歌やギター録音したらノイズが入ってしまった、こういうときはどうすればいい?
ノイズの原因とノイズを取る方法両方をお話するね
どんなに頑張って作った曲であっても意図しないノイズがのってしまうと、楽曲の魅力はゼロです。そのノイズ1つでリスナーは聴くのをやめてしまいます。
そのくらいクリップノイズによる音割れはDTMerの敵と思ってください。
また最近はYOUTUBEなどで動画配信も流行っています。どれだけ素晴らしい内容の話をしてもクリップノイズを起こしているとすぐにチャンネルを変えられてしまいます。
今日はクリップノイズがのる原因と改善対処方法について詳しく説明します。
dtm クリッピング ノイズ(音割れ)とは?
入力信号が規定のレベル(0dB)を超えてしまうと、出力信号の波形の頭(画像でいう赤いラインを超えている部分)が削られた状態で出力されます。この状態が「クリップ クリッピング」で俗に言う「音割れ状態」です。
クリップノイズとはこの削り取られたとオーディオを再生するときに聞こえるノイズのことです。主に「プチプチ」といったものやひどいものでは「バリバリ」といった音が割れている状態の音で不愉快な音です。
プチプチといったクリップノイズが入らないためにできることはレコーディング時には0dBを超えないようにすることです。
クリップしている箇所には無数の高周波成分が存在しているのでクリッピングすることで音は濁って抜けが悪くなります。
DAW ノイズの種類について
クリップノイズとは主にレベルオーバーによる音割れで発生したノイとさきほどお話しましたが、他にも以下のようなノイズがあります。
- リップノイズ(ボーカリストが歌っているとき唇同士がぶつかるときに出る)(ピチャピチャ音)
- クラックルノイズレコードの針が飛んでしまうときにでる(ブツッブツッ音)
- ヒスノイズアナログ楽器などによる(サー音)
- ハムノイズ低い音で鳴り続ける(ブーン音)
- その他のノイズ(服の擦れやお腹がなる音)
これらのノイズが総合的に合わさってしまいクリップノイズになることもあります。
この他にも以下のようなノイズがあります。これらはとてもわかりにくいので注意が必要です。
楽器ループのノイズ
気にかけていない人が多いですが、サンプリングされた楽器はメモリの関係でループ処理されているものが多いです。バイオリンでいえばこの赤線のみをループさせるみたいなイメージです。こうすることで鍵盤を抑えている限り音が途切れることなく鳴り続けます。
ちなみにこの画像の状態でループするとブツブツいいまくってとても使えるレベルではありませんがwほとんどの音源は使うのに支障がないレベルでループ処理されていますが、たまに「ブツ」と途切れてしまうような音色もあります。そういうところもクリップノイズの原因になります。やっかいなのはかなり小さいループ処理ノイズが発生しているときです。
これをプラグインで音圧処理してでてきたときは原因解明に時間がかかります。なので音源のループ処理が適切かどうかしっかりチェックしましょう。
MP3書き出しノイズ
音を圧縮することでノイズが出ることがあります。mp3は聞こえない帯域をカットするのと音が埋もれて認識にしにくい音をマスキングしてしまうことにあります。その工程でノイズが発生してまうことがあります。これはmp3のソフトレベルの話なので解決方法は多岐にわたりますが、mp3後に音割れをしていないか確認するソフトがありますのでそういうのを使って確認するのが1番です。
有名なところではoxfordのCodec Toolboxです。これはmp3などの圧縮で失った帯域を書き出す前に確認できるものでこれを使うことで圧縮時に起こる可能性のノイズを確認することができます。
レベルオーバーしてないのにDAWからノイズが聞こえる原因
レベルオーバーしていないのにdtmをしているとブツブツといったノイズがDAWから発生することがあります。これはCPUスパイクという現象で、ソフトシンセなどを立ち上げ過ぎが原因です。
対処法としてはプラグインやソフトシンセをオーディオに書き出すなどして、CPUの負荷を下げるか、DAWバッファのーサイズの調整で解決することがあります。
DTM初心者が知りたいオーディオバッファサイズの意味と設定方法
DAWからブツブツという音が聴こえだした気にはまずDAWの初期設定からバッファサイズを見直す癖をつけましょう。
クリップノイズが入らない入力レベルの設定方法
録音入力に関しては「出来る限り大きい音で録音した方がいい」というのが一般的です。しかし、入力音が大きすぎると音割れの原因になります。
ボーカルなどのダイナミクスが大きい楽器にはよく起こる問題です。Aメロとサビでは全然音量が違いますからね。
「じゃあどれくらいの音量を目安にしたらいいの?」という疑問になります。これはエンジニアや環境によって違う人もいますが、
「一番大きい音が-6dB」を目安にすると良いと思います。これを「-6dBのマージンを取る」という言い方をします。
