「もっとかっこいいグルーヴがほしい!」という思いから、様々なリズムやループを重ねて作ることで新しいリズムパターンを作り出す手法はDTMの世界では定番化されています。
ループの重ね方はトラックに自分がほしいwavファイルなどをペタペタと貼り付けたりする方法もあればスライサーで細かく切り刻む方法までありますが、今日紹介するのPlayBeatというプラグインを使うと昔ならではのサンプラー的な方法で作るビートメイク方法を可能になります。
なれないとちょっとややこしく感じるときもありますが、慣れてしまえばトラックにオーディオを貼り付けるより簡単で複雑なビートメイクが可能になります。
PlayBeatとは?
Playbeat3はステップ形式のよくあるドラムマシン的なMIDIシーケンサーです。
音源は内蔵していません。普通は音源を内蔵するのが普通ですが、PlayBeatはまったく音源を内蔵していません。
完全にシーケンサーとして売り出しているプラグインです。「だったら普通にDAWでいいんじゃないの?」と思う人はいるかもしれませんが、PlayBeatはただのシーケンサーではなく新しいビートとパターンを生成するCreative Groove Randomizerという立ち位置です。
Playbeatの良さを一言で説明するならば、発音タイミングのピッチ、ボリュームを個別で調整できることです。これがとてもユニークかつ面白い効果を作ることが可能になります。
またランダマイズ機能はアナログシーケンサーのようなランダムアルペジエーターではなく、ビートに適したアルゴリズムをベースにしているので的はずれなパターンにはなりにくいのが特徴です。
ドラッグアンドドロップでサンプルを読み込める
独自のサウンドをロードまたはドラッグアンドドロップし、最大4つのパターンを同時に生成してポリリズムを取得します。LogicProXであればAppleLoopsもドラッグアンドドロップで読み込めます。
マルチチャンネルオーディオ出力サポートしているので4つのトラックを個別にDAWでの音作りも可能です。
基本的な使い方
普通に考えればキックやスネアにハイハットとプラスαの単体キットのwavファイルを読み込んでステップ・シーケンサーに貼り付けるのが一般的です。ハイハット1つにしても半音単位でピッチを変更し、タイミング毎にボリュームを調整することで初期のドラムマシンで作ったようなグルーヴを作り出すことができます。
私はこれにループを読み込ませて使うのが楽しい使い方だと思いました。ただ、注意したいのは取り込んだループのBPMなどを自動で合わせてくれるわけではありません。PlayBeat自体はHOSTであるDAWに同期する仕様ですが読み込んだサンプルループのBPMはそのままです。発音タイミングが同じビートのピッチを上げると当然ループの再生速度は速くなります。それゆえにトラック1にビートAをトラック2にビートBを同時に鳴らした場合、異なるBPMのループは当然バラバラでとても満足できるリズムパターンになりません。
これを逆手にピッチでリズムのタイミングを合わせる方法もありますが、今日はオーソドックスな同じBPMのループを変化させる使い方を説明します。
まずトラック1に当たる一番上のトラックにドラッグアンドドロップまたは左のALLと書かれているすぐ下のタブを右側にあるタブのプラスボタンを押して任意のオーディオファイルを読み込みます。LogicProXの場合は上記で説明しようにAPPLE LOOPSの読み込みも可能ですし、トラック上にあるオーディオデータもドラッグアンドドロップで読み込みが可能です。
読み込んだループはこのようなShakerのリズムです。
これを次のタイミングで発音させてみます。
当然発音させた場所が常にループの頭なのでリズムパターンは変化します。これにピッチを変更させてみます。
ちょっとわかりにくいですが、2拍目の4つの16分音符だけピッチを5度高くしています。するとこんな感じのリズムになります。
Shakerを細かく刻んだようなリズムになりました。
これに次はキックを入れてみます。キックももともとはループなのですが、ループの最初だけを発音できるサンプルのスタート/エンドポイントが調整できるので、うまく活用します。(場所は右側のshuffleと書かれた上に表示されているオレンジの箇所です)かなり小さくて使い勝手は決してよくないですが、頑張って調整します。
このキックはループの2小節目の頭のキックのみ取り出しています。再生するとこんな感じです。
このような感じで発音タイミングでピッチとボリュームを調整しながら新しいリズムパターンを作るのはDAW上でやるとかなりの手間が必要な時があるので、そういうときはPlayBeat3がおすすめです。
問題点
書き出しが不便
LogicProXだけかもしれませんが、ループ指定でバウンスしても楽曲の長さ分書き出されてしまいます。その場合オーディオテールを含まないを選択して書き出すとループ設定間での書き出しが可能になります。
スタートエンドの画面が小さすぎる
サンプルスタートエンドが調整できるのは良いのですが、画面が小さすぎてお世辞にも設定がしやすいとは言えません。今後のバージョンアップがあるかどうかはわかりませんが、ぜひとも改善してほしいところです。
まとめ
地味なようで縁の下の力持ちできなプラグインです。ビートの発音タイミングでピッチとボリュームをいじるだけのプラグインですが、そこから作り出されるリズムは思った以上にグルーヴに溢れたパターンになる可能性があっても使いこなせればかなり既存のビートをオリジナルなものに変えられるでしょう。
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