Kiive Audio NFuseは、音質向上に特化したプラグインで、ミキシングやマスタリングにおいてその真価を発揮します。豊かなハーモニック・エンハンスメントは、厚みのないトラックに深みと存在感を加えます。直感的なインターフェースと精密なコントロールにより、ユーザーは細かい音質調整が可能です。
CPU負荷は低いのでストレスレスな操作性が得られます。
高品質なDSPアルゴリズムと低レイテンシーで、リアルタイムでの編集にも対応。幅広い用途に適したNFuseは、プロフェッショナルなサウンド作りに最適なツールです。
Kiive Audio NFuse サウンドレビュー
Kiive Audio NFuseはSSLのサウンドとNeveのサウンドの2つを堪能できます。(プラグイン内ではNとFという表記によってNeveとFusionを識別します、これ以降NとFという単語で解説を進めます。)
Fはフラットでありながらアグレッシブなバスコンプサウンドが特徴的、Nはウォームでふくよかでありながら、クリアなオプトコンプサウンドが特徴。どちらもシーンによって使い分けが楽しめる音質です。
聴く人によっ微妙な違いですが、この微妙な違いはプロにとって絶妙な違いであり、この質感を切り替えられるというのは音に拘る人がニンマリしてしまう違いでもあります。
さて、NFuseはNとFという異なる2つの音質を使い分けられるのがメリットですが、それ以上に大きなメリットがあります。それは、各モジュールをNとFに使い分けられる点です。
例えばINPUTとサチュレーションはN、イコライザーとコンプとステレオイメージャーはFといったような実機では考えられないことができます。
これはプラグインならでのことで遊び心でありながらその有効性は大きく、音作りにおいて大きなアドバンテージになります。
FとNの良いところをミックスした最強のバスエフェクトを作り上げられるのは触っていてワクワクが止まらなくなります。
すべてのユニットのクオリティは申し分なく、Nのコンプは光学式コンプレッサーとしてとくに優秀でAVALON DESIGN VT-737SPのコンプを彷彿とさせる音質であり、FのVCAコンプ、Nのオプトコンプは他のメーカーなら単体売りをしていてもおかしくないレベルです、
以下のサウンドはサチュレーションとコンプを組み合わせた例です。
Nのクリアさと重みについては他ではあまり得ることができない質感だと私は感じていますが、みなさんはいかがでしょうか?ちなみにまだより重くしていくことも可能です!
NFuseはバス・トラック処理に特化したエフェクトプラグインですが、もちろん単体トラックに使っても問題はありません。
機能性および操作性について
GUI(操作画面)自体の変更はありませんが、チェイン(エフェクトの効果の順番)を変更可能なため、幅広い設定を試みることが可能です。
SSLのFusionプラグインはそれぞれのユニットを切り分けてリリースしているため、VSTプラグインスロット上で自由にチェイン変更ができるのが大きなメリットです。
NFuseではサチュレーション、ダイナミクス、イコライザーの順番を調整できるため、こちらの方が一つのプラグイン内で完結できるため便利だと私は感じます。
HF Compが追加された
SSL Fusionの注目される機能としてHFコンプがありました。
HF Compressorは、高周波数帯域に特化したコンプレッサーです。この機能は、特に高周波数のダイナミクスを細かく制御することを目的としています。
一般的なコンプレッサーが全帯域にわたる音量の変動を平滑化するのに対し、HF Compressorは高周波数帯域のみに焦点を当て、エアリーさやシャープネスをコントロールします。
NFuseはSSLのFusionをエミュレートしているのにも限らず搭載されているコンプはバスコンプという設定に海外のフォーラムではその理由に疑問視する声が上がっていました。
しかし、Kiive Audioの開発陣はその声にいち早く対応し、バージョン1.1.1よりHFコンプを無償アップデートで追加搭載しました。
通常のバスコンプは右下のC1というボタンで切り替えが可能です。
また、さらにハーモニックコントロールとトランスボタンも追加する可能性を示唆しているのも注目です。
このようなユーザーの声に耳を傾け追加実装するKiive Audio の開発陣には頭が下がります。
プリセットの選択ウィンドウが改善
今までのKiive-Audioのプリセットの選択方法には若干難ありのイメージがありました
詳しくは以下の操作性のページで解説していますが、プリセットを選ぶまでに4回クリックをしないとたどり着けないという問題です。
しかし、この問題もNFuseでは解決しており操作性もよくなっております。
ABコピー機能は見送られた
これも私を含め海外のフォーラムで搭載して欲しいという機能でした。
Kiive-Audioには設定の一つ前に戻る/進むというUNDO/REDO機能が搭載されていることで抜群の操作性が得られました。それと同じように設定の違いを比較できるA/B機能もあります。
比較するときには同じ設定から少し変更したい場合もあります。そのような場合にはAの設定をBにそのままコピーできればよいのですが、残念ながらこのコピー機能は今回も実装されませんでした。
ただ、開発陣はこの声にも耳を持ってくれているので、バージョンアップデートで搭載される可能性もあります。
CPU負荷について
CPU負荷はオーバーサンプリングの設定で異なりますが、普段使いであればそこまで高くありません。
CPU負荷画像
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Intel Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.6.1 Monterey
Audio/IF Focusrite RED 8PRE
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.7
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
NFuseプラグインプラグインは誰におすすめ?
