EDMのサウンドの特徴はいくつかありますが、フィルターの使い方にアーティストの個性が現れます。
この記事ではちょっと変わったフィルターテクニックを使ってEDMっぽい世界観を作れるテクニックを紹介します。特別なプラグインは必要なく使うのはDAW付属のイコライザーとオートメーションだけなので誰でもすぐにできるのがおすすめのポイントです。
フィルターサウンドメイキングの方法
ソフトシンセ等に搭載されているフィルターはに様々な種類がありますが、今回使用するのは最も定番的なローパス、ハイパス、バンドパスの3種類です。
フィルター名 | 別名 | 特徴・効果 | 使用例 |
---|---|---|---|
ローパスフィルター (LPF) | ハイカットフィルター (High-Cut Filter) | 指定したカットオフ周波数より高い周波数を減衰させ、低い周波数を通す。 | 柔らかく温かみのあるサウンドを作る、シンセパッドやベースの加工 |
ハイパスフィルター (HPF) | ローカットフィルター (Low-Cut Filter) | 指定したカットオフ周波数より低い周波数を減衰させ、高い周波数を通す。 | クリアなサウンドを作る、リードシンセやハイハットの加工 |
バンドパスフィルター (BPF) | バンドカットフィルター (Band-Cut Filter) | 指定した範囲の周波数のみを通し、それより高い・低い周波数を減衰させる。 | 特定の帯域を強調する、ボーカルフォルマントやレゾナンスの強調 |
フィルターによってはカーブの度合いやフィルターのエンベロープなどでそれぞれに特徴があります。フィルタープラグインの音質の違いに興味のある方は以下の記事も参考になります。

ここでは、イコライザーについているLPFとHPFとそれらを組み合わせて作ったBPFを使った音作りについて解説します。
ローパスフィルター (LPF)ハイカットフィルター (High-Cut Filter)

LCローカットにオートメーションを設定することでこういうサウンドになります。
ビフォー
アフター
ハイパスフィルター (HPF)ローカットフィルター (Low-Cut Filter)

ローカット編とは反対のハイカットを動かし
音をこもらせる方法です。
この2つが一般的なフィルターサウンド・メイキングになります。
これらはシンセサイザーのフィルターの発想ですが、
だったらもう一つあるじゃないか!
というのが私の意見
それが
バンドパスフィルターです。
バンドパスフィルター (BPF)バンドカットフィルター (Band-Cut Filter)
バンドパスフィルターは特定の音のみを残すフィルターでハイパスとローパスが同時にかかっいるけれどかかっていない場所を取り出す。
そういうイメージだと思ってください。そしてここで考えるのはロートハイを同時に動かし低音と高音が同時にでてくるようにするというもの
やり方は簡単です。
LCとHCを同時に広げる方向性でオートメーションを書くだけです。

ちょっと見にくいですが、
上がHC下がLCです。
イコライザーでみるとこんな感じです。

押し広げながら開くような印象です。
最後はちょとテープをとめるようなイメージで急激にHCを入れています。
これだけでも面白い効果になりますが、
ここにFXでリバーブを入れてフィルターに合わせてリバーブ量を足していくとこんなかんじになります。
リバーブ種類と量のバランスをとることでもっとアグレッシブな変化をつけることができます。
BPF+リバーブ+ディストーション
さらにアグレッシブにするためにディストーションを使ってみます。
ディストーションを使うのにも理由があります。BPFは特定の周波数帯域だけを抜き出している
つまり言い方をかえれば「強調している」ことになります。
そこにディストーションをかけることでその帯域をよりアグレッシブにすることができそして時間とともにディストーション量をへらすことで開放感を演出するというわけです。
こんな感じにサウンドになります。
まとめ
一歩先行く斬新なフィルタサウンド・メイキングーテクニック!いかがでしたか?LCを動かす方法とHCを動かす方法がある
ならばこれらを2つ同時に出来ないか?それがシンセについているBPFだ!それをEQで再現しようこういう感じです。
DTMで個性的なサウンドの作り方をするときは
手間を一つ増やせば実は思いもよらなかった
サウンドが出てくることがあります。
音作りでめんどくさいなーと思ったら
そこに新しいサウンド・メイキングのチャンスがあるかもしれません。