DTMミックスにおいて、サウンドに温かみと豊かさを加えることは、多くの音楽制作者にとって共通の悩みです。
特にギター、ドラム、ベースなどのトラックを扱う際、デジタルの冷たさを感じずに、アナログのような質感を出すのは容易ではありません。
そこでAudified U78 Saturatorが登場します。このエフェクトプラグインは、あなたの音楽に求める温かみと豊かさを手軽に追加することができるツールです。
ボーカルにも適用可能で、全体のサウンドを一貫して向上させることができます。Audified U78 Saturatorは、DTMミキシングのプロセスでのこの問題を解決し、あなたの音楽制作を新たな次元へと導く鍵となるでしょう。この記事で、その機能と使用方法を詳しく探求していきます。
- 密度の濃いサチュレーションサウンド
- サチュレーションサウンドの幅が広い
- モチベーションが上がりやすい音
- 安定性に欠ける挙動が見受けられる
Audified U78 Saturator 概要
メーカー | Audified |
製品名 | U78 Saturator |
特徴 | u73b Compressor をベースとした高度な飽和回路 アナログキャラクターとサウンドを実現するモデル化された真空管回路 オプションの自動出力レベル制御 エフェクトの割合と出力レベルを調整可能 周波数依存効果のためのハイパスフィルターとローパスフィルター |
システム | すべてのテーブルタイポグラフィはMサイズにする |
バージョン | v2.1.0(2023-08-13) |
認証方式 | シリアル認証 |
認証数 | 表記なし |
容量 | 129.6MB(ダウンロードファイル容量) |
マニュアル | プラグイン内に搭載、英語版のみ |
価格 | 75.90ドル→53.90ドル |
備考 | 体験版あり(7日間限定) |
U78 Saturatorは、ドイツの伝説的なU73bコンプレッサー/リミッターのサチュレーション部分に基づいて開発されたプラグインです。このプラグインは、バルブアンプのようなリッチなサチュレーションを提供し、音楽に深みと存在感を加えます。柔軟なコントロール機能とダイナミクスの保持が特徴で、プロデューサー、エンジニア、ミュージシャンにとって強力なツールとなっています。
U73bコンプレッサー/リミッターとは
U73bは、1960年代にTelefunkenによって製造されたバルブベースのコンプレッサー/リミッターで、ドイツの放送業界で広く使用されました。温かく豊かなサウンドとスムーズなコンプレッションが特徴で、今日でもその影響を受けたプラグインが開発されています。
真空管の特性
U73bに搭載されているEF804SとEF86の真空管は、それぞれ独特のサウンド特性を持っています。
- EF804S: 低ノイズで高い信号対雑音比を持ち、クリーンで透明なサウンドを提供します。
- EF86: 高ゲインでリッチなハーモニックを生成し、温かく表現豊かなサウンドを生み出します。
これらの真空管の選択と配置は、U73bのユニークなサウンドを形作り、U78 Saturatorのようなプラグインにもその精神が引き継がれています。
Audified U78 Saturator レビュー
それでは具体的なレビューをしていきたいと思います。レビュー内ででの帯の色には次のような意味合いがあるので参考にしてください。
- 青帯はメリット
- 赤帯はデメリット
- 緑帯はその中間
音質
音の印象としては、音の画角(全体の広がり間)みたいなものはU78 Saturator で、余韻の甘さなどはTF-72a、音の押出し間はPre V76tと言った印象を受けました。
次にスラップベースにU78 Saturator を通した結果です。
Calibの数値を上げることでベースなどのスラップではピークを抑えながらアグレッシブなサウンド処理を施せます。
サチュレーションの音質もそこまで癖が強い訳ではないので、ナチュラルな歪み成分としても使えるのでトラックメイクからミックス用途まで使える幅広いサチュレーションサウンドを手にすることができます。
機能性
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サチュレーション設定の幅が広い
U78 Saturatorでは主にサチュレーションの量を決めるCalibration(パラメーター名Calib)とGainパラメーターの二種類でサチュレーションの質感と量感を調性できます。そのため、求めいている歪みのイメージを突き詰めやすいのがメリットだと言えます。
またGainはOutputノブのバランスはAuto機能を使うことで連動させられるので、ゲイン幅の調性がやりやすいです。
パラレル設定で原音との調性が可能
U78 Saturatorではパラレル設定のバランスが音作りにおいて重要な意味を持ちます。
MIXと書かれたノブがパラレル設定に関するノブで100にするとU78 Saturator の回路を通った音、0にすると原音のみとなります。このMIXは左隣のGainとのバランス調性するものになり、例えば、Gainがゼロの場合Mixを100にしても音は出なくなります。
Gainをゼロにした場合でもMixを100以下にすれば音は出力されます。しかし、この場合Gainを通っていないため、フィルターやToneパラメーターおよびU78 Saturator のサチュレーションをコントロールできるCalibパラメーターもバイパスされます。
これらのことから、MixとGainパラメーターのバランスがU78 Saturator の音作りにおいて最も重要になると言えます。
ゲインが大きく取られているのには注意が必要
U78 Saturator では挿した段階(デフォルトプリセット、U78 Saturator)で3.2dB程度ゲインが上がります。(サイン波形65Hzで計測)
これは同じTELEFUNKEN系のプラグインをリリースしているArturiaのV76、Tone empireのTF-72aと比較してもかなり大きなゲイン差です。
バイパス時 | デフォルトプリセット立ち上げ時 | ||
Arturia Pre V76 | -12.0dB | -12.2dB | -0.2dB |
Tone empire TF-72a | -12.0dB | -11.0dB | +1.0dB |
U78 Saturator | -12.0dB | -8.4dB | +3.8dB |
そして、GAINをMAXである100%にすると、さらに5.6dBゲインがあがります。
