Logic Alchemyを使えばMASSIVEは必要ないかもしれないというのはある意味で本当です。それだけLogic Alchemyはすぐれたソフトシンセです。このレベルが無料でDAWに内蔵しているのはLogicProXだけです。
このソフトシンセだけのためにLogicProXの購入を考える価値があるほどです。
というわけで、DAW選びに迷っている人のためにも、またDAWの乗り換えを考えている人のために優れた内蔵ソフトシンセLogic Alchemyについて説明します。
Alchemyとは?
Camel Audioというデベロッパーが開発したソフトシンセです。もともとは有料でした。そのお値段245ドル!結構高いソフトシンセです。Serumが189ドル Sylenth1が150ドルくらいですからそれよりも高いソフトシンセです。それをブラッシュアップしてDAW付属のソフトシンセにしてしまったのがAlchemyです。
Alchemyのスペック
- 4つのオシレーター
- 2つフィルター(39種類から選択)
- ユニゾン機能による音作り
- 16MSEG・16SEQによる複雑なモジュレーションソースによる音作り
- 独立した4つのアルペジエーター
とてもではないですがすべては書ききれないので、少しずつ見ていきたいと思います。
4つのオシレーター
Alchemyのオシレーターは全部で4つあります。アナログシンセでいうところの4VCOですが、その波形はオーソドックスなアナログ波形からウェーブテールの波形に往年のアナログシンセ(MoogやArpなど)をモデリングしたSaw Sine Square Triangleが別途収録されています。
さらにそれらを次の機能で補い音作りをします。
- ADDITIVE方式(FM的倍音調整)
- SPECTRA方式(波形解析による音色変化)
- PITCH方式(指定したピッチの調整)
- FORMANT方式(波形に声の成分をもたせることができる)
- GRANULAR方式(サンプルのグレインサイズの変更など)
- SAMPLER方式方式(PCM波形の音量、サンプルの逆再生)
- VA方式(サンプル取り込み時にVAエンジンを追加)
他のシンセの波形をそのままAlchemyでも使えるサンプリングエンジンもあるのでお好みの波形をインポートして使うこともできますし、オシレーター1はVAエンジン オシレーター2はサンプリング波形、オシレーター3はVAエンジンをAdditive方式でFM化なんていうこともできます。またサンプル波形を取り込み時にVA方式を追加できるので、やろうと思えば、8VCO的な音の作り方も可能になります。
2つのフィルター
Massiveと構成が似ているので持っている人触ったことがある人はイメージしやすいかもしれません。39種類のフィルタータイプを選べるのですが、ユニークなのはフィルターにとどまらずビットクラッシャーやサンプルDOWN、コンプレッサー、tubeディストーションも内蔵されています。
ユニゾン機能による音作り
みんな大好きSuperSawもここでかんたんに作れます。Num-Uni-と書いてあるところでユニゾンの数を消えmてDetuneで広げるだけです。この機能はサンプルモードでは使えません。
16MSEG・16SEQによる複雑なモジュレーションソースによる音作り
もともと変態的なAlchemyですが、この設定の自由度がすごすぎます。各パラメーターに16の設定を追加できるのですが、例えばLFOもここで最大16個まで増やすことができます。
またADSRも、SEQUENCEもです、ただ合計16ということだけを意識して音作りをする必要があります。
独立した4つのアルペジエーター
アルペジエーターがついているソフトシンセは珍しくありませんが、それが各オシレーターに1つずつ付いているのがAlchemyだけではないでしょうか?
つまりオシレーターAはUpDow、オシレーターBはSEQUENCEモードといった感じで複雑なアルペジオを組むことができます。アルペジオの設定も細かくできるのでよりリズミカルでパワフルな動的な音色をかんたんに作れます。
他にもパッド機能の搭載で、音色のパラメーターを2次元的に動かせるモードであったり、シンプルながら音作りがしやすいエフェクト機能などもあります。
AlchemyCPU負荷が解決方法
Alchemyは音色によっては負荷が高いものがあります。そういうときはQualityから種類を選ぶことで負荷を逃してくれます。
音作り一例
EDMなどでよく使われるプラック音についてAlchemyで作った記事がこちらです。これが正解ではなくあくまでプラック音の定義を明確化したものなので、これを参考にしてもらえればどんなプラック音も作ることができるようになります。
変わり種のスペクトラムシンセ
シンセと言ってもこれは解析方法の一つで、izotopeのirisというシンセみたいに周波数帯域イメージで置き換えて発音させるというもの。Alchemyにはそのスペクトラム解析が可能になっています。こんな感じで絵を買いたりすれば、このイメージをもとに音源をスペクトラム解析します。
また、画像を読み込み解析することもできます。
倍音を好き放題扱えるAdditive方式
倍音加算です。倍音加算といえばFMというイメージがありますFMは大雑把に言うと「音を揺らす」ことで音を作るのに対してこちらは倍音を足すことに特化しています。イメージ的にはオルガンのドローバーです。そのドローバーがめちゃめちゃ多いものと思ってください。高い倍音を足すことで金属的な響きも作れます。ただ注意したいのは「選んだ波形の倍音」ではなくあくまでサイン波に倍音を足して音作るということです。
Alchemy関連おすすめ動画
まとめ
かけあしですが、Alchemyの魅力について語ってみました。設定を詰めすぎると重たくなるパラメーターもありますが、基本は軽いです。何より「純正」ということだけあってめちゃめちゃ安定しますwおすすめソフトシンセを買う前にLogicユーザーならこれを半年触り続けてください。おそらくソフトシンセについての動作はほぼ覚えられます。そこから他のシンセを触っても遅くないです。
Alchemyを一言でいうのは難しいですが、この3つがしっくりくるソフトシンセです。
- 使い方がかんたんなのに音作りの幅が広くて深い
- EDMやジャンルを問わず使える音色が多いプリセット
- 多彩な音色エンジン
もちろんこれだけではないですが、とにかく魅力いっぱいのソフトシンセです。これを使わずに「おすすめソフトシンセ」を求めるのは時間とお金の浪費です。LogicProXユーザーだけの特典ですよ?使わないともったいないですね。