いろんなドラム音源はあるけれど「どれもこれも小綺麗にまとまっていて、つまらない」「もう少し良い意味でも毒があり個性があるサウンドがほしい」
こんな風に思っているDTMerはたくさんいます。そしてそれ以上に不満を感じているのはスタジオでバンド練習をしながらDTMをしている人たちです。
そんなバンド系DTMerにおすすめしたいのが整えられすぎていない眼の前にドラマーがいると思わせてくれるOMNIDRUMSです。
メーカーが「市場で最も完成度の高い、包括的なドラムVSTの1つ」と豪語するレベルは決して大げさなものではなく、OMNIDRUMSを使えば他のドラム音源にはない雰囲気のドラム打ち込みが可能です。
Have Instruments OMNIDRUMSとは
OMNIDRUMSはHave Instruments社が作ったドラム音源です。
Have Instrumentsの多くはエピック的なテクスチャーサウンドや音圧マシマシなドラムループなどを作っています。そんなHave Instrumentsが「俺らが本気だしたらすごいのできるよ!」という意気込みで作ったと思われるのがOMNIDRUMSです。
OMNIDRUMSの特徴
総容量23.53GBにもなるドラム音源は最大で12ダイナミクスと8ラウンドロビンで収録されています。
機能の一部ですが、具体的には以下のようになります。21種類のキックサウンド:18-20-24さまざまなチューニングと演奏テクニック
120以上のスネアサウンドとテクニック(120種類以上のスネアロールテクニック)
140以上のトムサウンドとテクニック
230以上の時間伸縮ループとリズミカルなパターン
200以上のシンバルサウンドとテクニック(ハイハット、ライド、クラッシュ)
システム要求
- KONTAKT5.6.8+のフルバージョンが必要です
- 約 20GBのハードドライブの空き容量
- 8GB以上のRAMをお勧めします
最近はソフト音源は少しずつKONTAKT6じゃないと動かないものが増えてきていますがOMNIDRUMSはKONTAKT旧バージョンも対応しています。
ストレージの空き容量は20GB以上ですが、実用料は23.53GBになります。
OMNIDRUMSのメリットデメリット
ドラマーが目の前にいるような存在感
OMNIDRUMSのメリットは以下の2つです。
「パワフルなギター演奏にも耐えうるドラムサウンド」
「泥臭いくらいにださかっこいいドラムサウンド」
多くのメジャードラム音源の特徴はレコーディングブースで聞こえる質感です。しかし、OMNIDRUMSはそうではありません。
ドラムが目の前にあって耳で直接ドラムの音を聞いている質感です。なのでメジャーでいう「リアルな存在感」という定義とは違いとにかく「うっとおしいほどの存在感」という言い方がぴったりです。
イメージとしてはリハスタで聞こえるドラムの音です。耳で聴くのではなく体で感じるドラム音源それがOMNIDRUMSです。
なので、DTMerよりスタジオの質感と雰囲気を大事しているバンドマン&ガールの人たちが「そうそうこんな感じだよね!」と共感できるかもしれません。
万能ドラム音源にはない荒々しさ
良い意味で荒々しく雑味があるサウンドです。作り込まれていない「THE ドラム!」という感じです。キック、スネア、タム、すべてのパーツの深い胴鳴りがあります。
一つ一つの音にこだわりをもって作っていく職人タイプのサウンドクリエイターが時間を忘れて音作りにはまれるそんなドラム音源です。
なので「サクッと良い音であればそれでいい、そんなに音にこだわりなんか求めない!」という人にとっては退屈に感じてしまうでしょう。
ただ、拘れる人からすると「こいつのポテンシャル理解できるのおれだけなんじゃね?」と思えるほど奥深です。
「本気で使いこなすのは大変だからな!」というHave Instrumentsの一種の挑戦状みたいなドラム音源ともいえます。
他のドラム音源の比較
有名どころのドラム音源と比較してみます。
一応、ROOM感はあまり出さずにパーツのドライさを感じられるようにしています。
ADDICTIVE DRUM2 BLACK BELVETプリセットClean
いかにも使いやすそうなキレイにまとまった音です。本当に便利なドラム音源です。
BFD3 70’S Rock 1 110bpm PG
しっかりと芯を感じることができるクオリティの高さを感じられるドラム音源です。
MODO DRUM GRUNGY
機械的な響きが気になる部分もありますが、新しいドラム音源の可能性を感じさせてくれます。
OMNIDRUMS
音が荒い!(良い意味で)存在感が半端ないです。
どれがよい悪いか?ではなく「何を使えば曲が一番良くなるか?」という視点が大切です。プロが多くの音源を持つのも「適材適所」の判断のためです。
OMNIDRUMSがあなたの曲のどの部分にはまるかはわかりませんが、ハマれば無敵と言えそうです
マイクにこだわる!OMNIDRUMS!