NFuseプラグインは、その独特な特性と機能性により、特定のユーザーグループに特に適していますが、一方で全てのユーザーにとって最適な選択とは限りません。以下に、NFuseプラグインを推奨する人とそうでない人について解説します。
NFuseプラグインをオススメする人:
- アナログサウンドを求めるプロデューサーとエンジニア: SSLとNeveの両方の特性をデジタル環境で再現したいと考えている人には最適です。特に、温かみのあるサウンドやクリアでパンチのあるダイナミクスをデジタル録音に加えたい人には、NFuseが大きな価値を提供します。
- 幅広いジャンルに対応したいミキシングエンジニア: NFuseは、ロック、ポップ、ジャズ、クラシックなど、さまざまなジャンルの音楽に対して柔軟に対応できるため、多様なプロジェクトを手がけるエンジニアに適しています。
- 音色とテクスチャーにこだわるサウンドクリエイター: 独自の音色やテクスチャーを追求するクリエイターにとって、Nfuseの提供する繊細な音質調整機能は、クリエイティブな作業を強力にサポートします。
NFuseプラグインをオススメしない人:
- 初心者や予算に限りがあるユーザー: NFuseは多機能でプロフェッショナル向けのプラグインであるため、初心者には操作が複雑に感じられるかもしれません。また、予算の限られたユーザーにとっては、コストパフォーマンスの観点から最適な選択とは言えない場合があります。
- 特定の機能のみを求めるユーザー: NFuseは複数の機能を一つのプラグインに集約していますが、特定の機能(例えばEQのみやコンプレッサーのみ)を求めている場合、より専門的なプラグインの方が適している可能性があります。
- 完全なデジタルサウンドを好むユーザー: アナログサウンドの温かみや特性を好まない、または完全にクリアでモダンなデジタルサウンドを求めるユーザーにとって、NFuseは必ずしも最適な選択ではありません。
NFuseプラグインは、その独特な特性と幅広い機能性により、特定のニーズを持つユーザーに大きな価値を提供しますが、全てのユーザーにとって万能なソリューションというわけではありません。
まとめ
メーカー | Kiive Audio |
製品名 | NFuse |
システム | システム要求 マックOS OS X 10.7以降 (macOS 10.14以降を推奨) プロセッサー: 1 GHz Intel Dual Core 以上 画面解像度:1024×768以上 フォーマット: VST、AU、AAX 64ビットDAWのみサポート ウィンドウズ Windows 7以降 プロセッサー: 1 GHz Intel デュアルコアプロセッサーまたは AMD 同等プロセッサー 画面解像度:1024×768以上 フォーマット: VST、AAX 64ビットDAWのみサポート |
認証方式 | シリアル認証 |
認証数 | 記載なし |
マニュアル | 英語 |
価格 | $219.99 |
NFuseがリリースされたとき一粒で二度美味しいなんてそんなうまい話はないだろう、と思っていましたが実際使ってみたところ、二度美味しいどころか、三度以上美味しいプラグインであることがわかりました。
SSLのFusioについてはSSLからリリースされているFusionプラグインの方が良いというユーザーもいるでしょうし、Nに関しては全く違うという人もいます。
ですが、私個人として、これらの音色が素早く、自分の作りたいバス・トラックのかんたんになりました、とくにNのサチュレーションとコンプの組み合わせには感動し、すでにこの2つだけでも十分に元はとれた印象があります。
また、ユーザーの声に耳を傾け必要とされている機能を無償アップデートで追加していく姿勢もすばらしいと思います。
今後のアップデートではSSL Fusion Transformerが追加されることも検討しているのでこちらも楽しみですし、FusionのハードプロセッサーはコンプがLMCコンプに切り替えが可能なのも魅力です。もちろんKiive Audioの開発陣もそれは理解しているので、それもアップデートえ導入される可能性もあります。
初心者には素早く最高の音色を提供し、中級者から上級者にはNFuseの奥深さを見せつけてくれる。なかなか挑戦的なエフェクトプラグインです。バス・トラックに温かさと重みを兼ね備えたい!という人にはオススメです。