに全力投球したい人にはCP88はかなり戦力になります。