自宅スタジオで「あと一歩プロっぽい音が出せたら…」と悩んでいませんか?Arturiaの最新エフェクトバンドル、FX Collection 5なら、その願いを叶えてくれます。
ビンテージ機材の暖かみからデジタル精度の高いサウンドまで、プロ仕様のエフェクトが自宅でも手軽に実現可能。特に、リバーブ、ディレイ、コンプレッサーといった重要なエフェクトが強化されており、これひとつでミックスの質をワンランク上げられると評判ですが、
Arturia FX Collection 5によって新規追加されたエフェクトプラグインは、宅録ミュージシャンにとって必須アイテムです!
この記事では、各エフェクトの使い方と具体的なサウンド例を交えながら、宅録環境に特化した活用法を紹介します。
Arturia FX Collection 5の詳細
Arturia FX Collection 5は、34種類のスタジオミキシングツールとクリエイティブエフェクトを収録した包括的なエフェクトプラグインバンドルです
ダイナミクス系では、往年のFETコンプから光学式コンプまで揃っているので、定番なダイナミクスサウンドを手にすることができます。またリバーブではデジタルリバーブとして活躍したモデルものからArturiaカラーあふれるオリジナルのリバーブも多数用意されています。
それ以外にも、ディストーションや、モジュレーション、ディレイ、マイクプリ、フィルターなどが用意されており、そのすべてはアナログ機器の温かみと特徴をデジタルで再現するArturiaの独自のモデリング技術によって作られています。
多彩なエフェクト: アナログエミュレーションから最新のデジタルエフェクトまで、幅広いプラグインを収録
高度なモデリング技術: アナログ機器の温かみと特徴をデジタルで再現する技術を採用
使いやすいインターフェース: 直感的な操作と詳細なカスタマイズが可能
FX Collection 5で追加されたプラグイン
FX Collection 5では以下のプラグインが追加されました。
Efx REFRACT: ユニゾンベースの処理とさまざまなエフェクトを組み合わせたステレオマルチエフェクト
Bus EXCITER-104: クラシックなオーディオ信号エンハンサー
Bus PEAK: トーンコントロール、クリッパー、リミッター機能を備えたリミッター
Efx MOTIONS: 音楽に動きを与えるクリエイティブエフェクト
詳しいレビューは後述しますが、今回追加されたプラグインのどれもが、使えるサウンドであり、購入してよかったと思えるものばかりです。とくに、Bus EXCITER-104とBus PEAKに関しては、ミックスクオリティを1段階アップしてくれる強力なツールとなります。
収録エフェクトプラグインの一覧
Arturia FX Collection 5に収録されているエフェクトの一覧とその効果についてかんたんにまとめました。
エフェクト名 | カテゴリ | 効果 |
---|---|---|
Bus EXCITER-104 | イコライザー/エンハンサー | クラシックなオーディオ信号エンハンサー |
Bus PEAK | ダイナミクス | トーンコントロール、クリッパー、リミッター機能を備えたリミッター |
Efx MOTIONS | マルチエフェクト | 音楽に動きを与えるクリエイティブエフェクト |
Efx REFRACT | マルチエフェクト | ユニゾンベースの処理とさまざまなエフェクトを組み合わせたステレオマルチエフェクト |
Dist COLDFIRE | ディストーション | チューブサチュレーションからアグレッシブなドライブまで幅広いディストーション |
Dist OPAMP-21 | ディストーション/サチュレーション | オペアンプベースのディストーション |
Dist TUBE-CULTURE | ディストーション/サチュレーション | チューブ型ディストーション |
Tape MELLO-FI | ディストーション/サチュレーション | テープエミュレーション |
Pre 1973 | マイクプリ | ビンテージプリアンプエミュレーション |
Pre TRIDA | マイクプリ | トライオードプリアンプエミュレーション |
Pre V76 | マイクプリ | クラシックプリアンプエミュレーション |
Rotary CLS-222 | ロータリースピーカー | ロータリースピーカーエミュレーション |
