Universal Audioの「Verve Analog Machines」は、あなたの音楽制作にアナログの深みと温かみを加えるために設計されています。アナログ機器のサウンドを忠実に再現し、トラックに豊かなカラーをプラスします。直感的な操作感を実現したインターフェースは、アナログ機器の操作をDAW内で簡単に体験できるようにします。
CPU負荷は気にする必要がないレベルなので、ソフトシンセと一緒に使えます!
このプラグインは、Universal Audioの高度なアナログモデリング技術により、プロフェッショナルな音質を提供し、DAWのパフォーマンスにも影響を与えません。Verve Analog Machinesで、あなたの音楽にアナログの魔法を加えて、新たなサウンドの可能性を広げましょう。
Verve Analog Machines サウンドレビュー
Verve Analog Machinesではジャンルに合わせた様々な飽和サウンドを楽しめます。UAD特有のもっちりとしつつ高品質なテープサウンドから、ギターのディストーション的なサウンドまで歪みの幅は思っている以上に広いです。
また、ユニットによってはwarble(テープの揺れ)機能も搭載しているのでよりローファイ的なアプローチも可能です。
では実際のサウンドを確認してみます。
16小節のジングル的な曲の中でVerve Analog Machinesに搭載されているパラメーターをオートメーションで動かしながら音質の比較を行います。
Sweetenはスタジオテープマシンの艶と温もりのあるサウンドからオーバードライブサウンドまで可能なユニットです。
ユニットの中で一番ハイファイで個別のトラックからマスターまで幅広く扱える音質です。
edgeは穏やかな倍音を加え、サウンドに微妙なクランチ感を与えるユニットです。sweetenと比較すると若干音がこもった印象がありますが、ジャンルによってはマスターにかけても面白いです。
glowは穏やかな倍音を加えてサウンドに微妙な暖かさを与えるユニットです。ユニットの中で一番フラットに近い特性を持っているので素材を選ばすに使用できます。
warm はよりヴィンテージなスタジオテープマシンの温かみのあるサウンドを作り出すユニットです。低域だけが持ち上がるので音のふくよかさを出したいときに活躍します。
thickenは厚みを増す半世紀前に録音された音を作り出すユニットと表記されています。10kHz以上が割とばっさりとカットされている印象なのが特徴です。
Vintagizeは祖父母よりも古い録音の音という説明にあるように、より古く癖のある音色を生成するユニットです。
7.5kHz以上がカットされているので古いラジカセのような音質になります。
distortはヴィンテージの真空管プリアンプを限界をはるかに超えてディストーションを生成するユニットです。パラメーターの特性や音質はglowと酷似しています。こちらのユニットを使う理由としてはdriveを30以上にしたときの歪み感がポイントになります。
pushはdistortはdriveノブを上げることで歪みが増えていくタイプですが、overdriveは最初から歪んでおり、使い所はかなり限られてくる印象があります。
fireはスタジオのテープマシンの歪みを最大級にしたような印象のサウンドです。ベースを歪ませたい場合などにハマることがありますが、やはり使い所が難しい印象のある歪みです。
Sputterにはトランジスタプリが爆発寸前という説明がありますが、文字通り爆発しそうな音を生成します。
音質的に思ったのは万能な音とクリエイティビティを求められる印象がありました。どのシーンで使うのが最適なのかはユーザーによってことなりますが、やはり万能系の歪みサチュレーションサウンドはUADブランドの音がしています。選ぶだけでこのクオリティの質感が手に入るのはやはり便利です。
ミキシングエンジニアとしてより作編曲時のモチベーションが上がる用途で使ってみるのもオススメです。
機能性および操作性
無印とEssentialの違いは主に使えるユニット数とパラメーターの違いとプリセットの違いになります。
EssentialではDrive機能しか使えませんが、(無印)では追加のパラメーター(warbleまたはtone)が用意されています。
EssentialではMore machiensというタグが用意され、クリックすると公式サイトに飛ぶ仕様になっています。
使えるユニットの違いは以下のようになります。
Verve Analog Machines | Verve Analog Machines Essentials | |
sweeten | ○ | ○ |
edge | ○ | ✗ |
glow | ○ | ✗ |
warm | ○ | ○ |
thicken | ○ | ○ |
vintagize | ○ | ○ |
distort | ○ | ✗ |
overdrive | ○ | ✗ |
fire | ○ | ✗ |
sputter | ○ | ✗ |
この他、A/B比較機能にAtoBのコピーペースト機能、GUIサイズの変更など基本的な機能ももちろん搭載しています。
個人的に思ったのは、パラレル処理ができないのが残念です。派手に歪むoverdriveなどもパラレルミックスできるとより使用頻度があがる予感があったので、今後のアップデートに期待したいところです。
CPU負荷について
CPU負荷は低く、ソフトシンセ併用時でも問題はなさそうです。
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Intel Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.6.1 Monterey
Audio/IF Focusrite RED 8PRE
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.7
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
まとめ
メーカー | Verve Analog Machines |
製品名 | Universal Audio(UAD) |
システム | macOS 10.15 Catalina、11 Big Sur、12 モントレー、13 ベンチュラ Windows 10 または Windows 11 (64 ビット版のみ) Intel、AMD、またはAppleシリコンプロセッサ |
認証方式 | iLok |
認証数 | 2 |
マニュアル | 英語 |
価格 | Verve Analog Machines Essentials | 通常価格99 Verve Analog Machines (無印) | 通常価格$199→$99 |
- 豊富なサチュレーションバリエーション
- シンプルな操作性
- 低CPU負荷
- パラレル処理はできない
カテゴライズ的にはアナログ機器のサチュレーションを再現したものになります。UADのアナログサチュレーションはOxide Tape Recorderや Studer A800 Tape Recorderなど実に10年ぶりの新作になります。
音質も前者とは異なり現代的な解像度が高く、名前の通りVerve「気迫・熱情・活気」に溢れたサウンドになっています。
何度も言いますが、サチュレーション市場は飽和状態なので、「またサチュレーションかよ!」というユーザーも多いでしょう。実際私も「UADも出してくるの??」というのが第一印象でした。
しかし、実際使ってみるともっちりとした音質はいかにもUADブランドの音であり、この系の音が好きな人にはとても嬉しいプラグインだと思いました。
UADのテープサチュレーション系プラグインであるOxide Tape Recorderや Studer A800 Tape Recorderは10年まの製品です。音質が悪いわけではありませんが、現代ポップスに最適とは言いづらい部分があり、その穴を埋めに来たUADの戦略は正しいと思います。
また、今回ほとんどのパラメーターを排除したことで、より直感的なツールになったことはUADの今後を占う製品にもなる可能性がありそうです。
Verve Analog Machinesの売れ行き次第ではVerve シリーズ的な製品がリリースされる可能性があり、それはそれで楽しみです。