EDMはどんな音色を使うかで決まります。つまり音色がとても重要ということです。手軽で簡単に良い音のするEDM系のソフトシンセがほしい。そういう人はToneZを使ってみる価値があるかもしれません。あまりソフトシンセを使わない私ですが、ToneZはそのGUIのわかりやすさと
音の良さから「ちょっと使ってみたいな」と思わせてくれました。
その理由は
- EDM最強音源と言われたSERUMを凌ぐ高音域
- 分厚いSuperSaw
- アタック感のよいプラック音
- えぐいリード音
どれもこれもサクッと作ることができます。ただすべてに置いてToneZは万能か?と言われると答えはNoです。まだまだ改善の余地がたくさんあります。しかし、フリーの音源としてここまでの完成度と音の良さを兼ね備えているソフトシンセはそう多くないと思います。現在はフリーかもしれませんが、将来的には有料になる可能性もあるでしょう。そして、おそらく有料であっても購入する人も多く出てくるそんな予感があるソフトシンセです。
音が良い(SERUMを超えた)
聞こえない帯域を多く吹くものが良いシンセの定義にするつもりはありませんが、ハイレゾ何でももってこい!と言わんばかりの96khzまでキレイに伸びています。俗にいう「音を感じる」ソフトシンセです。空気感をまとうソフトシンセという言い方がぴったりかもしれません。
フリーのソフトシンセでここまでキレイに伸びるのは珍しいかもしれません。ハイレゾ対応のソフトシンセについてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。
計測方法はLogicProで192khzに設定音源は初期設定のSAW波だけでC2を鳴らした状態です。

ちなみにLogicに付属のAlchemyは40khz付近で一旦落ち込みます。

EDM最強シンセ音源『SERUM』でさえここまで伸びません。(計測設定が少し違うので表示されている波形が若干違いますがC2を鳴らしての計測です)

CPU負荷はそれなりに高い
MacMini2018
Corei7 6コアX2
メモリ32GB
バッファー設定はI/Oが256
プロセスバッファは大
192khzの環境で1音だけ鳴らすと発音時に95%をタッチした後
75%を推移します。

ちなみに48khzの環境では発音時に25%くらいをタッチして10%くらいたまに20%付近を推移します。でもやはりちょっと重たい感じはします。

音作りは4オシレーター32レイヤー

音作りは普通のVAシンセと同じです。
- オシレーターセクションX4
- フィルターセクションX2
- エンベローブセクションX4
- LFOセクションX2
そしてエフェクトセクションです。とてもシンプルな構成です。
オシレーターセクション
一つのオシレーターの中がデュアルオシレーター構造になっていて、2つの波形のアウトプットの割合を決めることができます。またデュアルオシレータの変化の割合をLFOやエンベローブを使ってモーフィングすることも可能です。このあたりはMASSIVEと似たような構造になっています。
オシレーターは基本5種類VAソフトシンセでおなじみにオシレーターです。
- Saw
- Sine
- Triangle
- Squrare
- Pluse
これらに周期変更できなwavetable的な波形として以下のものがあります。
- Buzz
- Fizz
- Ring
- Croon
- Plance
- Bell
- Noise
一つのオシレーターにはVoise設定が可能で、最大で8Voiseを重ねることができます。ちなみに一般的なSuperSawは7レイヤーなので、それよりもちょっとばかしゴージャスですwそれらを最大4オシレーター発音させるとレイヤーは怒涛の32となり、めちゃめちゃ分厚いレイヤーサウンドを作ることができます。実は32レイヤーをした段階では三和音を発音させても、それほどCPUへの負荷は上がりませんでした。

しかし、一つのパラメーターをいじったら以下のようになりました。

一気に天井ですwどのパラメーターかというとそれはADSRの「R」リリースです。

32のレイヤーの余韻は相当CPU負荷をかけるようです。
エンベローブセクション
ADSRの他に、ピッチエンベローブ、モーフィングエンベローブ、フィルターエンベローブをオシレーター別に設定できます。ここはかなり音作り込みの自由度が高いと言えます。
フィルターセクション
フィルターの種類は次の4つです。どれもレンゾナンスのかかりかたアグレッシブです。
- LP3
- LP2
- BP
- HP
フィルターセクションの中もデュアル方式になっていて2つのフィルターを使い分け、さらにフィルター2で2タイプ合計4つのフィルターを使って音を作ることができます。
LFOセクション
非常にシンプルですwLFOもフィルターと同じで2つ搭載していてADSR、ピッチ、モーフィング、フィルターとエンベローブと同じように設定できますが、一つだけ残念のはLFOがDAWとシンクする機能が現時点では見つけられません。ここは次回のバージョンアップでぜひつけてもらいたいところです。
エフェクトセクション
ユニークなエフェクトが揃っています。ディストーションはサチュレーションからビットクラッシャーまで幅広くEQに関しては2バンド(LowとHigh)だけですが、Lowは1hzから20,000hzまで幅があります。EQで1hzという数字を見たのは初めてですw

コーラスとリバーブは特に特化したものは至ってシンプルなコーラスです。ディレイにはBPMシンクもついています。またDampingでディレイの音質も決定できるのでアナログテイストな音から劣化なしのデジタルディレイまで作ることができます。コンプに関してはかかり方がユニークで、かなりパツパツな音を作ることができます。ソフトシンセの中のコンプにLow KneeとHigh Kneeがついているも珍しいように思います。

プリセットはないの?
普通ソフトシンセのプリセットは上段に配置されていることが多いですが、ToneZは右横に配置されています。

Selectと書かれた右隣にうっすらとバーが見えると思います。それを下にドラッグしていくとプリセットが表示されます。私として優れたソフトシンセは「すぐにイニシャライズ」できることを掲げていますが、ToneZも0-INITというプリセットが一番上に表示されていて、すぐに初期設定に戻すことができます。やっぱり音作りは0から始めたいですから。
問題点
音作りもやりやすく、今後はかなり期待できそうなソフトシンセです。意図もなくすすめるのは嫌いですが、「音の作り方を覚えられる高品質なフリーソフトシンセ」という点においては使ってみるのは十分ありだと思います。ただ、現状では、私が触りきれていないだけかもしれませんが、フィルターなどをキーボードのノブやモデュレーションにアサインできません。その結果、ワブル系の音色等は苦手と言えます。正直フリー音源にそこまでを求めるのは酷な話かもしれませんが、今後はそのあたりを改善してくれる可能性が十分にあります。
憧れのあの人も!気がつけばみんな使っている。「高品質なフリーソフトシンセ」という立ち位置に今後は入るかもしれません。それくらい音は良く今後の発展性も見込める音源です。
まとめ
ダウンロード先はこちらフリーとしてはかなり頑張っている。いや、頑張りすぎているソフトシンセだと思います。リードシンセそしても音の抜けがよく。SuperSawもご機嫌な音です。
動画にはBest Free Synth Plugin 2019と書かれているのも解る気がします。EDMに限らずクラシックなVAシンセとしても十分に使えるToneZはこれからのバージョンに期待が高まります。