Rev LX-24 | リバーブ | 80年代デジタルリバーブエミュレーション2 |
Rev PLATE-140 | リバーブ | プレートリバーブエミュレーション |
Rev INTENSITY | リバーブ | モダンなリバーブ |
Rev SPRING-636 | リバーブ | スプリングリバーブエミュレーション |
Delay TAPE-201 | ディレイ | テープディレイエミュレーション |
Delay BRIGADE | ディレイ | バケットブリゲードディレイエミュレーション |
Delay ETERNITY | ディレイ | デジタルディレイ |
Bus FORCE | ダイナミクス | バスコンプレッサー |
Efx FRAGMENTS | マルチエフェクト | グラニュラープロセッシングエフェクト |
Comp DIODE-609 | ダイナミクス | ダイオードブリッジコンプレッサー |
Eq SITRAL-295 | イコライザー/エンハンサー | パラメトリックEQ |
Chorus DIMENSION-D | モジュレーション | クラシックコーラスエミュレーション |
Phaser BI-TRON | モジュレーション | フェイザーエフェクト |
Flanger BL-20 | モジュレーション | フランジャーエフェクト |
Chorus JUN-6 | モジュレーション | ビンテージシンセコーラスエミュレーション |
Comp VCA-65 | ダイナミクス | VCAコンプレッサー |
Comp TUBE-STA | ダイナミクス | チューブコンプレッサー |
Comp FET-76 | ダイナミクス | FETコンプレッサー |
Filter MS-20 | フィルター | アナログフィルターエミュレーション |
Filter MINI | フィルター | ミニモーグスタイルフィルター |
Filter SEM | フィルター | セミモジュラーシンセフィルター |
Filter M12 | フィルター | マルチモードフィルター |
カテゴリ的にみると次のような数構成になります。
ダイナミクス | 6 |
イコライザー/エンハンサー | 2 |
ディストーション/サチュレーション | 4 |
プリアンプ | 3 |
リバーブ | 4 |
ディレイ | 4 |
モジュレーション | 5 |
フィルター | 4 |
マルチエフェクト | 3 |
バランスがよく音作りの変化も楽しめるバンドルセットといえますが、イコライザーに関してはマイクプリプラグインの中に搭載されているものと、EQ SITRAL-295というものがありますが、操作できる周波数帯域が限定されたイコライザーなので、自由度の高いパラメトリックイコライザーを使っている人からすると少し物足りない印象があるかもしれません。
ただ、このイコライザーは使えなないのか?というとそうではなく、ミックス用途からマスタリング用途まで幅広く使えます。
対応プラットフォームと動作環境
FX Collection 5の対応プラットフォームと動作環境について解説します。
Windows環境
- Windows 10以降(64ビットのみ)
- 4GB以上のRAM
- 4コア、3.4GHz(ターボブースト時4.0GHz)以上のCPU
- 8GB以上の空きディスク容量
- OpenGL 2.0互換のGPU
注意点:
- ARMプロセッサーはサポート対象外
- 64ビットのDAWのみ対応
Mac環境
- macOS 11以降
- 4GB以上のRAM
- 4コアCPU、3.4GHz(ターボブースト時4.0GHz)以上 または AppleシリコンCPU
- 8GB以上の空きディスク容量
- OpenGL 2.0互換のGPU
対応プラグインフォーマット
- VST
- VST3
- AU (Audio Unit)
- AAX
- NKS
使ってみた感想(レビュー)
まず、Bus EXCITER-104を使ってみた感想から解説します。
Bus EXCITER-104はAPHEX社が作ったAURAL EXCITERのモデリングだと思われます。
エキサイターは、音の特定の周波数成分(通常は高周波域)を強調して新しい倍音を生成し、音に明瞭感と存在感を加えることを目的とするエフェクターです。
エキサイターについて詳しく知りたい方はこちらの記事が参考になります。