LogicProXのミキサー画面で緑の数字が書いてあるのがそれです。ここが-6dBを超えないようにします。
ミックスダウンによるクリップノイズ対処の方法
ミックスのバランスでマスター出力時に音割れさせないのは基本的なことですが、ミックスに不慣れな人からすると難しい部分でもあります。
そこでここでは一つ簡単な方法をお伝えします。それはテンプレートで最初から各フェーダーを6dB下げた状態で作業するということです。
ミックスダウンのクリップノイズは各トラックのあげすぎでマスター出力が0dBを超えてしまうのが原因です。そのために最初から-6dBを下げた状態からスタートすることで余裕を持ってミックスすることができます。
基本的に各トラックのボリュームがレベルメーターのレッドゾーンに入っている場合でもマスターはレッドゾーンでない場合この場合書き出したファイルに音割れはありません。このあたりはDAW上でのミックス処理の仕方(16bit 24bit 32bit)で変わります。
しかしレッドゾーンに入っているトラックがあればあるほど最終的なマスターアウトに入ってくる量が増えるのでレッドゾーンになってしまいます。
レッドゾーンを超えているマスターアウトにマキシマイザーを指した場合、無理やり潰すことになるので予期せぬクリップが発生してしまいます。クリップとはミックス時にデジタル処理しきれなかったことで起きるこういう考え方ができます。
マキシマイザーは煮えたぎっている鍋の蓋をするものではありません。そんなことをしたら鍋から吹きこぼれてしまます。えっ?料理経験ないって?やってみくださいw料理と音楽は通じるものがあります。
最終ミックスはレッドゾーンにつくかつかないかではなく余裕を持ってプラグインによる味付けが可能なスペースをあけるミックスすると音割れはおきません。DAWによっては音割れしたミックスは書き出し時に教えてくれるものもありますのでそのあたりも注意してみておくと良いでしょう。
楽器によって音割れの原因が違う
フェーダーのレッドゾーンが音割れの原因と説明しました。しかし、大事なのは楽器によってレッドゾーンに入っている周波数成分には違いがあります。
例えば、キックの場合、レッドゾーンに入る周波数は50Hzなどの超低音域です。しかしクラッシュシンバルの場合は10kHzの超高音域です。またピアノの場合、コードで抑えるのか、単体のメロディなのかによって、レッドゾーンに触れる原因は変わってきます。
つまりフェーダーのレッドゾーンは周波数によって変わってくるということを理解するとことでミックスとマキシマイザーによる音割れをふせぐことが可能になります。
ペンシルツールでDTMクリップノイズ(音割れ)除去できる?
ペンシルツールを使えば特定のノイズをペンで取り除くことが可能です。
しかし、ペンシルツールで除去できるノイズはせいぜいリップノイズです。クリップノイズをペンシルツールで取り除くことは熟練のエンジニアでも簡単ではありません。
なので基本「ペンシルツールでどうにかできる」という考えたやめたほうがよいでしょう。
ノイズを取り除くプラグインはいろいろとありますが、とにかく現時点でクリップノイズ除去に評価が高いプラグインはRX8のDe-clipです。
文字通りクリップノイズ除去に特化したプラグインです。
MP3ノイズを取り除く
MP3を低圧縮で書き出したときに起こるノイズを取り除くことができるソフトプラグインもあります。ZYNAPTIQのUnchirpというソフトを使えばmp3特有のシュワシュワノイズをある程度抑えることができます。
安くはないですが、非常によくできたソフトです。
ノイズ対策の心構え
レコーディングノイズは決して良いものではありません。
しかし多くの人は「まぁこれくらいはいいかな」という意識で小さいノイズのチェックをスルーしてしまいます。
もちろんそれが結果的にリスナーからは聞こえないものであるかもしれません。ですが、自分の曲を出来る限り完璧な状態で作り上げるのは作曲家がやるべき基本的なことです。
「でも、そんなところまで意識がむかないよ」という人は外注でノイズ処理ができる人に頼めばよいだけの話です。クオリティの高い曲を作るにはこういう小さいな部分をスルーしない能力から始まります。
もし気づいてはいたけどそれを無視してしまいそれが原因で「なんかあの曲途中で変な音なるから聴きにくいんだよね」なんて言われたら目も当てられませんよね。たしかにノイズチェックは面倒くさい部分もあります。でもそこにまで意識がしっかりと回る人は必ず良い曲を仕上げられるセンスをもっていると断言できます。
まとめ
DTMクリップノイズが発生した場合の回避方法と改善方法についてまずはノイズの原因を探ることです。そして次からはそのノイズが発生しないようにしなければいけません。
ノイズの種類はなにか?
- リップノイズ
- クラックルノイズ
- ヒスノイズ
- ハムノイズ
ノイズの原因は
- レベルオーバー?
- 音源ループ処理?
- レコーディング時のノイズ?
ノイズ対策の秘訣はずばり原因を見極めることです。