プロであってもアマチュアであっても自分の仕事の流儀は大切にした方がいいです。もちろん挨拶、報告、社会的な礼儀をおろそかにしろという話ではありません。それをしたうえで自分が間違っていても、正しいと思った道は突き進むべきです。今日は私の能力不足だった私がそのときの全力でやった仕事に対して、納得がいかなかったためにとある行動にでたら思いもしない結果が返ってきたというお話です。
ネットで作曲家の駆け出しの人と出会いコンペ用のアレンジャーになる
その昔クリエイター募集の掲示板でコンペ用の編曲を募集している人がいました。当時私は28歳くらい。その人は4つくらい下だったような気もします。その人はすでに何曲かリリースしていて有名な声優さんとかに楽曲を提供している人でした。
気になったのでとりあえず5曲ほど送ったものの音沙汰はなかったので落ちたと思いそのことはしばらく忘れていましたが一週間くらいしてから「何人かに声を書けさせてもらっていましたが、全員金額の折り合いがつきませんでした
「UGさんの曲はかなり荒削りですが、光るものがあります。一曲5千円でアレンジをお願いできませんか?」という話をもらいました。30歳までに食っていく手立てが見つからなければ音楽を諦める気持ちだったので値段に構わずOKしました。
編曲料はあくまでコンペに出すためのものなのでコンペに提出できた時点で支払ってもらえます。大体納期は3日くらいだったと思います。コンペが受かった場合は追加料金+クレジット記載というオプションもありました。
何十曲というコンペのアレンジを「受けては落ち」を繰り返していたある日作曲家さんから「UGさん最終まで残っていてほぼ通りそうです。ただストリングスの音色が気に入らないと言われているので変更してください今日中にできますか?」という依頼がきました。
その連絡を20時くらいにもらったので残り4時間しかし、ちょうどそのとき当時買ったばかりの高級ストリングス音源が手元にあったので「これならイケる!」思いさらに入念に音を作り込み納期ギリギリに送りました。すると
「この音は違います。納期が間に合わないため今回は別のアレンジャーさんにお願いします。依頼通りのアレンジにならなかったので今回は話はなかったことにします」
と言われてしまいました。そしてその曲は無事にリリースされました。「何が悪かったのかなー期待通りのアレンジにならなかったということだから完成版はすごいアレンジになっているんだろうなー」と思いリリース音源を聞いてみたらまったく私のアレンジそのままwストリングスの音源がちょっとチープになった程度
どういうことだー?と思い作曲家さんに連絡をとってみたら「音色もアレンジのうち」と言われました。
音色以外のアレンジは問題ないクオリティでしたが。音色だけが気に入ってもらえなかったという話。仮にとんでもなくリアルなストリングスになっているなら納得もできたんですが、最初の音源よりさらにチープないかにもシンセシンセしたストリングスでした。
納得がいかなかった私に「次のコンペ用のアレンジをお願いします」と言われて「すみません今回のことは納得できなかったのでアレンジおります!」と言ってその作曲家さんとはそれっきりになりました。同時はアレンジが盗まれたーみたいな気持ちになっていたんですよwそのときは煮え切らない気持ちでしたがのちに気がついたのは
高級音源は万能ではない
音色数パターン送る考えするべきだった
という二点でした。
数ヶ月経ってからまた作曲家さんから連絡がありました。「あのうちの事務所の部長が話がしたいそうなので一度こちらに来てもらえませんか?」事務所は東京、私は大阪、正直その作曲家さんとはもういいかな?と思っていたので「事務所の部長?なんで?いまさらん何用だよ?」くらいの気持ちでした。
運良く東京に行く用事があったので作曲家さんに連絡して事務所の近くで待ち合わせをすることになりました。事務所に向かう道中「なんかあの件で怒られたりするのかな?なんか言われたら言い返してやる!」というわけの分からない気持ちでした。事務所の近くで作曲家さんと初顔合わせ。
待ち合わせ開口一番
「あの件ではすみませんでした」と謝られました。「部長から君のメロディは彼のアレンジですごくよくなっていることを気づかなかったのか?」「そういう人は離してはいけない!すぐに事務所につれてこい」と言われました。いまいちなんのこっちゃよくわからない話でしたが。事務所につくと部長から「◯◯とのアレンジ共同作業をしなくなったと聞いたけど、君さえよかったらうちで登録作家しない?」
というお誘いでした。
なんで?どういう流れでそうなるの?とよくわからなかったのですが、思ってもみなかった話。すぐにOKしました。そこからアレンジコンペ以外の作曲のコンペをたくさん紹介してもらいましたがその後しばらくしてゲーム会社に就職しコンペを受ける余裕はなくなったので
疎遠になってしまいましたが、会社にはいるまでの数年間結果がすべての世界でちょっと揉まれたのは自分にとってスキルアップを実感した時間でした。もしあのときダラダラとメロディのアレンジだけをしていたら登録作家の話はなかったと思いまし、ゲーム会社に入れたかどうかもわかりません。
右も左もしならいアマチュアDTMerがプロの仕事にケチをつけた
たぶん普通なら怖くてできないかもしれません。むしろ人の行動にケチをつけるタイプではなく大概のことは受け止めるのが私の性格です。
ですがそのときだけは我慢できなかった。今考えると目先の結果より自分が納得できる仕事をしたいという気持ちが強かったのでしょう。しかしその気持は間違ってはいなかったと思っています。
まとめ
音色ひとつでコンペに受かる話もあるので音色も立派なアレンジということをお伝えしました。みなさんも音色にはこだわりましょう