DAWでオフラインバウンスをしたら音がかけてしまった。
これはオフラインバウンス時に何かしらのCPU負荷が原因で書き出しエラーが起こり、意図しないステレオファイルが作られてしまったためです。
この記事ではそのようなエラーが起きた時に対処できる4つの方法を紹介します。
DAWや制作環境によっては今回解説する方法が当てはまらないという人もいるかもしれません。私の環境Logic Proでバウンスエラーが起きたときはこの方法で解決できていいますし、対処方法はどのDAWでも基本は同じなのである程度参考になります。
バウンスとは
ギターやベース、ドラムなど何十というトラックをステレオファイルにまとめる行為をバウンス(書き出し)と言います。
バウンスには2種類の方法がありオンラインバウンスとオフラインバウンスがあります。
注意点としてはオンラインバウンスはソフト音源を使っている場合のみ使用可能です。外部音源やハードエフェクターを使う場合はオフラインバウンスのみの使用となります。
バウンス失敗の原因と改善方法
バウンスがうまく行かない理由は環境によって異なりますが、ある程度共通しているのが次の2点です。
- バッファーの設定
- 書き出しのタイミング
これらの設定によってバウンスの失敗を回避できる可能性が高くなります。
改善ポイント1 バッファーの設定
DAWにはバッファーという設定があります。
バッファとは簡単にまとめるとCPUの負荷の調整方法です。このバッファが小さいと書き出し時にエラーが発生してしまう可能性があります。もし音飛び等で悩んでいる場合は。バウンス時にはバッファを最大にすることで改善できる可能性があります。
改善ポイント2 書き出しのタイミングをずらす
DAWを一小節目から書き出す時にたまに見られるエラーです。この場合は、2小節目から書き出すわけですが、書き出す場合は2小節目の数ティック手前に設定して書き出すことでエラーを回避できる可能性があります。
改善ポイント3 データをずらす
これは特定の音源でたまに見られるのですが、コードで鳴らした時特定の音だけ途切れてしまうことがあります。この場合も基本は上記で説明した書き出しのタイミングの応用で、コードの発音タイミングをバラけさせることで回避できる場合があります。
改善ポイント4 オンラインバウンスまたはフリーズ機能を使う
基本的にCPU負荷で起こるバウンスエラーなので、一番の回避方法はオンラインバウンスを使用することです。またどうしてもオフラインバウンスで書き出したい場合はDAWのフリーズ機能を使って一時的にCPUを解放することでエラーを抑え込むことが可能です。
バウンスの効果と音質の影響
バウンスとは2mixにまとめる作業ですが、そのまとめ方で音質に影響がでます。この項目ではそれらについて解説していきます。
書き出し時間について
オフラインバウンスの書き出し時間は使っているソフトやエフェクトの量によって変わります。とくにマスタリング系や負荷の大きいプラグインを使用しているときは遅くなります。またDAWによって変化する可能性があります。
後述するバッファの大きさによって多少影響はしますが、それほど大きな差はありません。
バウンスした方が良い理由
ソフト音源をそのままにして書き出すのが悪いことはとは言いませんが、ソフト音源の中にはRR(ラウンドロビン)と言って毎回違うサンプルを再生する音源があります。これらはリアルなサンプル音源、ドラム、ベースやギター、ストリングスに見られる機能です。
毎回違う音が発生するということはミックスを突き詰める作業において「あれ?音が違う」という現象に遭遇することになり、その現象が自分の意図と違うものの場合、使用しているプラグイン等が原因と考え、不要な時間を消費してしまう可能性があります。
そのためにも、MIDIデータをミックス時はすべてオーディオに書き出す(バウンス)するのがオススメです。
オンラインバウンスとオフラインバウンスの音質さについて
さて気になるところで言えばどれほど音質が変化するのかというところだと思います。そこでここではLogic Proを使って
オンラインバウンス(リアルタイム)とオフラインバウンスの音質比較をしてみます。
使用するのはSSD5のドラムでキック、スネア、ハイハット、それぞれをスペクトラム表示させその違いを確認してみます。
まずはオフラインバウンスです。
続いてオンラインバウンス(リアルタイム)です。
キックをスペクトラム表示したものが次の画像になります。緑がオフライン、赤がオンライン(リアルタイム)バウンスです。
どちらが良いのか?というのは好みによっても分かれるところですが、スペクトラムで表示されている違いは聴いてわかるレベルです。
次にスネアを見てみましょう。
こちらはオンラインバウンスはオフラインバウンスと比較して高域だけではなく基音となる周波数帯域にも違いがはっきりと出ています。
続いてハイハットクローズとハイハットオープン
画像での比較は僅かなように思いますが、聞くとそれなりに変わるレベルです。
それでドラムのループでも比較してみます。
まずはオフラインバウンス
次にオンラインバウンス
全体的に抜けの部分や音の芯となる部分に違いがあります。
今回の比較ではドラムだけの比較ですが、これが何十、何百というトラックになるとその差は大きくなってくる可能性があります。
ちなみに簡単な14トラック程度のBGMで比較するとこのようになります。
オフライン
オンライン
微々たる違いかもしれませんが、オンラインの方が全体的な絵面がよくわかるような気がします。聴きどころのポイントとしては左で刻んでいるアコースティックギターのカッティングあたりはわかりやすいと思います。
まとめ
バウンス時に何かしらのエラーで書き出したファイルが意図しないものだった場合は以下の4つを思い出すようにしてください。
- バッファーの設定
- 書き出しのタイミングをずらす
- データをずらす
- オンラインバウンスまたはフリーズ機能を使う
オフラインバウンスは時短で便利でもありますが、書き出したファイルにエラーがあってそれを外部でミックスする場合などには起きてはいけないエラーとなります。
なので必ず確認することが大切です。