大きい音は良いという単純な心理的バイアスから音量に対する感じ方にも影響を与えることになるので、レベル管理には少し注意が必要だと感じました。
この方法が絶対的に悪いものとは言いません。挿したことによりゲインがあがり気分が高揚したことで作編曲やミックスに何かしらプラスの影響がでる可能性は否定できないからです。
しかし、ミックスツールとしてはゲイン差はない方が音質面での調性が効きやすいので、マイナス面とプラス面をしっかりと理解したうえで使用したいツールではあります。
操作性
3
プリセットはカテゴリ別に62種類用意
U78 Saturatorには楽器別に最適化されたプリセットがデフォルトプリセットを含み62種類用意されています。また新規のプリセットをプリセットウインドウが並ぶタブの一番右にあるアイコンをクリックすることで簡単に作成でき、それらのプリセットは通常のプリセットウィンドウの下に追加される形になります。
また、セーブウィンドウの下にはデリート項目があります。これは新規に作ったプリセットのみを消去できるので不要なプリセットは簡単に削除できます。
シンプルなGUIで初心者でもかんたんに扱える
扱い方に何困るほど複雑な機能はないので、初心者でもかんたんに扱えます。スパナマークをクリックすることでオーバーサンプリングのON/OFFが行なえます。
またユニークなのはSet Calibration As Default機能です。これはCalibの値だけを固定して、今後開くU78 Saturator に反映させられる機能です。Calibの値はサチュレーションの効果として重要な値なので、それを任意で固定させられるbのは地味ながら便利な機能と感じます。
そのほかGUIのリサイズ機能や、各パラメーターの数値入力(Calibパラメーターだけ数値に入力不可)、英語版ではありますがプラグイン内からPDFマニュアルを呼び出せる機能や、アップデートの確認など操作性の良さは申し分ないといえます。
安定性
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CPU負荷は高くないが若干不安定な挙動がある
U78 Saturatorにはオーバーサンプリング機能が搭載されているのでオーバーサンプリングのON/OFFによってCPU負荷は異なります。それらも含めてドラムミックスに U78 Saturatorを1つだけ挿した状態でのCPU負荷が次の画像になります。
そなりに負荷が上がり、たまにですが、再生時にCPU瞬間的な改題負荷で再生が停止することがあります。
また、エフェクトスロット内で順番を変更する場合や、他のトラックにU78 SaturatorをコピペorドラッグアンドドロップをするときにLogic が落ちることが数回ありました。
通常使っている分には落ちることはありませんでしたが、プラグインの移動には注意が必要です。
一度DAWが落ちてしまうと若干不安定な動作が頻発する傾向にある場合は各DAWの初期設定を削除する。または新しいプロジェクトに保存し直すという行為で改善できる可能性もあります。
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.6.1 Monterey
Audio/IF Focusrite RED 8PRE
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.7
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
価格
U78 Saturator | TF-72a | V76 | |
メーカー | Arturia V76 | Tone empire | Arturia |
価格 | 75.90ドル→53.90ドル | 86.90ドル→42.90ドル | 108.90ドル→53.90ドル |
PluginBoutiqueで扱っているTELEFUNKEN系のエミュレートプラグインの価格です。厳密な意味での比較にななりませんが、値引き率としてはU78 Saturatorはそれほど高くありませんが、サウンドの傾向として通すだけで程よい気持ちよさが得られるサチュレーションサウンドとしてはU78 Saturatorにしかない質感があるので、上記のデモサウンドを聴いて求めている質感と感じたならば購入検討の価値は大いにあります。
PluginBoutiqueで購入すると月替りプラグインが無料でもらえます。無料と行っても100ドル相当に売っているプラグインがもらえるのでかなりお得です。
9月の無料特典はAudiomodern Loopmix Lite または Mastering The Mix の How To Stem Master A Song eBook の無料版
- Plugin Boutique アカウントが登録されていることを確認してください。アカウントをお持ちでない場合は、 こちらから作成できます。
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PluginBoutiqueでの具体的な購入方法はこちらの記事が参考になります!
まとめ
音質面においては非常に密度が高く、サチュレーションの幅が広いため思っている以上に音作りが可能です、ArutriaのPre V76やTone empireのTone empire TF-72aと比較しても音の傾向が異なるため、それら2つを持っていたとしてもU78 Saturatorは十分に活用できるように感じました。
機能面においては、CalibのサチュレーションとGain機能は使い勝手もよく、それらを組み合わせることで無数の音作りができるのが魅力です。またフィルター系とくにToneの音色変化はユーザーのセンスを刺激してくる変化度合いなので、真剣向き合えば向き合うほど好みの音色を提供してくれます。
操作性に関しても特に問題は感じませんでした。パラメーターのほとんどはテンキーによる数値入力が可能ですし、プリセットの選び方や新規のプリセットの作り方なども悩まずに行えます。
安定性に関しては、私のだけの環境かもしれませんが、正直なところ安定しているとは言い難い部分が多くあり、音色がよいだけに残念です。
特定はできませんでしたが、不安定の度合いはソフトシンセを使っているときによく起こった印象です。
価格面では、他の二種類と比較してもそこまで大きな差は感じません。
総括として、音の密度と熱さを求めるならば、比較したプラグインの中では一番なので、その用途で使うのであれば頼もしい存在になってくれるように思いました。