pure:unmaskはトラック同士の周波数の干渉をAIで解析し軽減させることで、誰でも濁りの少ないミックスを手にすることができるチート系プラグインです。
例えば、ボーカルと楽器のクリアさを保つ場合や、キックとベースをなどの周波数を動的にダッキングすることで、鮮明なトラックを作り出したい!というときに便利です!
CPU負荷も低いので、ソフトシンセと併用しても大丈夫です!
この革新的なプラグインがどのようにしてミキシングの悩みを解決し、作曲家やミキシングエンジニアのクリエイティブなプロセスをサポートするのかを探ります。音質、機能性、操作性、CPU負荷、そして価格の観点から、pure:unmaskが現代の音楽制作においてなぜ必要不可欠なツールなのかを解説します。
sonible pure:unmask サウンドレビュー
pure:unmaskはサイドチェーン入力を利用して動作し、その入力信号(サイドチェーン先の素材)に基づいてバックグラウンドトラックの周波数を動的にダッキングします。
つまり、サイドチェーンにルーティングされる信号の特性によって、プラグインがどの周波数帯をどの程度減衰させるかが決定されます。
例えば、キックとベースを分離する場合、キックをサイドチェーン入力として使用すると、キックの主要な周波数範囲をクリアに保ちながら、ベースラインから競合する周波数をダッキングすることで、両者の明瞭さを高めることができます。そのため、サイドチェーンに送る素材によって、pure:unmaskによる処理結果と音質は変化します。
では、ベースとキックでpure:unmaskを使うとどのような音質になるのかを確認してみましょう。
まずはドライな状態
次に、キックにベースをサイドチェインで使用した状態
キックのアタック音の部分に注意して聞くと効果がわかりやすいです。
では、キックとベースだけで聞いてみましょう。
ずいぶんとすっきりしたのがわかると思います。低域が削られすぎている印象もありますが、このあたりはパラメーターの位置で調整することである程度は回避可能です。
では次にギターとベースでpure:unmaskを使ってみます。
まずはドライな状態
ギターにベースをサイドチェインで使用した状態
ボリュームが若干下がっているのでゲインプラグインで調整はしています。
ギターとベースの棲み分けができたことで明瞭度の高いトラックになっているのがわかります。
個人的にpure:unmaskでは音がすっきりとする傾向が強い印象もありますが、pure:unmaskでしか得られないマスキング感もあるので、使い分けのツールとして考えるのもありです。
この音質では物足りないという人は、他のスペクトラルシェーピング系のプラグインを試すのもありですが、このツールは作編曲のスキルを高めたいけれど、ミックスのクオリティもそれなりに整えたい、というユーザーに向けてのツールだと思っています。
なのでこの価格帯で、この音質と手軽さを手に入れられるのであれば、私は購入する価値は大いにあると考えています。
色々なツールを選ぶのも楽しいですが、自分のやりたいことを最速で求めるのであれば、コストとタイパに優れたツールを周りの意見に振り回されずに使用していきましょう。
操作性および機能性
pure:unmaskでは、素材に特化したプロファイルを選択することでより最適な解析結果が得られるのがメリットです。
また、解析をしなくてもプロファイルを選ぶと音質も変化するので、音の傾向も確認できるのが便利です。
解析することで20Hz〜20kHzのレンジ感でサイドチェイン先の素材との棲み分けを行います。その解析に対してどのような割合で整えるのかが以下のパラメーターになります。
パラメーター | 説明 |
---|---|
Speed | ダッキングプロセスの応答速度を制御 サイドチェーン信号にどれだけ迅速に反応するか調整 |
Unmasking | スペクトルのアンマスキングの程度をコントロール 値が大きいほど優先トラックにより多くのスペースを提供 |
Resolution | スペクトル処理の精度を調整 値が高いほど細かい周波数帯の調整が可能になり、 より精密なアンマスキングが実現 |
これらのパラメーターを適切に調整することで、ミックス内での競合を効果的に解消し、クリアでバランスの取れたサウンドを実現できます。
A/B比較機能およびパラレルミックス機能がない
pure:unmaskでは、解析結果を比較できるA/B機能はありません。
私は何かれば比較したがる癖があるのでこの機能は個人的に欲しかったです。しかし、ざっくり決めて、素早く行動するのがこのプラグインの目的とするならば、あれやこれやと悩まずに結果を信じて、作編曲の時間に割り当てられるという点ではメリットだと感じます。
また素材を解析するという点においてプリセットは意味をなさないので、プロファイル以外のプリセットはありません。
CPU負荷について
pure:unmaskのCPU負荷自体は高くありません。左側はステレオオーディオファイルに一つだけpure:unmaskを使った負荷です。右は、違うオーディオファイルをサイドチェインにしたときの負荷になります。
それでもそこまで負荷が高くなる印象はありません。また解析中途中であっても負荷が上がるようなことはありません。
CPU負荷については特に問題はないと考えていますが、解析内容には若干のひらきがありました。
以下の画像はギターとベースのユニゾンでのpure:unmaskを使用した場合の負荷です。
レンジに最大100Hz弱の違いがあります。何度か解析すれば、最終的には850Hz付近に落ち着いていますが、音質差が気になるのであればレンジの調整をするのがよいでしょう。
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Intel Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.6.1 Monterey
Audio/IF Focusrite RED 8PRE
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.7
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
まとめ
メーカー | sonible |
製品名 | pure:unmask |
システム | マック macOS 10.13+ (M1 Apple Silicon サポート) (64 ビットのみ) RAM – 少なくとも 4 GB (推奨) CPU – Intel DualCore i5 以上 (推奨) プラグイン形式 – AU、VST2、VST3、AAX、MultiRack Native サポートされるサンプルレート – 44.1 kHz ~ 192 kHz パソコン Windows 10 以降 (64 ビットのみ) RAM – 少なくとも 4 GB (推奨) CPU – Intel DualCore i5 以上 (推奨) プラグイン形式 – VST2、VST3、AAX、MultiRack Native サポートされるサンプルレート – 44.1 kHz ~ 192 kHz |
認証方式 | シリアル認証 |
認証数 | 1 |
マニュアル | 英語 |
価格 | $49.00→$29.00 |
- トラック同士の音のかぶりを減らしてミックスをすっきりさせる
- 1ノブで操作がかんたん
- CPU負荷が低い
- 使いすぎると音痩せする
pure:unmaskを使うと音痩せするような印象がありました。その原因はunmaskingの度合いによるところが大きく、特定の周波数帯を削減しすぎる結果として起こり得ます。
pure:unmaskは競合する周波数を動的に低減するため、過剰なアンマスキング設定は元の信号の一部を取り除き、結果として音が薄く感じられることがあります。この効果を管理するには、UnmaskingやResolutionのパラメーターを細かく調整し、必要最小限に留めることが重要だと感じました。
多くのツールを使いこなすミキシング・エンジニアからすればpure:unmaskは少し物足りない感じがあるかもしれませんが、量を質に変化させたい初級〜中級の作編曲家にとってはミキシングの中でも特に難しいトラック同士の周波数の干渉を軽減してくれるpure:unmaskの存在は非常に役立つ存在になると感じます。
pureシリーズは他にもトラックに最適なpure:EQやpure:Comp、明瞭度を失わないpure:reverb、クリーンな音質を失わずに音圧を確保するpure:limiteがあり、それぞれ、単体でリリースされていますが、セットで購入すると$149、それがいまだと、$99で購入可能です。
izotopeのNeutron4と比較するとできることは限られていますが、プラグインの動作は軽く、解析速度も早いのでお手軽に高品質なミックスを作成できます。