通常よくあるパターンではキックにはINとOUTの2本のマイクですが、OMNIDRUMSは
INとOUTとROOMという3本使用です。
そしてスネアもUnder(bottom)とOver2本(トップ?)という拘り。
またそれらのマルチアウトもすでにKONTAKTミキサーに簡易アサインされている状態なので、DAW上でのミックスも問題ありません。
DIRTでエフェクティブに!
普通のドラム音源だけどHave Instrumentsらしさを忘れたくない!そんな思いにあふれたのが画面中央にあるDIRT機能です。
heavyocityのPUNISHを彷彿とさせるGUIと機能です。右に回すことで破壊的なサウンドになりこうなると普通のドラムサウンドではなくなります
拘りすぎたループで曲に存在感を与える!
OMNIDRUMSには他のVSTドラム音源のような大量のループがあるわけではなく、またあったとしてもドラムキットというかよりスネアのこだわり抜いた奏法がメインです。正直「ここまでこだわるのか?」というくらいマニアックなループです。
使い所も限定されるかもしれませんが、質感とともに他のドラム音源では聴くことができないものばかりです。
音のバランスは慣れが必要
メジャーなドラム音源の場合それぞれのキットの質感(トランジェント)や音量感がバランスがほどよくまとまっているのに対してOMNIDRUMSは多少バランスに差があるように感じます。
そういう場合はマルチアウトを設定することで問題はクリアできます。むしろハイハットはマルチアウトすることで本来の音の輪郭を確認できるので、是非マルチアウトでドラムミックスをすることをおすすめします。
キットのバリエーションに不満に感じる人も
23.53GBの容量を誇るドラム音源ですが、一般的なドラム音源と比べるとドラムキットの数は8キットになり、そのキット自体もバリエーションはあまり広いとは言えないのでメジャーなキットに慣れている人には少し物足りない感じがあるかもしれません。
しかし、音質が悪いわけではなくとに存在感としては「うっとぉしい」ほどです。バリエーションの数にこだわらなくても十分に一発ノックアウトレベルのドラムサウンドを出すことが可能です。
ただ、サンプル処理が甘いものもあり、たまに人の声が入っているものもあります。
OMNIDRUMSの負荷
- パソコン Macmini2018
- CPU Corei7(i7-8700B)6コア HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
- メモリ 32GB
- システム OS10.14.6 Mojave
- Audio/IF Motu896HD
- バッファー 256
- DAW LogicProX10.4.8
上記の環境でこれくらいです。低負荷というほどではありませんが、「高負荷」を心配するほどのものでもありません。
まとめ
Omnidrumsは
- メジャーなドラム音源にはない生々しい音質
- スネア、タムの奏法のバリエーションが豊富
- DIRTを使うことで破壊的なサウンドを簡単に作ることができる
- 各パーツの音量バランスに多少癖がある
メジャーなドラム音源を使ってもしっくりこない。もっと存在感がほしい。というこだわりの強い人に最適なドラム音源です。
DTM初心者に「全力でおすすめします!」という音源ではありません。バンド系DTMerにこそ使ってほしいドラム音源です。
コロナ過でみんなで練習できなくてもOMNIDRUMSがあればスタジオの「せーの!」の雰囲気を少しでも感じられる生々しい空気感を持っています。
もちろんバンド系DTMerでなくても、ドラムサウンドに拘りを持った人がここぞというところで強烈な一発を鳴らして圧倒的な存在感を見せつけたい!そんな要望を叶えてくれるでしょう。
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