サイドチェインの効果的な使い方をしっていますか?サイドチェインはEDMの定番で使われているようなものだけではありません。今日は定番のものからちょっと変わったサイドチェインの使い方を4つ紹介しています。設定方法をマネするだけで楽曲が今の3倍はかっこよくなります。サイドチェインって何?と思っている人にも動画と音声でとわかりやすくかいてあるのでしっかりと覚えて使いまくってください。
サイドチェインとは
イメージ的にはEDMなどで多用される「んばーんばーんばーんばー」といった感じのシンセがリズミカルに強調されたものを想像するかもしれませんが、もともとは、コンプについている機能です。
具体的には本来はコンプに入った信号は当然コンプの中で検知されパラメーターによってその効果が決まるわけですが、サイドチェインは検知する部分がコンプの中ではなくほかの信号でも可能なのがサイドチェインです。
もうちょっとわかりやすく言うと映画撮影の進行を司るのは基本監督の仕事ですが、サイドチェインをONにすると助監督や証明さん美術さん誰でも映画撮影の進行のために「アクション!」と言って進めてしまえるそんな感じだと思ってください。
サイドチェインの使い方
最近でこそ編曲面での使われ方が多くなっていますが、基本はミックス段階で使う機能です。つまりエフェクティブな使い方というよりは「問題解決のための手段」というのが一般的です。
その中でもっともポピュラーなのがキックとベースの棲み分けです。キックとベースはどちらも低音楽器なのでキックとベースの棲み分けは難しくEQだけではかぶっている周波数もあるので処理しきれない場合が多いです。そういうときにコンプによるサイドチェインを使うことで、キックをコンプのトリガーにすると「キックがなればベースが引っ込む」ということになり棲み分けができるようになります。
設定方法について(LogicProX)
LogicProXでDrummerのキックをトリガーにしてベースのコンプを動かします。
Drummerはデフォルトではステレオ出力なので立ち上げた状態でベースにサイドチェインするには、まずDrummerをマルチ出力します。
Drummerのミキサーのプラスボタンを押して隠れていたトラックを表示していきます。次にベースでコンプをかけるわけですが、ここからがちょっと設定が必要になります。
本来であれば右上のサイドチェインにキックトラックが表示されるのですが、Drummerで作られた拡張トラックはサイドチェインに反応しません。なので、キックのBUSトラックを作ります。
ここでポイントなのが、メインアウトの先をBUSに変えるのではなくセンドでBUSを指定しプリフェーダーにすること。こうすることでフェーダーボリュームに関係なく信号が送られます。ここでベースにかけたコンプのサイドチェインを見てみるとBus1←Kick1と表示されています。これでベースのコンプをキックで動作させることができるようになります。
BUSチャンネルのキックはあくまで信号経路として必要なだけなのでボリュームを絞ってしまいます。そしてキックとベースをさらにBusでまとめてしまうことでさらに後の音質処理がらくになります。
サイドチェインのメリットデメリット
オートメーションでも同じことが可能ですが、キックとベースの位置のたびにオートメーションを書き込むのは大変ですよね。(努力と根性でやれる人はやってください)時間と手間を考えればコンプでのサイドチェインはメリットが大きいです。
ただデメリットとしてサイドチェインが戻る幅などが細かく設定できないのでその辺りを拘りたい人にとってはコンプによるサイドチェインはデメリットとも言えます。
サイドチェインの使い方の応用
EDM定番のパッドうねうねサイドチェイン
これは最近では誰でも知っているEDM系の定番のサイドチェインです。先程説明した「んばーんばー」ってやつです。
基本的にはキックとベースの設定と同じですが、パッドではなパッドとキックをまとめたバス・トラックにコンプを指すことでキックにもコンプがかかるのでよりアグレッシブな「んばーんばー」サウンドを作れます。
またコンプを変えることでコンプの挙動がそのままサイドチェインにもつながるため、コンプによってさらにサウンドのバリエーションを増やせます。
これらの効果を再現したエフェクトを使う方がてっとり早い方法ですが、持っていない人はこの方法を試すのが一番です。
「んばーんばー」プラグイン
- Waves OneKnob Pumper
- NICKYROMERO KICKSTART
ボーカルやソロ楽器のロングトーンだけにディレイにかけるサイドチェイン
ボーカルトラックにサイドチェイン?と思う人がいるかもしれませんね。ここではディレイ併用したサイドチェインを紹介します。ディレイを深くかけるとディレイが他の演奏とぶつかったりして歌詞の明瞭度が下がることでボーカルの存在感が弱くなってしまうことがあります。
これをサイドチェインで歌っている間はディレイの音量を下げ歌い終わるとディレイが上がるようにする方法があります。これを「ダッキングディレイ」とよびます、
設定方法は
- ボーカルトラックに2つのセンドを立ち上げる
- センド1はディレイとコンプかかったBUS2へセンド2はサイドチェイン用のBUS1へつなぎます。
これでBUS1をコンプのサイドチェインに接続すればOKです。
この方法はボーカル以外にもソロ楽器(ギター、バイオリン、サックス)などに使うことロングトーンのみにディレイをかけられるため、ソロをより印象強くする効果があります。
パッドを切り刻むエフェクティブなサイドチェイン
白玉パッドを特定のリズムで刻む方法です。例えばタンバリンなどのループを使ってそれとパッドをサイドチェインさせるとタンバリンのリズムでパッドが刻まれるようになります。
設定方法は
パッドとリズムのループを用意します。(今回はタンバリンを使用します)
あとは基本的なサイドチェインのつなぎ方
タンバリンのループをバスに送りそのバスをパッドに入れますが、今回はここにフィルターを指してみます。
タンバリンのループと一緒にパッドを鳴らすのもいいですし、トリガーとなったタンバリンを消してもそのリズムでパッドが刻まれます。有機的なフィルターリズムサウンドを楽しめます。
まとめ
一般的なサイドチェインからちょっと変わったサイドチェインまで紹介してみました。これらはオートメーションでなんとかなるものも多いですが、サイドチェインならではのアバウトの掛かり方もまた1つの味があると言えます。