基本的に高域と低域で別れている2バンドの方式のイコライザーと思えばイメージしやすいかもしれません。それぞれFreqで強調したい周波数を設定して、低域の場合はDrive、高域よりの場合はHarmonicsで調整するだけでイコライザーでは得られないメリハリの効いた音に変わります。
キックなどに使えば明瞭度と重みが加わり、上モノに使えば楽器全体のフォーカスがよりくっきりとして存在感を増やせます。
しかし、あまりにも効果が劇的(劇薬)なので使いすぎてミックスが破綻する可能性があるので注意しましょう。
Bus PEAKは、クリッパーとリミッターの両方に個別のソロ機能があり、それぞれのエフェクトの影響を確認しながら操作が可能です。
また、独立した「Tone Control」セクションを搭載しており、低音や高音の音域を独自に調整することもできます。さらに、入力と出力のラウドネスを一致させる「Equal Loudness」機能も用意されており、出力レベルの精密な制御ができます。
クリッパーは信号のピークを「クリップ」して音圧を上げつつ歪みを加え、アグレッシブでエッジの効いたサウンドを生成します。特にドラムやベースなどのトランジェントを際立たせたい場合に適しています。
リミッターはピークを制限し、透明な音質を保ちながらダイナミクスを調整します。用途によって使い分けが重要で、クリッパーは音に個性や力強さを加えたい時、リミッターは全体の音量を自然にまとめたい場合に向いています
ドラムなどは当然わかりやすい良好な結果を提供してくれますが、個人的にはベースに使うのがおすすめです。リミッティングとクリッパーによるドライブした音作りによってベースのダイナミクスを自然かつ大胆に処理してくれます。おそらく、ベーシストにとってこれがハードウェア化したらマストアイテムになると思われます。
リミッターとクリッパーの使用用途に関しては目的によって異なりますが、リミッタークリッパーともにダイナミクスを有効的に処理できるプラグインです。
Efx MOTIONSはノイズ、フィルター、歪み、ボリューム、パンなどのかかり方をシーケンス的に調整できるプラグインです。個人的にEfx MOTIONSを有効活用できる楽曲を作っていないので、その魅力については多くを語ることができませんが、ポテンシャルが高いマルチエフェクトと思います。
イメージ的にはCableGuysのShaperシリーズと近いものにも感じます。
Efx REFRACTは音声入力を最大8つのステレオボイスに分割し、これらの個別のボイスに5つのエフェクト(バンドパスフィルター、コンブフィルター、ビットクラッシャー、ディストーション、ハーモナイザー)を適用することができるマルチエフェクトプラグインです。
個人的にはREFRATIONという8ボイスまで拡張可能なステレオコーラスはシンセパッド等との相性がよいためよく使うようになりました。
後段の、フィルター等はLFO等で制御しDAWとSYNCできるので、ゲート的な音作りも可能です。
V Collectiron10での追加エフェクトではありませんが、Dist OPAMP-21はギタリストならばおなじみのSANSAMPのアナログアンプシミュレーターをモデリングしたものです。おそらくSANSAMPのアンプシミュをここまで細かくモデリングしているのは他になかった気がします。
とにかく、SANSAMPファンなら絶対もておいても損がないレベルの音質であり、さらにPre Drive機能によって中域にあつまりがちだったSANSAMPの音が全帯域にまで広がり、よりかゆいところに手が届くようになりました。アンプシミュを使っていてなんだか違うと感じたらぜひおすすめです。
それ以外にも定番のコンプはどれも使いやすくてそのうえでGUIが良いので見ていてテンションがあがります。やっぱり見た目って重要ですよ。
まとめ
Arturia FX Collection 5は、家庭環境での音楽制作をワンランク上のクオリティに引き上げてくれる頼れるパートナーです。ビンテージ機材の再現度やデジタル機能の使い勝手の良さが特徴で、宅録ミュージシャンにとって理想的なエフェクトバンドルと言えるでしょう。
近年はAIによるミックスプラグインが当たり前になりつつありますが、FX Collection 5ではそのような機能はなく、純粋に自分の感覚で音を深堀りし続けるそんなプラグインバンドルです。
とくにFX Collection 5で追加されたエフェクトプラグインであるBus EXCITER-104、Bus PEAKの2つは宅録ミュージシャンにとって、ダイナミクスを自然かつ大胆に調整し楽曲のクオリティを底上げしてくれます。